『徹夜報告書 | Midnight Report』インタビュー
ホラーゲーム『徹夜報告書 | Midnight Report』インタビューをお届けします。みんなのゲームパレードにも登録されている本作。ホラーとレポート制作の板挟みになる主人公の運命はどうなるか……実体験に基づいて開発された本作について見ていきましょう。
『徹夜報告書』について
ストーリーのあらすじ / Synopsis
何かに焦っている主人公によると、レポート課題提出前夜とのことである。
「引っ越したてなんだ、まだほとんどの段ボールが未開封でさ、、」
引っ越しのことを担当教員に説明していたとしても、この焦り様なら単なる計画不足なのではないかと、誰もが容易に疑えよう。
しかし、その真実は彼または、彼を本当に知る者にしかわからない。
「もっと早くから取り組むべきだった…」
こんなことを提出前夜に悔いても仕方のない彼は、徹夜のレポート課題へと踏み込むことになるが、…
■開発について
●『徹夜報告書』開発のきっかけについておしえてください。
まず『徹夜報告書』開発の根本となる、ホラーゲーム制作を始めたきっかけというものが3つあります。
1つ目は元々ゲーム制作に興味があったこと、2つ目は自作WindowsPCがゲームエンジンを動かせるスペックをもっていると気づいたこと、3つ目はホラーゲームに興味があったことです。当時はスマホや家庭用ゲーム機で『青鬼』や『ルイージマンション2,3』、『Dead by Daylight』といったホラーゲームをプレイしていました。
その後、WindowsPCを自作したことでWindows対応のゲームも遊べるようになり、『バイオハザード』シリーズや『P.T.』、『SIREN』といった作品から恐怖演出の技術力に感銘を受けることになります。さらに、その頃話題だった『影廊』やChilla’s Artさんの作品が個人制作であることにとても衝撃を受けました。
「自分でも作れるかも…」。そうして始めたホラーゲーム制作ですが、プランニングには自信がなく単純にホラーから攻めてもありきたりな雰囲気になりそうだと考えていました。そこで、誰もが経験していそうな日常にある苦痛を恐怖として表現してみてはどうかと。
その結果、最近で一番辛かった「夜通しでの実験レポート作成」を題材にしようと思い立ち、『徹夜報告書』の開発に着手することになります。
●開発チームは何人くらいでしたか。
チームとしては私1人となります。デバッガ(バグの検知のみ)として学校の友達が数人います。
●また、どのようにして集まったのでしょうか。
●開発で苦労されたところは?
①学業・他の課外活動との両立
開発中にも実験レポートを書いたり、部活の大会準備を進めたり、学業成績の維持に努めていました。また受験を控えているため、それまでにプレイアブルな形でゲームを公開するにはコンスタントに開発を進める必要がありました。
②バグの修正
本作はランダム性が強くテストケースが膨大であるため、ホワイトボックステストに加えて複数のデバッガによるブラックボックステストも実施しました。バグの検出・修正に数ヶ月を要しましたが、リリース後にもバグの報告をいただき現在もデバッグに取り組んでいます。
③長期戦
私の場合、プログラミングやモデリング、プランニング、レベルデザインまで全ての工程を1人で担当していたので、明らかに全体としての進行が遅かったです。そのため、モチベーションやメンタルの管理が難しかったですね。結果的には、制作開始からSteamリリースまで1年2ヶ月ほどの期間を単身でひたすら走り続けていたことになりますが、SNSでの応援や他ゲーム制作者様から得たモチベーションが無ければ途中でリタイアしていたかもしれません。ただ、1人だと色々融通の利くところも多いので、そこの辺りはトレードオフといったところでしょうか。
●ゲームエンジンは使っていますか?
はい。本作ではUnreal Engine4を採用しています。グラフィカルな3Dゲーム制作のハードルが低く、ブループリントシステムで素早く開発が進められるところにアドバンテージを感じました。
■ゲームについて
●本作のおすすめのポイントを教えてください。
やはり一番は、苦い思い出であろうレポート(課題)提出を回想させるコンセプトですね。苦い思い出が引き立てる恐怖とゲーム内の恐怖演出によって、さらなるホラー体験を楽しむことができます。
さらに、アクション要素としてオブジェクトの位置やマップ構造がランダムに変化することで、プレイヤーはプレイの度に新鮮な体験を味わうことができます。
また、ゲーム内のほとんどのアセットを自作することで、独自の世界観を生み出しているところも本作の大事なこだわりの一つです。
●徹夜のレポート作成は実体験なのでしょうか?
