【イベレポ Vol.1】『ゲーム業界から行き場を失った若手サウンドクリエイターが音楽業界でレアスキル習得してカムバックして無双して独立する話。』クリエイターヒストリア#6

クリエイターヒストリアとは

クリエイターヒストリアとは、ゲーム業界でお仕事をしているデザイナー、プランナー、エンジニアなどのクリエイター向けに、キャリアデザインをテーマに実施するセミナーイベントです。 業界で成功を納めているクリエイターは、今までどのようにキャリアを積んできたのでしょうか… 現在に至るまでの努力や道のり、人生の転機等その歴史に迫っていきます。

『ゲーム業界から行き場を失った若手サウンドクリエイターが音楽業界でレアスキル習得してカムバックして無双して独立する話。」
クリエイターヒストリア#6
Game Creators Guild(ゲームクリエイターズギルド)主催。
第6回は、「『戦国無双』シリーズ」「討鬼伝」や「ポケモンマスターズ EX」など、多くの名作に関わったサウンドプロデューサー、中條 謙自さんをゲストにお招きし、クリエイターとしての人生観を語っていただきました!

詳しくはこちらから!

見逃し配信希望の方はLINEから視聴可能ページに飛べるので、LINE登録を済ませてお楽しみください!

ありっさ
ありっさ
今回のヒストリアはサウンドプロデューサーとして長らく活躍されてきた中條さんです!ラノベ級に長いタイトルを展開させているGCGのイベントですが、今回に至ってはタイトル内容もラノベを彷彿させます…。今後もこの縛りでいくのでしょうか?(余談)

第6回ゲストは…サウンドプロデューサーとして活躍してきた中條謙自さん!

サウンドプロデューサー」という職種は実は業界的に見るとかなり珍しい職種かも?
サウンドプロデューサーは、効果音やセリフなどのクリエイション、サウンド全般の予算やスケジュール管理、サウンドに関する全てに責任を持って進行させる役目のことを指します。

長年コーエーテクモゲームスさん(旧光栄)で務めていた中條さんですが、現在は独立しATTIC INC.を設立、代表取締役を務めています。

中條氏

「人生路頭に迷った」ってすごいパワーワードですね。ラノベのタイトルみたい(笑)。

宮田氏

確かに…(笑)。どんどん深掘りしていきましょう!因みになんですが、ヒストリアの裏テーマとして登壇者の方にも「今まで積み上げてきた過去は意外と繋がっているんだな」と気付きやすくする試みも兼ねているので、早速聞いていきたいと思います。

大学時代はロック少年だった中條さん。
立教大学に通い、長髪でギターを背負って池袋を歩いていたとのこと。
それまでにも裏方のレコーディングを手伝ったり、楽曲制作も経験していて、好きだったので自然と、就活でも音楽業界を意識するように。若いアーティストを育て、巣立ちまで見守る制作ディレクターを目指していたそう。

だけど、運悪く就活氷河期と重なり大手のレコード会社ともなると倍率は2000倍に。
最終面接付近までは何度か行けたけど、内定には繋がらず。
途方に暮れていた大学4年の夏頃、光栄さんのサウンド部署に所属していたバンド時代の先輩に、「パソコンが使えて、作曲できる人が足りないからバイトとして来ない?」と声をかけられる。

この時代は、パソコンの電源の入れ方を教える段階スタートの場合もザラだった。それに比べ、中條さんは小さい頃からPCゲームに親しんでおりスキルも持ち合わせていたので、パソコンx作曲はかなりレアなスキルとして認められていた。

 

中條氏

しかも3日目には曲書いていましたね。『三國無双』というPlayStationタイトルの音楽をいきなり。

宮田氏

急ですね!作曲はバンド少年だからできた、という感じですか?

中條氏

そうですね。丁度『三國無双』の曲テイストがロック調なこともあり、自分が今までバンド活動で弾いてきたような音楽をゲームの世界観に当てはめて書くことができたので、すんなりスタートを切れました。

宮田氏

なるほど。因みに就活はこれで終わりにしたのですか?

中條氏

最初はアルバイト期間が半年位、と言われていたので様子見しながら就活も続けようかな、と考えていたのですが週5で働かせてもらったのもあってのめり込んでやっちゃいました。

あと、バイトを続けていく中でゲーム業界に対して勘違いしていたことに気付いたんですよ。その当時は巷に着メロ制作の仕事が沢山あったんですよ。着メロの仕事は1日中アーティストの曲を聴いて、ひたすらそれを打ち込んでいく業務。ゲーム業界のサウンド制作に対してもそういうイメージを持っていたので、そんなに興味を惹かれなかったんですよね。

宮田氏

やってみないと分からないことってありますよね。

中條氏

はい。ですが、プレイステーションやセガサターンが出たばかりというのもあって、ゲームのサウンドは多彩な表現ができるようになっていたのですよ。効果音を入れたり、声優さんの声を収録して流したりすることができたので色々な仕事が正に誕生している瞬間でしたね。

宮田氏

サウンドの可能性が丁度広がっていた時期だったんですね。それで、やっていく中でこういう仕事も面白いのではないか、と考えた感じですかね。

『三國無双』で作曲、その後『ENIGMA』というPCゲームで効果音制作を担当…と働いている内に卒業の時期に。契約社員の登用試験を受け、見事合格!
前述した通り、パソコンx作曲という当時珍しい組み合わせを見込まれ、採用に。

ゲーム業界からドロップアウトせざるを得ない!?

