サイバーコネクトツー大阪オフィス探訪―松山社長にダイレクトに聞いた大阪スタジオ「演」の意味とは?そして、CC2に就職するには?

サイバーコネクトツー(以下、「CC2」)は大阪スタジオを2024年2月にオープンし、新たなスタッフを募集しています。
新オフィスという響きにはワクワクするものがあります。そこで、ゲームクリエイターズギルドでは大阪スタジオにお邪魔し松山社長に大阪スタジオのことや、人事体制、採用についてお聞きしました。
ぜひご覧ください。

新オフィス大阪スタジオへ

大阪スタジオは御堂筋線江坂駅から徒歩3分に位置し、編集部が訪れたときはまだメンバーも少ない状況でした。
松山社長自ら案内してくださったオフィスでは、数名のスタッフが開発に従事していて、これから採用に力を入れていくとのことでした。
また、サウンドルームも用意されていて、福岡本社や東京スタジオと連携をして収録や編集も行うことができると言います。

ゲーム会社にはレクリエーションルームがあることが多く、サイバーコネクトツーでもこれらのスペースがばっちり完備されています。
本棚には同社が開発に携わったゲームや、そのアニメやコミックがずらりと並ぶほか、同社のオリジナルタイトルでシリーズ全世界累計ダウンロード数40万を突破した『戦場のフーガ』シリーズも見られます。
このスペースでは普段はスタッフが休憩をしたり食事をとったりする他、社内勉強会、社外セミナーも開催予定とのことです。

松山社長に聞く、大阪オフィス「演」とは?CC2に就職するには?

今後スタッフを採用していくサイバーコネクトツー。
大阪スタジオは「演」の一文字をテーマとしたスタジオですが、その意図や同社の教育体制など気になることを松山社長にお聞きしました。

 

――今日はよろしくお願いします。大阪スタジオ開設のきっかけについて教えてください。

松山氏 サイバーコネクトツー(以下CC2)では2023年の夏に約6年ほど運営してきたモントリオールスタジオを閉鎖したのですが、これは当時の目的や役目を終えたと判断してのことでした。
サイバーコネクトツーの考え方に「ピンチとチャンスは同時にやってくる」というものがあり、1つのスタジオを閉鎖するなら新たな始まりがあると考えていました。
この5~10年で戦い方も変わってきたというのも大きいですね。ゲームソフトの売上は9割海外になっていて、世界で売るには世界とつながりが必要だと当時考えていました。

 

 

――この10年くらいで環境が変わってきたと

松山氏 そうですね。当時は世界とつながるためにモントリオールスタジオを作ったのですが、それを少し変えて日本に居ながらにして世界に打って出るという考え方になって、現在は世界中の人に日本に来てもらうようにしています。これはモントリオールスタジオを作った結果なのですが、より加速しています。今、CC2は260人くらい社員がいますが、全体の15%は外国籍の人で、モントリオールスタジオから日本に異動してきたスタッフもいます。
CC2は日本のゲーム会社の中でも積極的に海外人材を採用していて、毎年、フランスなどヨーロッパやアメリカ、アジアから引っ越して日本に働きに来てもらっています。外国籍スタッフは35人くらいいますが、約半分は日本語が話せないんですよ。日本語を採用条件には入れず、ゲームを作る能力があれば採用していて、社内の通訳・翻訳スタッフを介してコミュニケーションを取っています。それで、日本で暮らしながら日本語を覚えていってもらっています。始まりのタイミングで日本語ができる必要はないよ、という形で採用をしています。

 

 

