音ゲーxRPGを追求する高校生クリエイター、二瓶朝渉さん
今年もゲームクリエイター甲子園の時期がやってきました!
今年再チャレンジを検討している学生さんはもちろん、今年から参加しようか悩んでいる学生さんに向けて…昨年GCGの宮田さんが「宮田賞」に選出した『BEAT H!TS』制作者の二瓶朝渉さんのインタビューをお届けしたいと思います!
※インタビューは2021年2月実地のものです。ご了承ください。
宮田賞とは?
もう少し宮田さん本人に詳しく聞いてみましょう!宮田賞、どんな感じでしたか?
今回、宮田賞は物凄く悩んだんですよね。
トクシン研究所の『ボルカノン』も審査を忘れてゲームプレイに熱中しましたし、ksg製作所の『KARAGE』は初回のバージョンから日々進化して成長型コンテストにふさわしい作品でした。『バブルパフ』の世界観やデ
ザインも非常に高く、挙げていくとキリがないくらい素晴らしい作品が多かったです。
宮田さん色々なゲームを遊んでいましたよね!昨年は様々な系統のエントリー作品があり、面白かったですよね。悩まれた中、宮田賞はどのように選出されたのですか?
ゲームクリエイターズギルドの宮田として、ゲームクリエイターの活躍範囲や、可能性を広げていくことを大事にしています。その点から、今回は普段ゲームを熱心にプレイする層以外にもファンが広がっていきそうな作品を軸に選定しました。
なるほど…。カジュアル層にも楽しんでもらえる作品、ということですかね。
『BEAT H!TS』は、全体の世界観や表現が統一されていて、ボクセルアートのキャラクターもかわいいので、
人気が出たらコンテンツ単体でグッズ化とかもしやすいですね。
音ゲーとしての敷居も高すぎず、初見でもプレイしやすかったです。かつ、練度が高くない状態でもプレイしても楽しく、見てても楽しい。スペシャルノーツでの回避表現も発明だなと思いました。
普段ゲームをやらない層にも、音楽や見た目のポップさをフックにして楽しんでもらえそうだと考えての決断です。
グッズ化なども視野に入れていたんですね!確かに世界観がポップで可愛らしいのでグッズになっても手に取りやすいかもしれませんね!そんな『BEAT H!TS』ですが、制作者二瓶さんにも話を聞いてみましょう!
何度目かのチャレンジでついに成功!長年のアイデアをついに披露!
―本日はインタビューに応じていただきありがとうございます!まずは簡単な自己紹介をお願いできますか?
二瓶さん:戸塚高等学校2年、二瓶朝渉です。ゲームクリエイターを目指しています。
―高校…!
―甲子園にはどういった経緯で応募してくれたのですか?
二瓶さん:ゲームが元々好きで、小学校の時に色々構想をノート等にメモっていました。そこから、自分でゲームを作ってみたいと思うようになり、中学校の時から何度かUnityにチャレンジしていたのですが、目の前に広がるC#の意味が全然分からなくて、3回程挫折していたのですよね。
でも、今回またチャレンジしてみよう!と思い立って、取り組んでみたら今回は意外とすんなり理解できたので、前々から暖めていた「音ゲーxRPG」の構想でゲーム制作を始めてみました。制作を進めていた時に、たまたまTwitterで甲子園応募のツイートを見かけて、せっかくなら応募してみよう!と思い制作スピードを上げ、無事に応募できましたね。
―追い上げ制作して甲子園応募…ありがとうございます!チーム名の「三度目のUnity」の回収も早速できましたね(笑)。Unityは独学…ゲームを初めて作る、となるとRPGツクール等も検討されたと思うのですがUnityにこだわった理由は何かあるのですか?
二瓶さん:そうですね、Unityは独学です。教本を買ってきたり、ネットでソースコードを上げてくれている人たちを参考にしながら、自分で書いていました。
僕はRPGを作りたいというよりは、色々なゲームを作れるようになりたいと思っていて。今回は最初の挑戦としてRPGを制作しましたが、簡単に制作できるようなツールだと捻ったことはできないかな、と考えました。Unityは奥深さもあるし、C#の勉強にもなると思い、今後挑戦できる選択肢が広がると見込んで選びましたね。
―なるほど!今後の学習や、やりたい事を見越しての判断だったのですね。最初の挑戦として選んだ「音楽」x「RPG」というジャンルですが、今回制作した『BEAT H!TS』は簡単に説明すると、どういったゲームなのですか?
音ゲーxRPGの追求、はじめの一歩
二瓶さん:『BEAT H!TS』は従来の音ゲー通り、ノーツが流れてくるので、それに対応するボタンをタイミングよく押すと、判定のタイミングで攻撃が繰り出されるので、敵にダメージを与えていく…というゲームになります。
―なるほど!ジャンルの言葉通りのゲームですね。
二瓶さん:はい(笑)。実は、次回作も作り始めています。『BEAT H!TS』はジャンル的にはまだまだ完成系からは遠いと思っているのと、プログラム面でも色々な課題が見つかったので、それらを回収して、ブラッシュアップしていって、音ゲーxRPGのジャンルを追求していきたいと思います。
―音ゲーxRPGというジャンルにこだわっているのですね!
