パズルゲームを機械学習させてみる『BlockWorld Ai』、One Team.インタビュー【Seeds by GCG】|ゲームクリエイター甲子園 2023 U‐18 総合大賞獲得!

ゲームクリエイター甲子園 2023に応募があった全1200作品の中から18作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第三弾として登場することが決定しました。
今回のインタビューでは、第三弾作品の『BlockWorld Ai』をピックアップします。

このインタビューシリーズでは、ゲーム作品の制作の裏側に焦点を当て、どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。

チーム名:One Team./作品:『BlockWorld Ai』

One Team.は、ゲームクリエイター甲子園 2023においてU-18 総合大賞を受賞した制作チーム。

One Team. チームメンバー紹介
One Team.ほぼ全て (サウンド・背景除く)
【作品紹介】
Aiがキミのパズルを学んで、凶暴化してしまったフレンズにキミと共に戦う
新感覚 Ai育成パズルゲーム

《「みんなのゲームパレード」からダウンロード!》
実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/944

自分の「好き」をもっと伝えたい

──自己紹介をお願いします。

One Team.さん:
One Team.です。この春、高校を卒業して、専門学校に入学しました!『BlockWorld Ai』はアセットを使っている部分もありますが、個人で制作しました。

──これまでのゲーム制作について教えてください。

One Team.さん:
中学1年生からUnityを使ってゲーム開発を始めました。高校1年生の頃からゲームのコンテストに参加しています。

──どうしてゲームを作ろうと思ったんでしょうか。

One Team.さん:
やっぱり、自分の「好き」という気持ちをもっと伝えたいという思いが強くあります。また、自分が作り上げた世界をより多くの人に楽しんでもらいたいという願いもあります。ゲームというのは、自分の思い描いた世界を人々に届けて、一緒に楽しむことができるものだと考えています。だからこそ、自分が作り上げた世界をみんなで楽しみたいという思いで、ゲーム制作を始めました。

最初はandroidのアプリを作りました。計算問題にどんどん答えていくゲームを作ったり、ピンボールみたいにボールを飛ばすゲームを作るなど、ミニゲームを作っていました。

──作ったあとは周りの方にも遊んでもらったんですか。

One Team.さん:
父や家庭教師の先生方にも遊んでもらいました。「デザインが素敵だね」とか「ここが面白いね」と言ってもらえて、とても嬉しかったです。

──高校1年生からコンテストに参加し始めたとのことですが、なぜ参加しようと思ったのですか。

One Team.さん:
ゲーム制作を取り上げているYouTuberの「こういうゲーム制作の大会がある」という動画を見て、一度挑戦してみようと思ったのがきっかけです。その時は、Unityユースクリエイターカップ2021に参加し、ブロンズアワードを受賞しました。Unityユースクリエイターカップ2022では今回のゲームの前作である『BlockWorld』というゲームを出して、シルバーアワードを受賞しました。

2023年にいろんなコンテストに参加しようと思ったきっかけは、Unityユースクリエイターカップ2022の懇親会で、「いろんなコンテストに参加した方がいいよ」というアドバイスをもらったことです。そのアドバイスを受けて、2023年には多くのコンテストに参加しようと思いました。

──いい交流会がありましたね。ゲーム制作のYouTubeはどういったものを見ているんですか。

One Team.さん:
ゲームクリエイターならこういうことをした方がいいとか、こうしたらゲームが作れるという紹介ですね。そういった動画を見ながらゲーム制作を勉強しました。

──独学で取り組んでいるんですね。

自分が作ったパズルゲームを機械学習させてみる

──『BlockWorld Ai』が生まれたきっかけを教えてください

One Team.さん:
Unityユースクリエイターカップで他の参加者の姿を見て、僕も刺激を受け、何かに挑戦したいと思ったのがきっかけです。その時、発売された本を読んで、「BlockWorldを機械学習させたら面白いのではないか」とひらめきました。これが『BlockWorld Ai』を作ろうとしたきっかけです。学んだデータから結果を導き出すAIとゲームを組み合わせたら、どんなゲームができるのだろうという好奇心と革新性を感じ、この作品を作りました。

