『Romp of Dump』インタビュー
今回は、ザクロスケさんに『Romp of Dump』についてお聞きしました。
前作で思い通りの結果が出なかったことをバネに再チャレンジした結果生まれた本作についてお聞きしました。ご覧ください。
『Romp of Dump』について
危険な囚人たちを手玉に取り、敗北と屈辱を味わわせ、彼らの闇に心を抉られてみたくはありませんか?
『Romp of Dump』は、そんな背徳感を楽しみたい貴女にピッタリのゲームです。
プレイヤーは、連続殺人鬼の濡れ衣を着せられた死刑囚として、「賭けトランプ」を通じて異常犯罪者の囚人たちとコミュニケーションを試みます。
負けた人には「罰ゲーム」!? 危険な囚人たちを負かしてプライドをへし折り、罰ゲームで語られるエピソードを集めて、彼らの起こした猟奇犯罪を紐解いていきましょう。
公開処刑のような背徳感を味わえる、ブロマンス風味のキャラゲーです。
『ブラックジャック』を始めとするカジノ風のミニゲーム4種を収録。
個性的なキャラクターのちょっとした仕草や表情・台詞の変化を見極められるかが勝敗を左右し、CPU相手の駆け引きを楽しめます。
ゲーム実況でも視聴者と一緒にスコアを予想し盛り上がることができます!
Live2Dを搭載した高可動域の立ち絵による、多彩な表情や仕草が会話劇を彩ります。
全キャラクターのモーション総数は200種類以上、表情差分もキャラクターごとに100種類以上!
シナリオは全編20万文字超の大ボリューム。
カジュアルに遊ぶことも、幾多の分岐を集めて世界観を深く掘り下げるディープなプレイも楽しめます。
メインシナリオは猟奇犯罪をテーマにしたサスペンス系ストーリー。
事件の情報や仮説を集め、あなた自身の手で真相を紐解いていく展開は、考察で盛り上がること間違いなし!
Steamページ
■開発チームについて
──チームの紹介をお願いします。
個人サークル「ザクロ弁当屋」と申します。
Live2Dをフル活用したビジュアルノベルを制作しています。
──チームは何人くらいですか。
「ザクロ弁当屋」のメンバーは一人です。
『Romp of Dump』はフリー素材をお借りしつつ、Live2D・キャラクターイラスト・シナリオ・スクリプトなどメイン部分は全て一人で制作しました。
他、「パンドリ丼」というサークルにも所属していて、インディーゲーム『アニマロイドガール』で企画・Live2D・シナリオなどを担当しています。
──また、どのようにして集まったのでしょうか。
イラストレーターさんなどに外注した作品もありますが、基本は一人で開発しています。
学生時代は自分用のPCを持たせてもらえなかったので、高校卒業後しばらく経ってからやっとゲーム制作を始めました。
──ゲーム業界の経験はありますか?
本業はゲーム業界におりますが、実はLive2Dは独学です。
Live2Dはソーシャルゲームなどでも多く使われていますが、本業では「現実的ではない」と一蹴されてしまいそうな夢のあるLive2Dゲームを、個人制作で実現できたらと思っています。
■開発について
──『Romp of Dump』開発のきっかけについておしえてください。
前作にあたる『Primula』というLive2Dを使ったビジュアルノベルの体験版をSteamで出したのですが、思うような結果が出ず、心が折れてしまった経緯があります。
外注イラストレーターさんの素晴らしいイラストに報いることができず、ついでに費用が回収できるかも怪しいという……。
そこから立ち直るために、リハビリとして新しい作品を考え始めました。
「クズ囚人」という突き抜けた個性のキャラクター、ダークでブラックユーモア溢れる監獄の世界観を先行して構想していました。
その頃、「Live2D Creative Awards 2021」というLive2Dのコンテストで『Primula』をファイナリストに選出いただいたこともあり、「来年のコンテストにも応募したいから、Live2Dで新しいゲーム体験ができそうな作品を作ろう」と思い立ったのが『Romp of Dump』です。
結局「Live2D Creative Awards」で入賞することは叶いませんでしたが……それ以上のものを得られたと思っています!
──開発で苦労されたところは?
ただLive2Dで動くだけではない、普通のビジュアルノベルとは一線を画すような演出をしたいというのが、『Primula』『Romp of Dump』に共通する目標でした。
(そして、サークル作品の『アニマロイドガール』でもその目標は同じです!)
『Romp of Dump』はLive2Dモーションが200種類以上、表情差分がキャラクターごとに100種類以上存在します。
ですが、単純なモーション数だけでなく、その使い方に一番こだわっています。
例えば、ソーシャルゲームのLive2D会話シーンで「同じような『腕組み』や『腰に手を当てる』モーションが短いスパンで何度も出てくる」ようなことがあると、使い回し感があって現実に引き戻される感じがしませんか……?
『Romp of Dump』ではそういった違和感が出ないよう、細かい部分にとても気を遣っています。
身振り手振りの大きなモーションだけでなく、そのポーズを維持したまま「頷く」「視線をそらす」といった小さな動きをできるようにしたことで、より自然な感情表現はもちろん、長尺の会話シーンでも違和感なく没入してもらえるようになったと思います。
ミニゲームのモーションはランダム再生ですが、同じモーションが連続したり、複数キャラが似たようなポーズをしたりないよう、直前に再生したモーション名を変数に記録して出し分けるようスクリプトを組んでいます。
──完成までどのくらいの期間を想定していましたか?
