お互いの見えている景色が全く違う……そんな状況を描いた『違う冬のぼくら』インタビュー

『違う冬のぼくら』インタビュー

今回は、「ところにょり」さんに『違う冬のぼくら』についてお聞きしました。2023年の2月にSteamでリリースし、非常に好評(451)と高評価を得ている本作。同じものを見ているようで、実は違う。そんなことは皆さんもないでしょうか?違うものを見ながらも、ともに協力していく。そんな作品がどのように生まれたのか、見ていきましょう。

 

『違う冬のぼくら』について

『違う冬のぼくら』は「2人プレイ専用」パズルアドベンチャーゲームです。
端末2台で遊ぶ2人プレイ専用ゲームであり、協力ゲームでありながら両者の画面に映っているものがまったく違っています。

例えば、同じ人間を見ているはずなのに、片方にはそれが絵本のような動物のキャラクターに見え、もう片方にはそれがロボットのように見えています。
(その認識の違いによって、フィールド上のオブジェクトがそれぞれの世界で異なる働きをします)
プレイヤーたちは自分にしか見えていないことを会話によって相手と共有し、協力して謎やパズルを解くことで旅をつづけていきます。
オンラインによって、離れた場所で通話しながらのプレイも可能です。

 

■会社(開発チーム)について

●チームの紹介をお願いします。

ところにょりと申します。個人でゲーム開発を行っております。

 

●チームは何人くらいですか。

一人です。

 

●また、どのようにして集まったのでしょうか。

物心ついたときには、集まってました。

■開発について

●『違う冬のぼくら』開発のきっかけについておしえてください。

マーダーミステリーで遊んでいた時に同じ場所にいて同じ議題について語っているのに、それぞれの頭の中で見えている景色が全く違うという状況が面白くて、デジタル上のゲームでそれを別の形で再現できないかなと考えたことがきっかけでした。

ただ、その時はアイデアの種でしかなく「開発難易度は高いけどいつか作りないな」というぐらいのものでしかなかったのですが、講談社ゲームクリエイターズラボの募集を見た時に講談社さんと一緒なら作れるかもしれないと思い、開発を本格的に動かし始めました。

 

●開発で苦労されたところは?

ネットワーク同期周りの実装が最も苦労しました。
それまでネットワーク同期を実装したゲームを一度も作ったことがなかったので、一から勉強する必要がありました。単純な同期なら難易度はいくらか下がるのですが、同じ場所にいるのにお互いの見える景色が違っていて、なおかつ地形やギミックの振る舞いもそれぞれの世界で違うという状態での同期が必要だったので、開発の中でも最も高い壁だったと思います。

そのうえ早期リリース後に、使用していたネットワーク同期サービスごと入れ替える必要が生まれ、ゼロから同期周りの実装を作り直す作業を行っていた時は気が狂うかと思いました。

 

●完成までどのくらいの期間を想定していましたか?

一年の開発を想定していました。

 

●実際にかかった期間はどうでしょう?

早期リリースまでに一年と十ヶ月かかり、二年と四ヶ月目の8/10に正式リリースされます。

 

●ゲームエンジンは使っていますか?

Unityを使っています。

■ゲームについて

●本作のおすすめのポイントを教えてください。

同じものを見ていても見えている景色がそれぞれ違う2人プレイ専用ゲームです。おそらくこの世にいままで存在しなかったゲームになっていると思いますし、いままでに存在しなかった体験ができるものになっていると思います。

 

●機械の世界と動物の世界はどのように思いついたのでしょうか。

初期のアイデアでは「火の鳥復活編」や「紫色のクオリア」という作品から着想を得て、片方が機械の世界で片方は人間の世界に見えているという設定でした。プレイヤー同士の見えている世界が違うなかでコミュニケーションによって障害を乗り越えていくという内容で考えていたのですが、二人プレイなのでお互いの体験を平等にしたいなと考えた結果、もう片方も人間とは別の世界が見えていればいいのではと企画を練り直しました。結果的にそれが動物の世界になったのは、動物たちがにこにこ笑っていたら可愛いかなと思ったからです。

 

●本作にコミュニケーションを取り入れた理由を教えてください。

お互いの見えているものや考え方や価値観が決定的に違ってしまった時、その隙間を埋めるのはコミュニケーション以外にないので、会話必須のゲームにしました。

 

●本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)

8/10(木)に正式リリースを行います。このときにSteamに加え、Nintendo Switch、iOS、Androidでのリリースも行います。すべてのプラットフォーム同士でのクロスプレイが可能なので、より多くの方に気軽にプレイしていただける環境が整うかと思います。

■講談社ゲームクリエイターズラボについて

●応募したきっかけを教えてください。

講談社ゲームクリエイターズラボ第一期の2020年の時点でゲームを作り始めてから5年ほど経っていたのですが、ゲームの開発からプロモーションまでのすべてを自分一人で行うことの限界を感じていました。どこかのパブリッシャーと組むことも選択肢として考えはじめていた頃に、ちょうど講談社ゲームクリエイターズラボのことを知り、渡りに船と応募しました。個人的に読書が好きで昔は小説家を目指していたこともあったので、出版社と一緒に作品を作っていくことへの憧れもありましたし、出版社の中でもとりわけ講談社ファンだったので、応募への決心は速かったです。

 

●当選してから開発は変わりましたか?

大きな変化は開発が孤独ではなくなったことです。開発自体は一人ですが、少なくとも週に一回は担当編集と打ち合わせを行い、現在の課題についての相談や雑談に付き合っていただきました。

 

●支援の中で助かったものをおしえてください。

金銭的な支援は当然のことですが助かりました。あの時点で支援を得られなければ二年の開発は確実に行えなかったですし、『違う冬のぼくら』がこの世に生まれることも確実になかったと思います。

また担当編集の存在ほど助かったものはありませんでした。この作品を少しでもよくしたい、少しでも多くの人にプレイして貰いたいと思ってくれている存在が自分以外にもいて、最大限のサポートを行ってくれるということがクリエイターにとってどれだけ幸せなのかということを実感しない日はありませんでした(なんと言わされてません!)。

■最後に

●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。

限りある人生を削りながら自分が最高だと思うゲームを日々開発している開発者たちを心の底から尊敬します。自分も誰かにとっての尊敬できる一人になれるよう人生を削ってがんばっていきたいと思います!
ゲームを作りたいと思っていてその環境も整っていて時間を捻出できないこともないのに開発のひとつもしていない方はもうちょっとがんばるか、無理してがんばらずに自分の人生を楽しんでください!

●ありがとうございました。

 

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