🐎インフィニットループ初のSwitchタイトル「ソリティ馬 Ride On!」がついに登場!
ILにしては珍しく純粋なクライアント開発業務となりました。
サーバーの会社と思われがちですが、色々なチャレンジを行っております!
是非みなさん、遊んでみて下さい! https://t.co/4vc4PsjcOH— 株式会社インフィニットループ (@iloop_sapporo) February 22, 2024
「ゲームはおもしろい、ゲームを作ってる人も実はおもしろい」
多種多様な技術を持った人々が集まるゲーム業界。あの魅力的なゲームたちは、どんなゲームクリエイターが生み出しているのか。ベールに包まれた「ゲームクリエイター」の生態を解き明かし、この地に生息する「ゲームクリエイター図鑑」の完成を目指す。その過程として、一部のレポートを公開しよう。※今回は、ゲームクリエイターズギルドの宮田も参加し、意見交換をしています。
クリエイター図鑑 No.006
今回、お話をお聞きしたのはインフィニットループ代表の小野真弘氏。副社長として同社を長年にわたり支えてきた小野氏は2023年8月に代表取締役社長に就任。
自身の体験を交えながら、同社の理念である「地方からの技術発信」「最先端の最後尾を独走する」についてとても熱のあるお話を聞くことができました。また、インフィニットループは北海道札幌市、宮城県仙台市にグループ会社を持ち、高い技術とゆるい社風が特長となっています。そんな同社の様子をご覧ください。
黎明期のインフィニットループ
──今日はよろしくお願いします。自己紹介をお願いします。
株式会社インフィニットループ(以下IL)の代表取締役社長の小野です。
ILは今年で17年目になりますが、ソーシャルゲームが世間で流行った、一番最初の頃からゲーム開発に関わっています。創業して数年はウェブ制作会社でしたが『ブラウザ三国志』というタイトルに関わって、Web系エンジニアもゲーム開発に関わることができるという楽しみを得たわけです。そこからバックエンド、今はサーバーサイドという言い方をしてますけど、Web APIでのやりとりを中心に端末間で通信することでデータ取得やセキュリティ担保など、そんな領域を主にやっているような会社です。
──小野さんは17年前からILにおられるのですか?
私は実は後からILに参画していて、正確な年数は忘れてしまったんですが、2010年くらいだったような気がしてます。
──ソーシャルゲームがそろそろ盛り上がってきてる時期ですね。
『ブラウザ三国志』のころですね。私、出身は札幌ですが新卒から10年近く東京で過ごし、UターンしてILに参加したという流れですね。東京生活の最後の方では、自分で小さく起業していたこともあり、最初はILに対してパートナー企業として参加していました。
──開発に協力するパートナー企業という形での参加だったのですね。
私の東京での最後の仕事が某テレビ局のゲーム開発でした。一方でUターンで地元に戻るのは最初から決めていたんですね。札幌に戻ってきて、仕事どうしようかなって思って、ゲーム会社のサイトを検索して上から順に問い合わせて一番初めに連絡をもらったのが当時社長の松井からだったんですよね。
──普通に応募されたのですね。昔からのお知り合いなのかと思っていました。
全然知り合いとかではなく、面接のときに初めて会ったんですよ。東京の仕事がテレビ局のブラウザゲーム開発だったのもあって面談は5分そこそこで終わって「じゃあ明日から」みたいな内容でした(笑)。当時ILは10人くらいで手が足りなくて忙しい時期でした。ソーシャルゲームの波が来ていて、ゲーム開発経験のある人であれば採用みたいな時期だったんですよね。
──2010年ぐらいは黎明期で人も必要になっていく時期ですね。そこからずっと札幌で仕事をされているわけですね。
パートナーとしてプログラマーでILに参加して、プロジェクトリーダーとかも経験して二年ぐらいした頃に松井から「そろそろ一緒に中の人として本格的にどうですか?」って何度か言っていただいてたんですよね。で、当時それをネタ……ネタっていうか社交辞令かなって思っていたので「そうですよね~それいいっすね~~」って軽く返事してあんまり聞いてなくて(笑)
──(笑)
後日、社交辞令ではないということが判明しました。で、そこから真剣に考えますとなり、ありがたいことに副社長として迎えていただきました。
──副社長になられたわけですね。
そのころILは40人いかないぐらいの人数で受託業務がベースでした。その中で副社長として自分のミッションを考えると本当に必要なのかなってちょっと悩みましたけど、それでもご一緒させていただけるということで、ぜひお願いしますと返事をさせていただき入社することになりました。
会社を大きくするというミッション
──副社長として何をすべきかをちょっと悩まれたとのことでしたが、業務としては何をされていたのでしょう?
