ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー

「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結します。そこで、イベント前に出展作品をピックアップし、その魅力や制作秘話を紹介する特別インタビューをお届けします!この記事を読めば、イベント当日をより楽しむための予習ができるはずです。

第6回となる今回は、「Sryasa」「虚衝 – Kyosho」「SphereSmash」を手掛けた方々にインタビューを実施。作品の特徴や開発の裏話について深掘りしました。ぜひご覧ください!

宝石に変えて奪い取れ! 『Sryasa

【作品紹介】

煌めく欲望で着飾って、憎い神話を打ち砕け! 「Sryasa」はメドゥーサをモチーフとした主人公を操作して戦う3Dアクションです。 体力の減った敵を宝石に変えて砕くことで、その敵の能力を奪うことができます。

──自己紹介をお願いします。

藤本:リーダーやゲームデザイナーを務めています、藤本剛輝です。制作進行やレベルデザイン、職種間の連携サポート、PV制作も行っています。

福地:ゲームデザイナーの福地勇海です。敵のバランス調整を担当しています。

永島:リードプログラマーの永島健裕です。主人公の挙動のロジック、カメラ関係を主に担当しています。

チー:敵の挙動、ボスの挙動の実装を行いました、チーゼイソーです。

小林:サウンド担当の小林樹生です。音の発注、サウンドの実装や実装に役立つクラスの作成、エディタ内で利用できる便利機能の開発、スキル、UIの制御、VFXの作成なども行っています。

小野:デザイナーの小野日和梨です。スリュアーサ(主人公)・ペルペロス(大きな犬の敵)・宝石コウモリのデザイン,モデリング,リギング,モーションを担当しています。

首藤:首藤千尋です。ペルセウス全般(デザイン・モデリング・リグ・アニメーション)、ニュンペー全般、ステージ1のグラフィック、美術館のグラフィック、タイトルロゴを作っています。

──制作期間はどれくらいですか。

藤本:「Sryasa」は、メドゥーサをモチーフとした主人公を操作して神話の世界で戦う3Dアクションです。体力の減った敵を宝石に変えて砕くことで、その敵のスキルを奪うことができます。奪ったスキルを組み合わせてお気に入りの戦い方を見つけて下さい!2023年の11月頃にチームを結成し、制作を始めました。現在も引き続き開発中です。

──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。

藤本:ゲームが遊びやすい流れになるようにレベルデザインやスキル獲得のタイミングなどをこだわりました。ゲームからは伝わりませんが、積極的に雑用を引き受けるように気を付けていました。

福地:プレイヤーが敵との戦闘で理不尽に感じないよう、攻撃予兆や攻撃実行のタイミングを細かく調整したところです。

永島:キャラクターの操作感についてプレイヤーの手触りが良くなるようにすることと、カメラワークにストレスを感じないようにすることです。

チー:敵に囲まれたときにプレイヤーがストレスを感じないように、敵AIを工夫しました。

小林:引き寄せスキルのエフェクトと、サウンドとプログラマーの分業を可能にするクラス設計です。エフェクトは蛇の頭モデルとトレイルの境目が分からないように境界は同じ色一色のみになるようにシェーダを設計しました。また、クラス設計はObserverパターンを使うことで実現しました。

小野:メデューサの悪役っぽさを残しつつ、主人公として親しみやすく可愛らしいデザインに仕上げたところです!

首藤:ペルセウスの鼻筋が出るようにしたところと、ニュンペーのお腹のトポロジーです。

──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。

藤本:メンバーそれぞれがゲーム制作を2,3本並行して行っていたことに加え、ゲーム制作以外にもやらなければいけないことがたくさんあったため、作業時間を確保するのが大変でした。限られた時間の中で何を優先すべきかを考えながら作業を行い、ゲームを作り上げていきました。また、展示の場などで実際にゲームを遊んでもらった時には、プレイヤーの体験が狙った通りにならないことが何度もありました。その度にプレイヤーの反応を見ながら問題点を分析して修正を重ねてきました。今回の展示では今までより遊びやすくなっていると思います。

