学生クリエイターにフォーカスしたインタビュー企画!
― 学生クリエイターがどんなことを考えて、何に熱中しているのか。―
今回は法政大学 の福田風人さんにインタビューを行いました。
ホラーゲームが大好きな福田さんはどんな思いでゲーム業界を目指すのでしょうか。
プランナーにも興味があるプログラマー志望
― 自己紹介をお願いします。
福田:大学の理工学部で応用情報工学科で学んでいます。
― 大学ではサークルはどんなサークルに。
福田:少しだけ映像研究会に入ってて、映像製作していました。
― 何を作っていましたか。
福田:声真似をするラジオを撮って編集処理をしましたね。ラジオだけど映像をつけてみたりしました。
― どんな作品を作りましたか。
福田: 1社プランナーで受けたところで企画書の提出があったので、初めてそこでゲームの企画書を作りました。
― なるほど。新しいパターンですね。
福田:就活を機にですね。
― バイトの経験でどんな学びを得ましたか。
福田:リゾートバイトでホテルの清掃を経験しました。夏に2週間ほど泊まり込みで新潟のホテルへ行きました。かなり田舎の方なので、現地の高校生に話を聞くと、都会と田舎の差やいろんな捉え方、本当に自分と違う世界を見たなと思いました。
― 出身は東京ですか。
福田:ずっと東京です。
― なるほど。
福田:だからバスが何分に何本というのを見て、本当なんだって。もう全く違う世界だというのを感じました。
― ゲーム業界の志望職種はなんですか。
福田:最初はプログラマーを強く思っていましたが、就活を進めて行くとプランナーに近いかなと思っています。
自分にない考え方を知れるのが学校
― 自分の強みはなんですか。
福田:僕は長男で弟が下に3人います。昔から面倒を見ていた影響か分かりませんが、テスト期間になったら友達に勉強を教えて世話を焼くのがすごく好きで得意です。
― 世話好きなんですね。
福田:小学生の頃はみんな仲良しだったのに中学に行ったら派閥が出来てしまったことが嫌で、高校は仲のいいクラスにしたいと思いました。そのため仲間外れを作らないように動いていました。集団でいるのがすごく好きなので。
― それはどう動いたんですか。
福田:物静かな子たちや声が大きくてうるさい人たちもお互いを敬遠してるわけじゃないので、そこで同じ趣味を持っていたらつながりを持って橋となるというか「あいつも連れて行こうよ」と一緒に遊んでいけば分かっていけました。
―結果がちゃんと出たんですね。
福田:みんなが話したことがないとかもなく、普通に冗談も言い合うような仲にはなりました。
― いいですね。
福田:自分だけの力じゃなくて、一緒にやってくれる子もいました。だから数人でクラス内の偏見を無くしていくことをやっていました。
― 今まで辛かったことはないんですか。
福田:そうですね。辛い、面倒くさいとかそういったことを回避して生きてきました。大学も受験せず推薦で入っています。それも高校に入る前からです。優秀な成績を収めていれば推薦で入れるってことを知って、受験を回避しようと動いていました。
― 完璧でありたいと思う?