当時、プロジェクトの受託と言ってもワンラインをまるごと受託するというよりはサーバーサイドのみを引き受ける形が多かったです。それらが複数本稼働していたので俯瞰してマネジメントすること、そして経営面で会社を回すのが最初に着手したことでした。
──人や資金といったところですね
少しずつ慣れてきてからは採用に関わったりとか、札幌市内への営業活動もはじめました。札幌ゲーム界隈あるあるですが、ハドソンという歴史と実績が大きく存在しており、これを知らなかった私は当初戸惑いながら学んでいき学びでもありました。
──札幌は元ハドソンかどうかって話題は結構出ますよね。挨拶代わりみたいなものですよね。小野さんは東京で働かれていましたが、学校も東京だったのですか。
学生までは北海道ですね。社会人になった時に東京に出てるんですが、情報系の学校も出ておらず最初はまったくの異業種でいわゆる理系方面の研究職でした。プライベートではMMOにどっぷりハマる時期もあり昼夜逆転も当たり前な時期もありました。当時のプログラミングスキルといえばほぼなくて、レポートや報告書のためにWordやExcelを少々という感じでした。
──そこからプログラムを勉強したのですね
まず当時「これからはさすがにIT業界だろう」と強く感じていたのを覚えています。転職してからも最初はプログラミングの基礎の基礎と言いますか、自分が何が分からないのかが分からない状態からスタートし、どうにかこうにか覚えました。だから当時は周囲の方々には大変なご迷惑をおかけしましたし、毎日遅くまで学習にお付き合いいただけた方もいらして本当に感謝しています。
──ちなみにMMOは何をプレイしていたのですか?
ハマったMMOは『マスターオブエピック』です。前身であるResonanceAgeのβテストから参加していました。後日知りましたがこのタイトルは開発元がハドソンでした。初の国産MMOだったと記憶しています。今でも元ハドソンの方と話をすると、「それ、作ってたよ」という方と出会えるのが楽しいですね。
──異業種からの転職でいわゆるゲーム専門学校を出て就職というキャリアではないんですね。
私の世代だと、子供の頃からパソコンに触れていた人たちは一定数いるし、その頃からずっとプログラムをされてたっていう方がエンジニアになるケースも多いと思います。私の場合はそのルートではなかったので、後から追い上げる形になりましたね。
──家にPCがあってキーボードに慣れているかどうかで結構違いがありますね。
タイピングは『特打』で練習してました。ホームポジションとは、というレベルから(笑)
──ソースネクストのソフトとかですね。懐かしい。話を戻しますが、副社長になって採用を進めていったわけですね
第4期~第8期にかけてスタッフが急激に増えた時期があります。現在はトータルで170名ほどです。振り返ると私がパートナー企業として参加した時は10名ちょっと、副社長になった時は30名ほどだったので、自分のミッションに会社を大きくすることを加えました。仕事が人を呼び、人が増えるから仕事もついてくるといったサイクルで100名超えまで一気にいきました。
──50~60人採用してる感じですね。毎月面談して、採用していたのでは?
そうなんですよ。受け入れ事務を担当してくれたスタッフからも毎月入社手続きが発生するのは本当に大変だったと聞いてます。
──そうですよね。札幌でそれだけの採用をするのも難しかったのでは?
当時は、時代のタイミングもあったと思います。Webが流行っていて特にRuby on Railsなどが筆頭でした。本屋にもとにかくWeb技術書籍が増え始めた時期だったと記憶しています。私たちはあくまでもWeb技術だけでゲーム業界に挑んだ立場だったこともあり、コンシューマーゲーム業界の採用と直接かぶることは少なかったことも功を奏しました。
ゲーム開発事業に挑むにあたりクライアント側でDirectXベースだったり、C#やC++などの言語ではなくあえてサーバーサイド領域でPHPを選んだのも意図的です。今でこそだいぶ様子は変わりましたが当時のPHPは参入障壁が低いとされ、経験者の母数は多いと見込んでいました。Ruby on Railsをベースにしたり、他のちょっと難しい関数型言語を採用すると採用とは相性が悪いだろうなと。
──間口を広くしたことが成功したわけですね。定期面談も担当されたのですか?
