世界が変わった! 大規模開発におけるリモートモブワークの導入事例|CEDEC2022レポ

CEDEC2022が8月23日~25日に開催されました。
楽屋でまったりで行ったアンケートをもとに、様々なセッションのレポートをお送りいたします。
今回は大規模開発におけるリモート環境でのスクラム開発についてのセッションをご紹介いたします。

エンジニアさんだけではなく、リモート環境でのモブワーク(一緒に働くこと)が気になる方必見です!

大規模開発におけるリモートモブワークの導入事例

セッション内容

本セッションではまず、大規模開発におけるリモートモブワーク導入の前提となる、リモート下でのスクラムフレームワークの導入の事例を紹介します。

そしてスクラムの本質はコミュニケーションであることに着目しつつ、1日1時間のリモートモブワークを実際に導入してみた経緯や内容、得られた効果、発生した問題、改善事例や変遷を具体的に紹介していきます。

受講スキル エンジニア専門的な話は少なめにしています。

  1. アジャイル的な開発に興味をもっている方、または実践している方。
  2. モブワークを試してみたいと思っている方。
  3. リモートワークでのコミュニケーション不足にお悩みの方。

得られる知見 「モブワークやってみたい!」と思っていただければ幸いです。

  1. リモートモブワークの実際の導入事例を知れること。
  2. 1日1時間なら実践の敷居は低いこと。
  3. 実践によってコミュニケーション不足が大幅に改善できること。

モブワークとは

 

モブワークとは同じ場所で同じ時間に3人以上で一緒に働くことを指し、ドライバーとナビゲータという役割があるそう。モブワークで期待されることとして、学び・情報共有が必要な作業に向いているため、全員で共有するメリットが感じられるそう。

ドライバー──操作して入力する人、一定時間で交代
ナビゲータ──ドライバー以外の人、ドライバーをフォローする人

大規模開発について

縦割りのセクション構成が多いゲーム開発。アーティスト・ゲームデザイナー・エンジニアと大きく3つに分かれ、その中に背景班やUIなどの役割がある。しかし、実際にゲームを作るときはセクションを横断することの方が多い。

今回のセッションでは、バトルのゲームデザイナーとゲームエンジニア 合計12名のメンバーでバトル班を構成していくお話。ほかのセクションで関わる方々はレビュー会くらいで繋がる程度を想定されています。

バトル班を構成した理由

以前はプレイヤー班とエネミー班で独立して作業していたが、バトルでお互いにの成果物を合わせた際に問題が多発したとのこと。プレイヤーの性能が良すぎたり、雑魚なのに強すぎたり、嚙み合わない技をお互いの班で作っていたこともあり、バトルの調整にとても時間が掛かってしまったそうです。そこで、もっと綿密なコミュニケーションを図るため、バトル班として構成したとのこと。

バトル班のスクラム

1週間スプリントで行い、デイリースクラムをメンバーが一番揃いやすい時間帯の夕方に設定、夕会は30分以内に終わる想定とのこと。毎週金曜のレビュー会はZoomのURLをバトル班以外の全チームに公開して出入り自由な状態にされたそうです。午前中にモブワークを1時間設定し、リモート環境で行われたとのこと。
リモート開発環境 主なツールの紹介
  • VPN接続が前提
  • Slackが主な伝達手段
  • Whiteboards for Confluenceでタスクボードを再現
  • Zoomでスプリントレビュー会
  • Visual StudioのLive Share機能でモブワーク

 

菊池さん
実は、リモート環境になる前はメール文化だったんです。
それがチャット文化になって、これはいい変化だと感じています。ただ、リモート環境だと担当外の作業の雰囲気が全くつかめなくなりましたね。

リモートモブワークの実践

導入した目的や経緯

  • 情報共有がしたい
  • 後輩を育てたい
  • 属人化を軽減したい
  • モブワークがどんなものか試したかった!

 

実践方法の紹介

  • 毎朝11時から60分間の1スプリント
    • 11:00 開始~今日の内容を決める(プランニング)
      • アイスブレイクを兼ねた雑談
      • 作業の相談~ドライバーの決定
    • 11:10 作業開始(コーディング)
      • ドライバーの画面をZoomで共有する
      • ドライバーの交代はなし、ナビゲータは質問やアドバイス
    • 11:50 今日のふりかえり~終了(ふりかえり)
      • YWT(やったこと/わかったこと/つぎやること)
  • 金曜日に1週間のふりかえり

なぜ1日に1時間だけ?
菊池さん
とにかくやってみよう! 1時間だけでもやってみませんかというところから始まりました。全員がほかに作業を抱えているのでガッツリやるのは難しいため1日1時間の開催でした。
1時間で終わらなかった場合は、次の日までに作業を行ってもらい、確認するという流れでした。
コードの組み方や考え方を高速に共有でき、個々のデイリーワークにも整理がつく発見があったとのこと。レビューしながら実装している感じがあったそうで楽しくお仕事ができたそうです。

