食後のひと時を描いたシミュレーション『ラーメンあぶら集め』インタビュー!意外な苦労談も

『ラーメンあぶら集め』インタビュー

今回は、「ペンギンゲーマーズ」さんに『ラーメンあぶら集め』についてお聞きしました。おなかもいっぱいになり、ラーメンの出汁に浮いた油と向き合うひと時を体験する、ニッチでコアなこのゲームはどのように生まれたのでしょうか。見ていきましょう。

『ラーメンあぶら集め』について

あなたはお気に入りのラーメンを食べ終え、食後に一服しています。手持ち無沙汰なあなたは、箸を手にとっておもむろにラーメンの器に向かうでしょう。そしてあなたは、ラーメンのスープが冷めるまでの小一時間、器に浮いた油を引っ張って過ごします。

■開発チームについて

●チームの紹介をお願いします。

同人制作サークル「ペンギンゲーマーズ」です。2016年ごろに結成され、現在に至るまで作品発表を続けています。
ゲーム制作以外にも、映像作品制作や音楽CDの頒布など様々な活動を行っています。

 

●チームは何人くらいですか。

ペンギンゲーマーズは、七人のメンバーで共同運営しています。メンバーそれぞれの得意分野は音楽・3DCG・イラスト・映像・プログラミングなど多岐にわたっており、お互いの強みを活かし協力しながら作品制作をしています。メンバー同士の仲は非常に良く、日頃からオンラインゲームで遊んだり、一緒に旅行へいったり、集まって楽器を演奏したりしています。

 

●また、どのようにして集まったのでしょうか。

ペンギンゲーマーズのメンバーは全員が大学の同期で、同じサークルに所属していた縁で集まりました。現在では全員が会社員として働いており、各々の余暇の時間で制作をしています。
今回の「ラーメンあぶら集め」については、開発当時のメンバーのスケジュールの都合上、ゲームの主な部分を七名のうちの二名で制作しています。

■開発について

●『ラーメンあぶら集め』開発のきっかけについておしえてください。

2020年に開催された「UNREAL FEST×ぷちコン 冬のゲームジャム祭り!」というゲームジャムに参加したのが開発のきっかけでした。このゲームジャムの「あつめる」というお題を受け、その時手が空いていた二人のメンバーでブレインストーミングをして「ラーメンあぶら集め」を制作することを決定しました。

 

●実際にかかった期間はどうでしょう?

二人でコアの部分を作り、他のメンバーにも隙間の時間で少しずつサポートに入ってもらいつつ、ゲームの主な部分を48時間程度で完成させました。
ペンギンゲーマーズは何度かhistoria様主催のぷちコンに参加させていただいており、過去には受賞経験もあります。「ラーメンあぶら集め」もこのゲームジャムにて審査員賞をいただき、とても嬉しかったのを覚えています。

その後、このゲームはしばらく塩漬けになっていましたが、2023年の春にサークル内で制作企画をしている際、たまたま「ラーメンあぶら集め」開発の二人が同じチームで動くことになりました。二人で企画会議をした際にこのゲームが話題にあがり、これを調整しなおしてSteamでの配信することを企画決定しました。それから二週間ほどかけて再調整を行い、配信を開始いたしました。

 

●ゲームエンジンは使っていますか?

参加したゲームジャムがUnrealEngineを使うレギュレーションだったため、ゲームエンジンにはUE4を採用しています。ペンギンゲーマーズはこれまでのゲーム開発においてもゲームエンジンにUnrealEngineを採用しており、ある程度のノウハウが溜まっています。UE5の技術調査も進めていましたが、今回の開発では2020年当時のリソースを極力活かしたかったためUE4での開発を決定しました。

 

●開発で苦労したところは?

先述の通り、ゲームのコア体験はゲームジャムで完成していましたが、それを皆さまに触っていただける形に整える作業は非常に困難でした。
ゲームの開始から終了までのシーケンスやSteam実績、高フレームレートへの対応、コントローラのサポート、各種ストアページ用素材の準備など、予想以上に多くの作業が必要だと気づきました。

今回は実装を担当していたのが一人でしたので、どんなに細かい機能でも、その機能の開発に集中している間は他の部分の進行ができず、非常に焦りを感じました。
本作では、メニュー画面を省略するなどミニマルな設計にしました。開発リソースをどこに集中させるかという選択により、最大限の成果を得ることができたと考えています。

■ゲームについて

●本作のおすすめのポイントを教えてください。

本作は、ラーメン屋の店内のアンビエントを重視しています。店員と客のやりとりや時折通り過ぎる人影から店内の雰囲気を感じ取りつつ、あぶら集めに没頭していただければ幸いです。

 

●7月2日の油滴の挙動改善とはどのようなものなのでしょうか。

具体的な改善点としては、油滴が予期せず突然はじけ飛ぶような挙動が大幅に減少したことにお気づきいただけるかもしれません。
また、小さな油滴を集める際に隙間ができてしまい、大きな油滴に繋げにくかった問題も改善しました。
これらの問題点は、Steamのレビューや実況配信などで頻繁にフィードバックとして報告されていたものであり、それらに優先的に対応しました。

Steamでは自動的にゲームが更新されるため、新旧の挙動を見比べていただくことはできませんが、少しでも余計なストレスなく油滴と向き合っていただけるよう鋭意開発しております。

 

●好きなラーメンを教えてください。

開発担当のふたりとも、博多とんこつラーメンが好きです。

 

●本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)

本作は幸いにも多くの方の目にとまり、たくさんのレビューを頂いています。今後の方針はまだ決まっていませんが、皆様からのご意見を参考によりよいあぶら集め体験を提供していきたいと思っております。

■最後に

●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。

今回のゲーム開発では、過去の経験が活かされ、素早く開発を進めることができました。また、初めてのSteamでのゲーム配信という経験を通じて、次に役立つ知識を多く得ることができました。
小さなゲームでも完成させることは大変ですが、その過程は次の開発において確かな知識と自信となりました。
開発者や学生の皆様もコンテストやゲームジャムなどの開発のきっかけとなるイベントに積極的に参加するなど挑戦の機会を探し、自身のアイデアを形にする勇気を持ってほしいと思います。

●ありがとうございました。

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