――モントリオールスタジオの経験を活かして新たな動きにつないでいるわけですね。

松山氏 福岡・東京・大阪で世界中の人材を採用してコミュニケーションを取りながらモノを作って世界に打って出ようと考えています。大阪にスタジオを構えたのにも理由があって、CC2は新卒・中途の人材を毎年30~40人採用していて、実は福岡・九州出身者以外の半数以上が関西出身者なんですよ。これまでは福岡か東京に引っ越してもらうしかなかったのですが、そのまま関西で働いてもらえるようになりました。海外の人材についてもどこに住みたいか聞いています。おすすめは福岡なんです。東京、大阪、福岡の順番で物価が高いので、家賃もだいぶ違います。日本に来る時に、親戚や友人など誰か頼れる相手がいると安心できるって言って住む場所を選ぶパターンが多いのですが、それ以外の理由では福岡を選ぶ人が多いです。食事が安くて旨いので。

 

 

――博多いいですよね。ご飯もおいしいですし。それにしても採用者の半分が関西・九州出身なんですね。

松山氏 地域で選んでいるわけではないんですが、能力で選ぶと結果的にそうなっていますね。もしかしたら社風にあうのかもしれないですね。

 

 

――世界の人材についてですが、どのように採用をされているのでしょう。

松山氏 私が直接行って海外の学校で講演をしています。私が行けない時はオンラインで会社説明をしています。海外の学校に向けた認知拡大をしつつ、CC2は採用の経験があるのでビザの手続きも慣れていて、日本での生活も含めてサポートもするから日本語ができなくてもいいよということを伝えています。
外国籍スタッフを積極的に採用すると決めたのは、もう10年以上前なんですよ。ゲーム産業自体が海外での売り上げが中心になっていくだろうと。昔は日本が売り上げの大半を占めていて後から海外向けに英語版を出していたんですけど、今はもう世界同時に発売しないと初動から入ってくるユーザーを逃してしまうので、ローカライズ作業も同時にやりながら進めています。なので、よーいどんでやっていくためには社内に外国籍スタッフがいた方がやっぱりいい。それで積極的に採用してきたんですが、この5年くらいはさらにそれを加速させていました。
10年前は日本語ができないと…って言っていましたが、それもやめて今の形になっています。

 

 

――ゲーム産業の動向に合わせた動きだということがよくわかりました。とは言え大胆な試みでもありますし、開発現場のコミュニケーションにおいて齟齬は出ることはありませんか?

松山氏 まったくでないことはないですが、ゲームを作る開発者は、フランスにいる人ならフランスで買ったゲームを遊んでるし、アメリカ人はアメリカで買ったゲームを遊ぶじゃないですか。それって、日本で作られているゲームだったり、任天堂のゲームだったりするわけです。もちろんアクティビジョンとかUbisoftとか海外製のゲームもあるんですけども、ローカライズはされていても、ゲームシステム自体に理解はある。そこの観点でずれるようなことは基本的にはないですね。どういうプログラムでこの挙動ができてるかとか、このグラフィックをどうやって作るのかという分析とか分解、研究は、言葉の壁を越えて触ったことがあるゲームという共通のものがありますね。

 

――ゲーム体験という共通認識があるわけですね。今回、新たに作られた大阪スタジオと、福岡や東京と3つのスタジオがありますがそれぞれ特長はあるのでしょうか?

松山氏 開発環境は3拠点で同じです。スタッフは人種も性別も異なるし身長や体重も異なります。なのに、全員同じ机と椅子はおかしいわけです。それでスタンディングデスクを導入して高さを調整できて体格に合わせて仕事ができるようにしています。
それから、福岡・東京・大阪にはそれぞれのスタジオテーマっていうのがあります。福岡本社は創業の地ではじまりの地、そしてスタッフが一番多く、人を育てるのであれば今までは福岡が一番良かった。そういう意味でスタジオテーマは「魂」です。
次の拠点、東京スタジオはスタッフ60人ぐらいなんですけど、東京という場所はゲーム関連企業がとても多いですし、アニメ会社やテレビ局、広告代理店などいろんな方々とコミュニケーションが取れるんです。なので頻繁に技術交流会をやったり、交流を図っていたりするのが東京スタジオなんですよ。だからいろんな人との縁を大事にするという意味でスタジオテーマは「縁」です。
大阪スタジオはパフォーマンス集団、演じると書いて「演」をスタジオテーマに掲げて、特に新卒を中心に一番採用人数を増やしていきます。12年前の東京スタジオ設立時と一緒で、私が一番常駐して新人の教育をやっていきます。技術的な教育というのは、福岡や東京のスタッフがリモートでしていきますけど、それ以上にものづくりの本質というところを教えていきます。クリエイターを育てるには、技術だけじゃなく物事の考え方や本質の捉え方がすごく大事なんですね。ここがずれてると出来上がってくるデータもずれるので。もう言ってしまうとですね、一緒にお昼ご飯を食べる、一緒に夜飲みに行く、結局のところこの回数なんですよ。仕事以外の日常の雑談の中に学びってたくさんあるんですね。仕事だけやって、その関係性って構築できるわけじゃないし、始まったばかりの大阪スタジオだからこそ、今はその時間を頻繁に持つようにしています。

