『Chill with You』インタビュー
『Chill with You』について
『Chill with You : Lo-Fi Story』は小説を書くのが好きな妄想豊かな少女(サトネ)と一緒にデスクワークする作業用ADVです。サトネの心情を描いたLofi音楽や環境音、風景をカスタマイズして作業に集中しよう!作業をするほどに信頼関係が深まっていき、サトネと心が通じ合うことも…?
集中を最大化する感情表現豊かな音楽
ゆったりリラックスして作業をしたいとき、感情を動かしながら心のエネルギーを奮い立たせたいときなどあらゆる作業シチュエーションに最適なオリジナル楽曲を用意しています。
実力派のサウンドアーティスト達による音楽を聴きながら贅沢に作業に没頭しよう。
人間の本能を呼び覚ます多種多様な自然音
時には音楽をOFFにして。風の音や雨の音などに耳を傾けて大自然の中で神経が研ぎ澄まされるような感覚の中で作業しよう。多種多様な自然音を自分好みにカスタマイズできます。
数分の休みが集中力を最大化するポモドーロタイマー
作業を始める前にポモドーロタイマーをセットして休憩時間を管理しよう。定期的に短い休みを入れることによって集中力が最大化します。
文学少女サトネが秘めた想い
作業後の休憩時間にサトネとコミュニケーションを取ろう。あなたと一緒に作業をした「大切な時間」によってサトネとの仲が深まったらサトネはあなたに心を許すかもしれません。
■開発チームについて
——チームの紹介をお願いします。
私たちはインディーゲーム開発会社の株式会社ネストピに所属する『Chill with You』開発チームです。『Chill with You』開発のために社内から人を募って発足しました。中堅やベテランクリエイターをサポートに置きながら、若い人たち特有の発想やアイデアなどの創造力を強味にしたチームになります。
——チームは何人くらいですか。
ディレクター1名、デザイナー1名、プログラマー1名です。
デザイナーとプログラマーは2024年卒で、本作を作り始めたときはまだ社会人1年目でした。
サポートで先輩プログラマーや他チームの方々が時折手伝ってくれたり、アドバイスをくれたり等しています。
——これまでどんなゲームを開発しましたか?
私自身は今まで10年以上3Dデザイナーとしてゲーム開発に携わっておりました。ネストピに加わったのは2年程前で、それまでは小さなグラフィック制作会社に所属しながら有名なロボット作品の3Dモデルやスマホ向けの美少女系3Dモデルなどを作っていました。
他2名はこれまではメタバース系のゲームなどで活躍しておりました。
■開発について
——『Chill with You』開発のきっかけについておしえてください。
当初はある人が主体となり、私は壁打ちや相談を受ける形で企画立案を行われました。ですが企画立案した方が辞めてしまったので、私がすべて引き継ぐ形で制作を進行したという経緯があります。
立案時に目をつけていたのが【作業用BGM】でした。
『作業用BGM』という動画が、様々な動画サイトで平均10~100万再生されており、特に目を引いたのがLofi Girlというyoutubeチャンネルです。内容はLo-Fi音楽を流しながら、女の子が作業する風景が延々と流れるというものです。
これに女の子と一緒に作業している感をより強化してあげたら…。図書館などでたまたま隣に座った女の子を意識しながら勉強するといったようなちょっとした青春的な体験はユーザーにとって価値のあるものになるのではないかというのが最初のきっかけでした。
——開発で苦労されたところは?
例を挙げるときりがないくらいありますが…
私自身が初ディレクターということもあり『ディレクター』というポジションを理解しているつもりになっていた点、つまりディレクターの仕事、ユーザーが喜んでもらえるものを作るというゴールに向けてかじ取りをおこなうべきなのですが、ゴールに向かうまでの間にマネジメントなどの問題に直面し、そのたびにゴールを見失っていってしまったことです。
「ユーザーが喜ぶものを作ろう!から「とりあえず完成させよう!」という考えに度々陥ってしまっておりました。
それだと当然面白いものが出来上がることはないので、現状の考え方でモノづくりをして面白いものが出来上がるのか?と自問自答して原点へと立ち返ったり、早めに出来上がったものを誰かに見せてみることにしました。そのおかげで何とかここまで来ることができましたが、逃げ癖のあるマインドに頻繁に陥ってしまうのが苦労しました。
——開発の中で気づいたことはありますか?
苦労した話につながりますが、「自信をもって開発に望むこと」がいかに大事か再認識しました。そして自信には根拠が必要だということにも気づきました。
例えばおいしいラーメンを作ろうとした時に、試行錯誤して作った究極スープ、自家製面、準備は完璧!しかし、ふと本当においしいのか疑問に思ってしまいます。
せめて「仕事帰りのサラリーマンが”癒される”ラーメン」と考えていれば、「自信ある根拠」をもてていたはずです。
このゲームが面白い!ユーザーに喜んでもらえる!という自信が最初から最後までぶれてはいけないのですが、今回は何度かぶれてしまいました。なぜぶれたのかというと、このゲームが本当に面白いのかという根拠が 自分の中で整理しきれておらず、「とりあえず高級食材を用意すればいいのでは」みたいな思考になってしまったのです。
こうなってしまうと、現状既にあるゲームサイクルさえ疑い始めたり、機能も足らないのではないかといったような状態になり、混乱状態になってしまいます。
そうならないように、しっかりとした「根拠のある自信」を原点に持ち、時折立ち返ることが大事だと気づかされました。
——完成までどのくらいの期間を想定していましたか?
最初期は3か月ほどでした。
——実際にかかった期間はどうでしょう?
まだ完成されていない状況ですが、恐らく7~8か月ほどです。
——ゲームエンジンは使っていますか?
unityを使用しております。
■ゲームについて
——本作のおすすめのポイントを教えてください。
サトネ(ヒロイン)と一緒に作業を進める体験感です。
一人で作業をするというのは意外にきついのですが、誰かと一緒に作業すると連帯感が生まれ、自然と作業が続くことがあります。
例えばですが文化祭の縫物などの作業は一人ではきついですが誰かと一緒に喋りながらやっていると自然とできたりします。
サトネと作業を進めながら絆を深めていっていただき、サトネと一緒に何かを成し遂げていくような感覚をぜひ体験していただきたいです。
——キーボードの音が心地よいですね。
有難うございます!
サトネと一緒に作業する体験の上で一番大事だと考えているのがサトネの存在感、気配です。
作業をしていて画面を見なくても、サトネを感じられるよう気を配っております。
——本作の今後について教えてください。(セールやアップデートなどがあれば)
製品版のリリースを2025年第3四半期に予定しています。
■最後に
——この記事をご覧の開発者や学生の皆さんに一言お願いします。
根拠のある自信をもって、作り続けることでいつかきっと誰かの心に響いてくれるものだと信じております。
みなさんも自分自身を信じられるような根拠をもって、取り組んでみてください。
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
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