前述の通り、コンテストに応募するためのちょっとした実験作のはずだったのですが……こんなことになるとは思いませんでした。インディーゲームあるあるなのでしょうね……。
──実際にかかった期間はどうでしょう?
最初の主人公のLive2Dを作り始めてから、もう二年以上経ってしまったようです。
ですがその期間でじっくりウィッシュリストマラソンをしなければ、無名のまま埋もれていただろうなとも思います。
前向きに考えれば、『Romp of Dump』と一緒にここまで成長できたのかもしれません!
──ゲームエンジンは使っていますか?
Unityと、Unity用ビジュアルノベルツール「宴」を使っています。
「宴」はUnityアセットストアで販売されているツールで、Live2Dやローカライズのサポート、C#でのカスタム性の高さなどが非常に魅力的でオススメです。
■ゲームについて
──本作のおすすめのポイントを教えてください。
「Live2Dで動きまくる」のキャッチコピーの通り、常にぬるぬる動くキャラクターを眺めるだけでも楽しいゲームです!
ミニゲームのルールは至ってシンプルなものですが、Live2Dによる演出と駆け引き要素が良いスパイスになっていればいいなと思います。
アーリーアクセス版で追加された中では、クズ囚人たちの猟奇犯罪がテーマの「メインシナリオ」が見どころです。
ミニゲームの敗者が「罰ゲーム」として語るエピソードの中で一番の目玉となります。
クズ囚人たちの闇の深さに触れるストーリーはもちろんのこと、Live2Dでアニメーションするスチル・Unityによるエフェクト表現・スクリプト操作を総動員した、見応えのある演出を実現できたと自負しています。
特に、「闇医者・フランベル」と「売人・ドレイク」のメインシナリオ2話のアニメーションスチルは、Live2Dでなければできないような「ギミック」もあります。
「こんなこともできるのか」とビックリしてもらえるかと思いますので、ぜひ見てほしいです!
──現在は早期アクセス版ですが、完全版でも無料で提供するのですか
はい、エンディングまで無料です!
無料にした理由をよく聞かれるのですが、この作品では門戸を広げ、ファンを増やし知名度を上げることを目的としているためです。
また、ターゲット層としている女性ユーザーは、ソーシャルゲームなどの基本プレイ無料のゲームを遊ぶことが多いため、有料販売では敷居が高いと考えました。
無料配信し、継続的なアップデートによりキャラクターをさらに掘り下げていくことで、『Romp of Dump』の世界をIPとして育てていきたい……最近はそのように思うこともあります。
──キャラの個性が強くて、ゲームに勝てるか不安です。
賭けトランプの対戦相手であるクズ囚人たちには、Live2Dの仕草などに現れる“癖”や、特定のスタンスや行動をとりやすいといったパターンがあります。
ミニゲームを繰り返し遊ぶと、彼らがとった行動がゲーム内の「RECORD」機能でカウントされていきます。ふと振り返ってみると発見があるかも……?
賭けトランプに負けても大丈夫。
主人公・アズが罰ゲーム対象となり、彼のエピソードを見ることができます。
主人公もミステリアスで憎めないキャラクターなので、彼のストーリーも要チェックです!
ミニゲームで勝つか負けるか、誰が罰ゲームをするか、罰ゲームでどのエピソードを見るか……。
ランダム要素とプレイヤー自身の選択により、誰にも再現できないあなただけの体験ができるゲームを目指しました。
実況動画で触れるのも大歓迎ですし、自分の手で遊んでみると二度美味しいゲームです!
──本作の今後について教えてください。
このゲームは現実時間と連動しているため、季節イベントを積極的に実施したいと考えています。ログインボーナス機能もありますので、スキマ時間にちょこちょこ遊んでもらえたら嬉しいです。
先日の2月9日には、クズ囚人の一人・デュラムの誕生日イベントを1日限定で開催できました。
キャラクターの誕生日祝いのファンアートをいただいたりなど、ファンの方と一緒に楽しめるイベントになったと思います。
Pujia8 Studio様による簡体字・繁体字への対応が決定している他、iOS&Android版の開発、よりマニアックなエピソードが見られる有料DLCの販売も計画しています。
そして、メインシナリオが一つの区切りを迎える完全版の開発も進めていきます。
正式リリース後も、アップデートでのシナリオ追加は続けていきたいと考えております!
実は、ダンピール監獄にはまだ見ぬクズ囚人もいるそうなので……。
■最後に
──この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。
開発者の皆様へ
真似してはいけない見本のようなゲームですが、プレイしてくださった方が少しでも楽しんでくださり、クズ囚人たちとザクロ弁当屋に狂気を感じていただけたら幸いです……!
学生の皆様へ
「自分でゲームを作った」という経験は、ゲーム業界に就く上でも少なからずアドバンテージになっていたなと感じます。
あくまで自分の主観、そして今は違っているかもしれませんが、ゲーム会社の中でも精力的に自作ゲームを作っている人はあまりいなかったように思います。
だから、ゲームを作っている・作りたいと情熱を持っているあなたは特別な存在……なのではないでしょうか。
理想と現実にギャップを感じることがあったとしても、その情熱を失くさないでほしいなと願っています。
●ありがとうございました。
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