去る2023年3月16日(木)に、横断型ゲーム開発技術総合展&ネットワーキングイベント「Game Technology Summit vol.0」を開催!
本稿では、当該イベントのスポンサーでもあるThinkingDataの仲山 隼人氏によるトークセッション「データビジュアライゼーションの進化 ~従来型BIから次世代型データ活用ソリューション~」のレポートをお届けします。
去る2023年3月16日(木)に、横断型ゲーム開発技術総合展&ネットワーキングイベント「Game Technology Summit vol.0」を開催!本稿では、サントリー食品インターナショナル株式会社の森 新氏によるトークセッシ[…]
データビジュアライゼーションの進化 ~従来型BIから次世代型データ活用ソリューション~
登壇者紹介
スポンサーセッション登壇:仲山 隼人氏
ThinkingData Senior Marketing Director
ThinkingDataは「データの価値を最大化させる」というミッションを掲げ、世界中のゲーム会社様にむけてゲームに特化したビッグデータ分析プラットフォーム「ThinkingEngine」を提供。
現在は700以上のゲーム会社にサービスを提供、4,000以上のゲームタイトルに導入されている。
ThinkingData公式サイト:https://www.thinkingdata.jp/
いよいよ講演が始まった……と思いきや、とあるグラフがモニターに映し出されました。このグラフは“クリミアの天使”と称されたナイチンゲールが作成したもので、クリミア戦争で亡くなった兵士のうち何が原因でどの位の人数が亡くなったのかを表すグラフだそうです。
このグラフから読み取れるのは、ほとんどの兵士が戦場での負傷ではなく、劣悪な環境下に晒されていたことが原因で感染症を引き起こして亡くなったということ。ナイチンゲールはこの事実を何度も軍の幹部に話しても、全く取り合ってもらえなかったそうです。そこで彼女はレポートを作成し、軍の幹部に提出。このレポートを見た軍は重大な問題だと認識し、病院の環境を改善。その結果、多くの命が救われたのです。
仲山氏:
なぜこのグラフをお見せしたのかというと、「データは人を動かすストーリーになる。それがデータビジュアライゼーションの力だ」と考えているからです。本日の講演はデータビジュアライゼーションについて、また、データのバリューチェーンに発生しうる課題とその解決法についてお話いたします。
「バリューチェーン」とは
バリューチェーンとは、製品の製造・販売や労務管理など、すべての企業の活動を価値の連鎖として捉える考え方のこと。この考えから競合と比較・分析して事業戦略の改善策を探るフレームワークです。
仲山氏曰く、データ活用を重要戦略に掲げる企業は増えているものの、データのバリューチェーンに課題を抱えている場合が少なくないそう。今回の講演では、以下のような事例を元にデータのバリューチェーンが抱える課題について解説されました。
SARU株式会社は、来たるDX時代に備えてデータドリブンに経営するため、データ活用を重要戦略に掲げた。まずは各支社の現場から商品の売り上げをデータ収集・分析を行い、今後のマーケティング施策を打とうしたが、以下のような課題が見つかった。
・データの一元管理ができていない
それぞれの支社で売り上げデータの管理ツールや管理フォーマットが違うため、データを一元化させるのが難しい。
・データクレンジングに時間がかかる
セル結合や表記ゆれがあったり、使用する通貨や単位が違ったりと、それぞれのデータを全て修正・変換して分析するのに時間がかかってしまう。
・クエリを回すたびにコストがかかる
加工した売り上げデータを置くデータベースを契約したものの、データ量が膨大でクエリを回すたびにお金がかかってしまう。
・SQLが複雑でデータ抽出に時間がかかる
深く掘り下げたデータや顧客別のデータが欲しいが、SQLが複雑でデータ抽出に時間がかかってしまう。そのため、欲しい時に必要な情報を手に入れるのが難しい。
従来のBIツールでは、データクレンジングやデータビジュアライゼーション、分析などをトータルで実施することは困難でした。しかし「ThinkingEngine」を利用すれば、データのバリューチェーンの中の意思決定やアクションといったビジネスサイド以外の全ての部分を管理することが可能になります。
「ThinkingEngine」とは
「ThinkingEngine」はSQLなどの専門スキルがなくても、誰もが気軽にゲームデータを活用できるビッグデータ分析プラットフォーム。データ抽出や集計・確認に必要なすべての機能がオールインワンで搭載されており、必要なデータをノーコードで作成し・迅速にダッシュボードへ設定・設定することができます。
次世代型のデータ活用ソリューションで動かすゲームビジネスの未来
