学生時代に作りたいゲームを作る意義と対戦ゲーマーのこだわりを聞く、対戦弾幕『マジカオス』のマチコ―さん

『マジカオス』インタビュー

『マジカオス』の制作チームである「SUPER STARMINE」のチームリーダーであるマチコーさんに、3月8日のリリースに向けてインタビューを行いました。

SUPER STARMINEのメンバーはこの春から社会人になる予定であり、最後の学生時代に本作をリリースされます。
実はゲームクリエイターズギルドとも長い縁があり、本作の制作過程を聞いてきました。

『マジカオス』

『マジカオス』は最大4人で対戦するオンライン・マルチプレイヤー弾幕シューティングパーティゲーム。多彩なキャラクターと戦略的なスキルを組み合わせた自分だけのカスタマイズで、マジでカオスなバトルロイヤルを勝ち抜こう!

『マジカオス』は2024年3月8日にリリース!

 

開発チーム「SUPER STARMINE」は休学を決断してゲーム制作に打ち込む

──リーダーのマチコーさんの自己紹介をお願いします。

「SUPER STARMINE」というゲーム開発サークルで代表をしているマチコーです。2024年3月8日にリリースする『マジカオス』には企画として関わっています。開発の全般はプログラマーとデザイナーが動くので、僕はパブリッシャーの会社さんや、外部のイラストレーターさんとの折衝をやりつつ、全体のディレクションやプロデュースをやっていったような感じです。

──リリースおめでとうございます! SUPER STARMINEは何人チームになったんですか。

『マジカオス』の開発だけだとメンバーは5、6人ぐらいですね。外のクリエイターの方を含めると大体10人ぐらいの規模感です。

「SUPER STARMINE」
2019 年11月30日(土)に開催されたゲームクリエイターズギルドEXPO2019にて最優秀賞を獲得した制作チーム。

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──最初にゲームクリエイターズギルドと出会ったのは3人チームでしたね。

懐かしいですね。それからメンバーも増え、ゲーム制作は続けていました。2021年の夏にはチームみんなで休学を決断して、iGiの1期生に入ったんです。大学の授業よりもインディゲーム制作が楽しいなと感じて、そこから1年間休学をしてゲームを作りました。

インディーゲームインキュベーションプログラム
日本在住のインディークリエイターの為の無償インキュベーションプログラム。開発・ビジネスそしてコネクションをサポートするプログラム
iGi: https://igi.dev/

──学校もびっくりですね。

メンバーは全員同じ学科だったので、教授からはいきなり4人とも一気に1年間の休学を申し出る形になりました。そのため、怪しい団体に誘われたのではないかという印象を受けていたようです。

──ご両親は背中を押してくれましたか。

最初は結構驚いていましたが、自分たちは絶対に休学しなければならないという強い意志があったので、プレゼン資料を作成しました。「休学の費用は大体これぐらい、生活費は大体これぐらいかかります。そして、休学するとこんなに素晴らしいメリットがあります!」といった内容でPDFを送り、プレゼンして認めてもらいました。

──すごい。自分への投資ですね。決断力があってかっこいいなって思います。

今になって振り返ると、あの時期に得た経験やスキルが非常に活かされています。休学して良かったなと感じています。

──iGiではどんなことがあったんですか。

1番大きかったことは、自分たちが作りたいものを作るという視点から、それを売るためにどうすればいいかという意識が大きく変わったことです。具体的に言えば、iGiのプログラムを経て得た知識を基に、次の年のイベントにおいてその経験を活かしました。結果的に、今のPhoenixxさんというパブリッシャーさんとの関係も、そのイベントを通じて築かれました。これによって、ゲームクリエイターとしての生き方に関する多くのことを学ぶことができました。

──濃い時間を過ごされましたね。

プレイヤーが熱く盛り上がれるゲームを作る

──『マジカオス』は『れーぞく!ネクロマンスちゃん』の続編ですか。

これもiGiに参加した当時の話なんですが、その頃は『れーぞく!ネクロマンスちゃん』の制作が進行中でした。しかし、iGiの期間が終わる直前になり、制作の進捗や目標のクオリティに対して厳しい判断を下し、『れーぞく!ネクロマンスちゃん』プロジェクトを一時凍結することにしました。
その後、自分たちが本当に作りたいものを追求していこうと考え、『マジカオス』の企画がスタートしました。
開発が始まったのはちょうど2年前くらいで、ゲームクリエイターズギルドさんが開催されていた「インディーゲームもくもく会」に参加して企画を練り始めました。

