ゲームクリエイター図鑑|矢部良輔 #03 「クリエイターになる夢は一度あきらめたんです」

「ゲームはおもしろい、ゲームを作ってる人も実はおもしろい」

多種多様な技術を持った人々が集まるゲーム業界。あの魅力的なゲームたちは、どんなゲームクリエイターが生み出しているのか。ベールに包まれた「ゲームクリエイター」の生態を解き明かし、この地に生息する「ゲームクリエイター図鑑」の完成を目指す。その過程として、一部のレポートを公開しよう。

クリエイター図鑑 No.004
インディーゲームを開発している株式会社ガンズターン代表の矢部良輔さん。  @gunsturn_tw
絵しりとりオンラインお絵かきゲームの『イラストチェイナー』はAppStore無料ゲームダウンロードランキングで1位を獲得。何回も作って失敗を繰り返し、それでも趣味で続けたことが実を結んだと話してくれました。

 

プログラムに興味を持った『カルネージハート』

──ゲームで遊ぶのが好きな人はたくさんいても、作る人はほんの一握りです。ゲームを作るようになったきっかけは何でしたか?

物心ついた時から作ることには興味があって、粘土やブロックで遊ぶのは好きでした。それがゲームに結び付いたのは『RPGツクール』がきっかけで、初めて触れた時に「あっ、自分で作れるんだ」ということに感動したのが原体験だと思います。

プログラムに興味が湧いたのは『カルネージハート』というプレイステーションのロボットを作るゲームですね。割と知らない人が多いんですけど、プログラムを組んでロボットを動かすんです。

『カルネージハート』
OKE(オーバー・キル・エンジン)と呼ばれる戦闘ロボットを設計して戦わせるロボットバトルシミュレーション! OKEとは機体そのものであるハードウェアと、思考を司るソフトウェアによって構成される無人の戦闘兵器です。 カルネージハート エクサHPより

 

──当時やっていました! でも、難しすぎて断念した記憶があります……。

僕はあれにドはまりして、1日10時間プレイするぐらいの勢いで高校生の夏休みを潰しちゃったりしたんですけど、あれでプログラムに興味を持って、初めて自分でゲームを作ろうといろいろ勉強しました。最初はC++でやったんですけど、挫折しちゃって。本心ではクリエイタースクールに行きたかったんですけど、それを言い出せずに普通に大学に入ってシステムエンジニアになりました。僕の中で、そこでクリエイターになる夢は一度あきらめたんです。

 

──それでも、鉄道系のお仕事をしている間もゲームを作り続けていたんですよね?

そうですね。でも完成はしていなくて、体験版レベルなんですよね。仕組みを作ると満足してしまうところがありました。体験版まで作ってコミケでタダで配布して、そこまでやったら満足するのが当時の状況でした。ですが、転職を機にゲーム業界にチャレンジしたら、意外と行けちゃいました。

「この時代にここでチャレンジしない理由はない」

──ヒットタイトルに恵まれて、今は自分のゲーム作りに集中できる環境だと思いますが、「楽しいものを作る」とか「人を喜ばせる」だけじゃなく、自分の生活を成り立たせる大変さもあると思います。その折り合いは大変ではありませんか?

まあ大変ではありますね。広告も本当はない方が良いんじゃないか、でも有料にしちゃうと誰も遊んでくれないだろうし、と悩んだりしました。それでも、まずはみんなに遊んでもらうのが大事だと、最初は渋々広告を入れていたんですね。ただ、これは結果論ですが、アプリを無料にしていなかったら今の状況にはなっていないでしょうし、今では、広告で収益をあげるスタイルを選んでよかったなと思っています。未だに、広告の量などでとても悩みますけど。

 

──それでも、自分でゲームを作って生活を成り立たせている今は充実していますよね?

そうですね。自分の仕事を自分で全部決められるっていうのが独立の一番のメリットです。今はUnityとかUNREAL ENGINEを使えば個人でどんなプラットフォームでもゲームを作れます。この時代にここでチャレンジしない理由はないのかなと僕は思います。やりたければやればいい、それがゲームジャムがきっかけになって生活に結び付く収益が生まれたりするんですから、どんどん作っていくべきだと思います。

 

──独立した時点で、この充実ぶりは予想できていましたか?

『イラストチェイナー』のヒットで生きていけるのは多分2年ぐらいだろうと考えていました。今が3年目ですけどまだ大丈夫で、この期間は神様からもらった猶予で、この間に自分の作りたいものを作ろうと集中して開発に取り組んでいます。もちろん、イラストチェイナーにもどんどん新機能を追加していきたいですね。

1本か2本のゲームを作って、それがヒットしないとか、世間にあまり浸透しなかったとしても、それで何かをあきらめる必要はないと思います。作ること自体を楽しんでいれば、さっきも言いましたけど20本作ればどれか1本は何か起こすんじゃないのかな。

やればやるほど自分に蓄積されていくものがあります。そのアウトプットは明確なので、抽象的なスキルに自己投資するよりゲーム開発を選ぶ方が建設的だと思います。割と満遍なくIT関係のスキルは身に着くので、潰しは効きますよ。

#03まとめ

「チャレンジしない理由はない」と話す矢部さん。「作ること自体を楽しんでいれば何かを起こす」とご自身の経験からゲーム制作へのマインドをお話いただきました。

ガンズターン 公式サイト

株式会社ガンズターンは、スマートフォンの企画・開発・運営を行っています。「楽しいことにまじめなアプリ」制作を目指し、現在…


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