──このゲーム制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。

藤本:チーム全体を見ながら期日までに制作を進める力と限られた時間の中での対応がうまくいくようになりました。

福地:思い付いたことを論理的に考える慎重さと自分の考えを伝える力が成長しました。

永島:プログラミングに関する技術全般の向上と、チームでの制作でのコミュニケーションが成長しました。

チー:プログラミング力と発想力です。

小林:チーム開発におけるプログラミングのより良い進め方とチームメンバー同士の入れ違いを回避する力が成長しました。

小野:ゲームデザインを考慮したアセット制作や他職種との連携ができるようになりました。

首藤:複数職種間での連携の取り方を経験できたことです。

──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。

藤本:職種を横断した対応力です。

福地:考え続ける粘り強さです。

永島:相手の気持ちを汲む力が強みだと思います。

チー:アイデアを発展させる発想力です。

小林:考えを形にする速度と力は負けないと思います。

小野:制作したキャラクターへの愛情です!

首藤:プレイヤー視点での背景の見え方に拘るところです。

──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。

藤本:自身の理想である、キャラクターとプレイヤーやキャラクター同士の友情を感じられる賑やかなゲームを作りたい。

福地:自身が企画していたゲームを制作したいと思っています。

永島:自分ひとりでゲームを一から完成させたいです。

チー:誰もが楽しいと思えるゲームを作りたいです。

小林:Unreal Engine 5で自分の考えたゲームを制作したいです。

小野:より使いやすい蛇のリグ制作とクロスシミュレーション!現実世界でもプレイヤーの背中を押してあげられるようなゲームをつくりたいです。

首藤:見渡したくなるような背景グラフィックの制作や人の心を動かすゲームを作ってみたいです。

──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。

藤本:道中の敵を倒すことで手に入るスキルは、プレイヤーのお好みで付け替えることができます。ステージの最奥ではボスが待ち構えているので、お気に入りのスキルの組み合わせを見つけて挑んでみてください!

パズルとアクションで怖さ倍増⁈『虚衝 – Kyosho

【作品紹介】
斬るか ー 斬られるか。 拾った刀で怨霊から身を守りながら、屋敷に隠された謎に迫る。 一風変わった「インベントリパズル」と刀の「パリィ・カウンター」が織りなす和風パズルアクション&メタフィクションミステリーホラー!

──自己紹介をお願いします。

むつむつ:プロデューサー兼ディレクターを務めていますむつむつです。開発全般に携わっていてゲームデザインやレベルデザイン、プログラム作成行っています。他にも装飾小物以外の全ての3Dモデル制作、UIデザイン、シナリオ作成も行っています。また企画書作成やプロモーションにも関わっています。

りなり:サポート業務とデザインを行っています、りなりです。装飾小物の3Dモデル制作アイテムのイラスト作成を担当しています。他にもゲームデザインサポートや企画サポート、シナリオ作成・記述も行っています。デバッグやクオリティコントローラも合わせて行っていました。

月の藤:グラフィックデザイナーの月の藤です。キービジュアルデザイン(縦型)、Steam用グラフィックアセット、グラフィックデザインサポートを行っていました。他にもクオリティコントローラも担当しています。

