本記事はクリエイター向けUXを学び合うコミュニティ「ものづくり UX Lab」に掲載しているものをまとめた記事となります。UXについての意見交換などは⇩のコミュニティで!
こんにちは。ものづくりUX Lab を主催する株式会社B.C.Membersの西田です。
普段は企業や業界の方々にUX設計のレクチャーを行ったり協力をしたり、ものづくりUX Labや、ものづくりUX SCHOOLでUX設計の講師をしたりしています。
今回は、2018年12月7日発売された大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL(以下、スマブラSP)について、UXの観点からできる限りわかりやすく紐解いていければと思います!
Nintendo Switch『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』は本日発売!20年の歴史とゲームの垣根を越えて集結した総勢74体の豪華ファイター!あなたはどのファイターで参戦する? #本日参戦 で投稿!#スマブラSP pic.twitter.com/6ETcXc3oOI
— 大乱闘スマッシュブラザーズ【スマブラ公式】 (@SmashBrosJP) December 6, 2018
私自身の「スマッシュブラザーズシリーズ」との出会いは、初代スマブラである「ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ」でした。
対応ハードがNintendo64だったので、グリグリ動くスティックで指を酷使しながら友だちと一日中ずっとプレイしていたのを覚えています(笑)
初代スマブラから時は経ち、「スマッシュブラザーズDX(GameCube)」「スマッシュブラザーズX(Wii)」「スマッシュブラザーズ for 3DS」「スマッシュブラザーズ for WiiU」という、いくつものシリーズを経て今作スマブラSPに至りました。
これだけのシリーズを経て、それでもなお続いていく。それどころか拡大を見せている「スマブラSP」というゲームは、一体どのようなUXを設計しているのでしょうか…。
おそらく、ゲームづくりにおいてとても大事なUX設計が隠れているはず…!
「ものづくり UX Lab」コミュニティのコンセプトに倣い、ゲームクリエイターを目指す方などをはじめ、クリエイティブに取り組む方々に少しでも役立つことができればてば幸いです!
そして一人でも多くの方々とものづくりにおけるUXについて語り合えれば最高です!
なお、記事内でのUXという言葉の意味は、以下の「ものづくりUX Lab」での定義を元に使っております。
ユーザーが体験し、認識したこと。その経験そのもの。
スマブラって「大乱闘」するゲーム!
スマブラは、初代のNintendo64版「ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ」から数えて、シリーズ計6作品となる作品です。
任天堂の新しいハードが出るたびにリリースされ、そのたび話題になって売れている、という、いわば「ハードをけん引するキラータイトル」のひとつでもあります!
初代からスマブラをしている人は知っての通り、「体力性ではなく、ダメージを増やしあって、相手を場外に吹っ飛ばしたら勝つ」というのがウリ!
初代がリリースされたころは、対戦と言えば2人での対戦格闘がメインでした。
お互いに攻撃してHPゲージを減らしあって、先に相手のHPゲージを0にした方が勝つ、という体験が、「対戦格闘」と呼ばれるものの基本的なUXだったのですが、このスマブラは
「体力を減らしあって、相手の体力を0にしたら勝つ」というUXを真っ向から覆して、「ダメージを増やしあって、相手を場外にふっとばしたら勝つ」という、全く新たなUXを設計しました。
【お知らせ】開発スタッフによる新ファイターのプレイ映像を2本公開しました。各ファイターの特徴やプレイ実感など、こちらでご覧いただけます。1本目は、キングクルールとスネークの1vs1です。https://t.co/pB0GGlDsUH#スマブラSP pic.twitter.com/dOP7v52KLt
— 大乱闘スマッシュブラザーズ【スマブラ公式】 (@SmashBrosJP) August 21, 2018
このUXは、元々あった「体力を減らしあって、相手の体力を0にしたら勝つ」というUXが持つ欠点である「コア層向け」に対する対応策の一つとして生まれた、と桜井さんから語られています。
結果、このUX設計は大成功し、これまで「コア層向けだから」と対戦格闘系のゲームを敬遠していた潜在層がスマブラに流入し、初代は爆発的なヒットを記録しました!
ゲームのジャンルも「格闘ゲーム」ではなく、「対戦アクションゲーム」であるのも、スマブラがこの新しいUXを設計しけん引している、ということの表れかと思います!
また、このスマブラのUXがこれほどまでに支持された要因としてもう一つ欠かせないのは、「パーティゲーム性のある大乱闘ゲームである」という点かと思います!
前述の対戦格闘ゲームUXが「コア層向け」である理由の一つに、「個人の技量・技術に勝敗の殆どが依存している」というものがあります。1対1であるがゆえに、個人の技量・技術のぶつかり合いとなり、それで勝敗が決まるというUXとなっており、そのUXが繰り返されることにより、個人の技量・技術が高いコア層がユーザーとして残っていくというユーザーロードマップとなっていました。
格闘ゲームに興味を持つ
↓
格闘ゲームをプレイする(ゲームを購入・ゲームセンターでプレイ等)
↓
対戦相手と、体力を減らしあう
↓
対戦相手の体力を0にする
↓
【勝利】
ゲームに勝利する
↓
次の対戦相手と戦う
【敗北】
ゲームに敗北する
↓
ゲームに勝てるよう、練習する
↓
技量・技術を習得して、次の対戦相手と戦う
※技量・技術を習得できないユーザーは勝つことができず、淘汰されていく
スマブラでは、「ダメージを増やしあって、相手を場外にふっとばしたら勝つ」というUXのなかで、「ダメージを増やす手段」と「相手をふっとばす手段」が技術・技量以外でも豊富に用意されています。
ステージのギミックであったり、アイテムであったり、最近では別のキャラクターを召喚して攻撃させる、ということもできます!
さらに、1対1ではなく複数人での対戦も可能なため、よりランダム性が上がり、「パーティゲーム性のある大乱闘ゲーム」というかたちになって、コア層向けの格闘ゲームを敬遠していた層に非常に強く刺さったのではないかと思います!
(※この記事は任天堂さんとは何の関係も御座いません笑)
次回は『「勝ちたい」という気持ちに、スマブラSPは向き合っている。』
つづく…!
本記事はクリエイター向けUXを学び合うコミュニティ「ものづくり UX Lab」に掲載しているものをまとめた記事となります。UXについての意見交換などは⇩のコミュニティで!こんにちは。ものづくりUX Lab を主催する株式会社B.C.[…]