Game Technology Summit vol.0 トークセッションレポ|スポーツビジネスとゲームで仕掛ける世界市場へのチャレンジ

去る2023年3月16日(木)に、横断型ゲーム開発技術総合展&ネットワーキングイベント「Game Technology Summit vol.0」を開催!

本稿では、一般社団法人 東京ヴェルディクラブ理事/東京ヴェルディeスポーツチーム GMの片桐 正大氏によるトークセッション「スポーツビジネスとゲームで仕掛ける世界市場へのチャレンジ」のレポートをお届けします。

スポーツビジネスとゲームで仕掛ける世界市場へのチャレンジ

登壇者紹介

片桐 正大氏

一般社団法人 東京ヴェルディクラブ理事、東京ヴェルディeスポーツチームGM、名古屋OJA GM、愛知eスポーツ連合代表理事

1975年愛知県名古屋市生まれ。立教大学法学部卒 名古屋大学大学院経済学研究科中退。楽天イーグルスの創設メンバーなど、プロ野球2球団、リーグ運営会社を経て独立。独立後は中国、台湾、インドネシア、シンガポールでスポーツビジネスに従事。

2016年にプロeスポーツチーム名古屋OJAを創設。2018年より東京ヴェルディに参画。

システムエンジニアの父をもつ片桐氏は、青春時代に『サラダの国のトマト姫』でゲームに目覚め、『三国志』、『信長の野望』などのゲームに熱中していたのだそう。大学ではサーフィンをはじめるなど、スポーツにも目覚めたといいます。

そんな片桐氏は、当時注目されていたスポーツビジネスを最先端で行っていた東京ヴェルディに学生インターンとしてジョイン。そして2002年に福岡ダイエーホークス(当時)に新卒入社されました。2005年に転職した後は、東北楽天ゴールデンイーグルスなど新球団を設立・リーグ運営会社を経て独立。その後は中国と東南アジアにてサッカービジネスを展開されました。

東南アジアでサッカークラブの経営に携わっていた片桐氏は2014年頃、ひょんなことからeスポーツが流行っていることを知ったそうです。2014年といえば、スマートフォンが普及し始めた頃。現在はスマートフォンで楽しむコンテンツが急速に拡大していますが、当時のメディアコンテンツはテレビが主流でした。

プロ野球の運営を通じてスポーツとメディアの親和性が高いことを実感していた片桐氏は、「今後は手のひらサイズのメディアが主流になり、かつそのサイズ感にハマるeスポーツが大流行する」と予感したそうです。そして、2016年に片桐氏の地元である名古屋に「名古屋OJA」というチームを創業・日本eスポーツリーグに参入されました。

東京ヴェルディの歴史とリブランディング

1968年のメキシコオリンピックで日本代表が銅メダルを取ってから、サッカーブームが生まれた日本。1969年に東京ヴェルディの前身となる「読売サッカークラブ」が発足しました。 Jリーグ発足時は東京に規格内のスタジアムがなく、ホームタウンの一部が神奈川県川崎市にあったことから「ヴェルディ川崎」としてJリーグに参入したそうです。

Jリーグに参入してからは初代Jリーグ年間王者になるなど、輝かしい成績を収めたヴェルディ川崎。2001年にはホームタウンを東京都に移し、「東京ヴェルディ1969」の呼称でファンからも親しまれてきました。しかし、成績不振が続き2005年にはJ2へと降格。2009年には親会社が撤退し、経営破綻に陥りました。

片桐氏:
Jリーグは債務超過及び経営破綻になると、リーグで債権のスキームが回ります。現在は新しい親会社に入っていただいて、再建を図っている最中になります。

2019年にはクラブ開設50周年を迎え、新しい世代へのマーケティングを目的にリブランディングを開始。これまで神奈川県川崎市にあったホームタウンを東京都全域に拡大させ、若者の集客を促進しました。また、これまでのエンブレムデザインも一新。アパレル分野にも注力を入れているそうです。こうした取り組みが評価され、2020年にはプロスポーツチームで初となるグッドデザイン賞を受賞しました。

また、Jリーグが掲げる「Jリーグ百年構想」を実現すべく、東京ヴェルディでは次の50年に向けてミッション、ビジョン、バリューを設計。「世界一の総合クラブへ」とのビジョンを掲げ、現在はサッカーだけでなく、ダンスやスケートボードなどの小スペース・少人数で行われるアーバンスポーツを含む全18種目・19チームからなる総合型スポーツクラブになっています。