 

 

――仕事以外でもフランクな場において喋ることが共通の体験になって、クリエイターを育てていくというのを目指して行くわけですね。

松山氏 大阪スタジオが福岡や東京と大きく違うところは、私の席が開発室の中にあることです。福岡本社は、社長室があるんですよ。私は普段、社長室で自分の仕事もするんですけども、定期的に開発室に行ってスタッフとコミュニケーションを取っているんです。東京は開発室と業務部の部屋が分かれていて、私は業務部の部屋に席があるんです。だけど大阪は開発側に私の席があるので、誰と誰がどういう話をしているのかも丸聞こえですし、私が誰かとコミュニケーション取っている声も全部聞こえるんですよ。一番の学びって、実はここで何で怒られて、何で褒められるかっていうことも情報なんですよね。そうすると、気になって「さっき褒められてたのは、何のこと?」って聞きたくなるんですよね。

 

――わかります。そういうの、すごく気になるんですよね。

松山氏 だから自分自身の経験だけじゃなくて、人の経験も情報ですからね。実はこの環境って、CC2を立ち上げた28年前の環境と同じなんですよ。社長室なんてなかったですから。始まりの時のCC2に一番近い環境が大阪にあるので、人を入れて育てるための拠点として一番力を入れるのは大阪になるのかなと思っています。なので、成長したいなって思ってる方はぜひCC2大阪スタジオへお越しください!

 

――その育成にも関わるところですが、御社にはトライファクター構造という制度がありますね。

松山氏 それは立ち上げからずっとやってるんですけど、ツリー状になっていて、新入社員が入社すると新入社員と新入社員の上に先輩社員がいるんです。この3人が最小のツリーで、この3人の横に別の3人がいるんですね。この先輩と先輩の上にシニアという役割者がいるんです。シニアの横にもう一個シニアのツリーがあって、このシニアとシニアの上にリーダーがいるんですよ。リーダーの上にはディレクターや制作プロデューサーがいる。
CC2の命令系統はトップダウンなんですけども、クリエイティブに関しては、まず、ここ(新入社員の所属するツリー)で話し合うんですよ。「これ何でこうなってるの?」とか「これもっとこうしたら良くない?」など話し合って上に提案するんですよ。そうすると、次のツリーで話し合いとチェックが行われ、提案とアイデアが良ければ突破できるんですけど、若手だからこそ、分かってなくて物事言ってるケースが多く、そういうのを早い段階で見つけることができて、早々に教育ができるんですよ。情報の吸い出しとフィードバックが現場で行われているんですが、これを上からいきなりやろうとすると、情報過多になるのと、判断ができない、分からないことが分からない状態になる。スタッフにとっては、レベルの高いことを言われても分からないわけですよね。会社はトップダウンで、クリエイティブはボトムアップで下から上に提案していくっていうスタイルでやってます。

 

