ゲームクリエイター熱血道場 2023 #11|「ユーザーさんを知ることは不可欠」プロデューサー 太田垣沙也子賞を受賞した作品とは【GC甲子園 2023】

ゲームクリエイター熱血道場とは

ゲームクリエイター熱血道場は、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテスト「ゲームクリエイター甲子園」の公式YouTube番組です。2023年のゲームクリエイター熱血道場では、「ゲームクリエイター甲子園 2023」に提出されたゲーム作品の制作者がゲームをプレゼンし、豪華ゲストがその場でプレイ&講評します。

番組内で取り上げた全作品は「ゲームクリエイター甲子園 2023」の総合大賞にノミネート。また番組の後半にはゲスト審査員に最も刺さった作品に、ゲスト審査員賞が授与されます。思わずゲストも唸ったクリエイター渾身の作品をとくとご覧あれ!「ゲームクリエイター熱血道場」は、毎週金曜日21時から配信中!

ゲームクリエイター甲子園公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/gck2023/
作品掲載場所「みんなのゲームパレード」 ▶ https://gameparade.creators-guild.com/

チャンネル登録はこちら!

第11回 出演者紹介

太田垣沙也子

ゲームデベロッパーでの受託開発経験を経て、2015年にバンダイナムコオンラインへ。
IPタイトルを中心としたコンシューマー・モバイル・アーケード・PCゲームのUIデザインおよびリードビジュアルを担当し、現在はプロデューサーとして自社タイトルの海外プロデュース業務に従事。
著書『実践ゲームUIデザイン コンセプト策定から実装のコツまで』(翔泳社)

道場主:宮田 大介

X(旧Twitter)▶ @gcg_miyata

ゲームクリエイター熱血道場の道場主。ゲームクリエイターズギルド主催。ゲーム会社同士のマッチングコミュニティサービスである「ゲームコミューン」や、ゲームクリエイターの相互教育コミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」、ゲームのマーケティング事業等、ゲーム業界を活性化するための新規事業の立ち上げを行っている。

副道場主:いそぴー

ゲームクリエイター熱血道場の副道場主。ソーシャルゲーム黎明期からディレクター、プロデューサーとして数々のIPタイトルを牽引。 現在はゲーム業界専門キャリアコンサルタントとして人材採用、育成に携わる。

ゲスト審査員が選出した4作品をご紹介!

「ゲームクリエイター甲子園 2023」の作品の中からゲスト審査員がピックアップした、審査員賞ノミネート作品はこちら!

『スナックル』 制作チーム:ネコパンチ工場

【作品紹介】
スナックルは、敵を場外にぶっ飛ばして落とすだけの「パンチバトルアクションゲーム」です!
2種類のパンチアクションで敵を爽快にリングアウトKOしよう!

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/1279

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
「スナックル」はゲーム内のUIを意図的に少なくしています。ゲーム制作をされる上で、プレイヤーにやってほしいことを伝える際の考え方や意識して制作していた点などをお聞かせください。

【太田垣さんの講評(一部抜粋)】
ユーザーインターフェイスは、画面上に表示される2Dの要素だけでなく、3Dモデルを通じてもユーザーさんに情報が伝達されるものなんです。ユーザーさんに対する情報伝達は、単なる画面上の表示にとどまらず、3Dモデルが物理的に持つ要素を通じてできることもあります。3Dモデルが果たせる役割をぜひ意識してみてください。

「スナックル」をプレイしていて感じた印象として、特に良かった点は、「これは押せそうだな」とか「これは壊せるだろう」といったアクションが分かりやすく表現されていることですね。これは、専門用語で言うところの”アフォーダンス”と呼ばれるものです。ただ、一つ気になった点があります。具体的には、3色マシュマロの敵を倒す際、最初はだるま落としのようにパンチで落として倒せるのかなと思いました。でも実際は他の敵と同様の倒し方だったので、一段ずつ落としていったら倒せるというところまで検討してみてほしいなと感じました。
可能であれば、テストプレイを色々な方にしてもらって意見を伺ってみましょう!

『PACKING!!』 制作チーム:コンポー研究所

【作品紹介】
「ハコ」を操作してステージ内の敵を「梱包」し、ステージの外へ出荷していく「ちょっと変わった」2Dアクションゲームです。
ステージ内のギミックを攻略し、うまく敵を梱包することがこのゲームのカギになります。

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1601

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
開発で重視したのはプレイヤーのアクションです。プレイヤーが行えるのは箱を出してそれを置くか、投げるかといったアクションに焦点を当て、それ以外の行動はできない前提で開発を進めました。その結果、シンプルでありながらも奥深い動きが生まれたのではないかと思います。
UIやUXはユーザー目線を重視する必要があると思います。その中で、特に意識されているポイントがあればぜひ教えていただきたいです。

【太田垣さんの講評(一部抜粋)】
一番届けたいターゲットをちゃんと見据えて、ユーザーさんを絞ることは大事ですね。開発者として、老若男女、幅広い層に楽しんでもらいたいという気持ちは理解できますが、「選択」と「集中」することが大切なポイントです。どんなに広い層に向けたゲームであっても、メインのユーザー層を明確に絞り込み、そのユーザーさんを知ることが不可欠なんです。そのユーザーさんに関する深い理解を得るためには、インタビューやアンケートの実施が有益ですね。

