「ゲームはおもしろい、ゲームを作ってる人も実はおもしろい」
多種多様な技術を持った人々が集まるゲーム業界。あの魅力的なゲームたちは、どんなゲームクリエイターが生み出しているのか。ベールに包まれた「ゲームクリエイター」の生態を解き明かし、この地に生息する「ゲームクリエイター図鑑」の完成を目指す。その過程として、一部のレポートを公開しよう。
クリエイター図鑑 No.002 今回、取材に応じてくれたのは、インディーゲーム開発チーム『デスクワークス』代表取締役の藤井トムさん。同級生の南場ナムさんとの二人三脚で、学生の頃に作った作品をブラッシュアップし続け、『RPGタイム!~ライトの伝説~』として世に送り出した。妥協も譲歩もなく、自分たちの信じる道を突き進む熱意は、ゲームクリエイターなら誰しもあこがれ、見習うべきものに違いない。
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──ゲームをやり始めた頃に好きだったゲームは何ですか?
僕はゲームを自由にやらせてもらえない家庭で育ったので、雨の降る休みの日しかゲームができませんでした。今でも雨の日はゲームをしますね。
一番印象的なのはファミコンの『ドラゴンクエスト2』で、お盆と正月に母方のおばあちゃんの家に行った時だけ、そこで『ドラゴンクエスト2』ができるんです。お盆にプレイした時の『ふっかつのじゅもん』を次のお正月まで大事に取っておいて続きをやって、途中でそのメモを失くして最初からやり直したり(笑)。途中で詰まった時に、友達から「毒沼を探せばいいよ」と教えてもらうんですけど、「でもその毒沼、調べられるのは半年後のお正月なんだよな……」って(笑)。
『ドラゴンクエスト2』は小学校1年生で始めて、クリアできたのが5年生の頃です。最初は文字もあまり読めなかったのに、クリアした時には「こんなに難しいゲームを一人でクリアできた。僕は大人になった」と思いましたね。
──半年に1度しか進められないのによく途中でやめませんでしたね! 制限されていた分、ゲームへのあこがれが強くなったのでしょうか。
当時から我慢強さはあったと思いますが、それ以上に『ドラゴンクエスト』が面白すぎました。何か別の人生を自分が歩いたみたいなところで、当時はすごい体験をしたと思いました。
──ゲームに厳しかったご両親は、ゲーム開発の学校に進むことを反対しませんでしたか?
「ゲームを禁止していた反動が来た」という愚痴はこぼしていましたが、基本的にやりたいことには反対しなかったので、親にはすごく感謝しています。
──ずっとRPGをプレイするのが好きで、それが仕事にも繋がっていますか?
RPGは特別な存在でした。ただ、王道の『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』が好きだったんですけど、高校生ぐらいの時にドリームキャストやプレイステーションで『シーマン』とか『塊魂』とか『せがれいじり』とか『パラッパラッパー』とか『動物番長』とか、そういう変わったゲームに触れて「こういうのもゲームなんだ」と思ったんです。そこからゲームの広がりを感じて、ゲーム開発会社に行くことを考えるようになりました。
──『RPGタイム!~ライトの伝説~』は友人でもある南場さんとずっと開発してきたゲームです。2人による開発そのものがストーリーになっていますね。
もういい大人なんですけど、童心を取り戻しつつ頑張ってきました。インディーゲームは完成までたどり着けることが少なくて、特に長期開発になると難しいんですけど、小学生のケンタ君の「ゲームマスターになりたい」というゲームの中での創作の衝動が僕らに乗り移ったみたいな、作るのがとにかく楽しかったんです。綺麗事みたいですけど、そうとしか考えられないんですね。
仲良く開発できる秘訣はあるのかと聞かれると、特にありません。「なんでだろう?」って2人で話していたんですけど、ずっと長い付き合いだからでしょうね。
子供の頃にゲームで遊ぶことを制限された分、あこがれは大きくなった。当時から藤井さんの粘り強さは相当なものだったことがうかがえる。ただ、その強さを支えたのは「とにかく楽しかった」の思い。並走してくれる南場さんというパートナーの存在も大きかったに違いない。
『RPGタイム!~ライトの伝説~』公式サイト ©DeskWorks / Aniple
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