クラビティを作った「ゴリゴリのクリエイター集団」【ゲームクリエイター甲子園総合V・On Productionインタビュー】

クラビティを作った「ゴリゴリのクリエイター集団」【ゲームクリエイター甲子園総合V・On Productionインタビュー】

日本最大級の学生ゲームの祭典・ゲームクリエイター甲子園の授賞式から1ヶ月…

ゲームクリエイターの楽屋でまったり by Game Creators Guild
▲激闘の模様はこちら!

ゲームクリエイター甲子園初代王者・On Productionのみなさんに
GCGが独占インタビュー!

(前列、左から)
秋島 翔悟さん:3Dモデリングを担当。盛り上げ役も担当。
本多 玲虎さん:ゲーム内プログラムの大部分を担当。クラビティ生みの親。
温 文シンさん:チームリーダー。レベルデザイン、ステージ制作、動画制作を担当。性格は温厚、仕事はバリバリ。
野間口 研さん:世界観設定、進行管理、2Dグラフィックなどを担当。苦労人。
木原 淳一さん:エフェクト制作を担当。クラビティで初めてエフェクトを経験。

(後列、同様)
稲井 睦斗さん:クリアエリアの3Dモデリングを担当。島の形に悩んでいた…?
木村 尚斗さん:UI制作を担当。海モチーフを色合いや泡、フォントで表現。
白神 大輝さん:ゲーム内BGM制作を担当。ミュージック学科から出張してきた。
石澤 倖太さん:画面遷移、ステージ選択などのシステム面を担当。実はプロボウラー。

ありっさ
ありっさ
オンプロが9人全員揃うと圧巻ですね!インタビュー張り切っていきましょう!

コンテンツ、スタート!

―温さんはビリビリ動画(※中国の動画サイト)でチャンネル登録者19万人とお聞きしたので、普段の動画の感じで自己紹介してもらってもよいですか?

温さん:日本語バージョンはあまり…(照)

―いつもの感じでいいですよ!

温さん:じゃあ、中国語で行きます。「好的,歡迎回到了~・・・」
え~、今日はサンシャインに来て、チームの皆さんと一緒にインタビューを受けて……
どうしよう。緊張している(笑)

本多さん:がんばれ。

野間口さん:温くんならできるよ。

秋島さん:本日はよろしくお願いします。(こっそり耳打ち

温さん:あ!本日はよろしくお願いします!

▲いきなり見せたチームプレー。これが甲子園優勝の連携か…

ありっさ
ありっさ
和やかな空気感。

ゴリゴリのクリエイター集団

ではさっそく…秋島さんはテクニカルアーティスト志望とのことで、普段からやり手だとは思いますが「クラビティ」の制作で大変だったことはありますか?

秋島さん:そうですね… デザイナーの野間口さんからデザインを受け取って、そこから3Dに起こして、これどうですか?って本人に見せたら、「これちょっと色合い違うよね」とかフィードバックが沢山あったので、ここでのやりとりはめちゃくちゃ多かったな、と思い出に残っています(笑)。

―なるほど(笑)

秋島さん:なので、最終的にはUVやテクスチャーを整理して、イラストで直接修正できる状態にして、そのまま野間口さんに渡したりもしました。「そっちでお願い!」って感じです(笑)。

―そのまま渡されて野間口さんは大変でした?

野間口さん:いや、(ぶっちゃけるとそこも含めて)割と楽しかったですよ!

―なんだかんだ言って、実はけっこうみなさん仲良い感じなんですかね?

一同:わはは(意味ありげな笑い)

本多さん:(実は、それ以外にも)結構バトルとかありましたね。

―他にもバトルが… そんな本多さんは、制作時の思い出はありますか?

本多さん:僕はゲーム内のプログラムを中心に、ギミックはほとんど自分で作っていました。
その中で、スケジュール管理をしている野間口さんとは何度も戦いましたね…
納期までに終わらせたいのと、「もっとこうしようよ~」とクオリティを上げたいのとでイライラとは違うんですがピリピリしていました。

野間口さん:とにかく良い作品作ろうとしていましたからね。

秋島さん:そう、お互い良い作品を作ろうとしてのことだったので。

―みなさんクリエイターですね~良い作品をつくるときはそういった緊張感は大事ですよね。

本多さん:時間無いからダメって言われたものを、(時間外に)黙って作って「はい作ったよ」って渡すのも結構やっていました(笑)。

野間口さん:最後までそんな感じでしたね…。エンドシーンでこれやりたい!って言われた時だけ、最後の演出面のプログラムは僕が担当したのですが(笑)。

本多さん:あ、はい、すいません。演出的なことは出来ないからさ…。

温さん:でも、エンドシーンよかったと思う。

本多さん:ちょっと難しいゲームだから最後に何かあるとね。

ありっさ
ありっさ
ゲーム制作においては納期を守ることも、クオリティアップもどちらも大事になってくるからこそ起こった衝突だと思いますが、各々の強みを活かして最後の要素まで丸く収めているのはすごい!

