9月2日・3日に開催された「BitSummit THE 8th BIT」には様々なゲームが展示され、通常の規模より小さいながらも参加者は久しぶりの展示会を楽しんでいました。
展示していたタイトルの一つに、『コレクトビッツ!』というアクションがありました。この作品は名古屋のロコビット社が開発したオリジナルのゲームで、かんたん操作のお掃除アクションです。主人公の掃除屋「チャロ」と、健気な相棒ロボット「ルーキス」を操って、世界中にあふれているカケラ集めの旅に出るというものになっており、カラフルな画像とかわいらしいキャラクターが魅力的のゲームです。私もロコビットブースで楽しくプレイをしました。
チャロとルーカスの冒険はどのように作られていったのでしょう?
開発者にインタビューをしましたので、ぜひご覧ください。開発画像も要チェックです!
■開発について
●開発のきっかけについておしえてください
弊社は、2016年に名古屋で設立したゲーム開発会社なのですが、設立当初から現在に至るまでの5年間、主に受託業務を中心に営業をさせて頂いております。
普段は、クライアント様からご依頼いただいたスマートデバイス向けや、家庭用ゲーム機向けのゲーム開発を担当させて頂いているのですが、常々「いつかは自分たちのオリジナルゲームをお客様に“直接”お届けしたい!」そして「ロコビットという会社を皆さまに知っていただきたい。」という気持ちを持っていまして、社内の企画コンペという形でイチからのゲームづくりをスタートさせました。
当時からのインディゲームの盛り上がりや、手軽にアプリが配信できる環境になったこともきっかけの一つだったと思います。
ちなみに、企画コンペは社員旅行のイベントと称して宿泊先でプレゼン大会を実施し、そこで1位に選出された企画が開発されることになりました。
●開発チームは何人くらいでしたか
基本のチーム構成はプランナー2名、デザイナー2名、プログラマー3名の7名です。その中でプランナーの1名がディレクターを兼務してチームをまとめてくれました。
また、この「コレクトビッツ!」はグラフィックを評価してくださる方々が多いのですが、キャラクターやステージの絵作りにおいて、デザイナーの1名がフルに個性を発揮してくれました。
サウンドは社外の方にお願いしたのですが、それ以外は全て社内で制作しています。
●また、どのようにして集まったのでしょうか
はじめは、1名のスタッフが他のプロジェクトを担当する傍らプロトタイプを作るところから始まりました。
そこから「企画をこうしよう」とか「コレが必要だ」などが見えてきましたので、あらためてこの企画のためのチームメンバーを社内から構成しました。
ただ、メンバーが固定されたのは開発後半の量産時期からで、それまでは何度かスタッフが交代しています。
本来ならば、はじめから固定メンバーで構成したかったのですが、そこは受託業務を優先する環境下ですのであくまでも「オリジナルゲームをあきらめない!」というモチベーションでスタッフが協力してくれました。
●開発で苦労されたところは?
アクションゲームにチャレンジしたところです。
これまでもアクション要素があるパートを担当させて頂いた経験はあったのですが、純粋なアクションゲームは初めてのチャレンジで、今振り返れば自社開発だからこその「自由」と「苦労」が共存したゲーム開発となりました。
今回は、目標のひとつに「誰もがすぐに楽しめる」というのがあったのですが、「かんたんな操作」と「シンプルなルール」のアクションゲームとして成立させることにたいへん苦労しました。
「コレクトビッツ!」は、2Dアクションでステージ上に散りばめられた”カケラ”を集めるゲームなのですが、最初の企画は3Dステージ上のあらゆるモノをぶっ壊して”カケラ”にするというアイデアでした。(今とは逆ですね。)
そこで、プロトタイプを制作してみたのですが、コレがはじめはすごく爽快で楽しかったんです。笑)
社内の試遊会でもすごくウケが良かったのですが…、何度もプレイしているうちに毎回壊すだけの物足りなさを感じるようになっていきました。
そこから、いろんな要素やルールを追加してみたのですが、物足りなさが軽減される反面、どんどんゲームが難しく感じられるようになり、目標の「誰もがすぐに楽しめる」感覚が薄れていく気がしてきました。
課題を克服するために、思い切ってイチからルールを考え直すことにしました。そして、あらためて「アイデアを考えてプロトタイプで試す」という試行錯誤を繰り返すうちに、”カケラ”を集めて目的地(呼び名はゴールちゃん)に向かう現在のルールに落とし込まれていった感じです。
結果的に、アクションゲームとして「クリアの達成感」が感じられる仕上がりになったかなと思っています。
