学生クリエイターにフォーカスしたインタビュー企画!
― 学生クリエイターがどんなことを考えて、何に熱中しているのか。―
今回は会津大学の丹野 浩太郎さんにインタビューを行いました。
来年の春からはとあるゲーム会社で3DCGデザイナーとして活躍する丹野さん。学生時代や就活のお話を伺いました。
方向転換から1か月でゲーム制作
― 自己紹介をお願いします。
丹野:会津大学コンピューター理工学部 4年の、丹野 浩太郎と申します。志望職種は3DCDデザイナーです。
― 学科ではどんなことを勉強するのですか。
丹野:学科では、プログラミングや数学・物理など、あまりゲーム制作には直結しないようなことを学んでいて、サークルでゲーム制作をやっていました。
― どういうサークルですか。
丹野:VR部というVRコンテンツを制作するサークルに入っています。
― どれぐらい作品を作ったんですか。
丹野:ゲーム自体はちゃんとプレイできるところまで作ったのは2作ぐらいです。
― VRゲームですか。
丹野:はい。
― すごいですね。リリースなどはしましたか。
丹野:リリースはしていないですね。ただ「デジゲー博」というVRゲームのコンテストには応募したりはしました。
― 作ったゲームで自分の携わった部分や自信がある部分はどの辺でしたか。
丹野:自分は主に敵キャラクターやプレイヤーが持つ武器の3Dモデルを担当しました。そういう3D作業全般は自分が担当しました。
― デザインは別の人ですか。
丹野:デザインも一応自分ですね。ちゃんとしたイラストを用意して、とかではないのですが、モデリングをしながらこんな感じかな、という感じで進めていました。
― どれぐらいの時間で作ったゲームですか。
丹野:期間としては1か月ちょっとですね。もともと4か月ぐらい期間がありましたが、そのコンテストの1か月ぐらい前に方向性を見直して、全部作り直しということが起きたので、1か月ちょっとぐらいかなと。
― すごいですね。1か月ちょっとぐらいで何とかなるものなんですね。
丹野:何とかなりましたね、不思議と。
― どういうゲームか紹介してもらえますか。チームメンバーにとても助けられました。
丹野:簡単に言うと、前方3方向から敵がどんどん来て、それを剣や銃などの武器で倒していき、制限時間内を生き残ればクリアという簡単なゲームです。
― こだわりポイントのようなものはありますか。
丹野:もともと最初に作っていたのが、360度の神経衰弱みたいな感じでした。そこから思い切り方向転換をして、VRを全力で楽しめるようなアクションゲームにしました。このゲームはアクションを実感できるのが魅力かなと思います。
― 何で神経衰弱をVRにしようと思ったんですか。
丹野:テーマが設けられまして、それがカードでした。自分たちも初めてのゲーム制作だったので、既存のトランプを使った方がスムーズに制作できるのではないかと思って、神経衰弱を選びましたが面白くなくて路線を変えましたね。
― 将来的にはどういうゲームが作りたいですか。
丹野:ファンタジーのゲームが作りたいなと。RPG系のゲームが作りたいと思います。
世界観をイメージしてデザインしていく
― 自分でキャラクターをデザインするときはどういうふうに決めていくんですか。
丹野:アニメや映画などからインスピレーションをもらって作ることは多いです。あとは、最初に世界観や設定を決めていき、その子がどういう世界で暮らしているのかということを考えるようにしています。
(丹野くんの作品:ひとつひとつの設定が丁寧)
― すごいですね、大変ですね。作品作りをしていて楽しいところはどの辺ですか。
丹野:CG作業全般が楽しいですが、ZBrushというソフトを使ってモデルにディテールを足していく作業があるのですが、自分の想像が形として目に見えてくるので特に楽しいです。
― CGを始めたきっかけはなんですか。
丹野:きっかけは大学1年生のときにVR部でゲーム制作をする中で、プログラミングやCG、エフェクトなどを体験しまして、そこでCGが一番楽しいなと思いました。
― わりと最近なんですね。
