ゲームクリエイター甲子園 2023に応募があった全1200作品の中から18作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第三弾として登場することが決定しました。
今回のインタビューでは、第三弾作品の『徹夜報告書 | Midnight Report』をピックアップします。

このインタビューシリーズでは、ゲーム作品の制作の裏側に焦点を当て、どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。

チーム名:むつむつプロジェクト/作品:『徹夜報告書 | Midnight Report』

むつむつプロジェクトは、ゲームクリエイター甲子園 2023において総合賞 佳作、企業賞 日本マイクロソフト賞、2次審査員賞 竹谷彰人賞、ゲームクリエイターズギルド賞 GCG成長賞を受賞した制作チームです。

むつむつプロジェクト チームメンバー紹介
むつ ・スケジュール管理
・開発全般(企画・設計、アセット作成、実装、テスト)
【作品紹介】
レポート課題に追われる学生の悲劇体験。徹夜作業による幻覚がテーマの和製ローグライト3Dサバイバルホラーゲーム。アイテムやギミックを駆使し、脅威を乗り越え、軌を一にする仲間とともにランダム生成される幻想世界からの脱出を目指せ。

《「みんなのゲームパレード」からダウンロード!》
実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/57

身近な状況をホラーにしてみる

──自己紹介をお願いします。

むつさん:
私は高専を卒業してから大学に進学し、趣味としてゲーム制作を含めたさまざまなものを作っています。その中で、『徹夜報告書 | Midnight Report』というゲームを制作しました。

──むつむつプロジェクトのチームは全員で何人ですか。

むつさん:
実は私1人で開発しています。ただ、ゲームの規模が大きくなってきたところから、デバッグのために友人に協力を依頼し、デバッグチームを含めると大体5人ぐらいです。

──このゲームが生まれたきっかけについて教えてください。

むつさん:
当時は、ホラーゲームのゲーム実況などをよく見ていました。その影響で、実際に自分でもゲームを作ってみたいと思うようになったんです。実際に高専に入った理由も、ゲーム制作に対する好奇心があったからです。高専生というとレポートが忙しく、徹夜で書く人が多いこともあり、そのような状況をホラーにしてみたらどうなるか興味が湧いたので、作ってみることにしました。

──そもそも初めてのゲーム制作だったんですか。

むつさん:
そうなんです。開発を始めてから3ヶ月ぐらいで作ったんですよ。とっかかりの練習作みたいなノリで練習がてら作ったという感じです。

──ゲームクリエイター甲子園に、最初に応募したのはいつですか。

むつさん:
初応募は2021年でした。実に数ヶ月で作ったゲームを出しましたね。

──ゲームクリエイター甲子園の取り組みで、いろいろな方に熱血道場でプレイしてもらいました。作品がそのように広がると思いましたか。

むつさん:
2021年に体験版をネット上に公開しました。その際、YouTubeなどで多くの方に取り上げてもらえたので、ホラーゲームのコミュニティは自然に広がっていくものなんだなと感じました。

──影響を受けたゲームはなんでしょうか。

むつさん:
『P.T.』と『バイオハザード7』や『影廊-ShadowCorridor』ですね。この作品でも地下室が登場しますが、『影廊-ShadowCorridor』の影響を受けている部分があります。またChilla’s Artさんの作品である『夜勤事件』など、ビジュアル面で参考にさせていただいた作品もあります。

──元々ホラー系のゲームをよく遊ばれていたんですか。

むつさん:
それがそんなわけではないんです。ホラー自体は嫌いではなく、むしろ雰囲気が好きでした。特に『ルイージマンション シリーズ』や『Dead by Daylight』など、ホラーの類ではあるものの、雰囲気だけがあるようなタイトルが好きで、もしかしたら、取っかかりの1つだったかもしれないです。

──怖い空気感や寒気を感じるような雰囲気が好きなんですか。

むつさん:
そうですね。やっぱり好きですね。本作にはジャンプスケアと呼ばれる、いきなり驚かされる表現がありますが、それよりも雰囲気的に怖い、和風のホラー感が好きなんです。それで言うと『SIREN』にもかなり影響を受けていますね。それでも研究として遊ぶ側面が大きかったと思います。元々の性格もあって、作るにあたって何かを参考にしたいという気持ちが強かったのかもしれませんね。

怖いだけではない、引き込まれるストーリーに注目

──制作でこだわったところを教えてください。

むつさん:
こだわったところは、やっぱりアセットをほとんど手作りしている点ですね。既存のアセットでもいいけれど、せっかく自分で作るのだから、独創性やオリジナリティーがあった方が良いと思いました。そこにはかなりこだわりましたね。

またストーリーにもこだわりました。地下室の自動生成や、一緒についてきてくれる同行者がいて、その人が喋ったり、敵を撃ったりする仕組みもあります。さらにストーカーのような動きをするAIなど、一風変わったゲームデザインやギミックがたくさんあり、それらにかなりこだわりました。

