ゲームクリエイター甲子園 2024 受賞者インタビュー!
2025年1月19日、浅草橋ヒューリックホール&カンファレンスにて、ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会が実施されました。
発表授賞式では、学生から応募された1,001作品の中より「独創性」や「突き詰め」など、6つの項目により評価、厳選された上位作品が「ゲームクリエイター甲子園 2024 総合賞」として表彰されました。
本記事は、U18部門にて選出された上位2作品と、総合賞を受賞した、上位3作品の開発者インタビューを実施。その内容をお届けします。
U-18 総合賞 第2位 『LAUNDRY』
『LAUNDRY』は、ドラム式洗濯機の中で精霊となり、次々と投入される洗濯物をひたすら避けていくアクションゲーム。直感的な操作感と、ドラム式洗濯機ならではの演出を工夫した作品となっているとのことです。
『LAUNDRY』開発者、乾燥器さんへのインタビュー
──本作開発のきっかけを教えてください。
乾燥器さん:
本作は、実はコインランドリーのアルバイト採用に落ちた時期に、友人とゲーム制作の話をしていて、アイデアを出していく中で、実際に自分も「洗濯機」を題材とした作品を制作したいと考えはじめ、制作に至った作品です。
──本作開発の上で、思いがけず上手くいった点や、難しかった点を教えてください。
乾燥器さん:
思いがけずうまくいった点としては、洗濯機内の波のエフェクトはとてもシンプルなメカニクスで動いているのですが、シンプルゆえにかえってリアルな描写となったことですね。逆に難しかった点としては、一見シンプルなゲーム性ゆえに操作方法を読んでもらえず、作品のもつ魅力に辿り着く前にプレイを諦めてしまうユーザーが多くいたことですね。ユーザーからのフィードバックを受けて、うまくチュートリアル要素を差し込むよう改善を凝らしました。
──受賞をうけての今のお気持ちと、今後の展望をお聞かせください。
乾燥器さん:
実は、2位受賞はちょっとだけ避けたかったんですよね。昨年度3位を受賞していたので、こうなると来年へのプレッシャーがすごくって(笑)。ただ受賞の経験を活かして、様々なゲームを制作しつつ、より良い結果が残せるよう頑張っていきたいと思います。
『LAUNDRY』作品紹介ページはこちら
U-18 総合大賞 『エジプトのこおり屋さん』
『エジプトのこおり屋さん』はパズルシミュレーションゲームであり、太陽の力が強くなりすぎてしまった砂漠を救うため、光に当たらないようにキャラクターを操作しながら氷を届けるゲームとなっています。時間によって変わる影や、エジプトの神々の力を借りながら、ゴールまで氷を溶かさないように運ぶゲーム性が特徴です。
『エジプトのこおり屋さん』開発者、haru_さんへのインタビュー
──本作の開発の中で、思いがけずうまくいった点や、難しかった点などがあれば教えてください。
haru_さん:
ゲーム内にて、陽炎(かげろう)を制作したのですが、熱さの表現やゆらゆらと揺れている感覚を作るのが思ったよりも大変で、制作に手間がかかりました。一方で時間と共にオブジェクトの影が反転するメカニクスは、思いがけず簡単に作ることができました。
──U-18 総合大賞を受賞した感想と、今後の展望をお聞かせください。
haru_さん:
正直にいうと、他のクリエイターさんの作品の完成度が非常に高いと感じていたので、受賞するとは思っていませんでした。非常にびっくりしたのですが、このような評価をしていただけたことが非常に嬉しいです。今後は、本作での開発経験を活かし、ローグライクゲームを開発しようと考えています。
『エジプトのこおり屋さん』作品紹介ページはこちら
総合賞 第3位 『SHADOW LEAP』
『SHADOW LEAP』は、サイバーパンクな世界観を舞台に、ビルの上で戦闘が繰り広げられる影分身(シャドウクローン)アクションゲーム。暗めの世界観の中には、ネオン看板が多く配置され、独特の雰囲気がプレイヤーを惹き込みます。
『SHADOW LEAP』開発チーム「Leapers」リーダー、阿部さんへのインタビュー
──受賞を受けて、今のお気持ちをお聞かせください。
阿部さん:
コメントでもいただいた通り、自分たちの頑張ってきた部分や、かっこよさを突き詰めてきた点を評価していただけたことが大変嬉しいです。
──本作での受賞経験を活かして、今後どのような活動を行っていく予定ですか。
阿部さん:
本作は2026年3月にSteamでのリリースを予定しているため、より良い作品が出せるよう演出や、スキル、パルクールアクションの要素をチームでさらに強化していきたいと考えています。一人のクリエイターとしては、時代に求められているゲームだけではなく、今までにない新しいゲームを生み出せるように、勉強を続けていきたいです。
──本作をプレイしようと考えているユーザーに向けて、メッセージをお願いします。
阿部さん:
本作はダークな世界観ながらも、男女問わず楽しめる魅力をもつスタイリッシュな作品です。ぜひ一度手に取っていただけると非常に嬉しいです。
『SHADOW LEAP』作品紹介ページはこちら
総合賞 第3位 『Out of Skull』
本作品は、ガイコツの主人公が「頭投げ」を使ってゴールを目指すパズルアクションゲーム。「全てのステージでひらめきが得られる」ことを目指して制作した作品とのこと。
『Out of Skull』開発チーム「セイテイシレズ」リーダー、シキガエルさんへのインタビュー
──受賞を受けて、今のお気持ちをお聞かせください。
シキガエルさん:
僕たちの理想に近いパズルゲームを制作することができ、それを評価していただけたことは心より嬉しい反面、総合大賞を目指していたため、ほんの少しだけ悔しさも残っています。
──この悔しさを活かして、今後どのように活動を行っていきますか?