――提案がボトムアップで行われるとのことですが、若手だとわからないが故に数多くの提案を出すこともあると思うのですが制限などはないのでしょうか

松山氏 ないですね。開発室って、取材でお見せしましたが席が背中合わせになっていましたよね。新人の後ろに先輩がいるんですよ。で、後ろの席の先輩にすみませんって聞いて見てもらいながら話をするんですが、これが日常の雑談なんですよ。日常の雑談の中で「すいません。これ分かんないんですけど」と上司にいうと、横にいる人が「いや、僕らは分かってます」といい、「え、俺だけ?」みたいな発見が毎日行われてるんです。これをわざわざマネージャー呼んで聞くことですか?っていう話なんですよ。分かんないことの早期発見。そして気軽に聞けて気軽に学べる。これの繰り返しなんですよ。
管理者の負担っていうものを、大きくしすぎないのもありますね。大手企業だと部長の下に何十人もいたりするじゃないですか。だけどマネージャーや部長だろうと、みんな管理したくてゲーム会社に入ってる人はいないわけですよ。みんな作りたくてゲーム会社に入ってる。けど偉くなっていくと役割が増えてしまう、管理者負担を少なくするっていう構造にしています

 

――開発人数が増えていく中でいかに責任者の負担を減らすかということも考えられているのですね。この制度はいつぐらいから始められたんですか?

松山氏 私が代表になってからですね。私は、4年間有限会社サイバーコネクト(CC2の前身というべき会社。詳細は松山氏著書『熱狂する現場の作り方』にて)でアーティストをやっていて、当時いた同級生の社長が突然いなくなりその後に私が社長になったんです。社長になってCC2に社名変更をしてやり方を全部変えたので、そこでトライファクターが生まれました。これは今後のゲーム開発はこうなると思ったのが理由で、開発人数が減ることは絶対にない。増えるなら、効率よく教育できて効率よく情報伝達と提案ができるようにしていかないといけない、トップダウンだけじゃダメだと。それは普通の会社だと。クリエイティブはボトムアップだなと思って。さてはこういう方法がいいなと思ってやってます。

 

 

――CC2では会社見学を実施されていると聞いていますが大阪でもされていますか?

松山氏 もうやっていますね。個人でもできるんですけど、基本皆さん学校を通してが多いですね。高校生だったり専門学校生だったり、大学生などにお申し込みいただいて、進路をどういう風に考えていますかって聞かせてもらった上で、60分コース、90分コースで実施しているんですけど、ただ見学するだけじゃないんです。社内を見て回った後は会議室に戻り(20人など大人数の時はレクリエーションルームを使うことも)簡単にゲーム業界の基礎的な講座をやっています。専門学校で専門的な勉強をしている方々に対しては、もうちょっとだけ突っ込んだレベルの話をしますが、大体入門編が多いですね。今のゲーム業界ってこうなんだよ、こういうことを勉強しておくといいよっていう話をやっています。

 

――どういう内容なのでしょう

松山氏 ゲーム業界の構造の話から始まって、その次にゲーム開発の職種のお話をします。どういうお仕事があるかというと、大きく分けて四つあるんですよ。企画、グラフィック、プログラム、サウンド。全部やりたいっていう気持ちはわかるけども、全部はできないんです。戦士と魔法使いと僧侶と武闘家。それぞれ役割があるでしょって。それと一緒だよって。みんなでパーティーを組むんだよって。最初に職業を決めないとっていう説明をしたりですね。すでに専門的に勉強している学生には、ゲームプログラマーやグラフィックデザイナーになるためには、これぐらいのスキルが求められるよ、という話をしていますね。

 

――Noteに採用された学生のポートフォリオを公開されていますね。(https://note.com/piroshi3/n/nba298006cfbb)グラスが置かれたポートフォリオが印象的でした。

