キャリアアップ=転職?キャリアアップの落とし穴を考える【ゲームクリエイターのキャリア設計】

ごきげんよう、ゲームクリエイターのキャリア支援をしている毛玉です。
毎日忙しくも好きなことを選んで楽しく仕事ができてしまうゲームクリエイターのお仕事。
ふと気がつくと現場仕事がしんどい年齢になったのに次のステップにつながるキャリアがない!なんてことも。

そんなゲームクリエイターのキャリア設計を考えていく新連載です。
・「キャリアアップ」など抽象的な希望だと転職は失敗しがち
・企業が期待することと、自分のやりたいことが一致するのがベスト
・やりたいことは具体的な言葉にしよう

さて、私はこれまで人事として中途採用面接、社員のキャリア相談、またキャリアカウンセラーとしてクリエイターの皆さんの相談を受けてきました。
その中で、転職が上手くいかない人、社内で活躍できない人に共通点があることに気がつきました。

それは新しい環境を希望する理由が「キャリアアップしたいから」ということ。

キャリアップ、前向きな理由に聞こえますよね。
成長を目指すのは良いことです。
ところが、じっくり話を聞いていくうちに暗雲が立ち込めます。

 

転職面接のお話

実際の転職面接の場面を見てみましょう。

〇〇さんが転職して次の職場に求めることは何ですか?
毛玉

転職希望者
キャリアアップできる職場を希望しています

(キャリアップもいろいろあるからなあ。もうちょっと聞いてみよう)
毛玉

では、〇〇さんの目指すキャリアってどんなことでしょうか?
毛玉

転職希望者
そうですね、今、プランナーなのでディレクターになることですね

なるほど!ディレクターになりたいんですね!
毛玉

(ディレクターも会社やタイトルによって仕事内容が違うからな。ミスマッチ防止のために詳しく聞いてみよう)
毛玉

ディレクターとしてどんなことがやりたいのですか?
毛玉

転職希望者
ディレクターとして、ですか?そうですね、プランナーより幅広い仕事をしたいです

幅広いというと?具体的にどんなことを?
毛玉

転職希望者
うーん、なんでしょう?

中途採用、企業の狙い

中途採用の面接では、これまでの仕事の実績と今後やりたいこと、人柄などを確認し、自社の仕事・組織・社風に合うかどうかを判断します。

特に「これから何をやりたい」かが重要なのです。

中途採用の場合、新卒採用のようなポテンシャル採用、つまりさまざまな仕事を経験してもらい、その人の適性を見ながら育てることが目的ではありません。
今の組織・業務で必要とされている明確な役割に対して、十分な実績と実際にその人がその仕事をやりたいのかを見極めていきます。これはゲーム会社だけでなく、全ての業種で同じです。

そのために面接ではさまざまな話を聞き、確認していくのです。
何ができるかという過去の実績を確認し、「何をやりたいか」「仕事選びの軸は何か」「退職する理由は何か」など未来に向いた質問を行います。

転職希望者は、自分の言葉で自分の希望を伝えればいいのですが、「キャリアアップ」は企業によって、また人によって意味が異なってきます。

漠然とした理由は落とし穴

先ほどの面接の様子を思い出して欲しいのですが、漠然とキャリアと言うけれど、自分が目指すキャリアが何かわからない人が少なくないのです。
具体的に自分が何を求めているかわからないと、その会社の仕事が自分に合っているのかどうか、判断がつきませんよね。

もし、転職希望者と企業のニーズが一致しないとどうなるのでしょうか。
転職希望者は新しい職場でできると思っていたことができず、再度転職を考えますよね。

企業は事業の成長や欠員発生で人が足りなくなると中途採用を行います。企業としてもやってほしいことをやってもらえず、退職してしまったら再度採用活動をする必要があり、本来であればその人を採用して利益が出るはずが、むしろコストが高くつくという問題が発生します。転職希望者も企業も不幸な結果となってしまいます。

では、一体どうしたらいいのでしょうか。

「お給料を上げたい」を叶えよう

みなさんはきっと本当はどんな仕事をしたいのか、自分の中に答えがあると思います。ただ、それを言葉にできるほど深堀して考えていない状態なのです。意外と自分のことを自分は知らないものです。
なので、自分の気持ちを深堀して、言葉にする必要があります。「キャリアアップ」など抽象的な言葉を分解し、具体的な言葉にしていきましょう。

例えば「キャリアップ」を希望するプランナー。
職種が同じでもキャリアップの内容は人によって違います。

  • ディレクターになってゲーム全体を見たい
  • 給料を増やしたい
  • ヒットタイトルに携わりたい
  • レベルが高いチームで仕事をして成長したい

などなど。きっともっとたくさんありますよね。ひとつだけの人もいれば複数を目指す人もいます。

さて、この人は給料を増やしたい人だとしましょう。
「給料を増やしたい」も立派なキャリアップを目指す理由です!こちらを例にさらに掘り下げて見ましょう。

まず、給料を増やすためには一体どうしたらいいのかを考えます。どうやったら給料は上がるのでしょう

  • 社内で活躍して良い査定をもらい、昇級する
  • 他の人より高いスキルを身につけて、評価してもらい昇給する
  • リーダーや課長など役職について役職手当をもらう
  • ヒットタイトルを当ててたくさんボーナスをもらう
  • 社内だともう上がらないのでもっと給料がいい会社に転職する
  • 副業など給料以外の収入を増やす
  • 自分で会社を起こしてもっとたくさん稼ぐ

ざっくりこんなことが考えられます。

「給料を上げる」という結果に対して、アプローチは複数あります。どんなアプローチで給料を上げたいのかを考えます。
「社内だともう上がらないのでもっと給料がいい会社に転職する」
転職を考えるのですから、今の会社だと今後、給料が上がらなさそうってことなのでしょうね。

分解すると見えてくる

では、次に何を考えればいいのでしょう。
転職するにしても、仕事内容次第で給料も変わってきます。
役職につきたいのか、スキルを磨いてより重要な開発ポジションにつくのか、どちらがいいかによって仕事の内容は異なってきます。

これがわかっていないと
「チームの人数が多くて固定された作業になりがちなので、小さいチームでもっと開発の中心の仕事をしたい!そして給料もあげたい!」
という人が
「マネジメントポジションとして現場仕事でなく、他の開発スタッフのタスク管理の仕事で給料も多い」
仕事についてしまう可能性があります。
給料は上がるけど、全然やること違いますよね。

そうすると、仕事の探し方も履歴書・職務経歴書でのアピールする内容も変わってきます。
企業側もそれを見て判断しやすく、不幸なマッチングが生まれづらくなります。

また、もしかすると転職をしなくても今いる職場でやりたいことができる可能性もあります。
そんなときも具体的に話ができれば上司に実現したいことを相談しやすいですよ。
漠然とキャリアアップしたい、スキルアップしたい、こういうのはやりたくない、では上司もどう判断していいかわかりません。
きちんと聞いてくれる上司の方もいらっしゃいますが、基本的に自分が希望することなので自分から相手に伝わるように話す方が良いでしょう。

「お給料あげて!」
より
「担当箇所だけでなく、タイトル全体を見たいのでディレクションに挑戦したいです(ディレクターになるとお給料あがりますよね!)」
の方が上司の方も前向きにとらえてくれますよ。

まとめ

是非、転職を考えたとき、また社内で異動やジョブチェンジが発生するとき、自分のやりたいことを具体的な言葉にしてみてください。
それだけでやりたいことに近づけますよ。

キャリア設計はやりたいことを
具体的にすることから
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