二瓶さん:ジャンルはこだわっていますね。ざっと調べてみた感じ、このジャンルを確立させた人は今の所まだいないので、先駆者として、好きな分野でもあるので確立してみたいと思います。
―パッと浮かぶのだと『ネクロダンサー』がありますが、あれはローグライクなので、少しジャンルは違いますね。
二瓶さん:『ネクロダンサー』は本当に衝撃を受けたゲームの一つです。僕も自分の作った音ゲーxRPGゲームでプレイヤーに衝撃を与えたいです。
―カッコ良い…!先ほど触れていた「課題」という点においては、プログラムに納得いかない部分があるのですか?
二瓶さん:まず前提として、僕、音ゲーが好きなので、音ゲーとしての判定部分はズレがないように極限まで調整したと思っています。でも、すごくこだわった分、コードがちょっと複雑になってしまって…。処理は重いし、コードの視認性もかなり低く、自分ですら判別できないコードになっちゃったのですよね…。
例えば、オブジェクト指向とクラス設計があまり理解できず、構造をうまく捉えることができないまま制作してしまったので、各スクリプトの依存関係が非常に強く、ぐちゃぐちゃな処理をするコードになってしまいました。他にも、繰り返し法文を多用しすぎて、フレームレートがゲームの割には下がりすぎちゃったな、と。
―話を聞いている限り、課題点は沢山見つかったようですが、初めての制作でここまで冷静に分析できるのもすごいと思います。
二瓶さん:ネットでソースコードを調べていた時に、皆さん本当に綺麗で見えやすいコードを上げていたので、自分のを省みた時に、ぐちゃぐちゃだな…まだまだだな…と気付けたのはありますね。
でも、どんな形であれ、ゲームを一つ完成できたのは嬉しいです。
―中学の時から何回かチャレンジした上での成功ですものね。おめでとうございます!選んだジャンル、判定のズレがないように工夫した点等から音ゲーが好き、というのは伺えるのですが一番好きな音ゲーは何になりますか?
二瓶さん:Beatmania IIDXが大好きです!音質とシビアな判定が魅力だと思っています。アーケードの音ゲーなので、サウンド面の作り込みがすごくて、ただ曲を聴くためだけにでもプレイする価値があると思うので、ゲームセンターに入り浸っています(笑)。
音で人を惹きつけるのに、判定はかなりシビアなのですよね。難しくて、だからこそやりごたえがあるので、何度も繰り返しプレイしたくなるゲームです。
―その魅力の一つである判定のシビアさを自作にも取り込んだ、という感じですか?
二瓶さん:そうですね。判定の正確さはかなりリスペクトしています。でも、ボタン押しのタイミングのズレ許容範囲は緩くしています。Beatmaniaは20年前からの産物なので、判定の厳しさが今のプレイヤーニーズにあまり合っていないと感じるのですよね。今のプレイヤーはちょっと緩い判定を求めているので、そちらに合わせて調整しました。
―現役音ゲープレイヤーなだけあって、ニーズの分析もできているのですね!Beatmaniaが、今も尚一部のファンに根強く支持されている事を考えると、とてもよくできたゲームなのでしょう。因みに、音ゲーを追求する中でサウンド制作にも挑戦する事は考えているのですか?
サウンド、綺麗なコード、音との親和性…勉強は続く
二瓶さん:正直いうと、音源も自分で作ってみたいとは思っています。『BEAT H!TS』製作中は、Unityの仕様を学ぶ事を念頭に置いていたので、他の方の音源を使用させてもらったのですが、Unityに少し慣れたので現在制作中のゲームでは音源も自作しています!
―お!じゃあ次のゲーム制作でも挑戦することは沢山ありますね。
二瓶さん:そうですね、サウンド以外でも先程も言ったように、次の作品はコードの視認性を上げながら、音ゲーxRPGの可能性を追求したい、という感じですね。
―大学の研究・制作並みの取り組みですね。実際高校卒業後は大学進学を考えているのですよね?
二瓶さん:そうですね、自分の中の大きなな目標として、音とのインタラクションを研究したいと思っています。人の動作と音の動線がどういう形で連携すれば人は快感を感じるのか、フロー現象に入れるのか気になっています。
この疑問は、様々な音ゲーを遊んできたからこそ生まれたので、このテーマを研究して、自分が今まで楽しませてもらった、お世話になった音ゲーというジャンルに何か新しい革命を与えられたら良いな、と思っています。プログラミングは色々な表現を可能にするツールだと感じているので、だからこそ、ゲーム制作のみを学ぶのは勿体無いと感じています。大学で、時間をかけて様々な側面からエンタメやゲーム、音楽について学びたいと思っています。
―なるほど。自力でゲーム制作できるグリットを持っている人なので、それを是非、研究の方でも活かせられたら良いですね!貴重なお話、ありがとうございました!
君も、ゲームクリエイター甲子園へ!
いかがでしたか?
ゲームクリエイター甲子園に参加すると二瓶さんのような刺激的なクリエイター仲間に会えたり、プロのクリエイターから自分の作品に対するフィードバックをもらうことができるかもしれません!二瓶さんのように完成させた作品を提出することはもちろん、企画書やイラストなどの部門毎での参加、また制作途中の作品提出も随時受け付けています!
チーム参加、個人参加共に受け付けています!少しでも興味が湧いた方は是非ご参加ください!
BEAT H!TS 情報
「BEAT H!TS」は、世界観とゲーム性で一貫してコンセプトの芯が通っているのが良かったです。
音ゲー的にはハードルでもある回避の仕組みがとにかく気持ちいい&かっこいい。普段ゲームをやらない層にもゲームファンを広げれる可能性を感じたところも良かったです。
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)
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