松山氏 あのレベルとなると100人に1人か2人くらいですね。今、合格率が5%から10%でこれはゲーム系の専門学校に限らずですけども。まずほとんどの人が本気じゃないんですよ。なんとなく専門学校に行って、適当に何とかなるだろうと。あと、できれば頑張りたくないと。そういう人たちがまず大半じゃないですか。そういう人たちっていうのは一生消費者でいいと思うんですが、そっから先、「やっぱり本気でやりたい」っていう人たちは、100人中20~30%。この人たちの背中をちゃんと押してあげることがやっぱり大事。それで100人中5人~10人が合格するのです。

 

――かなり実のある会社見学になりそうですね。これはゲーム学科と関係のない学校でも申し込めるのでしょうか。

松山氏 うちのウェブサイトに会社見学の申し込みはこちらって書いてありますので。学校経由でも個人でも申し込めるようになってます。一般のファミリーが会社見学に来たりすることもありますから、全然オッケーです。もっと言うと、「修学旅行の時に見学したいです」という中学生がいたりして。「じゃあゲームが好きな人たち集めてからおいで」というと学生服で来ますよ。最近の修学旅行では社会科見学もあって、学生に自らアポイントを取らせて見学に行くこともしているみたいです。

 

――採用活動というよりは広い形でやってるわけなんですね。

松山氏 お子さんがゲーム好きで「将来ゲームを作る人になりたい」って言ってるから申し込みたいですっていうお父さんお母さんもいますし、10年後にゲーム業界に来てくれたらいいなとかの息の長い話です。入社した時に僕、実はあの時見学に来てた小学生ですっていう人もいて。マジか、もう10年経ったのかって。

 

――大阪でも今後イベントをされるとお伺いしましたが、すでに計画はあるのでしょうか

松山氏 まずは遊びからですね。4月に緑地公園で花見を開催して大阪近郊のゲーム関連企業の方々もご家族含めてお招きして、数十名規模でやりました。福岡でも東京でもやっていて、大阪でもこういったイベントはやっていこうと思っています。福岡は80人から100人くらい集まって、漫画家の先生とかも来たりします。東京は声優さんなどいろんな人が来て楽しくやってます。今後、大阪スタジオで勉強会もやります。まず最初はCC2が技術を披露するところから始めようと思っていて、最終的にはお互いに技術交流をやっていこうと思ってます。

 

――このゲームクリエイターズギルドは若手のクリエイターも見ていまして、若手って頑張ってるけどなかなかうまくいかないこともあると思うんです。もし、「俺、もうダメかも」って若手が出たらどう対応していますか?

松山氏 まず話を聞きます。相談に乗ります。飲みに連れて行きます。それで、その上で結局のところ一緒なんですが、「飢えた狼のように生きろ」って言います。それがシンプルな答えです。できない理由を口にするぐらいだったら、最初からいない方がいい。
「勝ち方を教えてください」だったらいくらでも相談に乗れます。そういう相談に乗るのは大いに結構なんです。もちろん、愚痴も聞きますよ。聞くけど、その先に待ってるのは何かっていうと、結局、前向きにどうやって勝つかの方法論の話じゃないですか。だからそっちに持っていけない方はこの業界を諦めた方がいいです。勝つためにいるということを、忘れちゃいけません。勝たなきゃ意味がないんです。もうそういう考え方でいるので、弊社は割とシンプルだと思いますよ。もちろんちゃんと相談には乗ります。そして話し尽くした結果、勝ち方というか、合わないんだったら、もうそれはしょうがないよねって。ご本人にもね。その方がいいんでね。

 

――今後他の都市にもスタジオを立てるご予定はいかがでしょう?また、御社の採用計画もお聞きしてよいでしょうか

松山氏 新しいスタジオは今のところ予定してないです。福岡、東京、大阪の三拠点でCC2を今考えてる形に持っていく。300人から400人ぐらいの会社にこれからなっていく予定です。採用計画も立てていて、4月入社が約30人、来年は50人を採用予定です。福岡も増床してさらに人を入れて育てていく予定です。

 