契約社員になってからはサウンドディレクションも担当するように。
社員として最初の仕事はPCでプリクラみたいな写真を作れるソフトのBGMとして流れる曲の制作。その後は『デストレーガ』というアクションゲームを上司から引き継ぐ形で担当。(因みに上司の方はスキー中に骨折してしまい、急遽代打を指名されたそう)

様々なことを経験し、吸収しながらも就活時代の名残か、音楽業界への憧れは胸に残ったままだった。パソコンでの打ち込み作業が多く、レコーディングなどの機会が少なかったことから次第に音楽業界へのコンプレックスを抱くように

その後、社員登用した際の契約が2年経過、契約満了という形になり更新できず。
ゲーム業界からドロップアウトせざるを得ない状況になり、フリーで活動しながら就活再開を試みるも経験が少ないことから仕事を頼んでもらえず…。

路頭に迷いつつある状態で、『デストレーガ』を一緒に制作したエンジニアさんから電話をもらい、若手アーティストのデビューを手伝う活動に参加して欲しいと声かけを受ける。デモを作成したり、ライブ音源の制作などが主な業務内容となった。

参加した当初、音楽業界はまだ「そろそろパソコンに移行しようか」位の温度感だったので、パソコンベースではなかったが、中條さんは音源制作はパソコンで打ち込んで欲しいと頼まれた。

中條氏

作曲家さんから譜面を頂いて、それをアレンジして、パソコンに打ち込んで、エンジニアさんと一緒にレコーディングをする…という流れでした。全然食べられなかったんですけどね(笑)。

 

宮田氏

え!そうなんですか?

中條氏

手伝ってくれてありがとう、という感じでご飯をご馳走してくれるなどはあったのですが、予算が出るような仕事ではなかったから給料なども…。

宮田氏

なるほど…。これから期待の新人の仕事ですもんね。

音楽業界で活動している間に、音源制作はパソコンの方が正確で早いという認知が広まり、中條さんのスキルは尊重されるようになる。ゲーム業界は進んでいる部分もあるのだな、と気付くきっかけに
別方向では、音楽業界でメロディアレンジや、生の収録現場の作法やものづくりへの姿勢を学び、生きた経験を手にできたので、有意義な時間となったそう。

マルチタレントで才能開花

中條氏

あ、因みにこの後ゲーム業界に戻っていくのですが、フリーランス時代に知り合ったアーティストさんに『真・三國無双2』のエンドテーマを歌ってもらえたので、この時の縁がそのように繋がってきていきます!

宮田氏

予告編が(笑)。だけど、色々な所で出会った人たちと仕事をその後できるというのはワクワクしますね!

音楽業界で感じたことは、音楽業界で働いている人は1人1人専門性を磨いている、ということ。反して、ゲーム業界では様々なことを兼任する人も多く、特にサウンド職はサウンド関連全般を担当することもよくある。専門性では太刀打ちできない、と考えた中條さんはゲーム業界に戻るならマルチタレントで才能を開花させた方が良い、という考えに辿り着く。

音楽業界に残るか、ゲーム業界に戻るか。
どうすれば音楽に関わり続けながら、先までやっていけるか。
目の前の仕事を確実にこなしながらも模索の時期。

そんな中、「ゲーム音楽って魂を感じないですよね」と言われ、悔しいと感じる。
自分だけでなく、ゲーム業界全体が否定されたような感覚になり、ゲーム業界への愛着とこの業界の特色でもある反骨精神へと繋がっていくように。

中條氏

あ、でもゲーム業界を外から見られたのは良かったですね!その他にも専門的なアーティストさんと仕事ができたり、作曲家から上がってくる譜面をアレンジしてプロデューサーに見せて意見を聞けたり…という修行を積めたのは本当に良かったです。

宮田氏

一度業界の外に出てみることで、客観的にゲーム業界を見られたのはもちろん、音楽業界特有のスキルや経験を積めたんですね!それがこの後の快進撃に繋がっていくんですね…(予告)。

それじゃあ後半パートに移る前に少し休憩を入れたいと思います!その間に少し質問に答えてもらっても良いでしょうか?「ビールが好きなイメージがありますが、最近はどんなビールが好きですか?」

ビールに合うゲームと映画…?

