講談社ゲームクリエイターズラボ×ゲームクリエイター甲子園 出張編集部第2弾!
2023年5月29日(月)に、HCS北海道情報専門学校にて講談社ゲームクリエイターズラボ×ゲームクリエイター甲子園 出張編集部 第2弾を実施しました!
「年間最大1000万円差し上げますから、好きなゲームを作りませんか?」というキャッチフレーズでも知られる、インディーゲームクリエイターの発掘・支援プロジェクト「講談社ゲームクリエイターズラボ」と、日本最大級の学生インディーゲームコンテスト「ゲームクリエイター甲子園」がコラボし、学生クリエイターが制作している未完成のゲーム作品をプレゼンしてもらい、その場でフィードバックする、という本企画。
この日は講談社ゲームクリエイターズラボの平田京市郎さんと、ゲームクリエイターズギルドの代表 宮田が、HCS北海道情報専門学校の学生クリエイター10チームの作品を添削しました。
第1弾 アミューズメントメディア総合学院での出張編集部の様子はこちらをご覧ください!
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まずはゲームクリエイターズギルドのまこちんが挨拶とイベントの流れを説明し、その後は講談社ゲームクリエイターズラボの平田さんから、自己紹介とゲームクリエイターズラボの取り組みについて説明がありました。
ゲームクリエイター甲子園(以下、甲子園)は、ゲームクリエイターズギルドが主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。
制作途中の作品でも、応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
また甲子園に作品が提出されると、公式YouTube番組「ゲームクリエイター熱血道場」で取り上げられることがあります。この番組では毎回豪華ゲストを招き、甲子園に提出された作品をプレイ&講評を行い、その回のゲスト審査員賞を発表しています。
甲子園の総仕上げでは、『ロックマン』を手がけた稲船さんをはじめ、ゲーム制作のプロフェッショナルを最終審査員に招き、優秀賞を選出。上位に入賞した作品は様々な展示会に出展されるほか、様々な形で作品のPRが行われます。
いよいよ出張編集部本番!
さて、いよいよ出張編集部本番。制作チームの代表者がプレゼンを行い、平田さんと宮田から所感やアドバイスが送られます。
『tell me about the Suspect』
『tell me about the Suspect』は、近年話題になっている自然言語生成AI「ChatGPT」を活用して制作された2Dシミュレーションゲームです。プレイヤーである尋問官は、被疑者の名前や年齢、罪状などが書かれた捜査ファイルを参考に、ChatGPT扮する被疑者に尋問を行います。果たして被疑者は本当に罪を犯してしまったのか、はたまた無実なのか、チャットを進めて真実を突き止めていくゲームです。
本作は甲子園2022にも提出された作品で、今後は捜査結果に応じて答え合わせを行う機能や、会話ログを残す機能を追加する予定だそうです。
みんなのゲームパレード『Tell me about the Suspect』作品紹介ページはこちら
平田さん:
AIをゲームに取り入れるのは難しいことなのですが、ChatGPTの特性を活かして尋問をテーマにしたゲームを作る、という発想が素晴らしいですね。また以前のバージョンからブラッシュアップした内容を説明していただきましたが、「この機能があったらいいな」と感じる部分がきちんと補われていて、勘所がとても良いと思います。一点気になったのが、キャラクターのドット絵の粗さです。フリー素材を使用しているとのことなので、全体的に統一感のある素材に変更すれば、よりゲームの世界観に没入できる作品になると思います。
《代表者からの質問》
「ChatGPTをはじめとするAIを用いたゲームに対して、どのようなイメージを持っていますか」
《平田さん》
最近はAIを用いたゲームが増えてきていますが、使いどころが難しい側面もあると思います。なぜなら、開発者側でコントロールできないエラーが発生してしまうためです。たとえば、ゲームとは関係のない単語をAIに投げると、見当違いな回答や機械的な回答が返ってくることがあります。そうなると、ゲームの世界観が崩れてしまうんですよね。
