ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結します。そこで、イベント前に出展作品をピックアップし、その魅力や制作秘話を紹介する特別インタビューをお届けします!この記事を読めば、イベント当日をより楽しむための予習ができるはずです。
第5回となる今回は、「ぱぴりす」「燃えよPizzas」「GrimmKitchen」を手掛けた方々にインタビューを実施。作品の特徴や開発の裏話について深掘りしました。ぜひご覧ください!
おってしっか「りす」すめ! 『ぱぴりす』
【作品紹介】
このゲームは紙を折ってりすをどんぐり(ゴール)までたどり着かせるゲームです。 プレイヤーがステージに干渉して、自動で動くりすが走れる道を紙を折ることで作ってあげるゲームです。
──自己紹介をお願いします。
井上:井上春帆です!リーダーとプランナーを担当してます。プログラムも少しだけお手伝いさせてもらいました。
小形:小形昭博です!ゲーム制作と作曲が好きな一般的な学生です。大半のプログラムを書いてます!
コウ ミンウェン:コウです~!本職はプランナーですが、かわいいリスに憧れて、今回は美術とレベルデザインを担当しています!よろしくお願いします~
──制作期間はどれくらいですか。
井上:BitSummit Game Jam 2024で結成された東京の1チームで制作した作品です。その間の制作自体は3か月で、そこから私たちのチームは自主的に動いていたので、5月~11月の役半年間での制作になります。「OverPower」をテーマにした企画で、私たちはそのテーマを「プレイヤーが直接ステージに干渉する」と解釈しました。そこで、紙を折るという発想が生まれ、このゲームを作っていくことになりました。
──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。
井上:やはり「紙を折る」ところにこだわりを持って制作してきています。アナログをデジタルに落とし込むことで生まれる弊害もありましたが、「紙を折る」という部分は一貫してこだわり続けてきています。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
井上:チームメンバーが数人いなくなってしまったことです。急に連絡取れなくなってやばい!ってなりました。起きてしまったことは仕方ないのでとりあえずこのメンバーでなんとか完成はさせないと!って感じでそれぞれが時間見つけて制作頑張っていました。ミーティングもなるべくするようにして、参加できない人のために議事録作ってもらったり、その日のうちに次はいつミィーティングするかとかも細かく決めて期限以内に何とか完成までもっていきました。
──このゲーム制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
井上:チームをまとめる力だと思います。リーダーとしてダメな部分は多くあったと思いますが、連絡の取り方などは工夫してできたので成長できたと思います。
小形:紙を折るという技術的に難しかったプログラムを苦労しながらも作成できたことで、諦めない精神力が身についたかなと思います。
コウ ミンウェン:チームに入ったばかりの頃は、日本語力や自分の意見を伝える勇気が少し足りなかったと思います。そういった部分で少し成長できたと思います。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
井上:メンタルは絶対に負けないと思います。リーダーとしての責任とか、チームをどうまとめるかで迷うこともありましたが、めげることは絶対になかったです。チームメンバーがいなくなってしまうこともありましたが、そこでネガティブにならず、ほかのメンバーにどう仕事を回していくかなどを考えていました。起こってしまったことはどうしようもないのですぐ切り替えてました。
小形:やっているゲームの幅が広い方だと思うので、色々な種類のゲームの良いとこ取りをしたいです。
コウ ミンウェン:「これだけ」…?www 私の考え方は多分ちょっと逆です。プログラミングはまだ勉強中ですが、開発やリーダーシップに関しては誰にも負けない自信があります!って、自信そのものも負けませんw。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
井上:ゲームを全部1人で作りきってみたいです。大きい規模のゲームは1人で作りきれたことがないので、プログラムの勉強をしつつ、企画も面白いゲームを作ってみたいです。
小形:演出に凝ったゲームが作れるようになりたいです!
コウ ミンウェン:今後、ゲーム業界の一員として、目の前にある最大の挑戦は、トレンドを追うのではなく、むしろ自ら生み出し、引っ張っていけるゲームプランナーになることです。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
井上:コツつかむと結構癖になってくる面白さがあると思います!プログラムの面でもとても頑張ってくれてますし、デザインも1から全部書いてもらっています!見るべきポイントありすぎて絞れないので、全部味わい尽くして遊んでください!展示会で待ってます!
小形:最終ステージ意外と適当におってもなんとかなるので、失敗を恐れずたくさん折って見てください!
コウ ミンウェン:ぜひ私たちのゲーム「ぱぴりす」を遊んでみてください!冷静で優しいリーダーと、行動力抜群なプログラマーも見逃さないでね!
具材はあればあるほどいい『燃えよPizzas』
【作品紹介】
空飛ぶピザを操作し、街の中で具材を集めてお客の家へデリバリー!時間制限まで何度もピザを配達し、より多くの金額を稼げるようにチャレンジしましょう!
