ゲームクリエイター甲子園に登場した中から18作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第二弾として参加することが決定しました。
今回のインタビューは18作品のうちの1つ『ObotShoote』をピックアップします。

このインタビューシリーズでは、ゲーム作品に焦点を当て、制作の裏側に迫ります。どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。

Otika/『ObotShooter』

Otikaさんは、「ゲームクリエイター甲子園 2022」のU-18部門において総合賞 第3位を受賞しました。当時中学3年生という若さで『ObotShooter』を制作した彼が本作を思いついた経緯や、またゲーム制作をするにあたって大切にしていることは何かをお聞きしました。

物理演算を用いて作られた個性派2Dシューティングゲーム『ObotShooter』

【作品紹介】
2D“物理”シューティング!ゴミとして廃棄された”Obot-3678”になぜか電源が入る。任務を受けた“Obot-3678”は建物の最上階にある“コア”の破壊を目指す。物理演算を使用しているため動きが独特ですが他のゲームにはない自由な動きができるのが特徴です。

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―本作を作ろうと思った経緯を教えてください。

Otikaさん:
新しい技術を試していたんです。ふにゃふにゃした動きの制御を試していて、そこから銃を作って敵も作ってみたら結構面白かったので、そのままゲームにしてみました。このプロジェクトは面白くなかったら捨てても良いし、でも学んだことは別のことに生かせるわけだから、という軽い気持ちで始めたんですよね。

―面白そうだからゲームになった、と。

Otikaさん:
万が一面白いものができたら、それだけで大成功ですよね。他のゲームにはない絶対的な特徴にもなりますし、その感覚から作っているのでハズレません。通常なら企画を立てて作っても、遊んでみたら「これ面白くなくね?」ということもあるかもしれませんが、今回は”面白い”という感覚からスタートしているので、そういうことはないですね。

感覚的に作ることで狙い通りの面白さを表現できる

―普段から企画を立てて制作する、ということはあまりされないのでしょうか。

Otikaさん:
コンテストに向けて短期的な目標がある場合は別ですが、そうでない場合はまず実験したり、がむしゃらに試すという手法で開発を進めています。考えすぎてしまうと、自分の頭の中にある想定を超えることができなくなるかもしれないので、このような手法で制作するのも良い方法だと思っています。

―頭の中では面白いと思っていても、実際に完成させないとそのゲームが面白いかどうかは分からないですもんね。

Otikaさん:
ゲームの完成イメージを描いてから作ってしまうと、自分の頭の中の理想を超えることは難しいですね。例えば制作中にバグが発生してキャラクターが空中に飛んでしまうようなハプニングが起きても、それをうまく活かして調整すれば面白さを引き出すことができます。枠にとらわれないゲームになる可能性がありますね。

―『ObotShooter』の構想はいつ頃から考えていましたか。

明確には覚えていませんが、2022年のUnityユースクリエイターカップの締め切りの1ヵ月前ぐらいには真剣に取り組み始めました。ちょうど夏休みに入る頃でした。ふにゃふにゃした棒人間を登場させることも考えていましたし、武器として使える銃や敵のアイデアも大まかに考えていました。

こだわったのは慣性と操作性のバランス

―本作で特にこだわった点、アピールしたいポイントを教えてください。

Otikaさん:
動きは言わずもがな、操作性にこだわりました。物理演算を使ってキャラを動かしているので、最初は慣性の影響で操作性がかなり悪い状態でした。その結果、「操作キャラの体勢が崩れる前に早く撃ったもん勝ちのゲーム」となってしまい、面白くない可能性がありました。そこで、慣性と操作性のバランスを上手く調整しました。

言葉でうまく表現するのは難しいですが、個人的には空中で体がバランスの方向に向くというアイデアは発明だったと思います。ジャンプ中にななめに体を向けていると、敵の攻撃が当たりづらくカッコ良さも演出されます(笑)。操作自体も感覚的に行えるので、初心者の方でも遊びやすいのではないかと思います。

―制作の過程でテストプレイはしてもらいましたか。

Otikaさん:
兄弟にテストプレイをお願いしたら、喜んで手伝ってくれ、「1つ目のボス戦が難しすぎる」と言われました。これは“ゲーム制作あるある”と思いますが、開発者がそのゲームに慣れているので、簡単に敵を倒せるようなレベルデザインでは物足りなくなり、つい敵をつい強く設定してしまうことがあります。

当然、初見プレイでは苦戦することもありますし、ゲームの本質的な面白さにたどり着く前にプレイヤーが諦めてしまうこともあるので、兄弟に遊んでもらいながら難易度を調整しました。

―ゲームが完成してから周囲の人に遊んでもらったかと思いますが、皆さんの反応はいかがだったでしょうか。

Otikaさん:
学校の文化祭にゲームを展示した際、概ね好評で批判的な意見はほとんどありませんでした。難易度に関しても否定的な意見はなく、みんな面白いと言ってくれました。実はその文化祭では『ObotShooter』のほかに、個人制作したVRゲームも展示しました。両方を完成させるためのスケジュールは地獄でした…。

―VRゲームも同時進行で制作されていたんですね。それは大変だったと思います。とはいえ当時は中学3年生ということで、その若さでVRゲームまで制作できるなんて本当にすごいです。