ちなみに、当初から”カケラ”の動きに物理表現を取り入れていましたので、細い管にたまっているところをルーキスを投げてかき出したり、せき止めている岩を壊してとり出したりするステージ表現は、最初「コレクトビッツ!」が3Dアクションだったときの面影が残っていて感慨深く、愛着を感じています。
■ゲームについて
●本作のおすすめのポイントを教えてください
主人公(プレイヤーキャラクター)の「チャロ」に思い切り投げられてブロックにぶつけられたり、たまに谷底に落とされたりしても、いつも健気に後をついて来てくれる愛らしい相棒ロボットの「ルーキス」です。「ルーキス」は、とても小さいキャラクターですが、いろんなアクションを見せますので注目してください。
また、個性豊かな敵キャラクター達がキュートな見た目で、意外とキツ~い攻撃を仕掛けて「チャロ」と「ルーキス」を邪魔しにくるのですが、彼らの動きもとてもユニークで、見ているだけでも楽しめるポイントかなと思います。
●スタッフお気に入りの箇所を教えてください
チャロが動く地面にドーンと高く打ち上げられたり、強力なプロペラの風にふわふわーっと飛ばされる場所があるのですが、それまでは歩いたり、走ったり、ジャンプすることが多い中で、一瞬重力から解放される仕掛けが登場するステージは、普段と違った感覚が体験できて楽しいです。
ワールド3-2「不思議カイロウ」や、ワールド5-2「風のとおり道」にありますので、ぜひ探してプレイしてみてください!
■会社(チーム)について
●チームの紹介をお願いします
冒頭、弊社は2016年設立とお伝えしたのですが、チームメンバーのつながりはそれ以前からになります。かつて愛知県にあった老舗ソフトハウスで出会い、共に家庭用ゲーム機の開発で培ってきた経験を活かし、企画からリリースまでワンストップで対応できるゲーム開発チームとして、現在はプラットフォームをこだわらず多岐にわたるゲームの企画・開発を行っています。
簡単に主な開発メンバーご紹介します。
・渡邉 和寿(わたなべ かずひさ)
ゲームディレクター兼プランナーを担当。
開発のリーダーをつとめながら仕様やステージ制作、ゲームバランスの調整など複数の役割を果しました。
ユニークなTシャツを好み、ゴルフが得意。某有名ゴルフゲームの開発も担当していました。
・中田 裕樹(なかた ひろき)
アートディレクターを担当。
「コレクトビッツ!」のビジュアルイメージや世界観を作り上げたデザイナーです。
アートやゲーム以外にもいろんなことに興味を持つ行動派。その好奇心が独自のグラフィックに活かされています。
・鰐部 了太(わにべ りょうた)
プログラミングを担当。
Unityを使った開発を主導し、エンジニアとユーザー両方の視点でアイデアを提案してくれました。
チーム髄一のゲーム愛を持っています!
・溝邊 雄一(みぞべ ゆういち)
プロデュースを担当。
とにかく、自分たちのオリジナルゲームをつくって、「コレクトビッツ!」を世の中にリリースさせていただくことにこだわった人物です。
●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします
今回のゲーム開発を通じて、いろいろな苦労もありましたが、やっぱりオリジナルゲームっていいな!と思いました。
おかげさまで「コレクトビッツ!」は、たくさんのユーザー様がプレイしていただき、特に小さなお子様から「楽しい!」と言っていただけたことに、弊社一同とても喜んでいます。
昨今、開発プラットフォームや配信環境の充実により、誰もがコンテンツをリリースできる時代になりました。その影響もあってか、さまざまな面白いゲームが誕生していて、我々もとても刺激になっています。
今後は新たなオリジナルタイトルにも挑戦して、ゲームを通じてつながったすべての人たちの『笑顔』を創り出す会社を目指してまいりますので、今後ともぜひロコビットをよろしくお願いいたします!
●ありがとうございました。
社員旅行のイベントから生まれた企画が形になっていき、スマホを通じて全世界に発信されていく。とても夢のあるいい開発の裏話だと思います。スマートフォンでプレイ可能なかんたん操作のお掃除アクション!『コレクトビッツ!』に皆さんもぜひ触れてみてください。
こちらの記事もチェック!
懐かしい感じがするアクションパズル『チャカ王の迷宮』インタビュー!会社の副業OKで開発を決断したエピソードも紹介
シミュレーションRPG『屍喰らいの冒険メシ』インタビュー―いつ、どこで、誰に、何を食べさせるかを選ぶ戦略性を楽しむ
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/
▼学生向けLINEの登録はこちらから!
▼社会人向けLINE登録はこちらから!
GCG会員になると開催予定のスケジュールの確認やWEB会員証をゲットできます。