──自己紹介をお願いします。
藤原:プランナーの藤原 肇です。
小宮:プログラマの小宮 孝介です。
西井:グラフィックデザイナーをしています、西井 和紀です。
──制作期間はどれくらいですか。
藤原:このゲームでは、空飛ぶピザ生地を操作し、街の中にある具材を拾って直接配達します。制限時間内に何枚のピザを配達し、どれだけのお金を稼ぐかを競うゲームです。制作期間は約9ヶ月ほどになります。
──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。
藤原:全体を通してこだわったことは、バカゲー特有のシュールさ、はちゃめちゃな雰囲気を出すことです。特に工夫した点は、ピザの上に具材が載っていくところになります。具材が積み重なっていき、ピザの形から離れていく様子をどう表現するかというところに一番時間がかかりました。結果として、具材は上に行くほど小さくなり、山のように自分で選んだ具材を盛っていく遊びを実現することができました。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
藤原:製作中であれば、主にプログラム面とグラフィック面で苦労があります。プログラムでは、初めてのUnreal Engine5ということもあり、ピザ生地の上に具材を乗せることと、マルチプレイの実装がうまくいかず、苦労をしていました。インターネットや先輩に聞きながら実装を進めることで、うまく乗り越えることができました。グラフィック面では、街中にある建造物の3Dモデルを一つ一つ差別化することに苦労していました。建造物の窓や壁など、パーツを分割して制作し、そのパーツの配置や個数を変化させることで、効率的に多種多様な3Dモデルを作ることによって乗り越えることができました。
──この制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
藤原:Unreal Engine5に関する基礎知識が身についたことです。今まではUnityを使用した開発の経験しかなかったので、今回のゲーム開発で土台を作ることができ、これからより幅広く活動できるようになりました。
小宮:モデリングに対しての考え方が変わったところだと感じました。ゲーム制作序盤私は、3Dモデルを作るという経験がほとんどなく1つのオブジェクトを作り始める際に構造を入念に考え、できる限り美しい形であることを大切にしていました。しかし構造が複雑になるほど「美しく完成するかわからない」という心配が強くなり、考える工程に多くの時間を費やすこととなり、何が本当にわからないか、気づくことができませんでした。しかし、モデリングをする回数を重ねるごとに、構造を考える前に参考資料を集め、完成するか完成しないかがわからなくても、「まずは作ってみる」という考え方を大切にするようになりました。手を動かすことで自分が分からなかった部分に気づくことができるようになり、それを解決していくことで自分の考える美しい形にモデリングができるようになりました。モデリングに対しての考え方をまずは構造を考えてからモデリングをするという考え方から、「まずはとりあえず作ってみる」という考え方に変わり、ゲーム制作序盤のことよりモデリングが上手にできるようになったと感じ成長したと思いました。
西井:今回の制作で、ある程度大規模なゲームをチーム開発するという一連の流れを経験でき、プランナー兼ディレクターとして、チームにどのように作業を依頼し、スケジュールを立てて制作を進めていくか、というイメージを持てるようになりました。今後のチーム制作では、企画する段階で大まかなスケジュールと進行手順を立てられるようになると思います。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
藤原:忍耐力です。まだまだUnreal Engine5に関する情報は少なく実装に苦労した部分も多くありましたが、海外に人があげている動画などを見て情報をかき集めて実装まで漕ぎ着けました。
小宮:発生した問題に対して「どう言った工夫を凝らして対処ができるか」を考える力が私の他者には負けない強みだと考えます。
西井:私は日常では常識的な考えを持っていると自負していますが、自由に考えられる場であれば、常識から少し外れた発想を出すことが他の人よりも得意だと思っています。そのため、さまざまな角度からアプローチすることで問題を解決したこともいくつかあります。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
藤原:今回のゲームはブループリントだけで制作したので、今後はC++を使った制作や、Niagaraを用いたエフェクト制作に挑戦していきたいです。
小宮:今回の制作で学んだことを活かしつつ、今後はより高い完成度の3Dモデリングを目指していきたいです。そこから発生する新しい問題や新しい発見から学びを得たいと考えています。
西井:次回は企画書を作成する際に、最初から最後のページまでコンセプトをしっかりと貫き通した、一貫性のある美しいものにしたいと思っています。そして、今回のゲームのプロトタイプにて私が仮置きしたUIがあまりにもお粗末なものだったので、デザインセンスを磨くために、さまざまなゲームのUIを観察してみたいと考えています。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
藤原:私たちのゲームは、ピザ生地が空を飛ぶような馬鹿げた世界観を演出するため、そのはちゃめちゃ感をどのようにして表現するか日々考え、実装してきました。作品展示会ではぜひピザに大量の具材を乗せてみて、山のように積み上がっていくところを見ていただきたいです。「みんなのゲームパレード」や他の展示会の時よりも、「燃えよPizzas」はブラッシュアップを重ね、ゴージャスではちゃめちゃな遊びを実現できていると思います。見かけた際はぜひ遊んでみてください!