それを補うためには、意味のない質問はさせないように質問数を制御したり、少ない質問数で回答までたどり着けるようにしたりと、ゲーム性を工夫する必要があります。今作は今後そういった部分をブラッシュアップしていかれるとのことで、とても楽しみにしています。
『IGNITE』
『IGNITE』は、ドラゴンを操作して敵を倒す3Dレールシューティングゲームです。マップの壮大さや自由度の高い操作性が特徴で、敵を倒した経験値で溜まったゲージを使ってバリアや回復することができます。このゲームを制作する際は、「売り物に負けないゲームを作ろう」との目標のもと、爽快感・操作するドラゴンの強さ・ドラゴンが自由に飛ぶ感触にこだわって制作したそうです。
みんなのゲームパレード『IGNITE』作品紹介ページはこちら
平田さん:
特に高低差のある山のステージでアトラクションのようにドラゴンを操作するのが楽しくて、夢中になってプレイしました。それに、敵が倒される時の攻撃アニメーションもちゃんと作り込まれていて、素晴らしかったです。ただ、バトル以外のゲーム性が少ないように感じました。回復やバリアができるゲージが溜まるまでは敵を攻撃することしかできないのが少し勿体ないですね。「ステージのどこかに落ちているアイテムを拾うと何かができるようになる」というように、簡単な一工夫を加えれば、よりゲーム性が高まるのではないでしょうか。
『OIL GEAR』
『OIL GEAR』は、AIを搭載したロボットを操作して敵ロボットを倒す2D横スクロールアクションゲームです。機械が町に住む世界のとある研究所の博士が作ったロボットが動き出し、敵対するロボットを倒していく、というストーリーです。今後はオイルを使うとHPが減る代わりに、一定時間操作キャラクターの性能が上がる仕様を実装予定で、その仕様を用いて敵との駆け引きや戦いを有利に進められるギミックが搭載されるそうです。
平田さん:
最初のタイトル画面だけでもワクワクしますね。皆さんの“スチームパンク好き”が伝わってきました。ただ、今のキャラクターデザインだと、主人公と敵ロボットのデザインの区別がつきにくい気がします。
宮田:
「スチームパンクの世界なのに、AIが搭載されている主人公」というだけで他のロボットとの差別化になるので、主人公だけがAIを搭載していることを強調するストーリーを盛り込めば、より説得感が増しそうですね。
『Explash‼』
『Explash‼』は、“わちゃわちゃ感”をテーマにした海上マルチバトルシューティングゲームです。5対5で戦い、敵のボートを倒したチームが勝ちです。短時間のプレイで十分に戦闘を楽しめるように、岩などのオブジェクトの配置やマップデザインにこだわって制作したそうです。
みんなのゲームパレード『Explash!!』作品紹介ページはこちら
平田さん:
敵を倒す感覚が気持ち良く、自分が倒された時はちゃんと悔しさを感じました。今のゲーム性だと一人だけでも敵を倒せてしまうので、「チームで協力したから敵を倒せた」という場面があれば、より共闘感を味わえるゲームになると思います。「わちゃわちゃ感を意識した」とのことですが、まだまだ“わちゃわちゃ”の解像度が低いように感じます。波の影響でボートが転覆するなど、ハプニング要素を追加するのも良いかもしれません。
『DOTSデモ』
こちらは、DOTS(Data-Oriented Technology Stack)を使った技術デモです。UnityでC#言語を使って開発をしており、大量の敵が出現しても高いFPSを保ちながら、快適にゲームをプレイできるようになっています。現状では敵が約500体ほど出現しても、FPS8~10を保てる設計になっているそうです。
平田さん:
『Vampire Survivors』のような作品で面白いですね。負荷を施す前と後の比較映像があれば、この技術がどれくらい凄いかがより伝わりやすくなると思います。
《代表者からの質問》
「このデモは就活用に制作しました。今後は改良してゲームに落とし込む予定なのですが、どのような要素を追加すれば面白みのあるゲーム性になるか、アドバイスをいただきたいです」
《平田さん》
自分が作りたいものを作るしかないと思います。僕から新しいゲーム案を提案することはできますが、 自分の中から生まれたゲームじゃないと、モチベーションを保ったまま作りきれないかもしれません。
