10年以上続く人気シリーズ『鉄道にっぽん!路線たび 三岐鉄道編』インタビュー!ナローゲージのローカル線運転を楽しもう

ゲームクリエイターインタビュー

今回は、2021年12月23日にニンテンドースイッチで発売された『鉄道にっぽん!路線たび 三岐鉄道編』のインタビューをお届けします。10年以上続く人気シリーズの最新作の開発についてソニックパワード様にお聞きしました。さっそく見ていきましょう!

『鉄道にっぽん!路線たび 三岐鉄道編』について

貴重なナローゲージのローカル線に挑戦!
のどかな風景を眺めながら鉄道運行を楽しもう!
Nintendo Switch「鉄道にっぽん!路線たび」シリーズにナローゲージが登場!
現地の車両から撮り下ろされたノスタルジックな走行映像と共に、マスコンとブレーキを使用したシンプルながらも奥深い鉄道運転が楽しめます。

◆ナローゲージを走り抜けよう!

三岐鉄道・北勢線の線路はナローゲージと呼ばれており、新幹線などの線路幅と比べて約半分の僅か762mmしかありません。
そのためカーブでは大きく速度を落とす必要があるなど、線路が狭い北勢線ならではの運転感覚が体験できます。

◆より、リアリティを追求した運転モードが新登場!

今作ではシリーズお馴染みの【区間走行】【フリー走行】の他に新しく【ワンマン!なりきり運転】を追加!

通常のマスコンとブレーキの操作に加え、車内アナウンスの放送やドアの開閉も一緒に行う事ができます。
身も心も本物の運転士になりきって楽しみましょう!

◆三岐鉄道・北勢線がよくわかる 鉄道情報もたっぷり収録!

線路を運行している車両のご紹介はもちろんの事、鉄道ファンには堪らない路線の歴史や貴重な車両図面などを堪能して頂けます。
さらには貴重な特典映像に出会う可能性も・・・?

どうぞ心ゆくまで三岐鉄道の魅力をお楽しみください。

■開発について

●開発のきっかけについておしえてください

「鉄たび」と呼ばれる「鉄道にっぽん!路線たびシリーズ」は、2013年にNintendo 3DSで発売して以来、もう10年近く続いている人気のシリーズです。

Nintendo Switch向けには、3DSシリーズで人気の高かった「叡山電車編」を1作目としてシリーズ展開を始めましたが、Switch版の2作目を、ファンの皆さんには長らくお待たせしてしまっていたので、クリスマスシーズンに合わせて、新規路線で制作したいと考えました。

鉄たびシリーズは、鉄道運転を体験するゲームで、鉄道会社の協力を得て、運転席からの実写映像で楽しめるところが特徴です。
運転体験を楽しむ鉄道ファンの皆さん以外にも、沿線の名所などが収録されていますので、実際に現地を訪ねる旅行好きの皆さんなど、多くの方々に遊んでいただいています。

Nintendo Switchは、携帯機としてはもちろん、テレビに繋いで大画面で遊ぶことが出来るので、鉄たびシリーズの【実写映像で 本格的な鉄道運転が楽しめる】という特徴を充分に体験していただけますし、「のんびり運転するローカル線!」という「鉄たび」の原点を作品コンセプトに決めて、路線選びをスタートさせました。

●三岐鉄道・北勢線を選んだ理由を教えてください

ズバリ、「ナローゲージ鉄道」であることが決め手となりました。

「ナローゲージ」とは、線路の幅が新幹線の約半分という、たいへん幅の狭い線路のことで、現在現役で残っているナローゲージ鉄道は日本で3つの鉄道事業者のみという貴重なものです。
貴重であることに加え、運転最高速度が45km/hという、本作のコンセプト「のんびり運転」にもピッタリでした。

当社は名古屋市に本社がありますが、この路線は、三重県の桑名を起点しており、名古屋からは電車で30分足らずの近さですので、さっそく現地に下見に行きました。

北勢線を目の当たりにすると、線路幅に応じて横幅も狭い車両がガタゴト揺れながら走る、おもちゃのような可愛さもありましたし線路幅が狭い分急カーブが多かったり急勾配のポイントがあったり、路線の楽しさもありました。

また、沿線情報として収録する歴史的な建造物も点在するロケーションでもあったので、北勢線の魅力をゲーム化する完成イメージがすぐに湧いて来たのも大きな選定理由でしたね。

●開発チームは何人くらいでしたか

メンバーはプロジェクト全体で約20名程が関わったと思います。

三岐鉄道さんもちょうど開業90周年の年でもあったので、その年内2021年末に発売するためには、秋頃にはプログラムが完成している必要があるのですが、企画が上がった時は既に夏!(笑)
このようなタイトなスケジュールの場合でも、細部にまでこだわって制作に取り掛かりたかったので、鉄たびシリーズの開発経験の豊富なベテランスタッフを開発チームの中心に据えてパワフルに制作を進めました。

●また、どのようにして集まったのでしょうか

タイトなスケジュールでもありましたので、多数のゲームタイトル制作に携わってきたベテランや、鉄たびシリーズに精通しているスタッフを中心にチームの編成を組みました。

加えて、初めて鉄たびシリーズに参加する新人スタッフも編成して、ゲームの企画や調整に携わってもらうなど、経験の浅いスタッフに活躍するチャンスを与える事も目的として社内からスタッフを集めました。

新しいスタッフ達の意見も積極的に取り入れ、新路線であることのほかに新しい要素も追加できたので、手前みそですが、「三岐鉄道編」ならではの、こだわりの詰まった作品に仕上げられたと感じています。
チーム全員の力を合わせなければ成し遂げることのできないプロジェクトでしたから、スタッフの頑張りの賜物ですね。

●開発で苦労されたところは?

