【イベレポ Vol.2】『ゲーム業界から行き場を失った若手サウンドクリエイターが音楽業界でレアスキル習得してカムバックして無双して独立する話。』クリエイターヒストリア#6

クリエイターヒストリアとは

クリエイターヒストリアとは、ゲーム業界でお仕事をしているデザイナー、プランナー、エンジニアなどのクリエイター向けに、キャリアデザインをテーマに実施するセミナーイベントです。 業界で成功を納めているクリエイターは、今までどのようにキャリアを積んできたのでしょうか… 現在に至るまでの努力や道のり、人生の転機等その歴史に迫っていきます。

『ゲーム業界から行き場を失った若手サウンドクリエイターが音楽業界でレアスキル習得してカムバックして無双して独立する話。」
クリエイターヒストリア#6
Game Creators Guild(ゲームクリエイターズギルド)主催。
第6回は、「『戦国無双』シリーズ」「討鬼伝」や「ポケモンマスターズ EX」など、多くの名作に関わったサウンドプロデューサー、中條 謙自さんをゲストにお招きし、クリエイターとしての人生観を語っていただきました!

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ありっさ
ありっさ
長い鍛練期を続けた中條さんの爽快な活躍が始まる後半パート!盛り上がっていきましょうー!

3度目の入社…!?

不安とやりがい。どちらも感じながらフリーでの仕事をこなしていく中條さん。
そんな中、コーエーテクモゲームズ(旧光栄)時代の先輩の結婚式に誘われ、出席。そこで元同僚に「人足りないので戻ってきませんか?」と誘われる。
まだまだ未熟者だと感じながらも、PS2が出たばかりということもあり、新しいことにどんどんチャレンジしていけそうな環境がゲーム業界には整っていると感じ、願書を提出。書類審査、作品審査を通過し、面接も通過し、最後に社長さんと対面した時はびっくりされたそう。

中條氏

「お久しぶりです」という感じでしたね(笑)。無事に3度目の入社を果たすことができました。入社祝いを3回もしてもらったのは会社史上多分僕だけですね(笑)。

宮田氏

3回(笑)。そしてびっくりしたんですが、正面突破したんですね!

中條氏

あ、そうですね。他の方法が思いつかなかったので…(笑)。

この頃には音楽業界への後ろめたい思いや迷いは消え、サウンドの持つマルチな側面とゲーム業界が得意とするインタラクティブ性を組み合わせて展開していくことに対してのワクワク感のみが残っていた。
インタラクティブ要素は当時音楽にも映画業界にもない要素だったので、自分の力を試し、伸ばしていくには良い環境だと感じたそう。

再入社後、早速取り掛かったのは『真・三國無双2』の作曲。本作からスタジオでミックスする方針となった為、音楽業界で学んだ知識をゲーム業界に持ち込んで制作。

宮田氏

あ、だから1と2の間で結構音楽の違いが明確に感じられたんですね。行軍 -ARENA-とかって今でも人気が高く、僕も記憶に残っている曲です。

中條氏

あ、そう言ってもらえるのはありがたいです!ゲーム業界一発屋って多分僕だけじゃないですかね(笑)。

宮田氏

誰が聞いても良い曲だな、と感じられるようなサウンドが多かったと思います。手応えは感じられましたか?

中條氏

いやー、実はその時代から入ってくる新人が音大で音楽理論をしっかり学んできたような子達で、パソコンもきちんと使えるので確実に格上だと感じていました(笑)。作曲では勝てないな、と。

なので、僕は作曲に没頭する作業からは遠ざかって、ディレクションに集中することにしました。

宮田氏

現場を離れることに対して葛藤とかはなかったんですか?