《宮田》
「今後3Dの無双系ゲームの制作にも挑戦したい」とのことなので、まずは3Dの作品を作ってみてください。ゲームを一本作りきるのが難しいのであれば、技術デモで大丈夫です。2Dだけでなく3Dも制作できるようになれば、就活のアピール材料になると思います。
『シェーダーデモ』
こちらは、物体に対して苔や雪などの付着物を発生させることを目的とした技術デモです。トゥーンからフォトリアルな表現まで自在に調整できるほか、付着物を発生させたい方向と量を調整することが可能です。こだわりポイントは、全方向のワールド軸にシェーダーをかけられるように調整したこと。一つのシェーダーでバリエーション豊かな表現ができるようになったそうです。
平田さん:
技術面に詳しくないので恐縮ですが、本当に凄い技術だと思います。汎用性もあるので、幅広いゲームに活用できそうですね。
宮田:
海のシェーダーにも挑戦されているとのことですが、海や炎などの流体の表現は特に難しくて、海外だと流体専門のテクニカルアーティストが居るほど深みがある分野です。こういった難しい分野にチャレンジしていけば、 技術者としての幅が広がると思います。アート面でより成長したい場合、太陽の光の当たり方について勉強するなどして、よりリアルな表現ができるようにする手もあります。現時点で十分に技術力があると思うので、ぜひプロになってから学んでいってください。
『snowの模索 AR技術デモ』
こちらは写真加工アプリ「snow」を模した、AR技術デモです。「MediaPipe」という、顔認証やハンドトラッキングなどの技術を用いて制作されました。認識カメラに近づくとウサギのようなヒゲや口が顔に付く仕様で、カメラとの距離によってイラストの大きさが変わるほか、カメラから離れるとイラストが消えたりするようになっています。
平田さん:
素晴らしい技術ですね。距離によってイラストのサイズが変わるのも凄いです。今は映像が反転している状態ですが、映像を反転させるかさせないか、選べるようになると良いかもしれません。
『Luminous Emission』
『Luminous Emission』は、ステージ上にある障害を突破してゴールを目指す、2Dアクションゲームです。ゲームの主人公は、電気でできている「デンキ」という生き物。「光をつける」ことを目的に、様々なギミックを駆使してゴールを目指します。本作は制作者が一年生の時に開発したゲームで、ドット絵の見た目が派手にならないように注意しつつ、シンプルでオシャレな雰囲気を目指したそうです。
みんなのゲームパレード『Luminous Emission』作品紹介ページはこちら
平田さん:
個人制作、かつ一年生の頃に制作されたと聞いてとても驚きました。ギミックの種類の豊富さとストーリー性が良いですね。実際にプレイしてみて、パズル要素とアクション要素が盛り込まれているのがとても楽しかったです。電気にまつわるギミックのバリエーションはまだまだ沢山あると思うので、色んなギミックに挑戦してほしいです。我々がよく口にする「量は質を担保する」という言葉のように、案を沢山考えた分だけゲームの質も上がっていくと思います。ぜひ妥協せずに、より良いものを突き詰めていってください。
『HERO ACT』
『HERO ACT』は、ジャンプの心地良さにこだわった2Dアクションゲームです。本作も制作者が一年生の時に個人で制作したもので、ジャンプの挙動やハシゴを使用する際の挙動など、細部まで丁寧に作り込み、製品版のゲームに近いクオリティを目指して制作したそうです。
みんなのゲームパレード『HERO ACT』作品紹介ページはこちら
平田さん:
アクションゲームとしての気持ち良さを感じるゲームですね。ただ主人公のドット絵が世界観に合っていないのが気になりました。フリーのアセットを使用しているとのことなので、フィールドや背景など全体的に統一感のあるデザインのアセットに変更すれば、より良くなると思います。
『Recy Craft』
『Recy Craft』は、様々なものをクラフト&破壊してゴールを目指す2Dアクションゲームです。本作は3日間でゲームを制作するハッカソン企画で生まれた作品で、短期間の制作でゲームのクオリティを担保しつつ、面白さを追求するのにこだわったそうです。