──『マジカオス』はコンセプトとしては、どういうところを大事に制作されていたんですか。

最初から一貫して追求していたのは、プレイヤーがボスとして戦うというコンセプトです。弾幕ゲームを中心に制作しており、『れーぞく!ネクロマンスちゃん』では単に敵の弾幕を避け、それをカウンターとして攻撃するだけでした。しかし、プレイヤーが戦略的に攻撃を展開し、相手を圧倒していく感覚を追求したいという思いから、『マジカオス』の開発がスタートしました。

──『マジカオス』の制作で、外せないこだわりはなんですか。

僕個人の視点では、女の子の可愛らしさはすごく大事にしていました。そして、最初の戦闘を開始する際の魔法少女の変身シーンに関しては、それを作り上げる作業はすべて僕とデザイナーが共同で行いました。

──めっちゃかわいい。

ありがとうございます。当時視聴していたプリキュアのアニメなどを参考にし、変身シーンをコマ送りで研究しながら制作しました。一方で、ゲームの開発ではエンジニアとデザイナーが協力して進め、やり取りが盛んに行われていたという印象です。
ゲームとしては、結構格闘ゲームに近い要素があるのかなと感じています。弾幕ゲームの要素は含まれていますが、相手との間合いの詰め方、避けの技術、攻撃の連携など、これまでの先例が少なかったため、手探りで制作を進める際には非常に苦労しました。これらの要素には特に力を入れて取り組んでいます。

──ちなみに、一番お気に入りのキャラクターはどの子ですか。

1番最初に制作したのはネクロマンスで、その子が1番好きですね。ネクロマンスは前のゲームから引き継いだ設定や造形なんですが、魔女から魔法少女にイメージを一新するにあたって、髪色を金髪から緑や青を加え、よりカラフルな雰囲気にしました。アイドル衣装っぽいデザインでピンクでフリフリに仕上げ、アートのコンセプトである現代的でビビットな色使いとカオスな感じを強調しました。これによって、非常に現代的で活気に満ちた雰囲気を体現できたキャラクターに仕上がったと思っています。僕自身はこのキャラクターがとても気に入っています。

──チーム制作でハプニングはありましたか。

1番大きなポイントは、対戦弾幕というジャンルがかなりニッチで、一部の例外を除いて「対戦弾幕と言えばどんなタイトルがあるのか」に対する一般的な知識が限られていたということです。最初は対戦に全振りするよりも、パーティー要素の強いゲームにしたいという意見があり、具体的にはスマブラのアイテムありみたいな要素が考えられました。そういった方向性も模索していましたが、エンジニアのいーだは「対戦ゲームとして熱くなれるものがいい」と言い続けていました。そのため、方向性のすり合わせは丁寧にやっていました。

──どんなふうに探っていきましたか。

パーティー要素にするにしても、「このゲームがどのような層のプレイヤーに楽しまれるのか」という点を、イベントに積極的に出展しながら、ひたすらすり合わせていきました。既存の弾幕シューティングが好きなプレイヤーや、対戦ゲームが好きなプレイヤーが多く訪れ、彼らが注目しているのはアイテムやステージの多様性よりも、ゲームデザインや駆け引きの深化であることに気づきました。これにより、バリエーションを増やすよりもゲームの本質的な楽しさを追求する方が重要であると感じました。こうしたプロセスを通じて、チーム全体の認識が徐々に一致し、最終的には対戦弾幕として本当に楽しめる作品を作り上げることができたと考えています。

──いろんなインディー系のイベントに出展したことは大きな経験でしたね。

そうですね。僕らも開発から1か月ぐらいでプロトタイプを作り、その後1年半ほどにわたり様々なイベントに参加しました。イベント駆動の開発スタイルで、どんどんフィードバックをもらいながら知見を得ていました。