中條氏

今は喉越しスーパードライですかね。でも!みなさんにオススメしたいのは、緑の瓶に入っているハートランドです!あとはアサヒのもこもこっと泡が出てくる生ジョッキ。僕は売り切れちゃって、まだ飲めていないのですが、飲んでみたいです…。

宮田氏

色々来ましたね(笑)。ビールに合うゲームはありますか?という質問も追加で来ていますが…。

中條氏

うーん…?ちょっと今思いつかないので、皆さんコメントにて自分の推しゲームを書き込んでおいてください(笑)!あ、オキュラスで映画を見ながら飲むビールは美味いですよ。「Queen’s Gambit」とか見ていました。

 

宮田氏

ゲームではなく、映画の推しが来ましたね(笑)。映画などは音楽も込みで見ているのですか?

中條氏

見ていますね。ティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』などは音楽込みで大好きです。ダニー・エルフマンが音楽を制作したのですが、メインモチーフを繰り返し流すことで没入感を増す工夫が好きでしたね。サントラ聴きまくって、準備万端で映画館で見ました(笑)。あとは、もっと昔になるけど『グラディエーター』の音楽もストーリーも好きです。

 

宮田氏

音楽を聞き込んでから映画を見にいくってすごいですね。お楽しみ系の質問でしたが、答えていただきありがとうございます!引き続き視聴者の方からも推しの映画やゲーム、受け付けています!それでは、後半パートに移りましょうか!

ありっさ
ありっさ
試行錯誤を繰り返しながら自分のやりたいこととできることの一致する点を見つけようとした中條さん。後半パートからは何度かチラ見予告が挟まれている通り、快進撃の連続となるので、後半パートも読んでいってください!

今回も少し長くなってしまったので、後半に続きたいと思いますが、本記事と併せて配信を見たい!と感じた方はLINEにてアーカイブをご覧ください!

次回のクリエイターヒストリアにも是非ご参加ください!次回は7月29日開催予定、「かまいたちの夜」、「弟切草」、「街」、「トルネコの大冒険〜不思議なダンジョン〜」などの有名タイトルを生み出してきたサウンドノベルの父、麻野一哉さんを招待してのイベントとなります!現在参加者募集中なので、こちらからご応募ください!

つづく!

登壇者ご紹介♪

■中條 謙自(なかじょう けんじ)
株式会社ATTIC INC. 代表取締役/サウンドプロデューサー

株式会社コーエーテクモゲームス出身。ゲーム制作におけるサウンドの総責任者=サウンドディレクターとして『戦国無双』シリーズ、『討鬼伝』をはじめ、数々のヒットタイトルを歴任。
これまで何度も修羅場を潜り抜けたことでサウンドデザイナー・レコーディングエンジニアとして経験とスキルを身につけ、音楽制作、効果音制作、音声制作、TVCMやプロモーション映像MAなどを手掛ける究極のジェネラリストとなる。特に日本を舞台にしたアクションゲーム制作経験は豊富であり、和の世界観表現、3D空間サウンドデザインについて多くのノウハウやアイデアを持ち併せている。
また、業界に先駆けてサラウンド制作、フォーリー録音、インタラクティブ演出を採り入れるなど、新しい挑戦が大好きであり、その過程を楽しみながら確実に成果を出して行くポジティブ精神の持ち主。他、CEDEC、AES、Avid Creative Summitなど各種カンファレンスにおける登壇実績や、各媒体における取材実績なども多く持つ。ATTIC INC.設立後はアーティスト活動も開始し、コンサートやイベントへ積極的に関わっている。

▼Twitter
https://twitter.com/ken2_japan

■宮田 大介(みやた だいすけ)
株式会社オルトプラス ゲームアライアンス事業執行役員/ゲームクリエイターズギルド主催
大学卒業後、在学中にお世話になった職人の元へ弟子入り、鉄材があれば何でも作れる職人のものづくりをネットビジネスの視点から支援。
設立間もないオルトプラスにフロントエンジニアリング兼なんでも屋として参画。プランニング部部長、第二ゲーム事業部の事業部長等を経て、オルトプラスもマザーズ、東証一部上場と成長。その後、日中韓での3拠点でのゲーム新規開発プロデュースや韓国支社の立ち上げメンバー、高知にてSHIFT社とのジョイントベンチャーの立ち上げなど、諸国を放浪する。
現在は、ゲームアライアンス事業を設立。ゲーム会社同士のマッチングコミュニティサービスである「ゲームコミューン」やゲームクリエイターの相互教育コミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」、ゲームのマーケティング事業等、ゲーム業界を活性化するための新規事業の立ち上げを行っている。
▼ゲームコミューン
https://www.gamecommune.jp/
▼ゲームクリエイターズギルド
https://game.creators-guild.com/
▼Twitter
https://twitter.com/gcg_miyata

次回のヒストリアにもご参加ください!

 クリエイターヒストリア#9

COMING SOON…9月下旬を予定しています。

登録情報

記事内でも紹介した通り、イベントのアーカイブ配信はこちらから!その他登録者向け記事や新着イベント情報、就活相談などゲーム業界に関わることを幅広く発信しているので気軽にご登録ください!

▼学生さんはこちら
LINE(SEED)

▼社会人の方はこちら
新規CTA

▼コミュニティやハッカソンなどの参加系イベントはディスコードから!

 


ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

\“いいね”“フォロー”で応援お願いいたします!/