――この育てていくというところですが、この2~3年で伸びた若手の話をお聞きしても良いでしょうか

松山氏 たくさんいますね。最初からすげえやつがここまですごくなるとは思わなかった、というのがありますね。基本的に新人30人って言っても全員横並びじゃないんですよ。実はもう最初から30人のうち5人ぐらいが化け物のような即戦力なんですよ。実際は三角でなくてひし形で。頂点にいる5人が化け物で、真ん中にいる人たちがこれから頑張れっていう人、下にいるわずかな人は、余程とんでもない努力をしない限りは、ここには上がれないよっていう人たちがギリ採用くらいの基準でいて、下から化けることをもちろん期待して採用して何人かミドルレンジに上がった人間はいます。けど上に行くにはやっぱ七年かかりますね。それぐらい同期の中でも上と下では七年分ぐらいの差がある。

 

――本人は相当頑張ったんだと思いますが、ミドルからさらに上に行くこともありますか?

松山氏 もっと上に行くケースもありますけど、なかなかそれはもう稀有ですね。だって上にいる連中はとんでもない、化け物中の化け物みたいな人なので、ここから生まれるのって五条悟しかいないので。だからもう本当に一生追いつけないと思いますね。こればっかりは早い段階でやってるかどうかなんですよ。採用時点でひし形の上にいる人たちって、実はもうこの時点で7年間やってきてるんですよ。小学生6年生の頃からもう努力を積み重ねてきてるみたいな状態なので、最近始めたようなやる気だけの人間が簡単に勝てるわけがないです。
学校に行ってもはっきり言ってますが、高校生からやるっていったらずいぶん出遅れてることに今、気付こうかっていう話なんですね。早い人間は小学生、中学生からやってるよと。だから専門学校に入ってゼロから頑張りますっていうフレッシュな子はいますけども、随分のんびり生きてきたねと。

 

――これは率直に言ってそうですよね。

松山氏 実際の話、そうじゃないですか。そしてこれを学校は教えないので。みんな平等で横並びって言うけど、現実はそんなわけはないので。学生時代に寝ずの努力をどれだけできるかなんですよ。だけど、それを学校がはっきり言わないから、みんな就職もできないし気づかないんですよ。

 

――育てるという環境があるのでしょうか

松山氏 教育プログラムがあるので、そのプログラムに則って進めていきます。30人新人がいると、研修期間中にみんな同じ課題を与えられるんですよ。すごい速度で終わらせて次に行く人といつまでも合格が出ない人が必ずいるわけです。そうなるとできる・できないが如実に出るので、焦るんですよ。この競争ってすごく大事で先輩より下手なのは仕方がないってみんな思っちゃうんですけど、同期には自分より年下の人もいたりするわけですよ。大卒で22歳、専門卒で20歳、もっと言うと、CC2は高卒も採用するんで年齢の差が4歳ある。その中で上手下手も如実に感じられるし扱いが明確に違うようになる。新人でも入社して3か月後には査定があって、全員給料が変わるんですよ。新入社員だからといって、給料一律じゃなくなるのです。だから入社して最初の3ヵ月間の研修期間後には、もう給料に差が付きます。

 

――3か月ですでに差が開き始めると

松山氏 CC2は3段階あって、一番下がジュニア、要するに育成期間の新人ですね。最低支給額の231,000円にプラス技能給で、真ん中がインターミディエイトといういわゆる一人前クラス。この人たちはもう一人前として求められるクオリティやスピードが出せる能力があるねって人で、さっきのひし形の上5人ですね。彼らはいきなりここからスタートです。インターミディエイトは、最低支給額27万円プラス技能給になります。この上にシニアクリエイターというクラスがあるんですけども、ここはもう先輩と同等だっていうことで、最低支給額30万円からスタートです。今ゲーム業界は全体的に新人の給料を上げる傾向があるじゃないですか?うちは一律ではありません。ちゃんと能力を見た上で3段階用意しています。
先日、年度末の査定が終わったんですけど、1年生でインターミディエイトになる人が5人ぐらいいて、研修終了後の査定ののち半期と年度末の2回の査定が行われるのですが、何人かシニアに昇格している人がいます。化け物はすごい速度で成長するので早々に開発における中心人物になりますね。理解力が高くて要は分かってるから作れるんですよ。分かってるっていうのは、技術だけじゃなくて、ものづくりの本質が何なのかっていうことと、チームをうまく回す人がどういう人なのかということをわかってるんです。いろんなことのレベルが上なので完全に即戦力ですね。CC2は社歴も関係なく、能力で全て査定が行われるし、仕事の役割も変わるのでみんな頑張るしかない。だから「飢えた狼のように生きろ」という環境です。

