宇宙最強のゆるキャラをゲーム化!『クマムシさん惑星 宇宙最強ゆるキャラ伝説』インタビュー~知られざるクマムシさんの魅力に迫る~

『クマムシさん惑星 宇宙最強ゆるキャラ伝説』インタビュー

読者の皆さんはクマムシさんをご存じでしょうか?体長は50マイクロメートルから1.7ミリメートルの微小な生物ですが、人間が生存できないような環境でも生存できてしまう生物です。今回のインタビューはApp StoreGoogle Playで配信中の『クマムシさん惑星 宇宙最強ゆるキャラ伝説』にについてお届けします。クマムシに魅せられた開発者たちのインタビューを読み終えたころにはきっと皆さんもクマムシさんに魅せられていることでしょう。それでは、さっそく見ていきましょう。

『クマムシさん惑星 宇宙最強ゆるキャラ伝説』について

クマムシは南極からヒマラヤ山脈、身近な道路のコケからなど、これまでに1300種類以上発見されているミクロアニマル。宇宙空間でも生存可能な最強の極限環境耐性を持ちながらも、ひっくり返ると自力では起きられないというユニークな能力パラメーターの生き物です。NASAでは宇宙生物学(アストロバイオロジー)のモデル生物としても研究され、2019年には乾眠中のクマムシ数千匹を載せたイスラエルの月面探査機が月面に墜落したことでも話題になりました。

世界中でクマムシブームが来る前兆かも?

この最強のゆるキャラの謎を解き明かし、地球最後の日を乗り越え、人類の宇宙進出を目指しましょう。クリプトビオシス(隠された生命)、パンスペルミア(胚種広布)説。元NASAのクマムシ研究者の協力を得ながら開発さた本格クマムシ研究エンターテイメント。世界の、そして宇宙のクマムシさん全系統確立を目指して、カジュアルなのに壮大なクマムシ研究者の物語が始まります。第一章は北海道編。

■開発について

●「クマムシさん惑星 宇宙最強ゆるキャラ伝説」開発のきっかけについておしえてください

シンプルにクマムシの生物としての魅力が大きいです。
地球最強とまで言われる極限環境耐性をもちながら、シャーレでひっくり返ると起き上がれない微小動物。
あまりにも『キャラ立ち』した生物だなと感じました。
その感情が始まりで、深く調べていくうちに、クマムシ研究に一生を捧げている研究者たちの生き様にも、インスピレーションが湧きのめり込んでいきました。

・開発チームは何人くらいでしたか

2人です。

・また、どのようにして集まったのでしょうか

以前勤務していた会社の同僚です。
Hololensをかぶって会社にやってくる変わった人だったので、声をかけてよく一緒にゲームジャムに行ってたり自分たちで人を集めて開催したりしてました。

・開発で苦労されたところは?

単純にクマムシのキャラをモチーフにしたというだけでなく、前例のないクマムシ研究者シミュレーターでもあるので、学術的に正しいクマムシのあり方とゲームデザインや設定とのすり合わせが特に大変でした。
元NASAのクマムシ・宇宙生物学研究者の協力を得て、コペンハーゲンで開催された第14回国際クマムシシンポジウムに参加してこのゲームのコンセプトを発表したり、国内のクマムシ学研究会の開催に協力したり・・・クマムシへの愛を深め、研究者の人生に感銘を受ける楽しい日々でもありました。
その甲斐もあってクマムシ研究者からの評判はとてもいいです。

・ゲームエンジンは使っていますか?

Unreal Engine 4を使っています。もともと自分はゲームではなく映像系の人間ですが、UE4の表現力が高いので趣味で触っていました。そういえば少し前に総額1億ドルの資金提供というEpic Gamesのぶっ壊れデベロッパー支援『Epic MegaGrants』にクマムシさん惑星が採択されるという快挙もありました。(1億ドルの一粒)

■ゲームとクマムシについて

・本作のおすすめのポイントを教えてください

最もユニークな機能は、『ご当地クマムシさん』のイラストをプレイヤーが修正したり描き加えて、全プレイヤー共通の図鑑を更新させる機能です。
そうして生まれた新種は、イラストを描いた自分ではなく、ネットワーク越しに初めて発見した、別のプレイヤーが正式な名前をつけることができます。
これらはランダムな変異による進化と、実際のクマムシ研究において重要な『種同定』を意識した機能です。

・クマムシさんは熱帯でも南極でも生きられるし、深海でも高山でも生きられるそうですが、他にどんなところで生きられるのでしょう?

2019年には地球全体のバックアップをつくって宇宙に残すという、壮大な計画の一環で、イスラエルの探査機が月面へと旅立ちましたが、着陸に失敗して月面に衝突してしまいました。この探査機には、記録媒体に収録された3,000万ページ相当の情報、人間のDNAサンプル、さらには数千ものクマムシが載せられていました。クマムシは行方不明ですが、今も月で生きているとされています。初めて地球から月面に移住した生物と言えるかもしれません。
他に最新の面白い事例として、クマムシを極低温の量子ビット回路に組み込んで量子世界に特有の、観察するまでは状態が確定しない「量子もつれ」に移行することができたという実験結果があります。意味がわからない話かもしれませんが、420時間にわたりほぼ絶対零度、ほぼ真空という条件(0,01k・10億分の6気圧)のあとに、蘇生して元気に歩き回る様子が確認されたそうです。

・クマムシさんと出会ったのはどういうきっかけだったのでしょう?

元NASAのクマムシ・宇宙生物学研究者の堀川大樹博士のブログや著書を読んだのがきっかけです。facebookで堀川博士に連絡をして研究会にも参加させてもらいました。
クマムシは南極はもちろん近所の道路の苔にも住んでいるので、みんなでスプーンをもって渋谷の苔を探し回ったのが懐かしいです。

厦門国際アニメマンガフェスティバルゲームコンテストでの『最優秀ゲームプラン賞』受賞おめでとうございます。

ありがとうございます!
コロナ禍でなければ厦門のホテルを貸し切りで授賞式が行われる予定だったそうです。
前年度の受賞者の旅の報告を聞いていただけにそこはちょっと惜しかったです。
みんなで蟹を食べたかったですね。

・本作の今後について教えてください

クマムシさんのモチーフになっているのは、北海道で発見されたヨコヅナクマムシなので、現在配信されているのも北海道編です。
今後伝説のオンセンクマムシ採取を目指して九州の秘湯を目指す日本全国編、さらに世界編、南極編、月面編などと続いていく予定ですが・・・予想以上に開発に時間がかかっており配信時期は未定です。
採算度外視のライフワークにしたいと思っています。

■会社(開発チーム)について

・チームの紹介をお願いします

前述したエンジニアの山地とずっと二人三脚です。

・この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします

地球最強とされるクマムシは、実は本来の生存競争から逃げて、ニッチな世界で生きる決意をした生き物でもあります。それが結果的に地球の生物の限界を超える極限耐性の獲得につながり、生物学という地球ローカルな学問を宇宙生物学(アストロバイオロジー)に拡張するためのモデル生物として、NASAに選ばれるまでになりました。
みんなと競い合い、切磋琢磨して強くなっていくのは王道ですが、あえてニッチな道を征くことで切り開ける未来もあるのかもしれません。自分のイメージする”最強のゲーム開発者”へと突き進んでください。

●ありがとうございました。

 

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