―『ObotShooter』を実装するにあたって難しかった点はありますか。

Otikaさん:
『ObotShooter』はゲーム制作を始めて2、3作目くらいになります。物理演算が入ったシステムの実装は初めてで、ふにゃふにゃとした動きを制御することはとても難しかったです。

Webサイトで見つけたコードをコピペして何とか問題を解決できましたが、本作の核となるふにゃふにゃした動きの制御方法については分かりませんでした。そのため、海外のクリエイターが公開している動画を見て、資料を解読して実装しました。この解読作業が大変でしたね。

まだまだプログラミングのスキルは完璧ではありませんが、本作を実装する前と比べて遥かに上達していると思います。

―参考にした資料が海外のものだったということですが、実装するだけならまだしも日本語に翻訳するのも骨が折れそうです。

Otikaさん:
「英語の勉強なんて、自分はずっと日本に引きこもってるから必要ないだろう」と思っていましたが、このプロジェクトを通じて初めて語学力の必要性を感じました(笑)。そしてUnityでの開発も初心者にとっては少し難しかったです。ゲームを作るという難しさもありますが、それ以上に「Unityを使って他のゲームにない世界観をどう表現するか」を考えるのが大変でした。

―本作を改善・アップデートしたい点はありますか。

Otikaさん:
今回は大会向けに調整したボリューム感なので、もし製品版をリリースする機会があれば、ステージを増やしたいです。また、ゲーム中で伝えきれなかったストーリー性も重視したいです。実はストーリーをかなり考えていて、ゲームを通じて伝える方法を模索中です。個人的にはステージの背景や演出を通じてストーリーを伝えるゲームが好きなので、そういった方法を取り入れたいなと考えています。

さらに、敵キャラクターや強化ギミック、武器の追加など考えています。アイデアはたくさんありますが、当時の技術力では実現が難しかったものも多かったです。もしリメイクする機会があれば、そのような要素も実装したいと考えています。

―ストーリーも考えていたと仰いましたが、具体的にはどのようなストーリーを考えていたのでしょうか。

Otikaさん:
簡単に言うと、「悪事を働いているロボット制作会社の内部組織を取り締まるために、廃棄場に捨てられたロボットをハッキング・操作して悪の組織を壊滅する」というストーリーですね。

ゲームの冒頭で上からロボットが落ちてくるシーンでは、そのロボットが実は廃棄されたロボットなんです。そのロボットをハッキングすることで電源が入るという設定にしたかったのですが、時間と技術力もなかったので表現できませんでした。しかしプレイヤーがゲーム内のキャラに感情移入できると、ゲームがより面白くなると思うので、本当はストーリーを入れたかったですね。

『ObotShooter』は“超えるべき昔の自分”

Otikaさん:
『ObotShooter』は自分の中でも結構面白い作品になったと思っています。最近は『ObotShooter』に勝ちたいと思い始めています。『ObotShooter』はまさに“超えるべき昔の自分”のような存在ですね。

―既に新しい作品を作り始めているのでしょうか。

Otikaさん:
そうですね。3人での共同制作を試みて、今は一段落したところです。共同制作は個人制作と比べてつまずきやすいと聞いていましたので、行き詰まらないように気を付けていましたが、それでも難しいものですね…。全員で考えを合わせたり、スケジュールやタスクの管理を行ったりと、たくさんのことに取り組む必要がありました。共同開発をされている方々には本当に尊敬します。

―確かにスケジューリングや報連相、コミュニケーションなど、個人制作にはない大変さがありますよね。共同開発の作品はどのような進め方で制作されましたか。

Otikaさん:
今回の制作では、完全に分業制を採用しました。例えば、「グラフィック担当の人が決定したものにはほとんど口出ししない」という形で進めました。そうすることでスムーズに進められると思いました。しかし、想定外のアクシデントが発生したので、予定通りに進めることができませんでした。

目標として掲げていたのは、2023年の日本ゲーム大賞(以下、ゲーム大賞)のU18部門に提出することでした。開発期間が1ヵ

Otikaさん:
最近はプロシーズルアニメーションという逆算するアニメーションに触れています。もし足を特定の位置に置いたら関節がどのように動くかを逆算し、それに基づいてアニメーション作成するという手法です。この方法を使って蜘蛛を再現してみました。

―動かせたらそれだけでもすごく面白そうですよね。最後に、次回作に向けての意気込みを聞かせてください。

Otikaさん:
ゲーム制作を行う上でのポリシーとして、必ず自分がやったことのない新しい要素を入れるようにしています。なので誰も挑戦したことがないようなことを貪欲にやっていきたいですし、誰かが作ったものの二番煎じにはならないような、周りをあっと驚かせられる面白いゲームを作っていきたいと思います。

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「Seeds by Game Creators Guild」とは

「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。

クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。

本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。

未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。

Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds

「ゲームクリエイター甲子園 2023」開催中!

ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。

このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。

制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。

「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!

【ゲームクリエイター甲子園 2023 エントリー情報】

エントリー・チーム登録期間:2023年1月30日(月)~10月31日(火)16時59分
作品提出期間       :2023年1月30日(月)~11月7日(火)16時59分

※作品がない状態でのエントリーも可能です。
※一作品につき一回チーム登録が必須となります。個人参加の場合もチーム登録をお願いします。
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です。

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【応募資格】

年齢  :小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数 :無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です

「ゲームクリエイター甲子園 2023」エントリーはこちら

 

ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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