インディーゲームの海外PRについてJETRO担当者に聞く―「GDC2024×JETRO Steam」を事例にした取り組みと成果|CEDEC2024レポート

CEDEC2024が8月21日~23日に開催されました。
楽屋でまったりでは様々なセッションのレポートをお送りいたします。
今回はJETROの実務担当者がGDC2024×JETRO Steamについてお話しされたセッションをご紹介いたします。

インディーゲームの海外PRについてJETRO担当者に聞く―「GDC2024×JETRO Steam」を事例にした取り組みと成果

セッション内容

2024年3月に日本貿易振興機構(JETRO)が開催したSteamページ上のイベント「日本産ゲーム特集」。50以上のタイトルが参加したSteam上のイベントとその効果について、JETROの実務担当者をお招きし、「GDC2024×JETRO Steam」について、インディーゲームの参加方法から参加した結果得られた成果までを講演前半でお聞きし、後半では質疑応答の時間を設け、海外展開を考えているディベロッパーやパブリッシャーのヒントになることを目指します。

受講スキル

  1. 海外進出を考えているディベロッパー、パブリッシャー。特にSteamを主戦場とする方。

得られる知見

  1. Steam上でのイベント参加の効果や、海外で日本のゲームがどう見られているかを学習したうえでPRをする方法

JETROとその取り組みについて

独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

経済産業省管轄の政府機関であり、海外ビジネスの促進を支援する団体です。ゲーム業界との関係では、特に中小企業の海外展開を支援しており、インディーゲームを含む日本のゲームの海外進出をサポートする取り組みを行っています。

https://www.jetro.go.jp/jetro/

世界中に広がるネットワークを活用し、海外のバイヤーと日本のゲーム会社をつなぐ取り組みを行っています。また、マッチングのためのプラットフォームを提供しており、コンテンツやゲームに限らずさまざまな企業が利用可能です。このプラットフォームを活用して、JETROの海外ネットワークを通じてパブリッシャーに向けたPRを行っています。

さらに、海外の展示会への積極的な参加も進めていく方針です。

ゲーム分野での取り組み

Steamに日本ゲーム特集をつくった狙い

JETROはこれまで、BtoBのマッチングを行い、東京ゲームショウに海外のパブリッシャーを招いて、日本のゲームIPに関心のある企業とマッチングさせる取り組みを行ってきました。しかし、Steamの登場により、BtoBの商流が変わり、Steamを利用すれば海外展開が容易になったため、従来のBtoBのボトルネックが変化しました。

秦さんによると、Steamが登場する前はパッケージ販売が主流だったため、現地のパブリッシャーとマッチングし、パッケージを現地で販売する必要がありました。しかし、Steamの登場により、オンラインでパブリッシャーと個別にやり取りができるようになり、その点が大きく変わったということです。

そのような状況の中で、Steamがグローバルなプラットフォームとしてますます大きくなる中、日本のゲームをより一層PRする必要があると考えられたそうです。

地域のプロモーションページ
ドイツのゲームの業界団体の取り組み

JETROが行う意義として、日本のプロモーション活動の一環があります。海外の展示会に参加すると、多くのゲーム関係者が「日本のゲームで育った」と話すのを耳にされるそうです。そこで、日本でのプロモーションがユーザーにもビジネス関係者にも響くのではないかと考え、Steamでの日本特集を始められました。

GDC 2024と連動したオンラインプロモーション

手探りでスケジュールを設定されたとのことです。

海外展開に際しては、地域ごとにプロモーションを行うことでより良い結果が得られると感じたそうです。また、売り手と買い手の関係から、パートナーシップのような関係へと移行しつつあることを展示会で実感されたとのことです。

インプレッション数は400万以上あり、特集を組むとSteamのトップページにも表示されます。参加事業者からは『ウィッシュリストの登録が増えました』や『売上が増加しました』といった声が寄せられ、一定の効果があったと感じたとのこと。しかし、Valveが選定するフィーチャーには間に合わず、準備期間が不足していたことが課題として残ったそうです。

今後の展望

今後の展望は、海外パブリッシャーと日本のクリエイターをつなぐBtoBの取り組みをより進めていきたいとのことです。具体的には、「Japan Street」を活用したオンライン商談を秋ごろに開始する予定で、すでに24社の海外パブリッシャーが参加を確定しているそうです。

パブリッシャー側のニーズとしては、日本のゲームIPを購入することと、開発受託先を探すことが挙げられます。JETROの事務所が世界各所に存在するため、中東、南米、アメリカ、中国からも参加が見込まれています。

お知らせ

ご登壇者

秦 亮彦さん

合同会社一筆社
代表社員

<講演者プロフィール>

国内のゲームメディアで記事を執筆する中で、自身の作品PRに試行錯誤するクリエイターたちの存在を知り、プレスリリース配信やインディーゲーム展示会「ゲームパビリオンjp」を開催しています。昨今は特に海外展開の重要性が増しており、2024年3月にJETROがSteam内で開催するオンラインイベント「GDC2024×JETRO Steam」について取材を行い、CEDECではその結果と今後の展望をお聞きします。

 

<受講者へのメッセージ>

海外展開にチャレンジしたいゲームクリエイターの皆さんに役立つよう、質疑応答の時間も設け理解を深めたいと思っています。

牧野 直史さん

JETRO
デジタルマーケティング部 主幹

<講演者プロフィール>

2003年京都大学大学院修了後ジェトロ入構。
調査担当、沖縄事務所、ワルシャワ事務所長、京都事務所長などを経て、
2019年12月より現職、ゲームを含む日本のコンテンツの海外展開支援事業を所管している。
ワルシャワ事務所長時代には、CD Projektのパブリッシャー部門(当時)をバイヤーとして日本に招へい。
2024年3月、GDCにあわせSteamの日本特集を立ち上げるプロジェクトを実施。
2012年司法試験合格

<受講者へのメッセージ>

2025年3月に米・サンフランシスコで開催されるGDCにはジェトロとして2024年に続き出展する予定です。それに先立ち、時期は未定ですが、Steamでの日本ゲーム特集ページも本年度も立ち上げる予定です。世界中の多くのゲームタイトルが掲載されているグローバルなプラットフォーム、Steamでどのように戦っていくのか、そうした点でも学びがありましたので、そのあたりも含めて講演ではお話しできればと思います。皆様のご参加お待ちしております。

 

 

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