企画書でなくて、動いているものを見せながら企画のプレゼンをして生まれた『Tashikani』インタビュー

『Tashikani』インタビュー

今回は、株式会社ゲーム・フォー・イットの代表取締役の後藤誠さんと、『Tashikani』を開発したゲームクリエイターのヒコさんに『Tashikani』についてお聞きしました。プロトタイプを作り、企画書よりも動いているものを見せながら企画のプレゼンをしたことで生まれた本作について見ていきましょう。

『Tashikani』について

次々に出てくる数字の書かれたコマを落とすカニになって
タテとヨコで合計10の倍数になるように並べよう

落ちものパズルと足し算を加えた独特のルール。
チュートリアル要素と特定の数字を作るステージ。
失敗しない限りいつまでもできる無限大ルール。
カニ。足し算をするカニ

より大きな数字を作ってより深い海の底へ!

*日本語は用意されていませんが、文字はタイトル付近のゲーム選択とクリア時の文字表示のみです。


後藤:株式会社ゲーム・フォー・イットの代表取締役の後藤誠です。
ヒコ:「Tashikani」を開発しましたゲームクリエイターのヒコです。

■開発チームについて

・チームの紹介をお願いします。

ヒコ:私ヒコが基本的には一人で製作しました。
後藤:はい。このプロジェクトは彼の一人プロジェクトとして発足したのが始まりです。いつもは小規模のプロジェクトを2人で分担し制作していましたが、彼は私には持っていない良い感性を持っており、どうすれば彼の良さをもっと引き出せるかを考えておりました。そこで思い切って企画から開発まで全て彼に任せてみることにし出来上がったのが「Tashikani」です。名前のセンスもとても良く、正直想像を超えてきたのが嬉しいです。

・チームは何人くらいですか。

ヒコ:二人です。ヒコともう一人、社長はスーパーバイザーとしてクレジットされています。後ろで腕組んでみてるような感じです。
後藤:そんな感じです。出来上がってくるものにときどき苦いことを言ったりしましたが、基本的にはハラハラしながら見ている人でしたw

・また、どのようにして集まったのでしょうか。

ヒコ:元々趣味で作っていたのですが、GlobalGameJamに参加した際に社長とチームを組むことになり、その縁で仕事のお手伝いをするようになり、そのまま入社することになりました。
後藤:私は昔からPICO8が好きで、GGJのチームを作る際にPICO8での開発経験を出してきた彼に興味を持ち一緒にチームを組みました。私は仕事柄多くの学生と接する機会が多いのですが、独学でPICO8でゲーム開発していたことや、彼が作ってくる処理がとてもよい感性を持っており、学生離れしている彼に惚れ込みました。その後仕事の手伝いをお願いして、今に至ります。

・ゲーム業界の経験はありますか?
ヒコ:メイン開発のヒコはありません。
後藤:彼はPICO8の個人開発だけで10本近くリリースしており、正直ゲーム業界経験なんて関係なく彼の実力を私は感じておりました。

■開発について

・『Tashikani』開発のきっかけについておしえてください。

ヒコ:「受注開発だけじゃなくて自社開発もしないと!」ということで元々一人でゲーム作ってたヒコが作ることになりました。『10ゲーム』と呼ばれる4つの数字を組み合わせて10を作るゲームの楽しさを拡張したゲーム、というアイデアからスタートしました。
後藤:一人プロジェクトで進めることを彼に話し、その1週間後ぐらいにPICO8でプロトタイプを作って来たのには驚きました。草案や企画書よりも動いているものを見せながら企画のプレゼンをする彼を見て、一人プロジェクトは間違っていなかったと確信しました。

・開発で苦労されたところは?

ヒコ:見た目以上に複雑なパターンのマッチが多いため、どのような処理にするか悩みました。それと、アーティストがいないのでそれなりに見栄えの良い絵にするのにもかなり苦労しました。
後藤:アート周りはかなりハラハラしました。細かいことは口を出さない約束をしていたのですが、アートに関しては何度か苦言を出してしまいました。

・完成までどのくらいの期間を想定していましたか?

ヒコ:3か月です。2023年末から1~2月くらいに出そう!ということになっていました。
後藤:当初は3ヶ月ほどを期限としました。プロトタイプが動いていたのと、面白くなりそうな予感を感じていたので延長することにしました。

・実際にかかった期間はどうでしょう?

ヒコ:倍です。ステージ要素の追加、Steamの対応が思ったより上手くいかなかったことなどで時間がかかりました。あと見積もりが甘い部分が多々ありました。
後藤:ゲーム自体は2月ぐらいにはほぼ完成していましたが、そこからSteam対応や面クリア型のアドベンチャーモードやコンティニュー、オプションなど最後の細かいところは思ったよりも時間がかかったイメージです。

・ゲームエンジンは使っていますか?

ヒコ:Defoldというゲームエンジンを使っています。動作が軽量なのが魅力的です。
後藤:PICO8で利用されているLua言語との親和性もあり、Defoldは良い選択だったと思います。

■ゲームについて

・本作のおすすめのポイントを教えてください。

ヒコ:数字を並べていって、ぎりぎりのところでもよくみると意外な解決策があったりします。その数字の発見の面白さがおすすめです。
後藤:詰んでしまいそうなギリギリのところから挽回できる道が見えたりと、かなり面白いバランスになっていると思います。

・意外なコンボが発生するのが面白いですね。

ヒコ:ありがとうございます。意外と10の倍数になるものです。

・攻略のヒントを教えてください。

ヒコ:大き目の数字を作るときはなるべく端っこに作ってください。それとたくさんの数字に対応できるようにタテヨコの合計をよく考えていくのが大事だと思います。

・本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)

ヒコ:セールは定期的に行おうと思っています。スマートフォンなど他プラットフォームでの発売も予定しています。
後藤:できる限りリアルなゲームイベントにも出展したいと考えております。2024年は6月22日のTokyoSandbox、および9月のTokyoGameShowに出展が決まっています。是非とも立ち寄って頂けましたら幸いです。

■最後に

・この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。

ヒコ:Defold Engine結構良いですよ。2Dゲームを作るならおすすめです。
後藤:Itch.io やUnityRoomなど、自分の作ったゲームを気軽に公開できる環境がたくさんあります。作ったゲームをどんどん公開していくことで自分の開発力向上だけではなく、開発者同士の良い出会いにも繋がると思います。頑張ってください!

・ありがとうございました。

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