島の形

稲井さん:あとは、クリアしたシーンの島の形をどうしようかな、というのがちょっと大変でした。

―島の形?

稲井さん:浮島型にするのか、砂浜から繋がって延長線上になっているのかで、結構時間かかりましたね。大体の感じを決めるのに。

秋島さん:あ、そういう感じだったんだ、なるほど…。

温さん:なるほど。

―いまさら!

秋島さん:いや、最初に上がってきたものが、正方形に方眼紙のグリッドで、Y軸上に何かが盛り上がっているだけだったのですよ。

本多さん:お、バトルじゃん。

秋島さん:そこに、いかだを設置しようみたいな感じで、ちょっと、どういう意図があったのか聞けなかったので、浮島か、島綴りみたいになっているのか、って聞いてああ、なるほどね!と(笑)。納得しました。

―決めるのに時間がかかった、ということはこだわり派がいたのですか?俺は絶対浮島じゃないと嫌だ!みたいな…。

稲井さん:浮島だとただ見栄えが悪かったという。砂浜も見せたいけど、浮島だとそれがあまり表現できないというので「どうしよかな」となった時に、陸続きの盛り上がったものが一番しっくりきたので、それになりました。

クラビティの世界観

―ところで、「クラビティ」の世界観はどうやって生まれたのですか?コンセプトアートは野間口さんが描いたとお聞きしたのですが…

秋島さん:あれどうやったけ…もとは玲虎でしょ。

本多さん:ああ、プロトタイプは自分が作りました。というのも、チーム内で一人一枚企画書出して、と言われたのですが、自分は企画書が書けないので「作るかー」となって(笑)。
とりあえず何か作るか、となって水とマグマがあって、水の中で動けるプレイヤーとかそこら辺を作って、提出したのが始まりです。

―なるほど!じゃあ、生みの親ですね。

本多さん:そこから、一度みんなで集まって、水の中で自由に動ける「クラゲ」と重力操作の「グラビティ」を合わせて「クラビティ」になりました。クラゲかわいいし良いじゃん!となって、あとの世界観は研ちゃんヨロシク!って感じで、僕の手を離れていきました(笑)。

―野間口さんは世界観構築から進捗管理までやっていたんですね

野間口さん:そうですね(笑)。

本多さん:いちばん働いていたと思います。全然寝ていなかったし…

野間口さん:学校がある日は、授業が終わった17時から寝て、深夜作業のために1時に起きています。

秋島さん:たまに機嫌が良いと、ちゃんと寝たのね、と思っていました。

―みんなはちゃんと夜に寝て、朝に起きよう!

ありっさ
ありっさ
見事なまでの昼夜逆転生活…。それと、ちょこちょこ入る皆さんの、お互いへのフォローから優しさを感じられますね。

激ヤバBGM~お前はすぎやまこういちさんか~

―サウンド担当の白神さんは、おひとりだけミュージック学科なんですね

白神さん:はい。学科に野間口さんと共通の知り合いがいて、そこから話が回ってきた感じです。ちょうど去年の4、5月位で緊急事態宣言の時期で、一回も会わないまま制作を進めたので、まあ、大変でした。

本多さん:会うの何回目だっけ?

野間口さん:2回目。

―なんと!ゲーム側のみなさんは、やっぱりBGMには困っていたのですか?

野間口さん:ミュージック学科とはほとんど繋がりないので、ほとんどのチームが制作で「ミュージックどうしよう…」となっていましたね。そんな中で今回お願いしたら、めちゃくちゃ素晴らしくて!本当にお世辞とかじゃなくて、早くて、連絡もしっかりしていて(笑)という感じなので、頭が上がらなかったですね、今回ずっと。

―なるほど~ ゲームのお話を受けるのに、迷いとかはなかったですか?

白神さん:ちょうど学校が緊急事態宣言でなくて、休みだったので、やることもなかったので受けます、と。はい。

野間口さん:BGMが出来上がったときはテンション上がったよね。

本多さん:テンション上がったね。

野間口さん:「これでどうですか」というのが3つ上がってきて…

温さん:そうですね、3つのテーマの中から1つ選択して。

秋島さん:え、プロじゃんって思ったもん。

▲「プロ並み」のサウンドでクラビティの世界を支えました

ありっさ
ありっさ
どうやら制作したサウンド3つ、全てに1人は支持者がいたそう…。今までのバトルとは打って変わり、ここではどれも素晴らしい、故にどれでも良いと平和的に投票で結論が出されたようです。白神さんの一人勝ちですね。笑

100万もらえるのを初めて知りました(笑)

―ところで、みなさん総合大賞なので、賞金として100万円お渡しするのですが
けっこう反響はありました?「100万円じゃん!すげーな!」みたいな

秋島さん:僕たちがまず、応募したのを知らなくて… 知ったのが「優勝しました」みたいな連絡でした。

▲ 優勝どころか、「出場」も知らなかった?