どうしても作り手としては要素を増やしたくなることがあると思います。しかし『PACKING!!』ではそれをぐっと抑え、既存の要素で幅を広げて段階的な学習につなげていることが優れたバランスになっていると思いますね。さらに、操作ガイドが常に下に表示されていて分かりやすい点も素晴らしいですね! このコンセプトは将来的に世界中のユーザーにも受け入れられやすい感覚のものだと思われるので、海外の言語にも対応すると、どんな言語圏の方でも遊びやすく、親しみやすいだろうと思われます。

『HORIZONTAL MIRROR』 制作チーム:Studio ZeF

【作品紹介】
水位調整×左右反転のミニマルな3Dアクションパズル

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1770

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
とあるUIの要素を作る際に、いくつかの案を出してそれが最後まで残ることがよくあります。最終的にどれを採用するのか、どういう風に決めればいいのでしょうか。

【太田垣さんの講評(一部抜粋)】
プロの現場でもよくある状況ですね。そのような場合、「合議で決めましょう」という選択は、避けた方がいいですね。ゲーム開発では考えることがたくさんあります。自分が一番いいと思う提案を責任をもって言える人が不可欠です。みんなでぬるっと決めたときは目的がブレてしまって、「これは誰がやりたかったんだっけ」と、最後に思わぬ落とし穴になることもあるんですね。どれも優れているように感じる場合は、ディレクターが責任をもって一つの方針を決定することが効果的です。その判断が誤っていたとしても、早期にトライ&エラーを通して修正できる方が、一貫して悩むよりも良い結果を導くことが私の経験上多かったです。

『HORIZONTAL MIRROR』はゲームのメカニクスとビジュアルのハマり方が素晴らしかったので、もしかしてデザイナーさんのアイデアからうまれたものなのかな、と感じました。プレイ中に「おお」と驚く瞬間がありましたね。特に経路探索の実装が優れていて、どこをクリックしても正確に経路が探索されるのが印象的でした。これは開発者目線でも素晴らしい実装だと感じましたね。

『コミックバチコーン!!』 制作チーム:バチコーン編集部

【作品紹介】
大人気マンガ家となったプレイヤーは、原稿を完成させるためマンガの世界から飛び出したキャラクター達をコマへとたたきつけて原稿を完成させるアクションゲーム!!
キャラクターをコマや地面などあらゆるところにたたきつけまくれ!!

《詳細・ゲームダウンロードはこちらから》
みんなのゲームパレード ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1180

【代表制作者のコメント(一部抜粋)】
漫画の世界観を反映させるために、様々な箇所にマンガの要素を散りばめています。ゲーム内のUIでは時間制限を「締め切りまで」と表現して、マンガ風のアレンジにこだわりました。一方で、アウトゲームのUIを管理している中で、ゲームらしさを損なっていないかデザイナーさんとの意見衝突があり、言語化が難しいと感じていました。

【太田垣さんの講評(一部抜粋)】
私が関わってきた現場では、よく「UXライティング」といったキーワードが使われていますね。このゲーム内のテキストが作品の世界観とすごくマッチしていることで、ユーザーさんの没入感が大幅に向上することができています。この『コミックバチコーン!!』では、その効果を意図的に追求されていると感じましたね。

ゲームらしさを失っていないかの言語化は、私もデザイナーとしてのキャリアを積み、開発を通して身につけたスキルです。静止画でデザインすると完璧な1枚絵を作りがちですが、ゲームのUIとして実装すると、操作可能な箇所がどこか一目で分かりづらい、ゲームらしさが足りないといった課題が浮かび上がります。私たちが手掛けるのは広告デザインではなく、ユーザーが介入して操作ができるゲームなので、操作できそうなデザインになっているか、周囲の要素との差別化ができているか、などの視点が必要です。プロの現場でも、丁寧にコミュニケーションをとり、自分の作ったデザインが実装されて使いやすいデザインになっているかを確認し、必要に応じてデザインの修正を行うというのは私も経験があります。

今回取り上げた4作品は「ゲームクリエイター甲子園 2023」の総合大賞にノミネートされます!

ゲスト審査員賞 太田垣沙也子賞発表!

いそぴー決め手は何でしょうか。

太田垣表面上のグラフィッククオリティだけでなく、UXライティングで練り込まれた「人を楽しませるぞ、人に見せるぞ」という意識が特に一番抜けて高い作品だと感じました。そのため、UI・UXの観点から選ばせていただきました。

本内容はこちらからご覧いただけます。

今週のED曲「♪ Round -Q-/ヤニーズ」

今週のED曲は、ヤニーズより「Round -Q-」でした。

ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023アフター

今回熱血道場で取り上げられた4作品はゲームクリエイターズギルドEXPO 2023でさまざまな賞を獲得しています! 本当におめでとうございます!

『スナックル』

総合賞 佳作

『PACKING!!』

10ANTZ賞、f4samurai賞、ガンバリオン賞、サクセス賞

『HORIZONTAL MIRROR』

総合賞 第5位、ゲームパビリオン.jp賞

『コミックバチコーン!!』

総合賞 第2位、PlayStation®賞、中村匡彦賞、太田垣沙也子賞

 

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ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
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