──影響を受けた作品はありますか。

One Team.さん:
『BlockWorld Ai』のトレジャーシステムについては、『幸運の大家様』というインディーゲームから影響を受けました。このインディーゲームは、スロットを打ってアイテムを獲得し、そのアイテムで自分を強化するという内容です。このアイデアを取り入れ、パズルがどんどん面白くなる要素としてトレジャーシステムを実装しました。

──本作でのこだわりを教えてください。

One Team.さん:
ゲームキャラクターであるフレンズを通してAIの強化学習や機械学習をゲーム内で体験できるようにすること、そして『BlockWorld Ai』のパステルで鮮やかな世界をノーポリゴンで表現することにこだわりました。バトルでは、前作の『BlockWorld』の「ブロックを押して消す」操作から「ブロックを入れ替える」操作に変更し、連鎖の組み方に柔軟性を持たせる工夫をしました。

──機械学習に触れる機会があまりなかったので、ゲームを通じて学べるというのは非常に新鮮で不思議な感覚でした。相棒のAIが自分で学習していく姿を見るのはとても興味深かったです。

One Team.さん:
そうですね。現在、強化学習や機械学習を使ったゲームはまだ少ないですし、AIの技術が今後ますます発展していくことも考えると、ゲームを通じて新しい技術やAIを体験できるのは興味深いと感じました。

──この分野は難しいのかなと思っていましたが、実際に取り組んでみていかがでしたか。

One Team.さん:
とても楽しかったです。システムの構築や動作のロジックを考えることも、とても興味深く、いろいろなアイデアを考えるのが楽しかったです。特に自分のプログラムがどのような動きをするかを考えるのが好きで、戦略を練ることも楽しんでいます

──前作からの変更点で「ブロックを入れ替える」操作にしたのはどうしてですか。

One Team.さん:
そうですね。数字を押すと、その箇所が全部消えてしまうため、柔軟な連鎖が作りにくいと感じました。押した箇所が消えてしまうので、連鎖のイメージがつきにくかったと思います。そこで数字を入れ替えることによって、より柔軟に連鎖を組むことができるようになりました。例えば、同じ数字を揃えたり、数字が揃ったあとにも適当に位置を移動させると、キューブを壊すような動きが可能です。その結果、消す要素が少なくなり、プレイヤーが連鎖を組みやすくなったと感じます。

──確かに落ちてくるもので連鎖が始まるととても爽快感がありました。

One Team.さん:
ここも工夫したところです。このゲームでは、爽快感を演出するために星ブロックという要素を導入しました。星ブロックは同じ色を揃えるとより多くのブロックが消える効果があります。これにより、連鎖を楽しむ際の爽快感をより高めることができると考え、星ブロックを導入しました。

爽快感、分かりやすさ、調整の連続

──制作中に困ったことはありましたか。

One Team.さん:
ルールがわかりにくいというご意見をいただいたことですね。ゲームクリエイター甲子園での注目作品の紹介で、面白いというフィードバックをいただきながらもルールが理解しにくいとフィードバックを受けました。そのため、ルールの調整やパズルの爽快感をどのように演出するかについて悩みました。また、フレンズのAIがボスよりも賢く立ち回るように、スコアの算出や行動の調整についても多くの検討が必要でした。

──この辺りはどう工夫したのですか。

One Team.さん:
調整の部分では、まずプレイヤーが最初にチュートリアルを受ける形にしました。チュートリアルでは、説明役のキャラクターが操作方法を示し、その後プレイヤーが自分で操作を試すことができるようにしました。

また爽快感に関しては、ブロックの落下速度を上げたり、新たなスキル要素を導入することでゲームの盛り上がりを高めました。トレジャーではブロックのリリースやパズルに影響を与える要素を追加することで、予測不可能な爽快感を楽しめるように工夫しました。