──制作期間はどれくらいですか。

むつむつインベントリパズルと居合パリィアクションで武家屋敷の怪事件に迫るミステリーホラーゲームです。制作期間はコンテスト提出版で3ヶ月です。

──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。

むつむつゲームデザインではパズルとアクションの両軸で楽しさが前進できるようバランス調整を重ねたところ、プログラムではインベントリパズルの運用・保守性を考慮した設計をしたところが主な工夫点です。本作はパズルによってゲームが進行しますが、たまに落武者と呼ばれる亡霊の敵が出現し、襲いかかってきます。プレイヤーは刀を使ったパリィアクションによって落武者を退散させることができます。「最初は怖くてゾクゾクするけど、慣れればパズルも楽しいし、パリィも気持ちよく決めたい!」。そう思ってもらえるように、ゾクゾク感が引き立てるホラーならではの「やみつき」を追求しているところが本作のこだわりです。本作のメインストーリーはパズルを解くことによって解放されていきます。実際に1つパズルを解いてみましょう。解放すると研究日録の1ページ目が出現しました。「僕たちはあの人を止めないといけない」。ページは黄ばんでおらず新しい。誰もいないはずの武家屋敷で一体何が起きているのか?集めたページは屋根裏部屋でまとまった本として閲覧することができます。屋根裏部屋はセーフルームとなっており、心穏やかなBGMとともにインベントリを整理したり、ストーリーを振り返ることができます。

──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。

むつむつ本作は斬新なゲームシステムとホラーゲームの共生をテーマに、新たな可能性の開拓に挑戦している作品でもあります。それはこれまでのゲーム体験あるいは人生の経験をふりかえって、「面白さの本質」「恐怖とは何か」を見極め、テーマに沿ったゲームデザインを構築していくことを意味しています。ある意味「宝さがしに夢中の海賊」のようなもので、「怖くて面白い」宝を求めて試行錯誤を重ねていきます。もちろん、無数の可能性の大海で進路に迷うことがほとんどです。アイデアが煮詰まったときはとことんチームメンバーと会議を開いて、次の方向を検討していきました。

──この制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。

むつむつ:ユーザに最高のゲーム体験を提供したいという情熱を持てたことチームの力を感じられたところです。

りなり:モデリングができるようになったこととプレイヤーが感じる面白さや感情の変化を考えられるようになりました。

月の藤:これまでアナログのみのイラストしか描けなかったが、デジタルとアナログを用いたイラストを描けるようになったことです。

──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。

むつむつ:実現力と忍耐力は負けません。

りなり:豊かな想像力です。

月の藤:粘り強さは負けないと思います。

──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。

むつむつ:体感型デジタルエンタテインメントの創出・研究を行ってみたいです。

りなり:OST作曲してみたいです。また個人ゲーム制作をしてみたいと考えています。

月の藤:デジタルを用いたイラストを沢山描くこととストーリー性が感じられる構図に挑戦したいです。

──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。

むつむつ:去年のゲームクリエイター甲子園で総合賞佳作の「徹夜報告書 | Midnight Report」のNintendoSwitch版も、「虚衝 – Kyosho」とともに展示する予定です!ノベルティの頒布やソフトのセール販売(虚衝,徹夜報告書)も予定しておりますので、ぜひ一度遊びに来ていただけると嬉しいです!!

ダイナミックなアクションでコアを破壊せよ『SphereSmash

【作品紹介】
「攻めてきた宇宙艦隊を撃退しろ!」宇宙船のコアを破壊しエネルギーを貯めて、必殺のショックウェーブを決める簡単+ド派手な転がりアクションゲーム!

