CEDEC登壇者から学ぶゲームのプレスリリース書き方レポ【ゲームクリエイターアカデミア】

今回のゲームクリエイターアカデミアではCEDEC2021にも登壇された合同会社一筆社の秦亮彦さんを講師に迎え、ゲームタイトルについてのプレスリリースの書き方を学んでいきます。

「はじめて書く!自分で書く!」をテーマに、プレスリリースって、そもそもなぜ打つの?どんなことを書けば良いの?プレスリリースって会社から打つイメージだけど個人でも出して良いの?など皆さんが疑問に思っているところや実際の書き方、書いた方が良いポイントなどこれから初めて書く方向けにわかりやすく今回の講座でご説明いたします!

こんな人におすすめ

  • はじめてプレスリリースを書く
  • プレスリリースの書き方やタイミングを知りたい
  • 社内やチーム内にプレスリリースの経験がある人がいない

登壇者プロフィール

秦 亮彦氏 ライター/合同会社一筆社代表

はじめまして。一筆社代表の秦と申します。国内のゲームメディアでニュース記事やゲームクリエイターにインタビューを年間で300本くらい書いています。 職業柄、数多くのプレスリリースを受け取る中で気づいた「プレスリリースの書き方」を解説するようになりました。 多くの方に役立てばと思いますので、よろしくお願いします。

西田 悠貴氏 GCG 公式フェロー 教育コンテンツアドバイザー

玉川大学卒業後、株式会社B.C.Membersを立ち上げ「UIデザイン」を中心に手掛ける。
UIデザインを作り続けるうちに、「どんなにUIデザインが綺麗でも、UX設計なくしてプロダクトの成功はない」とUX設計の重要性を強く感じ始め、UXそのものの研究とUX設計事業を開始。
現在はB.C.Membersにて自らもUX設計に携わる傍ら、デジタルハリウッド大学院に所属しUX研究チームを立ち上げ、UXに関わる研究を行っている。

ゲームクリエイターアカデミアではゲームクリエイターの思考を分解し、知識やノウハウを引き出す役割を担う。

タイムスタンプ

動画の目次リンク
0:00はじまり Intro
1:43自己紹介&活動内容ご紹介
4:27 自分でプレスリリースを書く意味
12:21 プレスリリースを複数回出す理由
21:30 第2部 メディアの視点
40:33 第3部 プレスの書き方
1:01:35 まとめ

第零部 自分で書く! プレスリリース

【用語の確認】
「プレス」……資料の字数の都合などでプレスリリースをプレスと表記しているところがある
「プレスキット」……メディアが記事作成の際に利用する画像や動画などの資料をまとめたもの

 

西田最近は自作ゲームなどの小規模開発が盛んで、東京ゲームショウなどのインディーゲームコーナーもとても広いですよね。

そうですね。国内外問わず参加出来ますもんね。

西田そこでユーザーさんにとっては初めて見るゲームが多く、制作者さんは「このゲームをどうやって広めよう」という問題はやってきますね。

YouTubeやTwitterなど手段は増えましたが、皆さんメディアを見てゲームの存在を知るというのは昔からあまり変わっていないのかなと思います。
プレスリリースは絶対する必要はないんですが、やれば反響を得やすいです。一番大事なことはプレスリリースは自分たちで作ることができます

西田プレスはゲーム制作より簡単なものだから自分たちで作って出してもらおうと。

開発の一部だと思ってほしいですね。

 

第一部 プレスをなぜ打つのか

プレスをなぜ打つのか①

プレスで何を達成したいか、というところが大事になってきます。

西田サイトを用意して、ムービーだったり体験版、さらに予約の準備が出来て全部伝えたいって気持ち絶対にありますよね。

ただ、それぞれタイミングが異なるので読む側の気持ちを考えると、1回では全部の情報を配信出来ません。例えばムービーが出来たから見てほしいならムービーのことだけに集中したプレスを作成しましょうというところです。

プレスをなぜ打つのか②プレスは手段

目的に応じて複数回プレスを配信しましょう。回数に制限はありません。次に情報に触れたユーザーさんにどうしてほしいのかを考えます。例えばムービーを見てほしい場合は動画サイトに掲載しましょう。昔はプレスに動画を貼り付けて送っていたケースを聞いたことがありますが、メディア側でアップロードは出来ないんです。自分たちで用意して、メディアの人もユーザーの人も「これはサイトが公開された情報なんだ」「これはムービーが公開された情報なんだ」と目的に合わせてプレスリリースを作るのが大事だと思います。