鉄たびのような作品では、“ゲームとして”楽しめる事に注意して制作しています。

実際に三岐鉄道さんにお邪魔して撮影や取材を行うのですが、そこで収録した素材をそのまま再現しますと、純粋なシミュレーターになってしまいます。

ホンモノを知っていることは制作チームにとっては非常に大切なことですが、ゲームとしては演出されたものを楽しんでいただく訳ですから、そのリアルと演出のバランスをどのように両立させ、「ゲームとして楽しみながら遊べる!」という印象をちゃんとお伝えできているか?の調整に一番苦労しました。

スタッフからの意見で、実際にワンマン運転なのだからドアの開閉やアナウンスの操作という、ホンモノの部分を新要素に取り入れたらどうだろう?といった提案もあり、チームでこれは面白い!と納得できましたので、本作に実装されています。

取材チームでは、現地で先頭車両からの展望風景を撮影させていただいた際、ナローゲージは揺れが大きいのが特徴ではあるのですが、固定カメラからの収録では、揺れが大きすぎて動画がブレブレになるという状態でもあったので、細心の注意を払ってゲーム化に適した撮影方法に切り替えるなど、どのパートの制作スタッフも「ゲームの完成系をイメージしながら」担当業務を進めたところは、苦労とも言えますし、制作の楽しさ・醍醐味、とも言えましたね。

■ゲームについて

●本作のおすすめのポイントを教えてください

北勢線最大の特徴である「ナローゲージ」での運転というのもありますが今作から新しく追加された「ワンマン!なりきり運転」をお勧めしたいですね。

これはワンマン電車で実際に運転士が行っている作業をゲームにも取り入れたモードで、駅に停車する度に手動でのアナウンス放送やドアの開閉を体験できますから、運転操作に慣れてきたら、ぜひ運転士になりきって楽しんでもらえたらと思います。

他にも、“ゲームを通して本物の運転士気分を味わって”もらうために、なりきり運転では、駅での列車のすれ違い映像を挿入するなど、新しい発見をしながら楽しんでいただける工夫を盛り込んでいます。

●ワンマン!なりきり運転のアナウンスは実際の声なのでしょうか。

はい、車内で流れているアナウンスは、車両に搭載されている自動音声機器から再生されているもので、取材にて収録した「実際の音声」です。
アナウンスだけでなく、モーター音や効果音など、鉄道に関する音は、現地で取材した音を使用していますので、じっくり聴いて、臨場感をぜひ楽しんでもらえたら幸いです!

●鉄道解説や車両図面が充実していますね。

これも、これまでの鉄たびシリーズには無かった新要素として追加した項目のひとつです。

本作シリーズは、制作陣も鉄分多め(笑)のスタッフが携わっていますが、はじめて参加した新人スタッフに、いわゆる「鉄ちゃん」が居まして、運転ゲーム、沿線ガイド、以外の要素として、プレイヤーや鉄道ファンとしての
新しい視点で、濃い目の情報も盛り込んでみよう、ということから導入してみました。

また、三岐鉄道さんからも、図面提供へのご理解とご承諾を頂いたり、取材のみならず、さまざまな点で快くご協力していただけ、三岐鉄道様には、この場を借りてお礼申し上げます。

■会社(チーム)について

●チームの紹介をお願いします

当社は、プロジェクトごとに「編成」と呼ばれるチームを招集して制作にあたります。
会社全体では、70名程度のクリエイターが在籍しており、開発、画像、企画、音楽、評価などの職種ごとにグループがあります。
ここから、業務ごとに必要な人材に「編成」に参加してもらい、作品ごとに開発チームを結成する仕組みです。

本作の場合は、ご紹介しましたように20名程度のスタッフが編成に参加いたしました。
制作期間がタイトなこともあり、3DS時代から「鉄たび」シリーズに携わったスタッフを主軸として、新しい視点やチャレンジの意味も含めて新人スタッフにも参加してもらっています。

どのスタッフにも言えることですが、業務を通じて【こだわり】をカタチにする姿勢を発揮してくれたお陰で、無事に完成することができました。ゲームを通して、プレイヤーの皆さんにも、作り手の熱意が伝われば幸いですね。

●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします

これからゲーム業界で働きたい方に、アドバイスがあります。
それは「ゲームを創ることが仕事だ」という本質への理解を進めると良いと思います。

どういうことかと言うと、私達はプロとしてエンドユーザーの皆さんや取引先からお金を頂いています。
お金を頂くためには、相手から評価されなければ話が始まりません。
相手から評価されるには、自分の作りたいものを闇雲に作る!のでは「ない」ということです。

ゲームで遊ぶのはプレイヤーという第三者の皆さんです。私達はゲームを創る「クリエイター」側です。
両者とも「ゲーム」という共通点はありますが、「遊ぶ側」と「創る側」では考え方が異なる部分も多く、ゲームを創ることを仕事にしたいのであれば、それは、何よりもまず、“お客様に楽しんでいただけるもの”を用意して差し上げる。という考え方、姿勢、理解が基本でして、そこへの「こだわり」に、技術や知識や好みを活かして、プレイヤーの皆さんに受け入れてもらえるような作品作りが大切なのですよね。

当社では、クリエイターとしての気持ちがあれば、経験を問わず色々な業務にトライできる企業風土もあります。
会社見学会や求人応募など、随時受け付けていますので、もし当社のイズムに興味がありましたら、お気軽にご連絡ください。

●ありがとうございました。

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※ Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

※ 鉄道にっぽん!路線たびはソニックパワードの商標です。

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