──自己紹介をお願いします。

宮倉:リーダーでプランナーの宮倉陸です。進行管理、企画立案のほかゲームデザインやレベルデザイン、UIデザイン、SE、BGMなども担当しています。

植木:プランナーの植木翔理です。レベルデザイン、ゲームデザインを担当しています。

中原:レベルデザインを担当しています中原優心です。

吉田:吉田宇輝です。リードプログラマーをしています。担当はバージョン管理、プレイヤー、ギミック、設定機能、敵AI、コントローラー振動、最適化

雑賀:プログラマーの雑賀大地です。UI、ステージセレクト、ランキング、セーブ機能、ギミック、エリア移動演出を作成しました。

伊東:メインUI、ゲームクリア演出、敵AIを作成した伊東蒼一郎です。

中山:ボス、ヒットストップ、カメラシェイク、コントローラー振動、ギミックを担当しています中山颯です。

中村:エフェクト、PV作成をしていますデザイナーの中村侑二です。

和久:エフェクトを担当しています和久耕大です。

大峽:キャラクターのデザイン、モデリングをしています大峽 奏音です。

田村:デザイナーの田村英徳です。UIデザイン、モデリング、テクスチャ、オブジェクトデザイン、PV作成を担当しました。

梶本:ギミックデザイン、モデリング、2Dイラスト、UIデザインを担当しています梶本直希です。

高橋:デザイナーの高橋聖翔です、アニメーションを作成しています。

小鹿:2Dイラスト、PVアニメーション、コンセプトアートを作成しました、小鹿響です。

:UIデザインを担当しました林黎です。

──制作期間はどれくらいですか。

宮倉「攻めてきた宇宙艦隊を撃退しろ!」宇宙船のコアを破壊しエネルギーを貯めて、必殺のショックウェーブを決める簡単+ド派手な転がりアクションゲームです。制作期間は約8か月ほどで、普段の学校と並行してリモートで制作していました。

──制作過程で特にこだわったポイントを教えてください。

宮倉制作過程で特にこだわったところは、破壊の演出です。このゲームではコアが3種類、そして敵もいるのですが、それぞれ破壊の際の音、エフェクトなど変化させることで破壊のバリエーションを付けました。

──制作中に苦労したことを教えてください。

宮倉学校の授業時間が職種によって全く違ったため、リモートでの制作がメインでした。そのため、コミュニケーションが取りづらく目的意識の共有に苦労しました。ですが、ミーティングを頻繁に行い、認識のズレを無くしていくことでスムーズな進捗確認とアイデアを出しやすい環境を構築できました。

──このゲーム制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。

宮倉(プランナー):市場を分析し、企画を立案した上で、コンセプトとターゲットを一貫させながら制作を推進する管理能力を身につけました。仕様書やレベルデザインを通して、チームメンバーやゲームを遊んでくださる方々にゲームとしての面白さをわかりやすく伝える力が備わったと思います。

吉田(プログラマー):全員が初めてのUnreal Engine開発で、プログラマから「幅広く触りたい」という意見が出たため、各メンバーがさまざまなタスクを経験できるように意識してタスクを割り振りました。この方針はメンバー全員のスキル向上に寄与しましたが、調整や進行管理が複雑になる課題もありました。その中で進捗を見極めながら調整を重ねることで、リーダーシップに加え、依存関係を考慮した柔軟な設計力やタスクの最適化スキルを磨くことができたと思います。

──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。

宮倉(プランナー):これまで作曲などのモノづくりに携わってきた経験から、プランナーとして幅広い担当領域を持つことができる。ゲームの面白さを底上げするアイディアを考える力と、それをイラストなどの形でアウトプットして伝える力が自身の強みだと思います。

吉田(プログラマー):幅広いゲームの知識を活かし、手触りの良い体験を作れることです。操作感やフィードバックの細部にこだわり、完成度を高めることに自信があります。

──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。

宮倉(プランナー):今後はホラーゲームなどの制作にも挑戦したいと思っています。ゲーム以外のコンテンツ(スポーツ,料理,○○体験など)に数多く触れ、もっと発想力の引き出しを増やしていきたいです!

吉田(プログラマー):音楽が好きで楽器演奏の経験もあるため、音とゲームを融合させた新しい体験に興味があります。今はヘッドホンやイヤホンで立体音響を手軽に楽しめる時代なので、その可能性を活かした作品に挑戦してみたいです。

──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。

宮倉:シンプルに転がって破壊するゲームですが、手触り、気持ちよさの部分は特に注力して制作しました!ぜひ作品展示会で「SphereSmash」遊びに来てください!

 

「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」に行こう!

「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」では、他にも個性豊かな学生作品が多数出展されます。当日はぜひ実際に作品を体験し、学生クリエイターたちの熱意と創造性に触れてみてください!

次回のインタビューでは、また別の注目作品と開発チームのストーリーをご紹介します。引き続きお楽しみに!

こちらの記事もチェック

関連記事

ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結[…]

関連記事

ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結[…]

 


 

 ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

▼ゲームクリエイターズギルド LINEはこちら
新規CTA

\“いいね”“フォロー”で応援お願いいたします!/