──制作中に困ったことはありましたか。

むつさん:
困ったことはデバッグが進まないことですね。ゲームの規模が大きくなるほど、デバッグやテストの方法に制限が出てきます。処理が多すぎることもあって、バグの検出が非常に難しいんです。趣味で作っていたこともあり、職人的な感じで一気に作っていたので、ブラックボックス的になってしまい、バグを完全に検出できないことが多かったです。

また、テストケースを全く用意していなかったので、後になってからのテストがとても大変でしたね。テストケースを考える時間もなかったので、とりあえず友達を集めてプレイしてもらうしかありませんでした。

──なかなか大変でしたね。今のところはとりあえず基準はクリアしたという感じでしょうか。

むつさん:
実際にはまだバグがあるかもしれませんが、重大なバグがないように努めていますので、基準に引っかかるようなバグはないと思います。

──このゲームのおすすめポイントを教えてください。

むつさん:
一番推したいのはストーリーですね。ゲームデザインよりも、ナラティブ的な要素を重視しています。簡単なストーリーとしては、徹夜でレポートを書いている学生が、謎の幻想世界に閉じ込められ、その道中で出会う仲間と一緒に謎を解明しながら幻覚から抜け出せるか、という話です。その謎を解く鍵となる手紙やメモ、報告書が各所に散りばめられていて、それらを見ていくことでゲームの世界の意味がわかる仕組みになっています。

ゲームデザインだけで楽しむと、単に難しくて怖いだけのゲームと見られることが多いですが、新しくプレイする人には、ストーリーも意識してプレイしてもらいたいですね。

──ゲームプレイって「頼れるのは自分だけ」の場面が多いですが、助けてくれる人がいるだけで心持ちがかなり変わりますね。

むつさん:
「野田さん」という射撃してくれるキャラクターが途中に登場します。このキャラクターがいることで、プレイヤーは安心感を得ることができます。

ゲームクリエイターズギルドEXPOで配布されていたシート(表)
ゲームクリエイターズギルドEXPOで配布されていたシート(裏)

制作を通して見つけたやりたいこと

──最初の3ヶ月で作って、一旦完成でしょうか。

むつさん:
そうですね。当時は短いゲームを作って、とりあえず公開してみようという軽い気持ちでした。その時は自分では完成したと思っていましたが、もう少し物語を進めてみたらどうなるかという好奇心から、さらに広げてみたんです。

──始めちゃったんですね。

むつさん:
始めちゃったんです。 2年もかかるとは思っていなかったです。

──モチベはどうやって保っていましたか。

むつさん:
自分のゲームで実況をしてもらうったのがすごく嬉しかったですね。実際にフィードバックをもらって、楽しんでもらっていることが分かりました。そこで、もっとゲームを広げるためにストーリーやゴールを設定し、いろいろと考えました。期間を計算したら、大体1年くらいかかる見積もりでした。

──当時は、1年で見積もっていたんですね。

むつさん:
1年で見積もって受験までに終わるかなと思っていたら、思ったより制作が進まなくて受験に入って一旦ストップしていました。受験から半年後に再開して、結局2年半ぐらいかかりました。

──ゲームクリエイター甲子園 2024の出場はいかがでしょうか。

むつさん:
そうですね。今のところは参加したいと思っているんですが、次に何を作るかについて少し悩んでいます。でも、やっぱり出たいですね。

──いいですね。次の目標はありますか。

むつさん:
やっぱり『徹夜報告書 | Midnight Report』の制作を通して、ゲームにはさまざまな要素があると感じたんです。その中で、特に自分が本当にやりたかったこと、興味のあることが見つかりました。それを極めつつ、今後もクリエイティブに活動できたらいいなと思っています。

──本当にやりたかったこととは?

むつさん:
実は、僕はもともとゲームが好きだったんですが、好きなゲームを振り返ってみると、ストーリーが好きなんだと気づきました。ストーリーは本作でもこだわった部分です。だから、これからはストーリー重視のゲームに挑戦してみたいと思っています。

──次回作も楽しみにしてますね。今日はありがとうございました!

「みんなのゲームパレード」から『徹夜報告書 | Midnight Report』をダウンロード!

今回ご紹介した『徹夜報告書 | Midnight Report』は、開発中ゲームのβ版が集まるサイト「みんなのゲームパレード」にて掲載中!作品を実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!

作品紹介ページ ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/57

「Seeds by Game Creators Guild」とは

「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。

クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。

本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。

未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。

Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds

「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催中!

ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。
このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。

制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!

ゲームクリエイター甲子園 2024 エントリー情報

エントリー期間

※先行エントリーについては下記をご確認ください
エントリー締切:2024年10月31日(木)16時59分まで

作品応募期間

作品提出開始:2024年 2月1日(木)12時00分から
作品提出締切:2024年11月7日(木)16時59分まで

※作品がない状態のエントリーも可能です
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です

応募資格

年齢:小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数:無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です

「ゲームクリエイター甲子園 2024」が2月1日(木)より開幕! エントリー手順を解説


「自作ゲームの宣伝がしたい!」という熱い思いをお持ちの方は、ぜひ下記のフォームよりご連絡ください!

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ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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