ゲームクリエイター図鑑No.002 藤井トム#01「新卒カードで花屋に就職、どれだけゲームが好きかに気づく」

「ゲームはおもしろい、ゲームを作ってる人も実はおもしろい」

多種多様な技術を持った人々が集まるゲーム業界。あの魅力的なゲームたちは、どんなゲームクリエイターが生み出しているのか。ベールに包まれた「ゲームクリエイター」の生態を解き明かし、この地に生息する「ゲームクリエイター図鑑」の完成を目指す。その過程として、一部のレポートを公開しよう。

 

クリエイター図鑑 No.002
今回、取材に応じてくれたのは、インディーゲーム開発チーム『デスクワークス』代表取締役の藤井トムさん。同級生の南場ナムさんとの二人三脚で、学生の頃に作った作品をブラッシュアップし続け、『RPGタイム!~ライトの伝説~』として世に送り出した。妥協も譲歩もなく、自分たちの信じる道を突き進む熱意は、ゲームクリエイターなら誰しもあこがれ、見習うべきものに違いない。

 

「ゲームを作ることに明け暮れる日々です」

──今日はよろしくお願いします。まずは藤井さんの自己紹介をお願いします。

藤井トムと申します。インディーゲーム開発者として『RPGタイム!~ライトの伝説~』というタイトルを作っておりました。2022年3月のリリースにこぎ着けるまで、同級生の南場ナムと2人が中心となって10年近く作ってきました。趣味も仕事もゲームなので、ゲームを作ることに明け暮れる日々です。よろしくお願いします。

 

──本作の開発に10年を投じる前は、お勤めをされていたんですよね?

はい。プランナーとしてゲーム開発会社に入社して、数年勤める間にリードプランナーやディレクターをやらせていただきました。当時はソーシャルゲームという言葉がなく、アプリゲームやi-modeでゲームを遊んでいた時代です。ニンテンドーDSが鳴り物入りで出てきた時期で、コンシューマーでオリジナルRPGやアクションゲームを作っていました。

 

──もともとプランナー志望でしたか?

専門学校ではプログラム学科を選びました。学校で「そもそもプランナーという役職がない会社もある」みたいなことを言われて、それが衝撃的だったんですよね。だから自分はどのゲーム会社にでも行けるようにと、プログラムを学びました。

でも、心の中ではプランナーになるぞと思っていました。学校でチーム制作をする時は、プランナーとして自分に何ができるか言えた方がいいと思っていました。ですが、学校を出た時には何を思ったのかお花屋さんになりました(笑)。

 

──お花屋さんというのは、販売をやっていたんですか?

朝から花を仕入れて街の花屋さんに届けていました。花屋は朝が早いので、昼とか夕方には仕事が終わるんです。夜に時間があれば、ゲーム会社にいなくても自分の好きなものを作れると思っていたのですが、花屋が楽しくて一生懸命に働いていると夜遅くなってしまい、何も作れなくなっていました。お花は今も好きなんですけど、花屋をやって自分がどれだけゲームを好きなのか本当に分かりました。

 

──最初からゲーム業界に行かなかったのは何か理由があるんですか?

僕が自由にゲームを遊べるようになったのは高校生からで、子供の頃から定番のゲームを自分が遊んでいなかったりして、周りのゲーム好きの人たちにちょっと劣等感を持っていたんです。ゲーム業界には、そういう選ばれた人たちが行くものだと思っていました。実際はそんなことなかったんですけどね(笑)。

「2年で開発して出ていきます」のはずが……。

──ゲーム開発会社にいた頃は、どんな仕事ぶりでしたか?

プランナーとして入社したのですが、企画だから新しいゲームの企画をするわけではなく、スクリプターが会社で足りない状態だったので、これができれば貴重な存在になれると思って「スクリプト、できます」と手を上げました。

自分に仕事がないのは怖いと思ったので、自分で考えて動くようにしていました。「書記をやるので聞かせてください」と呼ばれていないミーティングに出て知識を蓄えたり。

今考えるとちょっとうっとうしいとは思うんですが、それはすごく勉強になりました。グラフィッカーだけのミーティングでは、最初は知らない専門用語が飛び交っていますが、そのうち分かるようになってきて、その結果デザイナーとのやり取りがしやすくなります。

最終的にいろんな人から「藤井に聞いたら知ってるんじゃない?」と言ってもらえるようになれば、仕事がやりやすいんじゃないかと思います。

 

──かなり濃密な会社員生活を過ごしていたんですね。

そうですね。一番最初に来て、一番最後に帰る、みたいな。今ではダメだと思うのですが、当時はまだそれが許される時代でした。会社で除夜の鐘を聞いたり、本当に忙しく開発していましたね。

 

──その後、独立することになります。

2012年のことですね。『RPGタイム!~ライトの伝説~』をどこで作ろうかと考えた時に、東京での一人暮らしは固定費も高いし、鉛筆タッチの絵を延々描いている南場は大阪出身だし、私も学校は大阪だったので、大阪で開発しようと思ってきました。

僕と南場がお世話になっていた学校の先生が大阪でゲーム開発会社をやられていて、「事務所の空いている席で開発してもいいよ」と言ってもらって、お世話になることにしました。

その先生がすごく良い人というのもありますが、学生作品を何千と見る中で『RPGタイム!~ライトの伝説~』の前身となる『バトルクエスト』がずっと頭に残っていたそうです。先生の事務所の一角を借りて開発を始めて、最初は「2年で開発して出ていきます」と言っていましたが、結局8年ぐらい居座っていました。

#01結論

「今考えるとちょっとうっとうしいとは思うんですが」という藤井さんの仕事のやり方を真似るのは大変だが、その姿勢は参考になる。下積み時代にしっかり下積みを経験したことが、その後のクリエイターとしてのキャリアを支える『力』になっている。

『RPGタイム!~ライトの伝説~』公式サイト
©DeskWorks / Aniple

#2記事

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