福田:そうなんですよ。それが結局、辛いという経験に繋がらないんです。高い目標を持って頑張ろうとしますが、目標に行かなくても自分ができるところでやっていこうと考えます。
― それは自分に何かセーフティを張っているんでしょうか。
福田:若干そうかもしれないですね。辛いことから回避するために、自分自身を無理やりポジティブシンキングにして今まで過ごしてきました。
― どんなときが授業や学校で楽しいですか。
福田:やっぱり友達と一緒にテスト勉強や何かを取り組んでいるときが楽しいです。
― あまり1人でいるのは好きじゃないですか。
福田:1人でいるときも大事で好きですが、わざわざ学校に行って何かするなら自分が持っていない考えを持っている人と一緒に取り組むことが、学校でできる楽しさかなって思います。
― 自分と違う考えの人と一緒にいて学びはありましたか。
福田:自分は昔から数学で最初に教えられた定理などにすごく従う人間ですが、ある友だちは「こうしたほうが計算早くない?」と、自力で工夫する観点を持っている人がいました。「固定概念にそこまで縛られちゃいけないんだ」とそこで知りました。
― 軽音部はいつからですか。
福田:高校の3年間は軽音部に所属してベースを担当しました。始めたきっかけは本当にノリで軽音に入ろうと思って始めてみたんですが、不思議なつながりが見えてきたんです。なんとなくベースを選んだら、実は前の父がベースをやっていたという。自分が好きな曲も、両親が若い頃好きだった曲の系統で、よくよく思い返したら幼い頃に自然と聞いていたのが残ってたんだなと思いました。
― 結構上手になりましたか。
福田:そうですね、やんわりです。
他校と交流、ゲーム企画イベント
― 学生交流ゲーム企画イベントではどんなゲームを企画しましたか。
「ゲームの企画・プレゼン交流会」
2020年3月15日 学生クリエイター向けに行なわれた、ゲームの企画・プレゼン交流会。集まった学生たちがチームを組み、その場で発表されたテーマに応じてそれぞれゲームを企画した。
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福田:チームで考えたのが、油が入った鍋の中で、揚げ物に対して愛情を届けるシューティングゲームです。揚げ物に対して、愛を撃ち続けて、美味しくさせるゲームを考えました。
― どんなところを担当されましたか。
福田:油の妖精でアブラハムというキャラクターやステージですね。ステージとして唐揚げがいっぱい必要になるシチュエーションを考えました。
― 一緒に作ってみてどうでしたか。
福田:一緒に作ったのは専門生の方々で、今までにゲームを作ったこともあって、企画を考えるのもやってきた人たちだったので「ゲームの企画ってこうやって考えていくんだ」と、アプローチの仕方を知ることができました。あとは資料作りです。プレゼンを意識して資料を作るんだと思いました。
― 初めての企画だったんですね。
福田:そうですね。独学で1回プランナー志望のところへ企画書を作っただけで、このイベントで本格的にみんなが取り組んでいるプランナーのやり方なのかな、と何となく察した感じです。
― どういう風に進めていきましたか。
福田:3人のゲーム案からチームでどれをメインに考えていくか決める話し合いをして、1人が提案したシューティングベースになりました。
― 福田くんはどんな案を出しましたか。
福田:自分は油を使ったパズルゲームを考えていました。ドレッシングとかは上と下で分離するじゃないですか。あんな感じでスマホを傾けて、油を操ってポイントを当てるというパズルゲームを考えました。
― 自分の案は推さなかったんですか。
福田:自分の案では、最終的に発表するときに推せるところが少なくなるけど、シューティングなら言えることが多いねという意見で決まりました。
― 意外としっかり話し合ってたんですね。
7割がゲームでできている自分
― 趣味でありえないぐらい突き詰めているものは何ですか。
福田:ゲームですね。これは、本当に。ずっとちっちゃい頃から、朝起きて、学校行って勉強して、帰ってきたらゲーム、ずっとこの生活なんで。
― 何のゲームに一番ハマりましたか。
福田:『ダークソウル』のソウルシリーズ系統がハマったかなと思います。
― 1番好きなゲームの魅力を語ってください。
