ゲームクリエイター甲子園 2023に応募があった全1200作品の中から17作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第三弾として登場することが決定しました。
今回のインタビューでは、第三弾作品の『Multitask』をピックアップします。

このインタビューシリーズでは、ゲーム作品の制作の裏側に焦点を当て、どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。

チーム名:乾燥器/作品:『Multitask』

乾燥器は、ゲームクリエイター甲子園 2023においてU-18総合大賞 第3位を受賞した制作チーム。

乾燥器 チームメンバー紹介
乾燥器(すべて)
【作品紹介】
windowsを模したOS風のゲームです。
次々と現れる簡単なタスクをゲージが尽きる前に閉じ続け、
どこまで耐え続けることが出来るのかに挑むという、パズルゲームです。

《「みんなのゲームパレード」からダウンロード!》
実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1788

授業の合間にゲーム制作

──自己紹介をお願いします。

乾燥器さん:
高校2年生の乾燥器です。『Multitask』を個人で制作しました。

──受賞された時は高校1年生だったんですね。いつからゲーム制作を始めましたか。

乾燥器さん:
ゲーム制作は中学1年から始めました。中学生になったとき、余った部品を使って自分専用のパソコンを組み立てたことをきっかけに、いろいろなことを試すようになりました。その過程でUnityにも触れるようになり、高校生になってから本格的にゲーム制作を始めました。

──ゲームクリエイター甲子園のことは元々知っていましたか。

乾燥器さん:
先生に教えてもらいました。せっかくゲームを作ったのでU-18部門があるなら出してみようと思いました。

──『Multitask』制作のきっかけについて教えてください。

乾燥器さん:
授業中にUnityやプログラミングを学ぶ機会がありましたが、既に制作経験のある自分には授業が退屈でした。そこで、その授業中にひっそりゲーム制作を始めたのがきっかけです。ちょうど文化祭があったので、そこで発表しようと思い制作しました。

──もう完全に個人で制作が始まったんですね。

乾燥器さん:
その時は友達も全くいなかったので、全部自分一人で考えて作りました。文化祭で人に遊んでもらうには誰でも楽しめるゲームにしなければと思い、できるだけ個々のタスクの難易度を下げて、先に進めない状況を避けるようにしました。ゲームセンターのようにスコアを積む感じにしようと思ったんです。

──作りたいものを作るというより、どういうものが受け入れられるかという視点から始まるのはとても珍しいですね。

乾燥器さん:
作りたいものを作ると制作が終わらなくなるじゃないですか。文化祭という期限がありますし、欲が出てくると一生終わらないので(笑)。とりあえず1年に1個は完成させようと思って作りました。

──制作中のモチベーションはどのように保ちますか。

乾燥器さん:
実はゲームを作る前にゲームクリエイター甲子園にエントリーしてしまったんです。それに文化祭で展示をするし、もう間に合わせるしかないと思いました。期限が決まっていると人はやらざるを得ないということで、何とか完成させました。期限がない自主制作だと、一生終わらないですね。

──期限を設けることで、作らなければならない状況に自分を追い込むんですね。

乾燥器さん:
ずっと手を入れ続けると、軽量化や最適化への欲が出てきて、終わらなくなってしまうんです。

──ゲームクリエイターズギルドが出展するさまざまな展示会でも『Multitask』は人気の作品です。

乾燥器さん:
できるだけ多くの人が楽しめるゲームを作ろうと思っていたので、ちゃんと刺さってよかったです。とはいえ自分が新しいことをしたわけでなく、調べるとほぼ同じようなゲームが見つかると思いますし、既存のゲームが多いんです。オリジナリティがあるかと言われると全然そんなことはないですね。

ゲームに隠された小ネタ

──『Multitask』を制作する際、最初に考えていた目標は何でしたか。

乾燥器さん:
元々コンテストに出す気もなく、身内で遊べるようにと思って作りました。ウイルスがポップアップでいっぱい出てくる雰囲気も取り入れたかったんです。

──ログイン画面から始まるゲームは、ワクワク感がありますね。

乾燥器さん:
ログイン画面にはかなり力を入れました。『Among Us』のキャラクターを2匹隠しているんですが、誰も気づかないんですよね。分かりやすく隠したつもりだったんですけどね。

──タスクを消化するゲームに集中しすぎて何も見えていませんでした。

乾燥器さん:
ログイン画面や背景にも『Among Us』のキャラクターがひっそりいますが、本当に誰も気づかないです。ほかにも小ネタを仕込んでいて、時間とともにタイトルロゴが徐々に変わっていくんです。最初は普通のタイトルで、時間が経つにつれて炎になったり、レンガ風になったり、鉛筆で書いたような感じになったりします。これも気づかれることは少ないですね。

──何度も遊びましたが、気づきませんでした。

乾燥器さん:
やはり集中すると他のことが目に入らなくなるんだなと思いましたね。

──隠し要素はどうして入れようと思ったんですか。

乾燥器さん:
作るときから背景に何かを入れようと思っていました。タイトルロゴはパワーポイントで作成したのですが、試しているうちにさまざまなロゴができたので、それを使わないのはもったいないと思い、徐々に切り替わるようにしました。自分がどこまで進んだかのスコア以外の目安として使うつもりでした。100タスクくらいまで進むとネタ切れで初めからやり直すような感じになります。それが完全クリアの目安です。

