ゲームクリエイター図鑑No.004 矢部良輔 #01 「やってる途中で笑えたらゲームとしては勝利だよ」

「ゲームはおもしろい、ゲームを作ってる人も実はおもしろい」

多種多様な技術を持った人々が集まるゲーム業界。あの魅力的なゲームたちは、どんなゲームクリエイターが生み出しているのか。ベールに包まれた「ゲームクリエイター」の生態を解き明かし、この地に生息する「ゲームクリエイター図鑑」の完成を目指す。その過程として、一部のレポートを公開しよう。

クリエイター図鑑 No.004
インディーゲームを開発している株式会社ガンズターン代表の矢部良輔さん。 @gunsturn_tw
絵しりとりオンラインお絵かきゲームの『イラストチェイナー』はAppStore無料ゲームダウンロードランキングで1位を獲得。何回も作って失敗を繰り返し、それでも趣味で続けたことが実を結んだと話してくれました。

ゲームジャム参加をきっかけに生まれた『イラストチェイナー』

──まずは簡単に、矢部さんの自己紹介をお願いできますでしょうか。

株式会社ガンズターンという会社でゲームを作っています、矢部良輔と申します。『イラストチェイナー』というお絵かきしりとりのアプリが代表作で、その運営を今は頑張っている感じです。会社ではありますが、基本的には私一人なので、インディーゲームクリエイターと名乗ってもいいのかなと個人的には思っています。

 

──いくつもゲームを出していますが、すべて一人で作っているんですか?

いつも協力してくれるデザイナーの方がいます。その方も自分でゲームを作っている方なんですけど、いつも見栄えの部分はお願いしています。基本的なコンセプトやゲームのルールはすべて自分で考えて作っています。

 

──普段はどんなふうにゲームを作っているんですか?

絵しりとりを作った時は、ワンアイデアで1週間でゲームを作る『ゲームジャム』に参加して、無理矢理アイデアをひねり出しました。絵しりとりはコンテストへの参加をモチベーションにして作った感じです。基盤になるところは1週間でほぼ作って、それから1カ月ぐらいかけてアプリストアに出しても遜色のないレベルまで仕上げていきました。

 

──『絵しりとり』のアイデアはどこから生まれたんですか?

昔、嵐さんが出演するバラエティー番組の企画で絵しりとりをやっていて、実家で母親とゲラゲラ笑って見た記憶があったんですね。「これをみんなで遊べたら楽しいだろうな」というのが何となく無意識の中で残っていて、先ほどのコンテストのお題が『つながる』だったので、その2つが自分の中でリンクしました。もともと作りたかったアイデアがちょうどマッチした感じですね。

こちらのUnityroomからゲームジャム参加時の『絵しりとり』が遊べます。

 

──私も遊んでみたのですが、途中でめちゃくちゃになって、最後の人が「ここからどう修正するんだ?」みたいな感じがすごく楽しかったです。

開発者の思いとしては、最後の人は次の人に繋げる必要がないので、多少無理矢理にでも面白いことを考えて書いてくれたら楽しいんじゃないですかね。あまりルールでガチガチに縛って勝負するようなものにしたくなくて、みんなで協力して100%を目指して、やってる途中で笑えたらゲームとしては勝利だよ、というつもりで作っていました。

 

「じゃあ自分で作るか」から誕生した『ゾンビ飛ばし』

──最新作は『ゾンビ飛ばし』です。こちらも誕生のきっかけは何かあったんですか?

これは僕が好きなスマートフォンのゲームが元になっています。2Dの横スクロールの画面で、同じように自転車の男の子を飛ばして障害物に当てて飛距離を稼ぐようなゲームだったんですが、サービス停止になって何年も遊べなかったんです。「じゃあ自分で作るか」と思い、ルールにアレンジを加えて、2Dを3Dにしてみました。

ゲームの遊ぶ部分については思っていた通りのものができました。ですが、ゲームの中に開発者の声が出てくるんですよね。そのアイデアは開発仲間に遊んでもらった時に冗談交じりで出てきたアイデアなんですけど、それを真に受けてそのまま採用してしまったので、ちょっと後悔しています(笑)。

 

──Twitterを拝見しました。独立前はゲーム会社でお仕事をされていたんですね。

はい。もともとずっと入りたい会社に念願かなってキャリアで入ることができたんですけど、1年ぐらいで辞めてしまいました。

 

──それは何か理由があったんですか?

働いている最中にお絵かきしりとりがヒットしちゃったんですよ。どちらかに専念しなければいけないと思って、「辞めさせてください」と上司にお願いしたら、快く送り出してくれたので、そこからはもう独立してやっています。

 

──それまではゲーム業界ではないところで働いていたのですか?

システムエンジニアとして鉄道業界のガッチガチのシステムをいじっていました。2010年ぐらいまでフロッピーディスクを使っていたようなところです。それで「このままではこの業界でしか生きていけなくなる」と不安になって、もともとゲーム作りは趣味でやっていたので、ゲーム業界に転職しました。32歳でゲーム業界に入って現在に至ります。

#01まとめ

自身のキャリアを考え、趣味で続けていたゲーム制作をきっかけにゲーム業界へ足を踏み入れることになる。
働きながらも制作されたゲームは、過去の体験からイメージが膨らみ、形となった。楽しく遊べたらそれでいいんだよという矢部さんの温かいお人柄がゲームに表れている。

ガンズターン 公式サイト

株式会社ガンズターンは、スマートフォンの企画・開発・運営を行っています。「楽しいことにまじめなアプリ」制作を目指し、現在…

 

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