協力ゲーム『PICO PARK』でプレイヤーの”声”を生み出すために実践したこと|CEDEC2023レポ

CEDEC2023が8月23日~25日に開催されました。
楽屋でまったりでは様々なセッションのレポートをお送りいたします。

今回のセッションでは、累計販売本数350万本を突破した『PICO PARK』の制作にあたり、プレイヤーの声を生み出すことに注力したアプローチについて紹介します。

協力ゲーム『PICO PARK』でプレイヤーの”声”を生み出すために実践したこと

セッション内容

PICO PARKは2人から最大8人でプレイできるオンライン/ローカルマルチ協力ゲームです。

2021年にオンライン対応した所、数か月で販売本数100万本を達成しました。

このゲームのコンセプトは「大人数でわちゃわちゃ盛り上がれる協力ゲーム」です。

本セッションでは、「盛り上がるゲーム」を「プレイヤーの”声”がよく出るゲーム」と定義し、プレイヤーの”声”を生み出すことにこだわって実践したことについて説明します。

受講スキル

  1. マルチプレイヤー間で盛り上げさせたいと考えている方。

得られる知見

  1. 協力ゲームでプレイヤー達をどうやって盛り上げさせるか、特にどうやってプレイヤー自ら”声”を発するようにさせるかの事例。

『PICO PARK』

PICO PARKは2人から最大8人で遊べる協力型アクションパズルゲームです。オンライン/オフライン可。500円。サウンド以外個人開発。
2023年8月現在、累計販売本数は350万本を突破!(Steam + Nintendo Switch)
https://picoparkgame.com/

コンセプト

「オンライン/オフライン対応、最大8人、協力必須のゲーム」です。
コンセプトは「大人数でわちゃわちゃ盛り上がれる協力ゲーム」。

三宅さん
「盛り上がる」とはどういうことなのか?
「盛り上がる」を作るとは?
自分なりに定義しました。
「盛り上がっているゲーム」は「”声”が良く出ているゲーム」と定義づけられた三宅さん。もう少し掘り下げて、「”声”が良く出ているゲーム」は「プレイヤーが自然と”声”を発し、プレイヤー間で会話が生まれるゲーム」と考えられたそうで、悲鳴が上がったり、話し合いが起きたりするような”声”で盛り上がるということにとてもこだわって制作されたそうです。
こだわって制作された結果、350万本以上ヒットにつながったと話されます。”声”を出すゲームになるために実践されたことについてお話しいただきました。
お話をより理解するための前提条件として『PICO PARK』は全プレイヤーが同じ画面を見て遊ぶことを押さえておきましょう。

声を生み出すために実践した19のこと

『PICO PARK』のキャラクターはお互いに干渉しあうため、キャラクターの上に乗られると下のキャラクターはジャンプができない状況になります。行動制限が生まれるため「ジャンプできないからどいてほしい」という”声”が上がってくると考えたそうです。

さらに、プレイヤー同士の協力や”声”の掛け合いを引き出すため、様々な施策を取り入れられました。ゲーム制作者である三宅さんは、「死なない穴」と呼んでいる低リスクの障害物を配置することで、ミスから生まれる笑いを意図的に取り入れました。

『PICO PARK』のゲーム内では真面目なプレイヤーとふざけるプレイヤーという2つのタイプを考慮しました。助け合うギミックを基本にしながらも、裏切りの要素も巧みに組み込むことで、予期せぬ展開とプレイヤー同士の会話のきっかけを提供する設計をされました。

他にも、先へ先へと進むプレイヤーに向けて、その行動が逆手になるようなギミックを設計されたそうです。例えば、全員が同時に乗ることで上昇するリフトがあり、到着地点までの間、乗り続ける必要があります。しかし途中で先に降りてしまうと、リフトが下がって全員が移動しきれない状況になってしまう。仲間からのツッコミが生まれやすくなったとのことです。

『PICO PARK』では原則全員が頑張らないとクリアできないステージ設計ですが、ごく一部に1人だけが頑張らないといけないステージが用意されているとのことです。

”声”を意識して仕様を考えることが大事。

おまけ

三宅さん
協力ゲームにおける奉行問題ってご存知でしょうか。仕切る人が出てきて、指示された側がつまらないと感じてしまうことがあります。
『PICO PARK』ではリアルタイム性が高いため、その問題をクリアできているとのことでした。

 

質疑応答

友だちと遊んで、三宅さんの考える術中にハマっていたなと感じました。ゲームを作られたきっかけについて教えてください。
とある2つのゲームで遊んだときの思い出がきっかけです!
三宅さん

1つがセガサターンの『サターンボンバーマン』ですね。ゲームタップを通じてコントローラーを10個つなげて10人で遊べるゲームがありました。まず、自分がどこにいるのか分からない、その状況が面白くて楽しかった記憶があります。それから『ゼルダの伝説 4つの剣+』で協力ゲームの楽しさに気づきました。

心理的なところを突いていて面白いなと感じました。マーケティング関連も意識されて作られましたか。
マーケティングは意識していませんでした。
三宅さん

みんなでわちゃわちゃ楽しく盛り上がることをその一点に絞って作りました。

一画面で全員で遊べるゲームですが、複数画面で遊ぶ案もありましたか。
最初から画面分割は考えていませんでした。
三宅さん

『PICO PARK』はオフラインが前提のゲームで、途中からオンラインに対応しました。画面分割をするとプレイヤーの見る画面が小さくなってしまうため、あまり考えていませんでした。今後の作りたいゲームの中には視点を変えたものも作りたいなと思っています。

ご登壇者

三宅 俊輔

TECOPARK株式会社
代表取締役

<講演者プロフィール>

大手ゲームメーカーを経て、2021年、TECOPARK株式会社創業。『PICO PARK』を開発。

<受講者へのメッセージ>

マルチプレイでのユーザー体験向上に繋がれば幸いです。

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