 

――世界の名だたるゲームと競争するということを考えると頑張るしかないですね。その中でも大阪スタジオはパフォーマンス集団だとお聞きしましたがこのパフォーマンスについて詳しく伺っても良いでしょうか

松山氏 例えば教育にしても、結局のところは人と人との対話なんですよ。ポイントは伝える技術と聞く技術なんです。この両方が要るじゃないですか。人が2人いたら伝える側と聞く側がいるけれど、伝え方が悪いから聞いてる側は理解できないのか、伝える側は正しく伝えても聞く側に正しい理解力がないと噛み砕けないじゃないですか。ここのクオリティを上げていかないといくら技術があったところでトンチンカンなものを作ってしまうんですよ。「そういう意味だったんですか?すいません。作り直します」ってなっちゃうわけなんですよ。こうならないために理解力のレベルを上げるしかないんですね。そうなると伝えることがめちゃめちゃうまい。聞き返すことがめちゃくちゃうまい。そういう人たちが関西圏にめちゃめちゃ多いんですよ。みんな喋るプロみたいな環境で育ってるじゃないですか?

 

――あと関西圏は遠慮しないというのもありますね。わからんことをわからんと言うみたいな

松山氏 分からんことは分からんって、ちゃんと言えるじゃないですか。この土壌が私も好きで。関西は居心地がいいなって思うのはボケっていう文化があるじゃないですか。「そんなことも知らないの?」っていうようなことを言ってしまったとしても、それをボケにすることができて、笑いが起きれば、もうそれでお釣りが出たぐらいの感覚に持っていけるのが関西のいいところで。だから本当の意味で言うと悪者がいないっていうね。そのボケを突っ込みが助けたりもするじゃないですか。この文化すげえいいなって思いますしそういう渦を大阪スタジオのメンバーで作っていきたいなと思ってますね。

 

――最後に、この記事をご覧の皆さんにコメントをお願いします。

松山氏 学生も業界の方に対してもですけど、自分が遊んで好きなゲームを作ってる会社だから、そこで働きたいっていうのはもちろんいいと思うんですけども、入っても必ずそのゲームが作れるかって言われるとイコールじゃないので、自分自身がやりたいこととやれることと、そしてどういう活躍をしたいのかまでがセットだと思うんです。今は世の中情報もたくさん出ていてCC2みたいに見学会やってる会社もあるわけですから、正しく選んで無駄な時間を過ごさないようにしてほしいなと思いますね。
最後に、CC2はいわゆる引き抜きをしないので、他社在職中の方とは採用の話を進めることができません。大阪スタジオへ応募してみようかなという方は、今お勤めの会社と相談した上で少なくとも退職のご意思を伝えた上で連絡をしてほしいです。

 

――ありがとうございました。

 

インタビューで感じたことの一つに、松山社長が簡潔に意見を伝え非常にわかりやすいというものがありました。結論から入り例を挙げ、ユーモラスに語る。原稿を書きながら録音を聞き返し、こういうコミュニケーションを取りたいものだと思いました。
サイバーコネクトツーは新卒、中途採用を実施中です。

サイバーコネクトツー

福岡に本社を持つゲーム会社サイバーコネクトツーのオフィシャルサイト。開発タイトル、会社概要、採用情報のほか、オリジナルグ…

 


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