『原枝恚子さん怪死事件』インタビュー
今回は、「sur」さんに『原枝恚子さん怪死事件』の開発についてお聞きしました。インパクトのあるタイトル名や他のホラーゲームと異なり未解決事件のような不気味さのある本作がどのように生まれたのか、お聞きしました。
『原枝恚子さん怪死事件』について
1999年 9月12日、午後8時に原枝恚子(はらえだ けいこ)さんが自室内で倒れ、遺体となっている所が発見された事件。
警察は事件性はないと断定し捜査を打ち切ったが、不可解な点が多く残り、遺族は今でも情報提供を呼び掛けている。
このビデオについて
本映像は、事件発生翌年の12月に、ご遺族宛に届いた送り主不明のビデオテープに収録されていたものです。
多くの不審点があるものの、事件との関連を示唆する映像であり、少しでも事件の手がかりを得ようとご遺族の方が公開を決断したものになります。
■開発チームについて
●チームの紹介をお願いします。
surという名義で主にホラーゲームを開発しています。
ゲームとは全く関係ない学部に通う現役大学生で、ゲーム製作は趣味兼バイト代わりの収入源といった感じです。
●チームは何人くらいですか。
一人で製作を行っています。最近はアセットやAIを簡単に使えるので、モチベーションさえ続けば意外と何とかなります。
●ゲーム業界の経験はありますか?
ゲーム製作に関する勉強は独学で行ってきましたので業界の経験はありません。また将来的にもゲーム業界への就職はあまり考えておりません。
■開発について
●『原枝恚子さん怪死事件』開発のきっかけについておしえてください。
ワサビと唐辛子の辛さが異なるように、恐怖と一口に言っても様々な種類があります。
近年の怪談や映像作品では、現実とフィクションという創作の大前提を巧みに取り扱って恐怖感を演出しているものが多く、非常に感銘を受けておりました。
一方でホラーゲームは体験がフィクションである故か、驚きを与えることに特化したものが多かったので、現実に侵食する恐怖感を備えたゲームを作ってみたいと考えたことが開発のきっかけです。
●開発で苦労されたところは?
ゲームは映像や音楽、脚本などさまざまな創作物の塊だと言う事もできますが、それらをすべて一人で制作するのは非常に骨が折れます。
また、本作はあえて操作性を悪くしたり不自然な間をとったりしているのですが、それが災いして想定したよりもデバッグやテストプレイに時間がかかりました。
●完成までどのくらいの期間を想定していましたか?
短時間で完成させなければいけない事情があったので、1ヶ月ほどを想定していました。
●実際にかかった期間はどうでしょう?
当初予定していたよりも時間はかかりました。
前述したようにデバッグに時間がかかったこともあり、製作には1ヶ月半ほど要したと思います。
●ゲームエンジンは使っていますか?
Unreal Engine 5を使用しております。
■ゲームについて
●本作のおすすめのポイントを教えてください。
とにかく不気味な雰囲気の演出に特化した点です。
ジャンプスケアによる驚きに近い恐怖ではなく、尾を引くような気味の悪い恐怖を求める方には特におすすめできます。
その副作用といいますか、だいぶ尖った形式のホラーゲームにはなったと思います、もはやゲームというよりは映像作品に近いかもしれません。
ですが、近年のホラー作品の流れをかなり汲んだ作品となっているので、ホラーコンテンツが本当に好きな人には絶対に刺さると思います。
余談としては、あまり大きい声では言えないのですが、ゲーム内で言及されたもの以外にも人間では認識できない仕掛けがいくつか含まれています。そういった点も相まって、無意識的にもなんとなくヤバそうな雰囲気を味わうことが出来ると思います。
●『原枝恚子さん怪死事件』というタイトルはものすごいインパクトがあります。どうやって思い付いたのでしょう?
ネット上の都市伝説や未解決事件は検索の便宜上、簡略化した通称を付与されて広まる事が多いのですが、そのようなワードが纏う無機質かつ不気味な雰囲気を再現しようと考え、このようなタイトルとしました。
ゲーム名のインパクトで興味を持っていただく人も多かったようで、うれしい限りです。
●原枝恚子さんとは何者だったのでしょう
どこにでもいる普通の人だったそうです。
「事実は小説より奇なり」と言いますが、現実では何も悪いことをしていない人が悲惨な事件に巻き込まれることもあるように、ある意味では怪談よりも余程恐ろしいものだと痛感しております。
理不尽な出来事であったからこそ募る恚恨もあったのでしょう。
●警察が撮影した実際の写真こわい
ちょっと不謹慎すぎるかなとも思ったのですが、蓋を開けてみると怖いと好評(?)だったので、前半の文章パートの良いアクセントになったかなと思います。
●本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)
とくに本作への要素の追加は行わないと思います。
今後につきましては、新作のドキュメンタリーホラーを制作中でございます。本作のような不穏な雰囲気は残しつつも、ゲームとして操作できる利点を更に活かした作品の予定ですので、是非ご期待ください。
■最後に
●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。
私も学生なのですが、自分の創作物を発表することはかなり恐ろしいですし、ましてやそれで生きていく勇気はなかなか抱けません。
ですので、そのような目標に向けて努力することの出来る皆さんは、本当に強い方々なのだろうと尊敬しております。
意見や批判を言うだけなら誰にでも出来ます。そこから一歩踏み出すことの出来る皆さんは、それだけで本当に凄いと思います。陰ながら応援しております、頑張ってください!
●ありがとうございました。
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