ゲームクリエイター熱血道場 2023 #10|「さまざまな環境で音を聴く」作曲家 砂守岳央賞を受賞した作品とは【GC甲子園 2023】

ゲームクリエイター熱血道場とは

ゲームクリエイター熱血道場は、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテスト「ゲームクリエイター甲子園」の公式YouTube番組です。2023年のゲームクリエイター熱血道場では、「ゲームクリエイター甲子園 2023」に提出されたゲーム作品の制作者がゲームをプレゼンし、豪華ゲストがその場でプレイ&講評します。

番組内で取り上げた全作品は「ゲームクリエイター甲子園 2023」の総合大賞にノミネート。また番組の後半にはゲスト審査員に最も刺さった作品に、ゲスト審査員賞が授与されます。思わずゲストも唸ったクリエイター渾身の作品をとくとご覧あれ!「ゲームクリエイター熱血道場」は、毎週金曜日21時から配信中!

ゲームクリエイター甲子園公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/gck2023/
作品掲載場所「みんなのゲームパレード」 ▶ https://gameparade.creators-guild.com/

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第10回 出演者紹介

砂守岳央

性格上に困難を抱え、うつろう興味のままに生きる。
物理学を夢みた小学生は哲学を志す高校生となり、やがて大学で演劇と出会い留年する。
趣味の音楽制作が逃げ場のない運命となり、大学院に進学した結果ネットへのアップロー
ドから紆余曲折ありメジャーデビュー、なぜか同時に小説家デビュー。
未来古代楽団を結成するもろくに活動はせず、成り行きでDJを自称し海外を放浪、世界
中でステージを経験したが感染症の影響で活動休止。アラフォーで新人として出版社に漫
画を持ち込み原作者デビュー。
一児の父。

道場主:宮田 大介

X(旧Twitter)▶ @gcg_miyata

ゲームクリエイター熱血道場の道場主。ゲームクリエイターズギルド主催。ゲーム会社同士のマッチングコミュニティサービスである「ゲームコミューン」や、ゲームクリエイターの相互教育コミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」、ゲームのマーケティング事業等、ゲーム業界を活性化するための新規事業の立ち上げを行っている。

副道場主:いそぴー

ゲームクリエイター熱血道場の副道場主。ソーシャルゲーム黎明期からディレクター、プロデューサーとして数々のIPタイトルを牽引。 現在はゲーム業界専門キャリアコンサルタントとして人材採用、育成に携わる。

ゲスト審査員が選出した4作品をご紹介!

「ゲームクリエイター甲子園 2023」の作品の中からゲスト審査員がピックアップした、審査員賞ノミネート作品はこちら!

『ComicaRhythm』 制作チーム:単勝1.9倍

【作品紹介】
借金まみれのタップダンサーが、迫りくる取り立て屋を上手くいなしコミカルな舞台へと昇華させるリズムアクションゲーム!

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/1299

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
BGMにおいて特にアピールしたい点は、ゲームとBGMのリズムが一体となり、存在感のあるBGMを作り上げたことです。これは個人的に非常に嬉しいポイントでした。2つ目に、ボスが登場する際に同じ曲が流れつつも、楽曲のジャンルやアレンジをしている点が挙げられます。これにより、プレイヤーは新しい雰囲気や緊張感を感じられるように意識しました。

【砂守さんの講評(一部抜粋)】
プレイ中に感じた問題点としては、ゲームとしての設計ですね。最初はテンポが遅く、進むにつれて難しくなってテンポが速くなる今の流れは制作者の立場からすると自然ですが、プレイヤーにとっては最初が退屈に感じられるという罠があります。ゲーム設計の大事な指標に離脱率があります。最初の30分をクリアしたら、その後もプレイし続けてくれるだろうという期待が出来ますよね。ただ、現状だとテンポが遅い簡単なところしかプレイせず離脱してしまう可能性がある。そこで、プレイしはじめてすぐのチュートリアルの段階で、この先テンポが速くてハードで面白いステージがあることを示し、ゲームが進むにつれて難易度が上がりどんどん面白くなっていくことを伝えておくのはどうでしょうか。今の時代のユーザーはガマン弱い傾向があるので、最初の方で美味しいところをチラ見せしておくと面白いところまでしっかり遊んでもらえるだろうなと思います。

『スクリューダイブ』 制作チーム:ぽけっとぱれっと

【作品紹介】
深海遺跡をテーマにした3D「ネジ」パズルアクションゲーム!ステージに刺さったねじを回してはびこるタコを落とし、最深部を目指せ!
全ステージをクリアすると…?

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1216

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
インタラクティブサウンドに挑戦しようと思い、ゲーム中の状況に合わせてBGMのパートを増減させたり、SEも複数用意して同じSEが鳴らないように心掛けています。また、BGMとSEの音量バランスにも気を付け、SE同士の音量に差が出ないように工夫したり、はっきり聞こえてほしい瞬間に合わせてBGMが小さくなったりしています。例えば、タコが落ちたときのBGMやゲーム終了時のSEが鳴っている間など、細かい部分にも気を使いました。

サウンドクリエイターとして推したいポイントは、BGMは3人で制作しましたが、曲の間のバランスや雰囲気が違いすぎないように、共通のモチーフを決めて個々で解釈して制作するようにしました。特にワールド1のBGMでは、全曲通してモチーフをちょっとずつ変化させることで、統一感を持たせつつも多様性を表現しました。