中條氏

なかったですね。PS2のおかげで様々なサウンド表現が可能になったので、いろいろな挑戦をしたいと考えていました。

Xboxの『紅の海』ではドルビーデジタル技術を使ったサラウンド表現をやりたい!と思い挑戦しました。映画を見て後ろのチャンネルだけオンにしたり、海外の文献を読んでみたり、ドルビー社に問い合わせて色々サポートしてもらったり…奮闘していました。

インタラクティブミュージックにも挑戦していました。ゲームってプレーヤーのアクション次第で結末が変わるので、リアルタイムで音楽を変える必要が出てくるんですよ。最初は落ち着いたテンポだけど、盛り上がってきたらテンポを変えたり。

宮田氏

なるほど。ディレクターとして色々な挑戦を率先された感じですかね。

中條氏

そうですね。あ、それとプロデューサーを説得して、勉強して、問い合わせして…を繰り返している内に業界仲間が増えていました。ドルビーさんとか特にゲーム業界の尖った仲間を集めた飲み会とかを開催してくれたので、色々な人と出会えました。

あの人に見られるんだから、妥協したものは作れない!という意識的な部分にも貢献しましたね。

 

宮田氏

仲間に見られている状況ってすごい張り合いが出ますよね!質問なのですが、今まではあまり業界を横断するような繋がりは持っていなかったということですか?だけど、今回復帰していろいろなチャレンジをしていく中で一緒に頑張る仲間ができた感じですか?

中條氏

そうですね。予算があると外注しちゃうんですが、まだ予算があまりなく、自分なりに考えてやってみる段階だったので、それも重なって色々な人と一緒に頑張れたのは良い経験、良い繋がりになったと思います。

キャベツが効果音に?

 

宮田氏

この写真についても触れていきましょうか!ズバリ、これらは何ですか?

映画業界で様々な小物を使って効果音を作り出す手法が活用されていることを知った中條さん。ゲームにもそれを活用してみよう!と思い立った。当時はゲームのサウンドでこの手法を取り入れている作品は少なかった。

スーパーで販売されているキャベツは外側を剥いでいるので、その残骸をもらえないか相談。キャベツをマイクの近くでこすって、ミシミシ言わせて、録音したものを1~2オクターブ下げると擦れる皮膚の音に聞こえる。
右上の写真はスコップとパイプを固定するようなもの。これは鎧のガシャガシャという音に聞こえる!
右下は様々な素材の足場。ホームセンターから大量に調達してきて、ガタガタ響かせることで様々な足音を録音できた。

こちらは和楽器を演奏している写真群。

2000年代に『戦国無双』シリーズの担当ディレクターをしていた時に、海外プレーヤーへの訴求も視野に入れる意識が業界全体に広まっていた。

『戦国無双』は日本の良さを押し出す作品だと感じ、和楽器の本物の響きをプレーヤーに届けることを決意。上司に相談したら『信長の野望』シリーズで尺八奏者を招いて録音したことがあると言われ、繋いでもらう。和楽器を扱ったこともないから監修も含めて相談したい、と連絡した所快く承諾してもらえ、社内スタジオまで来ていただいて、譜面や作曲を見て細かにアドバイスをもらえた。

最初の一曲が出来上がるまではかなり時間がかかったが、沢山アドバイスや意見をもらえたお陰でアクションの疾走感と和楽器の和の表現を組み合わせた作品を世に出すことに成功。その他、様々な楽器、収録の経験を積むことができたので、今も他の会社さんから和楽器の収録を頼まれることもあるそう。

中條氏

業界の外の人と仕事するのってすごく良い経験だと思います。全く違う世界が見えてきますよ。他にも外部の劇伴作曲家さんと仕事したりもしていました。

周りを巻き込みながらサウンドディレクターとして奔走!