福田:ゲームは自分の中では究極のエンターテインメントコンテンツだと思っています。例えば映画を超えることができるのが『デスストランディング』や『アンチャーテッド』とか、自分自身が主人公になれるんです。他にも『グラウンドセフトオート』だと銀行強盗ができて絶対自分じゃできないことができるんです。絶対自分じゃ歩めない人生を体験できるので、それがゲームの魅力だと思っています。
― それを提供する側になりたいですか。
福田:そうですね。プログラマーとして最初に決めた理由が、自分も面白いことを言えるけど、それは多分一部のアイデアでしかなくて、だったらプランナーの案に自分のアイデアを加えて、面白いゲームを作れるんだったら楽しいなと思って、プログラマーを選んだんです。
― ゲーム以外で好きなコンテンツはなんですか。
福田:映画です。映画は大体2時間半で1つのストーリーを作り上げて届けないといけない。最近『IT』や『ストランジャーシングス』など80年代物が流行っていて、自分が生まれる前の知らない世界を映画を通して学べます。そういったことを伝える手段でもあるなと思います。
― 素晴らしいと思います。好きな監督はいますか。
福田:ティム・バートン監督です。幼少期からビデオで『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』をずっと見ていて、そこからハマりました。『アリス・イン・ワンダーランド』や『フランケンウィニー』、『コープスブライド』など沢山見ました。
― 古い時代に興味があるのはなんでだろう。
福田:ホラー映画観ていく中で『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』も80年代の作品で、そのあたりをよく観ていたのがあって、ちょっと印象が強いのかもしれないです。1番好きなキャラクターは、『エルム街の悪夢』のフレディが好きですね。
― どうしてですか。
福田:『ハロウィン』のマイケルや『悪魔のいけにえ』のカニバルはただ無言で殺す目的でやってくるんですよ。でも『エルム街の悪夢』のフレディは自分の私利私欲でこの女の子を殺したいって希望で、めちゃくちゃおしゃべりという人間性がありつつ、ちゃんとした真の目的があるところがすごく好きで、ただ無差別な殺人鬼より、そういう意図がある方が結構好きだなと思います。
― とうとう殺人鬼について語る学生が出てきた(笑)
福田:ここ3年間は『デッド バイ デイライト』は継続的にやっているので。
― キラー派かサバイバー派だったらどっちですか。
福田:断然キラー派です。キラーで遊ぶのがものすごく楽しくて。サバイバーもやりますがキラーほどの楽しさはないですね。トロフィー集めが好きでこの作品もトロコンしています。
― 自分を構成している要素は何だと思いますか。
福田:7割くらいがゲームで、そこを補うように映画と音楽ともう1つがプロレスですね。その要素にホラーが息をかけているような感じで入って、自分ができてるんじゃないかなと思います。
― プロレス!
福田:自分が見始めたのが中学2年生で今から8年ぐらい前です。全然プロレスを知らないんですが見てたら、トラックをひっくり返すパフォーマンスなど、リアルタイムでその場でやるエンターテインメントとなっていてどんどん引き込まれていきました。どんどん見ていくと、ストーリーに起承転結がしっかりあって、スポーツエンターテインメントにすっかりハマりました。
ホラーゲームを作るのが夢
― 将来はどうなりたいですか。
福田:将来はゲームを作っていきたいです。ホラーゲームがすごく好きで、最終的には世界で1番怖いと言われるホラーゲームが作るのが夢です。きっかけは高校生の頃にやった「PT」っていうホラーゲームの体験版です。
― めっちゃプレミアですね。
福田:「これはもう絶対消さないぞ」と思います。本当に、あのゲームが与えた、ホラーゲームのインディー界に与えたのがすごいでかくて、とてもルール自体はシンプルなんだけど、怖さをここまで持っていけるっていうのは、こんなことをやりたいと思って、みんなが怖いって思って、影響を与えるゲームを作りたいなっていうのが、夢としてあります。
― ホラーゲームが好きなんですか。
福田:小学生のときはホラーがすごく嫌いで、テレビ番組でホラーをやっていたら「もう見たくない!」と言うぐらいです。それが中学生の頃に友達の家で「呪怨」の映画を観ることになって、嫌だなと思って見るんですが、あまり怖くないことに気づきました。自分が思っていた方が怖いなと。「怖がりが考える怖いのが、1番怖いはずだ!」思っていろんなホラー映画を観ていたら、怖がらせ方を学ぶようになって、ホラーゲームをやると「ああ、怖いな」と思うんですが、自分の実体験になって、ホラーゲームを作る側になりたいと思いました。