西田僕もやっちゃったことありますね。サイトもムービーも出来たからあるものは全部載せようって。

プレスを配信することは手段なので目的にならないようにですね。手段として分けて配信することが大事ですね。

プレスをなぜ打つのか③ネクストアクション

一度自分で書いたプレスを読んでみて、伝わっているかというところを確認した方がいいですね。読んだ人が次に起こすアクションを考えられているかですね。

プレスをなぜ打つのか④コンテンツ制作

  • サイト
  • SNSアカウント
  • プレイ動画
  • 体験版など

プレスを出すことを考えたときにこういったものがあるといいのかなと思うものです。この辺りはプレスと連動するところです。

プレスをなぜ打つのか⑤まとめ

  • プレスリリースは目的に応じて複数回配信しましょう
  • メディアに掲載されたときに見た人にどういう行動をしてほしいかを考えてプレスリリースを作りましょう
  • ゲーム本体以外にも必要に応じてコンテンツを作りましょう

西田極端な話ですが、同じプレスリリースを2回出すことはいいんですか。

これはですね、ニュースなので速報性が大事なんですよ。たまにメディアの方が言うじゃないですか「ニュースは鮮度が大事だ」って。サイトを公開して即日プレスを出した一週間後に同じプレスでは鮮度が落ちているので、あまり意味がないんです。

西田もう一度プレスを出したいときは少しでも更新情報を載せる感じですか。

そうですね。他のコンテンツ(動画の公開や体験版)のことを紹介していくといいですね。

第二部 メディアの視点

メディアの視点①

メディアによってはゲーム以外にもグッズやe-sportsなど近しいジャンルを取り上げているところもあります。ということは沢山のプレスが届くんですよね。1日何千何百と届くプレスの中からどうやって取り上げられるかが気になりますよね。

メディアの視点②③記事になるプレス

メディアの記事を見ると共通点がわかります。文章があって画像そしてリンク先というのは記事の構造ですが、中身の部分は大体こういったものが多いです。

  • タイトルの初リリースの時(こういうタイトルがあるぞと周知する時)
  • タイトルの発売日の告知・決定
  • タイトルのプラットフォームページ公開
  • タイトルの体験版公開
  • タイトルの実際の発売日
  • そのほか

西田思っていたより多いですね。初リリースというのはゲームを発売したときですか。

いえ、こちらはこういうゲームタイトルがあるぞと情報を初めて世に出したときのことですね。

西田そうなんですね。これだけの数のプレスが出せるんですね。「そのほか」はどんなタイミングでしょうか。

【そのほか】

  • セール
  • グッズ販売
  • YouTuberコラボなどのコラボ
  • キャンペーン(フォローRTキャンペーンなど)
  • イベント出展
  • 事前登録

先ほどのそのほかを掘り下げていきますね。例えばセールだと、Steamでのサマーセールなどがありますね。メディア的にもTGSなどの大きいイベントがあると記事にしやすいんですよね。「このゲームが今度TGSに出ますよ」とあると、ユーザーさんも読むし、TGSに行く人も読む。やっぱりメディアはユーザーさんに読まれやすい記事を書きたいので、そういうタイミングは大事にしてほしいなと思いますね。

西田皆さん、東京ゲームショウのときはプレスを出しましょう。

メディアの視点④メディアにプレスを読んでもらう

メディアは読者に読んでもらえるかを重視します。読んでもらえるかどうかなので前評判の高いタイトルが優先される傾向があるんですが、昨今インディーゲームのコーナーを用意して取り上げるメディアも増えてきているので、掲載チャンスは過去に比べて格段に増えていると思ってもらえればと思います。

西田今のインターネットの環境になってから、掲載のチャンスというのは増えている気がしますね。

ぜひプレスを出すことにトライしてほしいですね。

西田:「取材を受けました」というプレスを見かけることもありますよね。プレスがプレスを呼ぶこともありそうですね。

これはあると思いますね。異業種の方のプレスで知ることもあるので。例えば『天穂のサクナヒメ』だと農林水産省から取材があったじゃないですか。あれはやっぱりメディアがメディアを呼んだというところがあると思いますね。