東京ゲームダンジョンでは、大学生がわーって盛り上がってくれたり、家族でプレイしてくれる方がいたりして、実際にプレイヤーの皆さんがどんな顔をして遊んでいるのか、どういうところに注目してプレイしているのかを、非常にデータとして得られたと思います。しかも、『マジカオス』で良かったなと思うのは、すごく盛り上がってくれるんですよね。イベント出展ではマルチプレイのゲーム自体が少ないので、こうした対戦ゲームで盛り上がっている声が聞こえてくると、「なんだなんだ」と自然と注目してもらえます。一度、10人くらいが順番待ちをしてくれているのを見て嬉しかったですね。

2022年6月開催のIndie Games Connectにて

──この作品のオススメポイントを教えてください。

熱くなれる対戦ゲームなところです。やはり、遊んでくれた方の話を聞いていても、対戦弾幕というジャンルは本当に数が少なく、2020年2月に『Maiden&Spell』がリリースされて以来、このジャンルに新しい風が吹いていなかったというところがあります。そういったジャンルを求めていたプレイヤーさんにも楽しんでもらえる作品になっています。また、女の子が対戦するコンテンツ自体がそんなになかったという点もあり、キャラクターのファンから対戦ゲームのファンまでが楽しめるようなゲームになっています。

──『マジカオス』の今後の予定を教えてください。

実はこの度、声優さんにボイスを付けてもらいました! パブリッシャーの方がボイスを絶対につけましょうってノリノリで様々なサポートをしてくれました。キャラクターの魅力をどんどん引き出していく施策であったりとか、もちろん対戦の面白いところを突き詰めていくところもやっていくので、発売後もぜひ継続して遊んでもらえたらと思いますし、キャラクターの追加のニュースも近日お届けできるかなと思ってます。友達と一緒に遊んですごく楽しいゲームかなっていう風に思うので、友達への布教もぜひよろしくお願いします。

 

対戦ゲーマーがこだわり抜いて制作した対戦弾幕ゲーム『マジカオス』。オンラインで遊べる本作で友だちと熱い駆け引きを楽しもう!

学生時代に作りたいゲームを作り上げることの意味

──今後はどんなクリエイターになりたいですか。

僕個人としては、世界を平和にするようなクリエイターになりたいと考えています。これは中学や高校でゲームに没頭して、人生が救われた経験から生まれています。そのような体験をできるだけ多くの人に、自分が作ったゲームを通して届けたいと願っています。また、僕自身が会社に入って感じることは、自分が手掛けたり参加したりできる作品を創り上げることが非常に充実感を与えてくれるということです。自分の手で作品を作り上げるという点にこだわり、仕事でもインディーでもこれからも続けていきたいと思っています。

──ゲームクリエイター甲子園は、ブラッシュアップを重ねて成長ができるコンテストとしての特徴があります。このコンテストについて、どのような印象を持っていますか。

僕ら自身がゲームクリエイターズギルドのイベントを通して育てられたなと思っていて、この経験は僕らの活動における原体験になっていると思います。

SUPER STARMINEが参加したゲームクリエイターズギルドEXPOのイベントレポート

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──学生でゲームクリエイターを目指す学生さんに向けてメッセージをお願いします。

僕はゲームクリエイターズギルドから賞をいただいて、実際にゲーム会社に入社して働き始めています。
現在の心境ですが、会社に入った後も自分が本当に作りたいものが何なのかをずっと考え続ける時間が非常に長いなと感じています。初めはゲーム会社に入ること自体が素晴らしいモチベーションだと思いますが、その後、自分が本当に追い求めるものを見つけられないと、なんのために働いているのだろうかという疑問が生まれる可能性があると思います。やはり、学生時代に自分が作りたいゲームを作り上げておくことは、すごく大事な経験だと感じています。

やはり自分が目の前の仕事に向き合う理由が、その先に作りたいゲームがあるからだと考えています。自分の成長の方針を見つけるためにも、しっかりと自分がやりたいことに向き合い、それを実現できるように具体的な行動に変えていくことが、とても大切だと思います。

──ありがとうございます! 今後も応援しています!

 

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