外部だけでなく、社内でも奔走する中條さん。
エンジニアさんとサウンド部分の実装について相談するため、開発部署によく散歩しに行っていたそう。中條さんが言うには、エンジニアとサウンドは真逆の感覚を持ち合わせていることが多い。

例えば、盛り上がるシーンで音楽のボリュームを上げたい、となった時にエンジニアの方は条件を教えてくれないと実装できない、と返す。どうなったら、どうして欲しいのか伝えると組んでくれるので、それを考える過程が必要となる

そこで例えば無双系で敵がいっぱい出てくるゲームなら、プレーヤーの半径◯メートル以内の敵の数をカウントできるか聞いた所、「できる」と返ってきたので規定範囲内の敵の数が増えれば増えるほど音楽のボリュームが上がるように調整してもらった。他にも、武器を振っている時にボタンが押されている頻度をトラッキングすることで白熱したバトルをサウンドで演出したり、カメラを寄せたり、角度を変えている動作を確認した場合サウンドと連携させるようにしたり…対話を重ねていく中で様々な情報を得て、サウンドの可能性を広げた

クリエイション以外ではマネージャーとして組織管理もし、『討鬼伝』に関わった後は現場を離れて管理職として専念するのだろうな…と自分の中で腹落ちしていた。クリエイターとして独立するためには「効果音クリエイター」を名乗るしかないけど、作曲と違いあまり名前を出すような仕事ではないので、難しいだろうとも考えていたそう。

そんな中、どうやったら作品にベストなサウンドを予算効率よく生み出せるか?と考えるように。考えを深める内に、マネージャーとして管理する組織は自分で作った方が良いのでは、という結論に至る。

どうせやるなら、と覚悟を決め、ATTIC INC. 設立を決意。

理想の組織設立!

 

中條氏

僕が理想の組織として考えるのは、プロジェクト毎にその都度、ベストなメンバー編成で挑むこと。サラリーマン編成の組織だと実現が難しいので、僕が外に出て、そういう組織を作っちゃおう!と決めました。

個人で活動しているクリエイターさんは得意・不得意がはっきりとしているので、中條さんがコーディネーターとして合間に入ることで、作品に取ってもクリエイターに取っても良い環境作り創作しやすい環境作りができると見込んだ。

その他、共同経営者が外国人コーディネートを専門的に磨いてきた人だったので、国内で外国人アーティストの起用もできるという武器を獲得。2人のスキルを組み合わせた相乗効果で独立プランを計画、約半年で設立。

中條氏

プロデューサー業務はスタートするまでの仕事が主。構成、予算、スケジュールを決めるなど。みんなが自分の立場を守って良いものを作っている場合は、僕は黙っていた方が良いものが誕生するので、そうですね…スタジオの隅でお弁当を注文する係とかをやっています。

宮田氏

お弁当って意外とモチベに影響出ますよね(笑)。

中條氏

そうなんですよ!600円のお弁当なんて出された日にはその後のモチベに関わりますからね。今半弁当とかは評判良かったですね。

それ以外でも、例えばレコーディング現場にあるソフトのデータが作れない、みたいな事件があった場合は僕が拾って、対処して、戻しています。効果音デザイナーとして参加することもありますね。制作上のあらゆる隙間を僕がジェネラリストとして埋めています

 

 

宮田氏

専門性の高い人がいっぱいいる音楽業界の中で勝つ1つの方法ですかね。そんな感じでやってきて、ATTIC INC.も、もう8年。

中條氏

そうですね。そういえば立ち上げてみて思ったのですが、会社ってどう辞めれば良いのですかね(笑)。中々手を離れていかず…。まあでも、今楽しいので良いか(笑)!全部責任取れるって大事で、クライアントさんとミーティングした時も全部その場で決められます。何か失敗しても自分で挽回できる。自分で責任取れた方が僕はやりやすいので、今楽しく仕事しています。

 

宮田氏

逆に他の人に責任取ってもらうと申し訳ない…という感じですかね。それではこのまま質問パートに入っていこうと思います!

