Game Technology Summit vol.0|スクウェア・エニックス元CEO 和田 洋一氏 基調講演レポ

2023年3月16日に、8000名以上のゲームクリエイターと2000社以上のゲーム関連企業が参加するゲーム特化型コミュニティ「ゲームクリエイターズギルド」による、横断型ゲーム開発技術総合展&ネットワーキングイベント「Game Technology Summit Vol.0」を開催しました!

本稿では、ゲームクリエイターズギルドの相談役/スクウェア・エニックス元CEO 和田 洋一氏基調講演の内容をお届けします。

「Game Technology Summit Vol.0」オープニング~基調講演

まずはゲームクリエイターズギルドの代表を務める宮田より、「当イベントは日本のゲーム開発における最先端の取り組みや知見を、他業界を含めて横断的にシェアする場として、また交流会を通じて様々なコラボレーションが生まれてる場として、今後も定期的に開催していく予定です。様々な企業・業界同士が繋がり、新しい可能性が生まれればと思っております」との挨拶があり、イベントがスタート。

続いて、ゲームクリエイターズギルド相談役でスクウェア・エニックス元CEOの和田氏が紹介され、いよいよ基調講演が始まりました。

登壇者紹介

和田 洋一氏

ゲームクリエイターズギルド相談役、スクウェア・エニックス元CEO

1984年東京大学卒業後、野村證券を経て、2000年スクウェアに移籍。2001年社長就任後、2003年4月エニックスと合併しスクウェア・エニックス(現・スクウェア・エニッ クス・ホールディングス)を発足させる。

2003年〜2013年同社代表取締役社長。2013年社長退任後も、2015年までスマホゲーム及びアジア展開を陣頭指揮。一貫して、ゲーム産業のネット化、グローバル化に注力。

2006年〜2012年CESA会長、2006年〜2013年経団連著作権部会長等、各種委員歴任。2016年に藍綬褒章を受章。

“テレビゲーム時代”から“ポストテレビゲーム時代”へ

今や20兆円市場ともされるテレビゲームの歴史は、パーソナルコンピューターの基盤ができた1970年代から、“究極のインターネットPC”であるスマホが普及した2010年代中頃までと並行して成長してきました。

PCが進化していく過程の中で、ゲーム機は「視聴覚の表現」に特化した特殊な機械として独自の進化を遂げ、成長してきました。ゲームの表現の幅が増えたことで老若男女全ての層を引き込むことができるほか、漫画やアニメ、映画といったエンタメ産業を巻き込むようになり、ますますユーザーベースが拡大することができたのです。

こうしてゲームユーザーは世界中に行き渡り、今や20兆円まで市場が成長しました。しかし、和田氏曰く、この“テレビゲーム時代”の役目はここで終わり、これからは“ポストテレビゲーム時代”が到来するといいます。

和田氏:
安易な名前ではありますが、今の時代をポストテレビゲーム時代と呼んでいます。今まさにこのポストテレビゲーム時代が到来していて、新しい展開を見せ始めているのだと思っています。この新しい展開には大きく二つの方向性があると考えていて、一つ目は、ゲームユーザーの定義が拡大していくという動きです。

これまで「ゲームユーザー=ゲームをプレイするプレイヤー」のみでした。ところが今は、ゲーム実況やeスポーツなどのように、ゲームプレイを見せる人・その様子を視聴する人が出てきました。さらに『Minecraft』や『Roblox』で新たなゲームを制作したり、制作されたゲームをプレイしたりする人も増えています。このように、これまでのゲームユーザーの定義が広がり、世界中に行き渡ったマーケットに厚みが出てきました。これはゲーム業界自体にとっては大きなチャンスです。

もう一つの方向性は、多産業とのコラボレーションです。近年、ゲーム業界以外でも「デジタルとフィジカルの世界が融合・交錯する」というのが一つの大きなテーマとして捉えられています。今デジタルの世界がやろうとしてることは、「人間サイズの制御」です。人間サイズで良い感じの粒度の粗さを表現する。これはゲームのテクノロジーと同じです。

また、様々な業界で注目を受けている「ゲーミフィケーション」も、ゲームテクノロジーを応用した考え方です。このように、ゲームが持つ能力を他のサービスに展開していくような大きな流れがあります。今回の「Game Technology Summit vol.0」では、ここにぴったりのテーマでゲスト登壇者にお話いただきます。ぜひ楽しみにしていてください。

冒頭で「テレビゲーム時代は終わった」と申し上げましたが、そこからさらに数倍成長するであろうポストテレビゲーム時代に突入しました。皆さんは今、チャンスに満ちたタイミングにいらっしゃると思います。本日のイベントは、ゲーム業界と他産業による新たなコラボレーションの機会だと捉えていただければ幸いです。


20兆円市場とされるゲームマーケットで、今後どのような業界とコラボレーションが生まれ、新たな動きが展開されていくのか。大きな期待とワクワク感を抱くような基調講演でした!

今回の「Game Technology Summit vol.0」のトークセッションレポは、以下よりご覧ください。

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「Game Technology Summit」の今後の取り組みにも、ぜひご注目ください!

Game Technology Summitとは

ゲームクリエイターの技術は、エンタメはもちろんのこと、エンタメ以外の産業を含むさまざまな分野で活用されている技術とコアの部分では繋がっています。「ゲーミフィケーション」分野はもちろんのこと、昨今の先進領域では「メタバース」「XR」「Web3」「NFT」「AI」さまざまなワードが飛び交いますが、そのどれもがゲーム開発者の中では既知の技術の延長線上に見えている部分も多いと思います。

「Game Technology Summit」では、ゲーム開発の技術を持った企業やクリエイター同士の交流はもちろんのこと、他の業界をクロスジャンルで繋いでいくハブとしての場を目的としています。ゲーム開発者が持つ高い技術を広く他業界に広めていき、業界を横断した可能性を広げていければと思っています。

本シリーズでは、ゲーム開発の最先端で取り組まれている知見や他業界の応用例のシェアの場でありつつ、知識に留まらず実際に交流しコラボレーションが生まれる場として、定期的に開催し育てていく予定です。
※本イベントが定義する「Game Technology」というのは、「エンジニアリング」に留まらず「アート」「企画」含めた様々な「技術」を想定し、色々なテーマを取り扱っていく予定です。

ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約3000人参加しています。(2021年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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