童話の世界でも美味しいご飯を『GrimmKitchen』
【作品紹介】
童話の世界を探検して食材を集め、集めた食材でレストランを経営する、3Dアクション&経営シュミレーションゲームです。
──自己紹介をお願いします。
ミカタ:神戸電子専門学校のミカタです。チームリーダーとして制作進行とアクションパートのプレイヤーの挙動を担当しています。
おゆちゃん:神戸電子専門学校の おゆちゃん です。主にUIデザイン・UIの実装を担当しました!
もと:神戸電子専門学校のもとです。経営パートを担当しています。
いすか:神戸電子専門学校のいすかです。 エフェクトとモーションを担当してます。
翡翠:神戸電子専門学校の翡翠です。アクションパートの敵全般を担当しています。
──制作期間はどれくらいですか。
ミカタ:GrimmKitchenは童話の世界で食材を集める「アクションパート」と、集めた食材で料理店を経営する「経営パート」の2種類のジャンルを楽しむことのできるハンティング経営アクションゲームです。開発期間は約7か月です。来年の3月ごろにSteamでの販売を目指し、現在も開発を進めています。
──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。
ミカタ:アクションパートでは簡単な操作で爽快感のあるバトルを実現すると共に、童話の世界を表現するためにハッチング処理を実装したり、柔らかいグラフィックスになるように工夫しています。経営パートではプレイヤーが介入できるイベントを増やし、わちゃわちゃしながら楽しめるようにしています。迷惑客を殴って撃退するところもオリジナルティーのあるポイントの1つです。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
ミカタ:2つのジャンルのゲームを作るため、実装量もとても膨大になってしまい完成しきれるのかメンバー一同不安になる場面も多かったです。そんな時はメンバーで会議を繰り返し、開発箇所の優先順位を共有することを重視しました。1つずつ実装進めていくことでゲームの全体像も把握でき、チームメンバー一同モチベーションアップにも繋がったと思います。
──この制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
ミカタ:ただ自分の役割を果たすだけでなく、メンバー間の進捗状況を把握して作業の役割分担を行うことの重要性に気づきました。以前は自分だけで何とかしようと考えてしまうケースが多かったのですが、メンバーみんなで問題点を共有し、協力しながら制作を進めていく重要性に気付くことができました。
おゆちゃん:授業ではプログラムを勉強しつつ、独学でUIデザインを勉強し、多職種でも組みやすい設計を常に意識して制作に取り組むことができました。
もと:チーム制作の連携の難しさを知るとともに、他人が「使いやすい」「分かりやすい」と思えるような設計をより意識できるようになったところが、成長したなと感じるところです。
いすか:ゲームに馴染むエフェクトという、不明瞭なものを作ることで見本や例のないものを視覚化するという経験が自分の成長に繋がっていると思っています。
翡翠:専門領域のプログラミングだけでなくモーション制作も担当することになってから、課題解決のアプローチをプログラミングだけに頼らず、多角的に考えられるようになりました。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
ミカタ:執着心です。とにかくこれが実装したい!と感じたらとことん調べて実装できるように頑張れるところが自分の強みだと思います。
おゆちゃん:「一途なところ」です。4歳から今まですっとハヤシライスが大好きです。一か月毎日ハヤシライスでもいけます!
もと:やる気です。大規模なゲーム制作を一年で作るということで締め切りがえぐいのですが、やる気だけで何とかしてきました。
いすか:行動力です。思い立ったら吉日という言葉をもとに、その日に日本の端まで旅行に行ったりしました。
翡翠:達成力です。時には新しいことを学び、時には人に頼りながら、目標達成に努めています。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
ミカタ:まずはGrimmKitchenを無事に世の中へ送り出すことが目標です!
おゆちゃん:現在は8人ですが数百人を超えるプロジェクトで、忙しいけど楽しい環境でゲーム制作をしたいです。
もと:ホラーゲーム以外の、様々なジャンルのゲーム制作を体験したいです。
いすか:自分が体験したこともない、人伝に聞いたことしかないようなことなど、なんでも体験したいです。
翡翠:だれかにオススメしたくなるほど楽しんでもらえるゲームを生み出したいです。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
ミカタ:爽快プレイと強敵との死闘がうりのアクションパートと、わちゃわちゃ忙しくも楽しくレストランを経営できる経営パートの2つの遊びを実際にプレイして感じてください!
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」に行こう!
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」では、他にも個性豊かな学生作品が多数出展されます。当日はぜひ実際に作品を体験し、学生クリエイターたちの熱意と創造性に触れてみてください!
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ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/