シキガエルさん:
本作の開発における、最終目標はSteamでのリリースにあるので、リリースまでにさらにゲームをブラッシュアップしていきたいと考えています。具体的には、本作のメイン要素であるパズルゲームの部分とは直接関係しない細部の作り込みを行う予定です。
──本作をプレイしようと考えているユーザーにメッセージをお願いします。
シキガエルさん:
本作には、パズルゲームならではの原始的なひらめきの魅力や面白さが詰まっています。ガイコツの頭をどのタイミングで投げれば良いのか、投げるアクションをどう活かしていけば良いのか、頭をひねりながら、ぜひ一度プレイしていただき、本作の魅力を味わっていただけると大変嬉しいです。
総合賞 第2位 『FrameShift』
本作は、空間をループさせるフレームの力でゴールを目指す2Dパズルアクションゲーム。解けたときに思わず「なるほど!」と声が出るようなパズルゲームを目指して、開発を行ってきた作品とのこと。
『FrameShift』開発チーム「枠星人」リーダー、アランさんへのインタビュー
──本作の受賞をうけての、メッセージをお願いします。
アランさん:
チームメイトに支えてもらいながら開発を進められ、2位という思いもよらない素晴らしい評価をいただくことができ、非常に嬉しい気持ちです。
──今後の展望をお聞かせください。
アランさん:
僕はプログラマー志望のため、本作でいただいた評価を糧として、個人としても、チームとしても、さらに技術力の高い作品を開発できるようになりたいです。
──本作の開発を振り返って、最後に一言、お願いします。
アランさん:
僕たちは今まで、様々なイベントで本作の試遊展示を行ってきました。実際に体験をしてくださった方からのフィードバックをもとに、多くの改善を行い、今回の受賞へと至ったことを強く感じています。ご意見をくださった方々に、心より感謝をしています。
総合大賞 『すぽっとスポット!』
『すぽっとスポット!』はスライム状のキャラクターの身体をちぎって、くっつけて、ゴールにスポッ!とはめていくゲーム。画面内の多様な演出や、パズルが解けた瞬間の気持ちよさが魅力的な作品で、「プレイしても見ても楽しいゲーム」を目標に制作がなされたとのことです。
『すぽっとスポット!』開発チーム「深夜2時に明日って今日?」デザイナー、長谷川さんへのインタビュー
──総合大賞 受賞をうけて、今のお気持ちをお聞かせください。
長谷川さん:
審査員の方々に、自分たちがこだわって開発した部分を的確に評価していただけたことがとても嬉しいです。私含め、本作のデザイナーは2名いるのですが、老若男女問わず、幅広いプレイヤーが楽しめるよう、多くの作品を研究し、手間をかけて開発を行ってきました。そのため、作品評価の具体的な内容を含め、大賞をいただけたことが大変嬉しいです。
──今後はどのようなデザイナーになりたいですか。
長谷川さん:
つい手にとりたくなってしまう、魅力的なデザインを制作できるクリエイターになりたいです。ゲーム性だけでもすでに面白い作品を、デザインの力でさらに魅力的にできるよう、今後も勉強を続けていきます。
──最後に本作をプレイしようと考えているユーザーにメッセージをお願いします。
長谷川さん:
このゲームはパズルゲームでありながらも、画面の隅では、花が風にそよいでいたり、放置しているとキャラクターが寝てしまうなど、プレイヤーがじっと考えている時間にも、見ていて退屈しないための工夫を凝らした作品となっています。
ステージの進行とともに、デザイン面でも大小様々な変化をつけているので、デザイナーとしては細部の様々なこだわりに気づいていただけると大変嬉しいですし、もちろんパズルゲームとして直感的な楽しさを味わえる作品となっています。ぜひ、体験していただけると嬉しいです。
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