― 福田くんの思う「怖い」ってどういうことでしょうか。
福田:「怖い」と「笑い」はニアリーイコールだと思っています。「笑い」は裏切りや構成があり、「怖い」も裏切りや構成で怖さを感じる。「怖い」と「笑い」の両方は人間が生きていく上で必ず必要なもので、人間だから楽しむ2つの感情なのかなと思っています。
― なるほど。最近あった怖いことはありますか。
福田:最近あった怖いこと……。夢なら「怖っ!」って思うことは色々ありますが、現実でってなると……。
― 作りたいゲームはホラーゲームでしょうか。
福田:根幹に強くありますが、それ以外にも普通に面白いと思ってもらえるゲームが作れたら1番良いです。もう1つやりたいことは「ゲームをあまりやらないライトユーザーの人たちにもっとゲームしてほしい」と思っています。自分が中学、高校生の頃にスマホが流行りだして、モバイルゲームがいっぱい出ました。そうするとコンシューマーゲームで遊んでいる友だちが少なくなりました。「こんなに面白いゲームがいっぱいあるのに」と思って、そういったゲームの面白さを伝えたいです。
― 難しそうですね。
福田:それはちょっとプログラマー・プランナーとはまた違うベクトルだなと思っています。
― 何か方法はありますか。
福田:そうですね。これは直に時代が来ると思っていることが、普通のスマホで気軽に誰でもコンシューマーゲームができるようになる未来が遅くても10年以内には来るなと思っています。
― 根拠はありますか。
福田:技術力で出来ること考えると、すでにクラウドサービスでGoogleの『Stadia』で方針を出していたので。予想ですが10年間の中でそれを実現していくんじゃないかなと思います。みんなが持ってる手頃なデバイスで、そういったゲームができるようになれば、今より興味持ってもらいやすくなるのかなと思います。
ゲームの伝道師は24時間ゲームをしても疲れない
― 最後に自己PRをお願いします。
福田:自分の長所・短所でいうならば、人に物事を教えることが得意で、学生生活でテスト勉強を教えて、プログラムだったら「アルゴリズムってこういうことだよ」と教えていました。反対に短所にもなって自己犠牲の精神がとても強くて、友だちのために何かを我慢したり、睡眠時間を削ってまで教えたり、人に尽くしすぎちゃうところがあるなと自己分析をしていて初めて気づきました。そこをバランスよくしていくのが大事だなというのを意識するようになりましたね。
― 他にはありますか、普段言ってなさそうなこととか。
福田:ゲームをしていても疲れない体質で、いつでもゲームができます。先日『仁王2』が出る前に、『仁王』を遊ばなきゃと思って、24時間配信と一緒にやるんです。『ポケモン』の配信をやってる時に来てくれた人たちは大体『仁王』を知らないんです。その子達に『仁王』ってこういうゲームだよと、楽しさを伝えてこのゲームはこういう面白さあるよねという活動をやんわりはやってます。
― 知ることがないかもしれない層に伝えているんですね。
福田:『デッド バイ デイライト』だと、こういう試合でこんな面白いことがあったよというのを簡単に編集して、Twitterにパッとあげたりします。
― 映像系でこれはいい仕事したといえるものはありますか。
福田:プロレスのゲームもあるんです。でも日本語版が出ているわけじゃなくて、操作説明はWEB上に載っているんですが、調べないと分からないんです。でもそこまで調べないと分からないということは「これ俺が教えてあげればいいんじゃない」と思って、プロレスゲームの操作方法を説明した動画を作ってYouTubeにアップしたんです。コメントでも「この〇〇モードやるにはどうしたらいいんですか」という相談が沢山きて、気になる人がやっぱりいて、助けになっているんだと思いました。
― 見てる人は多かったんですか。
福田:4000……ぐらい、大体4000弱ぐらい。
― 結構有名なゲーム? マイナーなのかな。
福田:シリーズとしてはずっとあるゲームです。
― でも日本語ないんですよね。
福田:日本語はないですね。
― 面白いですね、ぜひ取り組み続けてほしいです。
福田:ありがとうございます。
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