人を雇うには金がかかる。しかし金を生み出すのも人である。この言葉から生まれたシミュレーションゲーム『人は金成り』インタビュー

『人は金成り』インタビュー

今回は、毛ナカガワさんに『人は金成り』についてお聞きしました。「人を雇うには金がかかる。しかし金を生み出すのも人である。」この言葉から15年をかけて完成した本作。どのような経緯で開発が始まり、進んでいったのかをお聞きしました。ご覧ください。

『人は金成り』について

このゲームは、施設を建設して人を働かせることでお金を稼ぎ、資産を増やしいくゲームです。
ゲーム終了時点で、最も資産の多いプレイヤーの勝ちとなります。

〇イベント
ターンの開始時に必ず発生します。
お金や人を得たり、建設した施設を破壊されたり、様々な種類があります。
中には施設をアップグレードし、高い利益を上げるために役立つものもあります。

〇施設1
施設は、人を働かせることで利益を上げます。
利益率は、施設によってまちまちです。
利益率は低くても、特殊な効果を持つ施設もあります。

〇施設2
研究所は、利益を上げませんがゲーム終了時に、資産として計上される「研究データ」を生成します。
研究データの所持数だけは、他のプレイヤーには見えることがありません。
他のプレイヤーには資産が少ないように見せかけて、実は・・・なんてことが可能です。

〇政策
他のプレイヤーに直接干渉することができます。
他プレイヤーから人やお金を奪ったり、他プレイヤーからの干渉を防いだりできます。
他にもイベントの効果を高めたり、施設の価値を上げたり、研究データを生成するものもあります。

政策の良し悪しが勝敗を決めるといって過言ではないでしょう。
ただし、政策を購入するにはまぁまぁの金額が必要です。

■開発チームについて

●チームの紹介をお願いします。
基本的には私、中川和也の一人チームです。
企画とプログラム担当です。デザインとサウンドも少しだけやることがあります。

●チームは何人くらいですか。
本作の開発は、デザイナ6名、サウンドコンポーザー1名、テスター4名、その他1名が参加しています。

●また、どのようにして集まったのでしょうか。
基本的には知人や友人に参加してもらっていますが、本作ではSKIMAで依頼に応募して下さった方々にも参加して頂きました。
また、サウンドコンポーザーの石岡広大氏は、友人から紹介して頂きました。

●ゲーム業界の経験はありますか?
私は以前、ゲーム会社に勤めていました。
パッケージデザイン等を担当して頂いたeldenka氏は、そのときからの繋がりで今も仲良くして頂いております。

■開発について

●『人は金成り』開発のきっかけについておしえてください。

現在開発中の次作が本命で、本命のゲームを作る前にオンライン対戦ができる小さめのゲームを作りたいと考えていました。
そこで、昔書いた企画を掘り起こして出てきたのが本作となります。

本作の素案を書いたのは15年以上前になります。
「人を雇うには金がかかる。しかし金を生み出すのも人である。」
が、ゲームのコンセプトですが、どういうきっかけでこの一文を書いたのかは、全く記憶にございません(苦笑)

開発を開始したのはコロナの真っ只中で、状況に応じて人の価値が変わるということを改めて実感したことや、(没になりましたが)政治の社会風刺的なことを取り入れたら面白いんじゃないかと考え、いくつかの候補の中から本作を選びました。

●開発で苦労されたところは?
間違いなく、ネットワーク通信処理ですね。

開発当初はMLAPIというネットワークライブラリを使っていたのですが・・・
開発途中にMLAPIがインターネット上から完全になくなったため、仕方なくNetcodeに移行しました。
しかし、後から調べたところNetcodeはTCPに対応していないことが分かり、仕方なくMirrorに移行しました。
Steam版はMirrorを使っていますが、Nintendo Switch版はまた色々とあり・・・結局、計3回ネットワーク通信処理を改造したことになります。

●完成までどのくらいの期間を想定していましたか?
1年4カ月程を想定していました。

●実際にかかった期間はどうでしょう?
約2年6カ月でしょうか。。。
上述の通り、ネットワーク通信に想定以上の時間がかかりました。
開発に時間を割けなかった期間を除いたとしても、2年を超えています。。。

●ゲームエンジンは使っていますか?
Unityを使っています。

■ゲームについて

●本作のおすすめのポイントを教えてください。
マルチプレイですね。
友人が苦労して建設/発展させたであろう施設を即買収したり、労働者を1度に48人奪ったりしたときの友人の反応は最高です(笑)

●労働力の確保が重要な要素になっていますね。
はい、ご認識の通りです。
「人は金成り」というタイトルの通り、労働者を確保しないとお金が稼げず資産を増やすことが出来ません。

「人は金成り」というタイトルは、素案を作り始めた時点から決まっていました。
一時期、心証を考慮してタイトルを変更することも検討したのですが・・・
状況によって人の価値が変わる。人にフォーカスしたゲームなので、結果そのままのタイトルとなりました。

●初心者向けに攻略のヒントをいただけないでしょうか
「研究所」を建設することです。
いわゆるヘソクリが作れ、他プレイヤーに資産が少ないように見せかけることが出来ます。
対人、対コンピュータともに有効な手段です。

●本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)
Nintendo Switch版は11/30まで39%オフで販売しています。

■最後に

●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします
本作の素案を書いたのは、ちょうどゲーム会社を辞めるくらいの時期でした。
当時は任天堂のゲーム機で世に出すなんて、露ほども考えていませんでした。
しかし、15年の歳月を経てNintendo Switchでリリースすることが出来ました。

挫折したとしても腐らずに続けていたら、いつか想像もしない形でやりたかったことが叶うかもしれません。学生の皆さんには、何があっても腐らずに好きなことを続けて欲しいと思っています。

私がここまでゲーム開発を続けてこれたのは、様々なゲームソフトや開発者の方々から刺激をもらっていたからです。
ゲーム開発に関わる全ての方に感謝しております。ありがとうございます。

また、開発に携わってくださった方々には、この場を借りて改めて感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

●ありがとうございました。

 

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