丹野:そうですね。CGやゲーム制作自体も、入学するまではゲームを作れるとは全然思っていなかったので、ホントに偶然でしたね。
― 大学に入るまでは、別にゲーム会社に入りたいとかは思っていなかったのですか。
丹野:そうですね、入れるとも思ってなかったですし。
― そのときは将来何になりたかったんですか。
丹野:これからの時代を見据えて、IT系のシステムエンジニアとかになれればいいかなと思っていました。
― その部活に入ってから変わったという感じですか。
丹野:そうですね。
― 何か運命的な(笑)。
丹野:ホント、僕たちの学年が入学したときにできた部活だったので、とても運がよかったと思います。
― すごく夢がありますね。部活をやめた後は、他のところに入部はしませんでしたか。
丹野:そうですね、サークルはどこにも入ってなかったですね。あとは個人制作に力を入れて、友達にゲームを作りたいという人がいたので、その子と協力してゲームを作ろうと活動はしていました。
― 完全に個人というか仲間だけでゲームを作ろうみたいな感じだったんですね。
丹野:有難いことに、周りにもゲームを作りたいという同じ志を持った人がいてくれたので、一緒に頑張っていけたとは思います。
CGの道をあきらめかけたとき
― これまでで辛かった話を聞かせてください。
丹野:最初に独学でCGを始めたときは、SNSで作品を投稿していました。そのときに、周りの専門学生や美大生の方々の作品も見ることができ、その実力の差に絶望しました。自分じゃこの人たちと戦えないだろうという感じで、CG作成の道をあきらめかけた時期がありました。その時は、すごく辛かったですね。
― あきらめかけたけど、どうやって戻ってきたんですか。
丹野:いろんな方に相談して、助言を受けましたが、1番大きかったのは、2年生のときに、「面白法人カヤック」さんという会社のインターンに行ったのが大きかったですね。
― そこで何か良い経験を得たんですか。
丹野:はい。そもそもそのインターンに行った目的が、自分がCGデザイナーになれるのかを知りたかったんです。そのカヤックさんで動いているプロジェクトにCGデザイナーとして参加させていただいて、そこでやりがいとか達成感を味わうことができまして、やっぱりCGデザイナーを目指したいというふうに思えるようになったのが、その迷っていた心に決定づけられた経験だったのかなと思います。
― そこで自信も取り戻した感じですか。「俺、いけるかも」みたいな。
丹野:自信まではいかなかったですが、やっぱりやりたいことを目指したいという心は生まれましたね。
― その時に、会社の人から褒められたりとかはありましたか。
丹野:「とにかく君は真面目過ぎる」というふうには言われました。
― 誉めているかどうか、怪しいですね(笑)。それでも、真面目過ぎると聞いて、どう思いましたか。もう真面目やめようかな、とは思いませんでしたか。
丹野:いただいたアドバイスの中にも、もうちょっと遊んで外の世界を知る、ではないですが、そういった経験が後々のゲーム制作や人生観においてもタフな人になれる、といったアドバイスをいただいたので、程良く遊ぶのも大事なんだなと思いました。
自然、剣、魔法
― 1番好きなゲームは何ですか。
丹野:『KINGDOM HEARTS(キングダムハーツ)』が好きですね。壮大なスケールのストーリーや、アクションが好きな方も楽しめるぐらいの爽快なアクションシステムが魅力的です。クリアまで全然飽きることなくプレイしちゃいます。
― 3Dデザイナー的には、どの部分がお気に入りですか。
丹野:『キングダムハーツ』は結構デフォルメされたデザインだと思いますが、最新作の『キングダムハーツⅢ』では細部の質感がちゃんと整っていて、メリハリというかそういう部分はすごいなと思います。
― 最初に遊んだ作品のシリアルナンバーはいつくでしたか。
丹野:最初は従妹のお兄ちゃんの『キングダムハーツⅡ』でしたね。ストーリーが難しすぎましたが、進むにつれてどんどんハマっていきました。
― 他にこのゲームのデザインがめちゃくちゃ好きだと思うゲームはありますか。