【砂守さんの講評(一部抜粋)】
曲やサウンドのバランスは非常に難しく、なかなか正解がないところでもあります。音は重ねれば重ねるほど埋まっていくので、それをユーザーさんの耳にどう届けるかという視点での音量の管理が基本になってきます。ただ、ゲームではどんどんSEが重なりますし、BGMも変わるのでこれが結構難しいんですよね。まず、SE1個1個の音量をしっかり統一して作らなければいけないし、またBGMとSEでいわゆるキー(調性)や音程があるんですけど、そこがズレていると気持ち悪くなったりします。そういった点に気を付けながら制作するのは難しいですが、この作品はよくできているなと思いました。音自体の設計も大切で、例えば、タコが落ちていくときの一番大事なSEや、ポイントを取っていく際の音。これらの音では、ズシーンとした低音とパリーンとした高音が組み合わさっており、その結果、様々な環境で適切に聴こえるようになっています。どちらかが欠けてしまうと、低い音が聞こえてこなかったり、逆に高い音ばかりが占めてしまうとうるさくなってしまいます。この作品ではこれらのバランスが非常に巧みに調整されており、制作の質が高いなと感じました。

『カミゴロシ』 制作チーム:カミゴロシ制作部

【作品紹介】
このゲームは、大正時代を舞台に、「怪異」と呼ばれる謎の存在が起こす怪奇事件解決に奔走する主人公の「とある一夜」を再現した3D探索ゲームです。見えない何かによって街に閉じ込められてしまった主人公たちは脱出を図るが……。

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1403

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
サウンドの制作において、特に苦労した点がありました。作中に登場するタヌキはどう鳴くのか、制作陣はどのように鳴いてほしいだろうかと考える中で、自分の声を活かして制作しました。そこが個人的な推しポイントですね。
また、ゲスト審査員の方に対する質問として、クライアントさんの音のイメージと制作者自身のイメージをすり合わせる際の具体的なアプローチや意識しているポイントについて聞いてみたいです。

【砂守さんの講評(一部抜粋)】
ご質問の点は非常に難しいですね、これは場合によりけりなんです。例えば、先ほどのタヌキの話だと、現実のタヌキの鳴き声を使えばよいかというとこれが実は違ったりする。プロデューサー側と音を作る側、この両者のイメージが違ってしまった場合、どちらに合わせればいいというのは、正解があるようでないんですよね。プロデューサーが言っていることがお客さんから見たら分かりやすかったり、ゲーム表現として正しいこともあれば、音のプロが言うことの方が正しいこともあります。ということで状況次第ではあるのですが、僕個人の経験としては信頼して全面的に任せてもらうということが多かったです。これが常に正解なわけではないですが、スムーズな形の一つではあると思います。もちろん、プロデューサー側が強くてサウンド側がそのイメージを頑張って再現するという形で上手くいってる作品も沢山あります。人間関係次第でしょうか(笑)

『Whale Fall』 制作チーム:FumaYamane

【作品紹介】
『Whale Fall』は、さまざまな海洋生物を操作して、壮大な海の世界を旅する、シングルプレイヤー探索ゲームです。

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/976

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
オーケストラのサウンドが推しポイントです。藝大生を大量に集めて演奏しました。大掛かりで、演奏のクオリティも非常に高いので、オーケストラのサウンドは重厚で、それだけでも聴いていられるようなものになっております。編成は指揮を含めて33人です。
シネマティックな体験を与えるゲームとして新しさをもたらしつつ、もっとゲーム音楽の文法に沿ったものが書ければよかったと反省です。プレイしているところを後ろから見て、ゲームの曲じゃねえなっ思ったんです。ゲームだと期待されて購入される方が多いと思いますので、そういう期待を裏切っちゃうのがちょっと残念で、今から怖いなって思いますね。

【砂守さんの講評(一部抜粋)】
どこがゲームのサウンドになっていないかというところを指摘すると、いわゆる音圧、音量の点でしょうか。オーケストラだとダイナミックレンジが広く、小さい音と大きい音で構成されているんです。音量で表現している。しかしそれは再生環境を選びます。静かな場所でプレイしている人や、ちゃんと音が出る環境でプレイしている人でないと小さい音は聞こえてこないこともあるので、ゲームの音楽は基本的にはレベルを揃えるように調整します。つまり、ダイナミックレンジがあまり広くないようにします。今のデータ的には非常に高品質な環境を前提とした制作になっていますが、個人的にはもう少しダイナミックレンジを小さくして良いのではないかと思いました。とはいえ、もちろん音量の表現は失われてしまうので、この点は悩ましいところですね。この作品はアートの色合いが強いですが、純粋なエンターテインメントの作品でも同じ悩みはあります。ゲームにサウンドを組み込んでみて、いろんな環境で試してみて実地で試すといいかもしれません。

今回取り上げた4作品は「ゲームクリエイター甲子園 2023」の総合大賞にノミネートされます!

ゲスト審査員賞 砂守岳央賞発表!

いそぴー決め手は何でしょうか。

砂守オーケストラで録音しているのはやっぱりこうなるなっていう圧倒的なクオリティの高さ、インタラクティブアートっていう難しいところに挑戦しているところですね。

本内容はこちらからご覧いただけます。

今週のED曲「♪ MINIGAME/47_8工房」

今週のED曲は、47_8工房より「MINIGAME」でした。

 

ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023アフター

今回熱血道場で取り上げられた4作品はゲームクリエイターズギルドEXPO 2023でさまざまな賞を獲得しています! 本当におめでとうございます!

『ComicaRhythm』

コミカリズム設定画集ーコンセプトアート・ムービー部門賞
ComicaRhythm組曲ーサウンド部門賞

『カミゴロシ』

スピーチグラフィックス賞
カミゴロシ_企画書ー2Dコンセプトアート・ムービー特別賞

『スクリューダイブ』

総合賞 佳作、西田悠貴賞、

『Whale Fall』

総合賞 佳作、ゲスト審査員 砂守岳央賞、宮田賞

 

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ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
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