人事考課の面談は私が一人でほぼやってる時期が長くて、当時社長の松井と一緒にやることもありましたが後半時期は110何人ぐらいまでは私一人で面談を実施した時期がありました。いつまで経っても終わらない(笑)三ヶ月ぐらい経ってるけどまだ面談をやってる、といった状況になってましたね。
──終わらない面談(笑)応募も多かったようですが、いわゆる人材募集の媒体にも展開されていたのでしょうか?
媒体に出したりとかはなかったですね。自社ホームページとTwitter(現X)、あとは口コミですね。全国的にもコミュニティの活気があった時代なこともあり、札幌でも様々なコミュニティがあり、そこで拡がっていきました。あと、ゲームって刺さりやすいワードでもあって、それこそ業務系システム開発をされている方々に「ゲームをやってみない?」と伝えやすかったのもあると思います。
──採用活動に力を入れられているということで、業務の一つであるサーバーサイドの話も教えてください。
ILは、ソーシャルゲームからゲーム開発に参入したこともあり大規模・高負荷の対応が得意になりました。要はサーバーダウンさせない。ダウンしてしまっても速攻で立て直す、といった具合です。今はクラウドサーバーが高スペックになってきたのでさばくために職人芸が必要というケースも落ち着いてはきましたが、当時のソーシャルゲームは『ブラウザ三国志』もそうなんですけど、CMが流れるとバズる・いきなりはねるんですよね。それに耐えられる設計と実装をすることが自分たちのウリになっていましたし、偏ったサーバーサイド集団というブランディングをすることで他社さんからも「サーバーサイドといえばILさんだよね」と少しずつ言ってもらえるようになりましたね。それは、今でも言われますし、逆にサーバーサイドしかできないって思われるデメリットもあるんですけど。
──急増するアクセスにも耐えられる技術をウリにしてブランド化していったのですね。他の業務もされているのですか?
最近はグループ会社が増え、プランナーやデザイナー、Unityエンジニアが揃っています。札幌・新宿にpixyda社があり80名超えで活動、仙台にピコラ社があり30名ほどで活動しています。グループとしてワンラインを受託できる体制で臨むのが最近の流れです。VR事業などもあるとはいえ、やはりとはいえやはりゲーム開発が主軸にあります。なのでILはゲームが作りたいとか、Web技術で自分の腕を磨きたいとか、そういった方にはピッタリな会社だと思います。
──レスポンスも、業務系だと少しくらい利用者も待ってくれるけどゲームは全然待ってくれないので、速さが求められると聞きますね。
しかも24時間365日止められない、もちろん何時から何時という計画的なメンテナンスはありますが、予定にない緊急メンテナンスを繰り返してしまうといわゆる「詫び石」対応につながってしまい、通常パフォーマンス以外の負担も発生するためにどんどん追い込まれるため要求レベルは低くないと思います(笑)
──運営中のタイトルも結構あると思うのですが、仕事めちゃくちゃ増えていくんじゃないですか。
増えています。人が足りないです。ありがたいことにサーバーサイドに偏らせてきたためか、通信を伴うゲームが当たり前になってきている昨今ではたくさんのお話をいただいています。リッチ傾向にある最近のゲームは開発規模も大きく、当然通信が入ってくるんですよね。それで、お声掛けいただいています。
もちろんもっと頑張るつもりです。受託と一口に言ってももっとすごい会社さんもあって。目指す方向性の一つだと思ったりするんですけど、これからもサーバーサイド一辺倒でいくかというと、それには限らずILのブランドというものを立ち上げていけたらと松井と一緒に考えていますね。
──それは自社タイトルということですか?
はい、ただゲームの自社タイトルとは限らなくて、最近では生成系もありますし、その他の道もWeb出身だからこそできることがまだまだあると考えています。「最先端の最後尾を独走する」というビジョンは何にでも飛びつけばいいという意味ではなく、自分たちだからこそできる最先端を求めるという意図です。
株式会社インフィニットループはVR/AR/MR・Webシステム・スマートフォンアプリ・ゲーム開発を行う、北海道札幌市・宮…
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