──意外なところに小ネタが仕込まれていたんですね。

乾燥器さん:
自分は70スコアしかいかないんですよ。学校やゲームクリエイターズギルドEXPOでブース展示していたときに、来場者の中には小技を使っている人もいました。自分はその発想すらなかったので、そのプレイ方法を見たときは驚きました。また、画像がネタ切れになる処理がどうなるのか自分でも想像がつかなかったので、その様子を見ていてワクワクしました。遊んでくれている人を見ながら、背景やロゴがどう変わっていくのか興味深く見守っていましたね。

──制作時にハプニングはありましたか。

乾燥器さん:
一番大きなハプニングはゲームクリエイターズギルドEXPO当日でした。手ぶらで行っても大丈夫かなと思って、着の身着のまま行きました(笑)。イベント会場でみんながパソコンの設置をしているのを見て焦りました。先生に助けを求め、偶然予備のパソコンが1台だけあったので急いで「みんなのゲームパレード」から必要なデータをダウンロードしてなんとか対応しました。本当にあの時はピンチでしたね。

──焦りましたね。

乾燥器さん:
制作時にもハプニングがありました。画面のアスペクト比についてですが、自分は1920×1080pxという一般的なサイズで作っていました。作ったゲームを親に見せようと思い、ウキウキしながら親のノートパソコンにインストールしたら、アスペクト比が違って縦長に表示されたんです。ゲームが遊べなかったので焦りましたね。

──それはどうやって解決したんですか。

乾燥器さん:
それが大変で、Unityのキャンバスの仕様をあまり理解していなかったので苦労しました。現状作ったオブジェクト配置を一からやり直す必要がありました。またスクリプト側でも、これまでワールド座標で処理していたものを、キャンバス上のローカル座標で配置するようにすべて書き直しました。もし親のパソコンが自分と同じアスペクト比だったら、気にも止めずに作っていたと思います。そんなところに違いがあるとは結構驚きました。

乾燥器さんの挑戦と展望

──受賞した感想についてお聞かせください。

乾燥器さん:
高校に入ってすぐに受賞したので、これからのハードルが高くなるのではないかと焦りました。こういうのは2年目や3年目に受賞するものだと思っていたので、1年目で取ってしまったことで、2年目に困るのではないかという心配が漠然とあります。プレッシャーではないですがちょっと怖いですね。

──乾燥器さんの思うようにのびのびと作ってほしいと思います。

乾燥器さん:
もっとオリジナリティのあるゲームにしたいです。でもオリジナルのゲームを作ろうとすると、自分のやりたい技術がネットで調べても見つからないことが多いんです。よくあるゲームジャンルだと先駆者がいることも多いんですが、自分だけの完全にオリジナルなゲームはなかなか見つけられないですね。

──将来はどうなりたいですか。

乾燥器さん:
できるだけ長生きしたいと思っています。できれば3000年くらい生きたいですね。死ぬのがもったいないと思うんです。せっかくゲームや面白いことがたくさんあるのに、楽しみを失いたくないですからね。今のうちに知名度を上げて冷凍保存されるなどして、いつか起こしてもらえる人物になりたいと思っています。

──価値ある人間として認めてもらうためにも、後世に長く残るようなゲームを作っていきたいですね。

乾燥器さん:
本当に一大ジャンルとなるゲームを作れば死んだ後もまた起こしてもらえるかもしれないですね。常に生きたいと思っていますし、脳を機械に移せる技術が実現すれば、喜んでその機械になりたいと思います。自分の脳に付加価値をつけたいです。もし「自分の脳を復活させる技術がある」と言われたら、多くの人が喜んでそれを試みると思います。未来にはその技術が実現する可能性があると思っています。過去の時代を完全に再現するのは難しいかもしれませんが、少なくとも現代を再現することはできると思います。そのうち、自分自身をコピーする技術も実現するのではないかと思っています。

──ゲームクリエイター甲子園 2024は応募されますか。

乾燥器さん:
学校のチーム制作が忙しいので悩みますが、本当は個人制作もやりたいですね。夏休みなどのまとまった時間を利用して集中して取り組むことができればと思います。家で根を詰めて作業し、しっかりと仕上げて持っていくにはそれなりの準備と時間が必要なので難しいです。人生は短いので、時間を無駄にせずに急いで取り組まなければならないと思います。

──これからも乾燥器さんを追いかけていきたいと思います。

乾燥器さん:
追いかけてもらえるようなゲームを作りますね!

「みんなのゲームパレード」から『Multitask』をダウンロード!

今回ご紹介した『Multitask』は、開発中ゲームのβ版が集まるサイト「みんなのゲームパレード」にて掲載中!作品を実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!

作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1788

「Seeds by Game Creators Guild」とは

「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。

クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。

本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。

未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。

Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds

「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催中!

ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。
このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。

制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!

ゲームクリエイター甲子園 2024 エントリー情報

エントリー期間

※先行エントリーについては下記をご確認ください
エントリー締切:2024年10月31日(木)16時59分まで

作品応募期間

作品提出開始:2024年 2月1日(木)12時00分から
作品提出締切:2024年11月7日(木)16時59分まで

※作品がない状態のエントリーも可能です
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です

応募資格

年齢:小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数:無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です

「ゲームクリエイター甲子園 2024」が2月1日(木)より開幕! エントリー手順を解説


「自作ゲームの宣伝がしたい!」という熱い思いをお持ちの方は、ぜひ下記のフォームよりご連絡ください!


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ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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