みんなのゲームパレード『Recy Craft』作品紹介ページはこちら
平田さん:
色んな資源を有効に使いながらゲームを進めていくのがとても楽しいです。自分の死体をリサイクルする発想も面白いですね。サンドボックスゲームとアクションの両面があるので、飽きのこないバランスの良いゲームだと思います。ただプレイに使用するボタンが多いので、もっと簡素にすると良いかもしれません。ユーザーにとってストレスのない体験を生み出すために何が必要か、ぜひ今後の開発で考えてみてください。
イベントは終始穏やかな雰囲気で進んでいましたが、各チームのプレゼンタイムの後の質疑応答の際は皆真剣モードになっていました。『Luminous Emission』のプレゼン後の質疑応答では、とある学生から「良かったら、ウチのチームに来ませんか」というスカウトの声も!?
出張編集部を終えて
10チームの発表が終わった後は、登壇者から総括がありました。
平田さん:
全体的にレベルが高い作品ばかりでしたね。実は事前にお送りいただいたデータを見た時は、作品のクオリティの高さに驚きながらプレイをしていました。本番のプレゼンも皆さんお上手で、自分がこだわった部分などメリハリをつけて伝えてくださったので、僕も質問に答えやすかったです。
今回も講談社ゲームクリエイターズラボに応募してほしい作品が沢山あったので、皆さんぜひご応募いただけると嬉しいです。そして、本日プレゼンしてくださった方々の今後の活躍はもちろん、来年以降の学生さんの作品もとても楽しみにしています。本日はありがとうございました。
宮田:
これまで沢山の作品を拝見してきましたが、皆さんは日本全国の学生の中でもトップクラスの技術力だと思うので、ぜひ自信を持ってほしいです。そして自信持って終わりではなく、さらに高みを目指してください。そうすればきっと、プロになってからも長く活躍できるようになります。 数年後、皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみにしております。
さて、今回は出張編集部第2弾として、HCS北海道情報専門学校にお邪魔しました。今回プレゼンしていただいた作品はもちろん、プレゼンされていない方の作品も甲子園2023で見られることを楽しみにしています!HCS北海道情報専門学校の皆さん、そして講談社ゲームクリエイターズラボの平田さん、大変お疲れ様でした!
「ゲームクリエイター甲子園」は、引き続き学生クリエイターに向けた様々な取り組みを実施予定です。詳細はLINE公式アカウントや公式Twitterを要チェック!
また、本企画について実施したい・興味がある学校・教員の方は下記フォームよりご連絡ください!
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「ゲームクリエイター甲子園 2023」開幕中!
現在「ゲームクリエイター甲子園 2023」が開幕中!エントリー・チーム登録締め切りは2023年10月31日(火)16時59分まで。「オリジナルゲームを作ってみたい!」「制作したゲームをたくさんの人に遊んで欲しい!」そんな方はぜひ、ご応募ください!
【ゲームクリエイター甲子園 2023 エントリー情報】
エントリー・チーム登録期間:2023年1月30日(月)~10月31日(火)16時59分
作品提出期間 :2023年1月30日(月)~11月7日(火)16時59分
※作品がない状態のエントリーも可能です。
※一作品につき一回チーム登録が必須となります。個人参加の場合もチーム登録をお願いします。
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です。
【応募資格】
年齢 :小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数 :無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約3000人参加しています。(2021年12月現在)スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/
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