良い連鎖が発生した際にスコアを高く設定し、逆に効果の低い連鎖ではスコアを低くするように調整しました。また、AIの学習に関するスコアの内訳をいろいろと調整しました。行動面では、スコアが最も高く、かつ行動が可能なものを選択するようにAIを調整しました。

──試行錯誤の結果、周りの方からはどのような評価がありましたか。

One Team.さん:
「とても遊びやすくなったね」とか「分かりやすくて面白くなった」というフィードバックをもらいました。

──『BlockWorld Ai』のおすすめポイントを教えてください。

One Team.さん:
おすすめのポイントとしては、まず、AIの強化学習をゲーム内で体験できることや、フレンズたちと冒険できる点です。さらに、星ブロックの出現や、スキルやトレジャーを駆使した爽快なバトルなど、魅力的な要素がたくさんあります。また、プレイヤーが自分の進みたい方向を選択できる点もポイントです。

──今後、『BlockWorld Ai』はどうなっていく予定ですか。

One Team.さん:
今後のアップデートでは、AI同士のオンライン対戦や、サイドストーリーなどのちょっとしたおまけ機能を実装したいと考えています。またゲーム全体の改善点としては、パズルのルールをより分かりやすくしたり、チュートリアルを改善してゲームの導入部分をスムーズにしたいと考えています。さらにゲームをより面白くするために、バランス調整や細かい調整を行いたいです。

最終的にこのゲームは、2024年の冬から2025年にかけてSteamでリリースしたいと考えています。

誰かに笑顔や楽しさを届けられるクリエイターになりたい

──U-18総合大賞を受賞してお気持ちはいかがですか。

One Team.さん:
AIがパズルを学ぶという挑戦を最後までやり遂げられたことを認めていただき、とても嬉しかったです。でも舞台に上がるまでちょっと嬉し泣きしていたのは内緒です。

──ゲームクリエイターズギルドEXPOに参加して率直な感想をお聞かせください。

One Team.さん:
たくさんの方々にプレイしていただきフィードバックを受けることができました。開発者の視点では気づきにくい部分もあって、プレイヤーの目線で見ると難しく感じることがあると学びました。またプレイヤーが実際にゲームを楽しんでいる様子を見ることは、非常に勉強になりました。チュートリアルの改善にはまだまだ余地があります。また、プロローグやチュートリアルが長く感じられる点もあり、これらの改善も今後の課題として考えています。

──将来はどんなクリエイターになりたいですか。

One Team.さん:
将来的には、誰かに笑顔や楽しさを届けられるクリエイターになりたいと考えています。自分が描く世界観やワクワクするような世界をみんなに伝え、その中で楽しさや面白さを共有したいと思っています。そして、いつかは自分が作るゲームが人々に喜ばれるようなクリエイターになりたいという夢を持っています。

──ゲームクリエイター甲子園 2024は出場されますか。

One Team.さん:
それについては本当にもちろん!といったところです。自分が作ったゲームをプレイしてもらいたいという気持ちがあって、みんなにワクワクや楽しさを届けたいと思っています。新しいゲームを1本か2本提出したいと考えています。

──楽しみにしています!

「みんなのゲームパレード」から『BlockWorld Ai』をダウンロード!

今回ご紹介した『BlockWorld Ai』は、開発中ゲームのβ版が集まるサイト「みんなのゲームパレード」にて掲載中!作品を実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!

作品紹介ページ ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/944

「Seeds by Game Creators Guild」とは

「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。

クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。

本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。

未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。

Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds

 

「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催中!

ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。
このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。

制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!

ゲームクリエイター甲子園 2024 エントリー情報

エントリー期間

※先行エントリーについては下記をご確認ください
エントリー締切:2024年10月31日(木)16時59分まで

作品応募期間

作品提出開始:2024年 2月1日(木)12時00分から
作品提出締切:2024年11月7日(木)16時59分まで

※作品がない状態のエントリーも可能です
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です

応募資格

年齢:小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数:無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です

「ゲームクリエイター甲子園 2024」が2月1日(木)より開幕! エントリー手順を解説


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ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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