西田農林水産省のもバズっていましたね。

それを狙ってやったかというとそうじゃないと思うんですよね。プレスを出して世に広めるということはやっていきたいですね。

メディアの視点⑤掲載が難しいプレス

読者が読まなさそうなものは難しいです。内容を盛り込み過ぎたり、画像や動画などのプレスキットがないものは記事にしづらいです。記事を書くときに画像がないとやりづらいんですよね。文章だけでは引きが弱かったり、サムネになるものがないと難しいんです。

 

第三部 プレスの書き方

note(ノート)

これって何の記事? この記事では、ゲーム会社や同人/インディーゲーム開発チームがどのようにプレスリリースの書けばいいの…

プレスの書き方①

noteにも書いているのでぜひご覧ください。「新聞の書き方」と検索すると、いろんな新聞社さんの記事の書き方を見ることができます。そちらも参考にすると書きやすいかと思います。

西田プレスを書くときに文章ってどうやって書いたらいいんだろうって思うことありますね。言い回しに悩んで手が止まっちゃいます。

そういうときに参考になると思います。

プレスの書き方②③④例

ここからは例えを用いてプレスリリースの書き方について詳しく掘り下げていきます。

これは厳しいプレスの例です。読んだ人がどういう行動をしてほしいか、という視点が抜け落ちてしまっていますね。

┗タイムスタンプ 42:36から始まります。

プレスの書き方⑤⑥6つに分けてみよう

【4W】
Who(誰) When(いつ) Where(どこ) What(何を)する

まず4Wで簡潔に書いて、読んだ人がなるほどとなるものを書きましょう。

・X社は2020年〇月〇日にSteamで『ゲームタイトル』をリリースするページを公開しました

・X社は2020年〇月〇日から開催される東京ゲームショウで『ゲームタイトル』を展示します。

西田この一文だけで分かりますね。

プレスの書き方⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬

次はゲーム内容を簡潔に書きましょう。『ゲームタイトル』の情報ですね。どういったジャンルでゲームの中身について書いていきます。

【ゲーム解説の5W】
Who(ゲーム中の誰)がWhy(ゲームの目的)のためWhen(いつ)Where(どこで)をWhat(何を)する

ユーザーさんの期待がめちゃくちゃ膨らむというところを簡潔に書くということですね。

西田期待感が出てきますし、読む側の次のアクションが想像しやすいです。

そしてゲーム内容の詳細や実績、開発経緯を盛り込んで詳細を書いていきます。一番熱が入るところですね。それから製品情報を書きます。

西田近しいジャンルのゲームのプレスを参考にするのも良さそうですね!

忘れずに自社情報も載せてくださいね。自社情報って結構大事で、ユーザーさんはサイトに行きますが、メディア側は連絡先や担当者を確認して取材の連絡をすることがあります。

プレスの書き方⑭プレスキット

プレスキットの中身は、スクリーンショットやタイトルロゴなどメディアに掲載してほしい画像です。動画はYouTubeなどにアップデートしてURLを記載しておきましょう。
サイトに貼っておくのも手です。メディア以外の人も見てしまうけど、別に大丈夫な情報をサイトに置いておくのもこれ実は大事なことなんです。
私も経験がありまして、インディーゲームの制作者でTwitterしか分からず、でもDMを解放されていなかったので連絡が取れなくて困ったことがありましたね。

西田持っている画像は全部入れておいたらいいですかね。

メディアが選びますが、意外とタイトルロゴを忘れがちなので皆さんお気を付けてくださいね。

プレスの書き方⑮どうやって送るのか

各メディアのサイトにプレスリリース送信先があるのでそちらに送ってください。ゲームを扱うメディアは国内で30前後あるので、自分たちにマッチするところへ送っていただければと思います。
そして掲載されたら大喜びしましょう。苦労が報われた瞬間ですから。

最後に

プレスリリースは最後のひと段階だと思ってくださいね。今回はゲームに特化した講座内容でしたが、他社他業種のプレスも参考になります。特にBtoCだと上手いことキャッチフレーズが合間に入っていたり、すごく上手だなと思うことがあると思います。今回の内容を参考にして試行錯誤していただければなと思います。

note(ノート)

これって何の記事? この記事では、ゲーム会社や同人/インディーゲーム開発チームがどのようにプレスリリースの書けばいいの…

本編はこちら

 


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ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

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