一同:(笑)

温さん:え、ディスコード、見てないの?

本多さん:いや、なんかやってんな、って思ったけど、どうせ無理無理と思って何にも見てなかったです(笑)。友達とサイバーパンクのプレイ動画を見ていたら、通知がきて「100万円おめでとう~」って教えてもらって、甲子園の授賞式を見たら「すげー!VTuberの人いる!」みたいな感じでした(笑)。
あ、そのノリでサイバーパンクも買いました(笑)。

―え、エントリーしていたこと自体は温さんしか知らなかったのですか?

温さん:いや、ディスコードで話したよ(笑)。

野間口さん:チームのディスコードでは話していたので、(少なくとも)4人は大丈夫です(笑)。

ありっさ
ありっさ
温さんから聞いた話、ここでこっそり話しちゃいますね!4ヶ月、全力で作った自信のあるゲーム。日本ゲーム大賞アマチュア部門にも応募したけど、大賞は獲れなかった。でも絶対良いゲームだから、と信じていた温さんはもっと色々な人にクラビティを見てもらいたい、と思い甲子園を見つけて応募してくれたそう。そんな彼の想いが実ったのなら、嬉しいです。

使い道まじめか~紛れ込むプロボウラー~

―他のみなさんは賞金どう使いますか?

秋島さん:新しいグラフィックボードを買います!とりあえず(GeForce RTX)3060買って…

木原さん:3070の方が良いよ。

本多さん:え、いくらするの?

秋島さん:5万。それを買って…

野間口さん:3070の方が良いぞ、絶対。

秋島さん:あとはVRですね。ちゃんとした、今のHTC Vive Pro以上のが出るのですけど、個人制作のために使おうかなって。

本多さん:それいくら?

秋島さん:5万2千位かな~。

本多さん:俺もそれ買おうかな。笑

―他に決まっている人います?

温さん:自分も新しいグラフィックボードを買いたいです。

秋島さん:たけえーからな。

温さん:動画作成するときに…今回のクラビティのPVもめっちゃ時間かかった。

秋島さん:エンコードもめちゃ時間かかったね。

温さん:そう、難しいよ、あれ。新しいのを買ったら企画書作るのもやりやすいし…。

▲ 他のみなさんには、やはりPS5が人気でした

木原さん:決まっていないです。賞金の金額さっき聞いたので。

木村さん:さっき聞いて、いや嘘だろ、って感じで。欲しいものは一応あるにはあるのですけど、なんか使うのもったいないな、と思ってしまって…(笑)。後色々就活とかあるから後で考えようかなって。

―まじめだな~

石澤さん:僕もPS5ですね。あとはボウリングをガチでやっているので、その道具代にしたいです。

―ハイスコアは?

石澤さん:298です。

―石澤さんはプロボウラーではなくゲームクリエイターなの?(笑)

石澤さん:一応ゲームクリエイターです。はい(笑)。
マイボウルが、最新のだと2万5千円位して。4つくらい使うので、もうそれで10万いっちゃいますね…(苦笑)。

本多さん:4個も使うの?

―4つずっと持ち歩いているのですか?

石澤さん:まあ、センターに置いていけるのですが、余分に持っていきたいので…。

秋島さん:余分?

石澤さん:色々コンディションとか変えたり…


▲ プロボウラーではなく、あくまでゲームクリエイターです

―みんな5万円くらいですか… キャバクラで一本入れる、みたいな豪快な使い方は誰もしないですね

秋島さん:いやー、最近の若い子はそういうのやらないんで!みんな堅実に生きているんで!(笑)

―時代が変わるのは早いですね…。あ、美味しいご飯はどうですか?

温さん:焼肉とかですかね?

野間口さん:全然打ち上げ行けてないもんね…行きたいね。

―コロナが収まったら、行けると良いですね!みなさん頑張ったと思うので、ご褒美として高級なお肉も…?

ありっさ
ありっさ
みんな、なんだかんだ欲しいものは結構定まっているのですね!賞金さっき知ったのに…。笑 一緒に遊ぼうという話も出ていたので、頑張ってきた分、賞金を使って楽しい思い出を作ってください!

▲ 改めて、総合大賞おめでとうございました!


一緒でも、バラバラでも今後の皆さんの活躍も楽しみにしています!

ありっさ
ありっさ
皆さんやっていることがバラバラなので、このチームは最初で最後かもしれませんが、突き進み続けていればいつかまたすぐ道が交差するかもしれませんね。またみんなの作ったゲームを見る機会がありますように!インタビュー、最後まで読んでいただきありがとうございました〜!
 


ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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