スポーツビジネスからeスポーツの世界へ

東京ヴェルディは、2016年9月に日本のプロスポーツチームやJリーグクラブで初となるeスポーツチームを設立。eスポーツの全国リーグ「日本eスポーツリーグ(JeSL)2017 Summer」での優勝を皮切りに、「eJ.LEAGUEウイニングイレブン2019シーズン」ベスト4、「JAPAN eSPORTS GRAND PRIX」準優勝などの競技実績を誇っています。

また、企業と協同して様々なプロジェクトをスタート。株式会社NTTe-Sportsとシブヤeスタジアムとの産学協同で日本初のeスポーツ専門高校「eスポーツ高等学院」を開設したほか、JR東日本と協同で駅の高架下を有効活用した「キッズワークショップ」を実施。「キッズワークショップ」では、スポーツの実況解説やカメラマン、スイッチャーなど、eスポーツに関わる様々な仕事を体験することができます。

片桐氏:
このほかにも、渋谷区にある8つの中学校の合同部活動「渋谷区eスポーツ部」を設立しました。今後も「世界で輝く人材を育成する」とのミッションのもと、デジタルへの可能性やキャリアが広がっていくようなコンテンツを作っていきたいと思っています。

ゲーム×スポーツビジネスの可能性

片桐氏:
私の師にあたる方がよく口にしていた、「スポーツビジネスの起源はイタリア・ローマのコロセウムから」という話があります。コロセウムは財政の均衡と都市の再建を目的に、市民を懐柔させるための娯楽施設として生まれました。つまり、「スポーツは人を寄せ集め、都市再建のための資材を集める場だ」と解釈することができます。

また、イギリスのパブリックスクールでは、子供たちが将来の指導者としての精神を育むことを目的に、サッカーやラグビーを盛んにプレーするようになったという話があります。つまり、サッカーやラグビーは“人材を育てるための遊び”でもあるのです。私はこの話が大好きなのですが、現代ではゲームがそれに該当すると考えています。

ゲームをしている子供は「○時までには終わりなさい」と、親に止められることが多々あります。昔はサッカーや野球をしている子供たちも「もうそろそろ帰ってきなさい」と止められていました。私は“親が止めるコンテンツ”ほど、良いコンテンツだと思っています。その証拠に、かつては“子供たちが勝手に遊ぶもの”であったゲームは、今やプロ選手がしのぎを削る一大コンテンツになりました。

日本が世界に誇るコンテンツであるゲームと、私どものスポーツビジネスの経験を掛け合わせれば、日本国内でも外貨を生み出せる大きなビジネスを作り出せるんじゃないか、と予感しております。この想いにご賛同いただける方と、ぜひ一緒に進めていければと思います。


2010年代からeスポーツの可能性に着目していた片桐氏。現在はeスポーツチームの運営だけでなく、eスポーツに関わる教育にも力を注ぐなど、「世界で輝く人材育成」のために様々なコンテンツ作りに挑戦されるその情熱がひしひしと伝わってくる講演でした。

今後、彼の手からどのようなゲーム×スポーツビジネスコンテンツが生まれていくのか、その動向に目が離せません。

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Game Technology Summitとは

ゲームクリエイターの技術は、エンタメはもちろんのこと、エンタメ以外の産業を含むさまざまな分野で活用されている技術とコアの部分では繋がっています。「ゲーミフィケーション」分野はもちろんのこと、昨今の先進領域では「メタバース」「XR」「Web3」「NFT」「AI」さまざまなワードが飛び交いますが、そのどれもがゲーム開発者の中では既知の技術の延長線上に見えている部分も多いと思います。

「Game Technology Summit」では、ゲーム開発の技術を持った企業やクリエイター同士の交流はもちろんのこと、他の業界をクロスジャンルで繋いでいくハブとしての場を目的としています。ゲーム開発者が持つ高い技術を広く他業界に広めていき、業界を横断した可能性を広げていければと思っています。

本シリーズでは、ゲーム開発の最先端で取り組まれている知見や他業界の応用例のシェアの場でありつつ、知識に留まらず実際に交流しコラボレーションが生まれる場として、定期的に開催し育てていく予定です。
※本イベントが定義する「Game Technology」というのは、「エンジニアリング」に留まらず「アート」「企画」含めた様々な「技術」を想定し、色々なテーマを取り扱っていく予定です。

ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約3000人参加しています。(2021年12月現在)スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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