仲山氏はThinkingDataにて初めてゲーム業界のデータ分析に関わるようになったそうですが、当初はゲームビジネスでのデータ分析はとても難しいと感じたそうです。まず仲山氏が驚いたのは、データ量の多さ。ゲームでは「このダンジョンに行って、このアイテムを使ってボスを倒せた・倒せなかった」といったように、様々なパターンのイベントデータが存在するためです。
また、プレイヤーによって行動は様々。全てのユーザーの行動を拾い上げるのはもちろん、マルチプレイやオンライン対戦であれば、ゲームプレイヤー同士の相互作用も考慮して分析する必要があります。また、アップデートを要するゲームであれば、新しい機能を追加する度に取るべきデータも変わります。そして、何よりも難しいのがKPIの特定。ゲームのジャンルや内容によってそのゲームの成功を測定することが難しいため、適切なKPIを特定するのは難しいと語っていました。
では、こういった課題をクリアし、データのバリューチェーンの中で上手く指標を設計するためにはどうすれば良いのか。仲山氏曰く、「必要なグラフや指標をどういうデータ構造でどのように収集すれば良いか、ビジネスニーズから逆算して設計することが大事」なのだそうです。
仲山氏:
「ThinkingEngine」はデータビジュアライゼーションに特化しており、必要なグラフや指標をどういうデータ構造でどのように収集すれば良いか、ビジネスニーズから逆算して設計することができます。このソリューションを開発・提供した結果、グローバルでリリースから1年半で100社を超える企業様にお使いいただき、一気にユーザー数を増やすことができたのだと思います。
次世代型のデータ活用ソリューションがなぜ必要なのかというと、データ活用のコストが低いから。単純なことのように感じるかもしれませんが、これはとても大事なことです。
データの力を皆さんの手のひらに授けてデータキャプチャを浸透させ、ゲームビジネスの成長を支援していく。データの力で人の心を動かして、アクションに繋げていく。「ThinkingEngine」を通して成功体験が増えて、それが文化になっていく。そういったソリューションを提供して、皆さんのビジネスを動かすストーリー作りのお手伝いができればと思います。
社内に煩雑なデータがたくさんあって、どうやって一元化すれば良いのか分からない……。欲しい時に欲しいデータが揃わない……。そんな悩みを抱える会社員は少なくありません。今回の講演を拝聴しながら、思わず「うん、うん」と頷いていた人も多かったのでは?と感じるような内容が詰まっていました。
今後も激化していくであろうゲーム業界の競争で、こういった次世代型データ活用ツールを上手く利用してデータのバリューチェーンを回していくことが、生き残りの秘訣なのかもしれません。
★ThinkingData社の公式サイトは下記からご覧いただけます。
https://www.thinkingdata.jp/
Game Technology Summit vol.0 トークセッションレポ
社長のおごり自販機から見るゲーミフィケーションの社会実装と今後の可能性
データビジュアライゼーションの進化 ~従来型BIから次世代型データ活用ソリューション~
Game Technology Summitとは
ゲームクリエイターの技術は、エンタメはもちろんのこと、エンタメ以外の産業を含むさまざまな分野で活用されている技術とコアの部分では繋がっています。「ゲーミフィケーション」分野はもちろんのこと、昨今の先進領域では「メタバース」「XR」「Web3」「NFT」「AI」さまざまなワードが飛び交いますが、そのどれもがゲーム開発者の中では既知の技術の延長線上に見えている部分も多いと思います。
「Game Technology Summit」では、ゲーム開発の技術を持った企業やクリエイター同士の交流はもちろんのこと、他の業界をクロスジャンルで繋いでいくハブとしての場を目的としています。ゲーム開発者が持つ高い技術を広く他業界に広めていき、業界を横断した可能性を広げていければと思っています。
本シリーズでは、ゲーム開発の最先端で取り組まれている知見や他業界の応用例のシェアの場でありつつ、知識に留まらず実際に交流しコラボレーションが生まれる場として、定期的に開催し育てていく予定です。
※本イベントが定義する「Game Technology」というのは、「エンジニアリング」に留まらず「アート」「企画」含めた様々な「技術」を想定し、色々なテーマを取り扱っていく予定です。
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約3000人参加しています。(2021年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/
▼学生向けLINEの登録はこちらから!
▼社会人向けLINE登録はこちらから!
GCG会員になると開催予定のスケジュールの確認やWEB会員証をゲットできます。