丹野:『ファイアーエムブレム』シリーズのデザインはすごく良いなと思いますね。ザ・ファンタジーみたいなデザインがすごく好きですね。
― ファンタジーって広いよね(笑)どういうファンタジーが好きなんだろう。
丹野:王道ですが剣や魔法があって、モンスターやドラゴンが出てくる感じのものです。ワクワクするような世界、というような感じですかね。未来寄りだと機械も含まれてくるかと思いますが、あまり自分はメカメカしいものは好きではないので。
― ゲーム以外で、趣味はありますか。
丹野:ゲーム以外の趣味は、散歩やアニメ視聴、音楽鑑賞とかですね。 中でも今ハマっているものは、アニメ視聴ですね。
― 今まで見た中で1番好きなやつは何ですか。
丹野:『ヒーローアカデミア』ですかね。
― キャラクターは誰が好きなんですか。
丹野:僕はオールマイトですね。
― オールマイトの魅力は。
丹野:ヒロアカ自体が見ているだけでそのキャラクターの背景が分かりますよね。どういうふうな道を歩んできたのかという。そんなヒロアカに出てくるオールマイトが、自分はもう出久くんに今後を託すというような場面で「ワン・フォー・オール」って……分かりますか。
― 分かります。
丹野:最後の力を振り絞って倒したというのが、そのシーンを切り取っただけでもすごく胸が熱すぎるような感じでした。
― あれはすごかったですよね。毎週、ちょっと苦しみながら見ていました。最近は何を見ていますか。
丹野:最近は『かぐや様は告らせたい』ですね。
― どういうところが面白いと思いますか。
丹野:キャラクター自体も可愛いですし、あとは、僕だと思いつかないようなやり取りが、見ていて面白いかなと思います。
つかみ取った3DCGデザイナーへの道
― 内定までのサクセスストーリーがすごいですね(笑)。正直、自分でも順調だなとか思わなかったですか。
丹野:そうですね、4月に内定をいただいたときはびっくりしましたね。
― 全然手ごたえが無かったですか。
丹野:正直、落ちたと思いました。
― ポートフォリオは自信ありましたか。
丹野:ポートフォリオは全部自信作を詰め込んだので、やれることはやったかなという感じで臨みました。ただ面接の時にいろんな質問が来るじゃないですか。それで、自分はゲーム業界で活動できるのかな、というふうに思いました。
― なるほど、そこで思ってしまったんですね。どんな質問がありましたか。
丹野:記憶に残っているのは「こういう職種だと美大生とどういうふうに戦っていこうと思いますか?」みたいな感じの質問がありました。自分自身も美大生に比べたら引け目というか敵うわけがないと思っていたんですよ。
― なんて答えたんですか。
丹野:そのときは、自分は新しい技術への好奇心があるので、学ぶ姿勢はそういう方々には負けないと思いますと、何とか考えて出したんですけれども。
― たぶんそれは正解だと思います(笑)。
丹野:どうでしょう。
― 自分で努力しているところはありますか。
丹野:CG制作自体はずっと独学で頑張ってきまして、2年間で7つのツールを習得し、作品を作ってきたというのは努力できたかなと思います。
― 確かに、それはすごいですよ。これをやっていたから内定をもらえたのかなと自分で思っていることはありますか。
丹野:CGをずっと続けていたことぐらいしかないですが。ずっとやっていて、作品は作っていたので作品数自体は多かったと思います。とあるサイトで、制作物をアップできて、企業さんが気に入ったらコンタクトが取れる仕組みがありまして、そこが今の会社から内定をいただいたきっかけでした。そういった機会で出せるものがあるという状況を作っていたことが大事なのかなと思います。
― 将来はどういうふうになりたいですか。
丹野:自分はまだイラストが全然描けないので、デザインからの制作経験がないです。そのため1から自分でデザインを考えて、CGに起こして、ユーザーさんを感動させられるようなキャラクターを作れるようになれたらいいなと思います。
― 会社に入ってから、仕事をするうえで大事にしていきたいことはなんですか?