はい。実際、提出前日の朝9時から当日の朝4時ごろまでぶっ通しでレポートを書いていた時がありました。焦燥感に駆られながらも無我夢中で書き続けたことを覚えています。書いている時は集中していて気付かないのですが、間違いなく疲労は堆積していくので気を抜いたタイミングでどっと疲れますね。さらに朝起きた時も強い眠気と疲労感が襲ってきます。さすがに今ではスケジューリングを徹底して、徹夜レポートにならないように対策を練っています。
できる限り徹夜は避けるべきです。本作にはそういった教訓の意味も込められています。本作が少しでもレポートに取り組む学生さん達の参考になれば嬉しく思います。
また、徹夜とは夜を徹して何かに取り組むことであり、睡眠を取らないことを指すわけではないので、私の実体験も踏まえて「完徹報告書」ではなく「徹夜報告書」という曖昧さを含んだタイトルにしています。
●野田の存在が心強いですね。
そうですね(笑)。野田は「足掻」チャプターで登場するキャラクターで狩猟用狙撃銃を携えています。また一部の敵に対して自動で撃退行動を行うことができるので、とても心強い味方となっています。彼も主人公同様ワケアリな事情を抱えており、地下室から行動を共にします。彼の詳細は今後のチャプターで判明するかと思いますが、野田にはさらに細かなストーリーがあります。特別に一つお話ししますと、野田の携える狙撃銃、あれは野田のものではないんです。いろんな方々の配信を覗かせていただくと、「心強そうだけど、撃つのが遅い。本当に当たってる?」「リロード先にしておいてほしい」等のコメントが見受けられます。これはストーリーに基づく仕様の動作で、あえて撃つ前にリロードをさせ、弾の命中率もまちまちにしています。消防士でガタイも良いが銃の扱いはぎこちなさがある。ここが後の野田ストーリーに関わってきます。
●本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)
本作はβ版アーリーアクセスとなっています。完成版では全てのチャプターが実装され、ストーリーが完結します。今後は完成版に向けて開発を進めてまいります。完成版への移行について、詳細は未定ですがSteamストアページに記載の通り価格は多少上がる可能性があります。ただ、既に購入されている方はアップデートという形でご提供する予定です。
セールでは、本作の主なジャンルである「ホラー」に関連するセールイベントでお目にかかるかもしれません!不定期で週ごとのセールを行うこともあります。最新の情報は私のTwitterやSteamの掲示板等でご確認いただけます。
■会社(開発チーム)について
●チームの紹介をお願いします。
チーム名は、むつむつプロジェクト(Mutsu’pro)と申します。本チームでは「その恐怖のイミ」をモットーにしながら、ホラーゲーム開発を行っています。GC甲子園には2021年から参加させていただいております。現役の学生であるため開発進度は遅くなりがちですが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
●この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。
これからゲームの開発に挑戦する方々には、是非「楽しんでもらいたい」「よかったなと思える体験を提供したい」、ホラーゲームであれば「満足してもらえるような恐怖体験を提供したい」といったゲーム開発をする目的をしっかりと持っておいてほしいです!
ゲーム開発は始めたてが一番挫折しやすいと言われています。実際、私も徹夜報告書の開発初期の頃は、実装の方法がわからずエラーだらけで心が折れかけた時もありました。開発途中も「これで本当に怖いのか?」「満足できるのか?」とゲームの方向性に迷うことも多々ありました。徹夜報告書をリリースできたのも、成し遂げたい目的があったからだと思っています。
また、ゲーム開発は小さな挑戦の積み重ねだと思っています。まず小規模のゲームを作ってみて、完成したら次は少し大きなゲームの開発に挑戦してみる。そうして経験やスキルを積み上げていくことで、理想のゲームを作れるようになっていくと思います!
私からは以上です。ありがとうございました。
●ありがとうございました。
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