改善内容の紹介

作業枠を分割してドライバー交代を実現
  • 毎朝11時から60分間の1スプリントまたは30分×2スプリント
    • 11:00 開始~今日の内容を決める(プランニング)
    • 11:05 作業開始(45分)|作業開始B1(20分)
    • 11:25         |レビュー
    • 11:30         |作業開始B2(20分
    • 11:50 今日のふりかえり~終了(ふりかえり)
2ヶ月目くらいにLive Shareをやってみる
  • 毎朝11時から60分間の1スプリント
    • 11:00 開始~今日の内容を決める(プランニング)
    • 11:05 作業開始(15分でドライバー交代
    • 11:20 ドライバー交代
    • 11:35 ドライバー交代
    • 11:50 今日のふりかえり~終了(またはドライバー交代)
    • 12:05 延長枠(最大12:30まで)
  • Live Share導入でドライバー交代が可能
    • 世界が少し変わった
    • モブワーク感が増した
    • 作業時間の延長が増えてきた
菊池さん
僕が聞いた話では「今はドライバーという言い方はしないよ」と。なぜかと言うと、ドライバーが主導になりがちだから今は<タイピスト>って言うんだよって聞いたんです。
モブワークという意味では<ドライバー>でいいんじゃないかなって僕は思ったりします。モブタイピングなら<タイピスト>かな。
ドライバーが勝手に考えて打ち込むことを禁止!
  • 毎朝11時から60分間の1スプリント
    • 11:00 開始~昨日発生した事案について相談
    • 11:10 今日の内容を決めドライバーをランダムに決め作業開始
    • 11:25 ドライバー交代
    • 11:40 ドライバー交代
    • 11:55 今日のふりかえり~終了(またはドライバー交代
    • 12:10 延長枠(最大12:55まで)

 

Live Share導入

菊池さん

メンバー3人とも環境が違う。自分の環境でモブワークができる。リアルでやると1つのマウスやキーボードを回してやるけど、それだと自分の環境じゃないから難しいなと思うことがありましたが、リモートでやることによって自分の慣れ親しんだ環境で出来るのは作業効率としてもいいですね。
ほかメンバーのカーソル位置も分かるので、どこをコピーしてというのも分かりやすいです。

導入した結果

  • ドライバー交代が可能になった
  • コピペなどフォローできるようになった
  • タイプミスをこっそり直してあげられる
  • モブワークをやってる実感が増した!

 

ドライバーが説明する状況を作る

ドライバーが勝手に入力すると……

  • ナビゲータはドライバーの思考を共有できなくなる
  • ナビゲータは何をやっているか理解するのに時間が掛かる
  • 入力されたものが共有できていない状態になる

特に自分の経験値が高い(得意分野の)場合は要注意!

  • 自分が打ち込んだ方が速いが…
  • 率先してドライバーをすると陥りやすい
  • 情報共有に大きな差異が生まれる

  • 自分の思考をきちんと説明してナビゲートしないと進まない状態を作る
  • 経験値が浅いドライバーにおいて得るものが多くなることに期待
  • 最終的にチームの底上げにつながる

モブワークに対しての集中度が数段上がり、1~2時間で終了するか休憩するのがポイントだそう。

まとめ

 

菊池さん
少人数でも短時間でもいいので、一度やってみませんか!

質疑応答

ドライバーはどれくらい自分で考えて動いていいのでしょうか。
菊池さん
考えて動くことは制限はしていなくて、必ず考えたことは言葉に出すということは徹底していました。
一応、同意できないと先には進めないという形はゆるくとっていました。
 自分で打ち込みたくなると思うんですがそういうときもナビゲータは口頭での説明にこだわるべきでしょうか。
菊池さん
ナビゲータは基本的には打ち込まない、ですね。
ドライバーに打ってもらうというのは徹底しています。もどかしい場面も出てくると思うんですが、そこを徹底しないとモブワークにならないですね。

ご登壇者

菊池 桂司さん

株式会社スクウェア・エニックス
第一開発事業本部 ディビジョン4

<講演者プロフィール>

1995年入社、当時はプランナー、現在はプログラマー、2017年に認定スクラムマスターを取得。
主な作品、アインハンダー(エネミー及びエフェクト担当)、パラサイト・イヴ2(エフェクト監督)、キングダムハーツシリーズ(プレイヤー&バトル・開発進行)。
得意分野、ゲームプログラム、スケジュールマネージメント、駄洒落。

<受講者へのメッセージ>

明日から前向きに「やってみよう!」と思えるような講演ができれば幸いです。

 

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