丹野:すごく当たり前だとは思いますが、もらった仕事1つ1つに愛情を込めて、1体1体キャラクターをしっかりと作っていきたいです。
― 会社の決め手はどういうところでしたか。
丹野:作っている作品自体もいいなと思いましたし、説明会で聞いた内容全部に惹かれました。あとは、話してくださった人事の方がすごく人あたりの良い方で、そういう全部が当てはまって行きたいなというふうに思いました。
まずは業界に入ること
― 今、就活をしている人にアドバイスは何かありますか。
丹野:いろいろあるとは思うんですが、1番はやっぱりゲーム業界自体に入ることだと思います。望むところに行けたら最高だとは思うんですが、1番長い目で見ると、聞いた話ですが、まだまだゲーム業界自体は転職が多く、色々なキャリアプランが考えられると思うので、まずは業界に入ることが最優先だと思います。
― 自己PRはどんな感じで言いましたか?
丹野:自分がアピールしたところと言えば、自ら進んで学ぶことができることが私の強みです、というふうには言いました。
― あまり長く言わないで、短めな感じですか。
丹野:若干、量はありましたね。1分いくかいかないかぐらいですが。
― その1点を押した感じですか。
丹野:そうですね。1点を押して、どういう背景があって、それをどう乗り越えて、その強みを生かせたのか、みたいな感じで。
― それは自分で考えたんですか。
丹野:もちろんいろんなサイトで自己PRはこう構成したほうが良いよ、ということは調べました。それをどんどん重ねていきました。
― 自分の性格はどういう性格だと思いますか。
丹野:自分は「まじめ」と「好奇心がある」と「心配性」だと思います。
― 心配性ですか。心配性がよく生きたエピソードはありますか。
丹野:心配性のおかげで、就活でも早めに行動しないと間に合わないんじゃないかなってそういう焦りの部分から生まれたエネルギーはありますね。制作においても、就活においても。
迷ったときには辛いほうへ
― 大学を決めた理由は、どういう感じですか。
丹野:パソコンをゲームとかで使っていて、プログラミングはやっていなかったですが、パソコンをいじること自体は楽しいなという風に思っていて、IT系を目指したのもあります。高校の先生に相談したところ「福島県内に会津大という公立の大学があるから、そこがいいんじゃない?」というふうに言われて、行きました。
― めちゃくちゃ深く考えて決定していないような印象ですが、そんな感じですか?
丹野:そんな感じです(笑)。
― それって、自分が合いそうだなという感じで決めていますか。
丹野:そうですね。フィーリングは結構大きいと思いますね。
― 座右の銘ではないですが、こういうのを指標に人生を送っています、みたいなのはありますか。
丹野:「迷った時には辛いほう」というふうにはしていますね。
― え!? 迷ったら楽しいほうじゃないんですか
丹野:極力、辛いほうにはしていますね。辛いというか、大変なほう。辛いではないですね。
― 楽じゃないほう、ということですか。
丹野:はい、そうですね。
― 自らわりと苦労して、苦労を選んで生きてきたってことですか。
丹野:わりかし多いかもしれないですね。
― それはいつからそう思ったんですか。
丹野:小さい頃はサッカーをやっていました。遠征が多く、小さい頃はそういうのに行きたくなかったんです。やっぱり友達と遊んでいたほうが楽しいなとかもありました。でも、サッカー頑張ったほうがいいのかなというのも何となくありまして。あとは、後々、辛いほうに行って失敗したら納得はできると思うんですが、楽なほうに行って何か失敗してしまうと、後悔のほうが大きいんじゃないかなというふうに思ってて。
― それはいつからですか。
丹野:もちろん小さいときはこんな大それた考えはなくて、何となくやっていましたが、そういうふうに考えられるようになったのは、大学に入ってからですかね。何となくから、そういう考えを持てたのは。
― ご両親の影響とかですか。
丹野:すごく良い親だなというのは今でも思いますね。自分はバイトを今していないんですが、バイトする時間があったら、自分がやりたい勉強とかに充ててくれたほうが親としては嬉しいよ、と背中を押してくれていたので、そういうふうに言ってくれたのは有難かったなと思います。
― 感動しました。
丹野:ホントに有難いですね。両親には、感謝しています。
― これから時間があって遊べるので、海外旅行とかも行ってほしいですね。
丹野:行きたいですね。
― どこに行きたいですか。
丹野:ずっと思っていたのが「ウユニ塩湖」があるボリビアに行きたいって思っていたんです。
― ぜひぜひ行ってみてくださいね! 沢山お話してくれてありがとうございました!
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