ありっさ
ありっさ
他業界で学んできた知見を活かしたり、自分で様々な所から情報を得て自分のやりたいことへ挑戦してきた中條さん。ついには独立して、自分の理想の組織を立ち上げ、今も良いサウンドを作るために奮闘しています!最後に中條さんに色々質問する会を設けたのですが、途中から会員限定エクストラコンテンツに移行するので、別記事にしたいと思います。

おまけコンテンツも楽しみたい方は是非、次の記事へ!そして、LINEにご登録ください!おまけのアフタートークセッションはLINE登録者限定の内容となっているので、そちらからアーカイブ、そして記事のパスワードを獲得してください!

また、次回のクリエイターヒストリアにも是非ご参加ください!次回は7月29日開催予定、「かまいたちの夜」、「弟切草」、「街」、「トルネコの大冒険〜不思議なダンジョン〜」などの有名タイトルを生み出してきたサウンドノベルの父、麻野一哉さんを招待してのイベントとなります!現在参加者募集中なので、こちらからご応募ください!

つづく!
もう少しだけ続くよ

登壇者ご紹介♪

■中條 謙自(なかじょう けんじ)
株式会社ATTIC INC. 代表取締役/サウンドプロデューサー

株式会社コーエーテクモゲームス出身。ゲーム制作におけるサウンドの総責任者=サウンドディレクターとして『戦国無双』シリーズ、『討鬼伝』をはじめ、数々のヒットタイトルを歴任。
これまで何度も修羅場を潜り抜けたことでサウンドデザイナー・レコーディングエンジニアとして経験とスキルを身につけ、音楽制作、効果音制作、音声制作、TVCMやプロモーション映像MAなどを手掛ける究極のジェネラリストとなる。特に日本を舞台にしたアクションゲーム制作経験は豊富であり、和の世界観表現、3D空間サウンドデザインについて多くのノウハウやアイデアを持ち併せている。
また、業界に先駆けてサラウンド制作、フォーリー録音、インタラクティブ演出を採り入れるなど、新しい挑戦が大好きであり、その過程を楽しみながら確実に成果を出して行くポジティブ精神の持ち主。他、CEDEC、AES、Avid Creative Summitなど各種カンファレンスにおける登壇実績や、各媒体における取材実績なども多く持つ。ATTIC INC.設立後はアーティスト活動も開始し、コンサートやイベントへ積極的に関わっている。

▼Twitter
https://twitter.com/ken2_japan

■宮田 大介(みやた だいすけ)
株式会社オルトプラス ゲームアライアンス事業執行役員/ゲームクリエイターズギルド主催
大学卒業後、在学中にお世話になった職人の元へ弟子入り、鉄材があれば何でも作れる職人のものづくりをネットビジネスの視点から支援。
設立間もないオルトプラスにフロントエンジニアリング兼なんでも屋として参画。プランニング部部長、第二ゲーム事業部の事業部長等を経て、オルトプラスもマザーズ、東証一部上場と成長。その後、日中韓での3拠点でのゲーム新規開発プロデュースや韓国支社の立ち上げメンバー、高知にてSHIFT社とのジョイントベンチャーの立ち上げなど、諸国を放浪する。
現在は、ゲームアライアンス事業を設立。ゲーム会社同士のマッチングコミュニティサービスである「ゲームコミューン」やゲームクリエイターの相互教育コミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」、ゲームのマーケティング事業等、ゲーム業界を活性化するための新規事業の立ち上げを行っている。
▼ゲームコミューン
https://www.gamecommune.jp/
▼ゲームクリエイターズギルド
https://game.creators-guild.com/
▼Twitter
https://twitter.com/gcg_miyata

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Game Creators Guildとは

ゲームクリエイターが生涯現役でいられる世界を目指して、
ノウハウ還流の場やクリエイター同士のコミュニケーション機会など、
クリエイターの生涯活躍を支援する活動をしています。
会社の垣根を越えて、業界全体が協力してクリエイター育成が出来る
仕組みづくりを日々模索しています。
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