本記事はクリエイター向けUXを学び合うコミュニティ「ものづくり UX Lab」に掲載しているものをまとめた記事となります。UXについての意見交換などは⇩のコミュニティで!
こんにちは。ものづくりUX Lab を主催する株式会社B.C.Membersの西田です。
普段は企業や業界の方々にUX設計のレクチャーを行ったり協力をしたり、ものづくりUX Labや、ものづくりUX SCHOOLでUX設計の講師をしたりしています。
前回に引き続き、2018年12月7日発売された大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL(以下、スマブラSP)について、UXの観点からできる限りわかりやすく紐解いていければと思います!
本記事はクリエイター向けUXを学び合うコミュニティ「ものづくり UX Lab」に掲載しているものをまとめた記事となります。UXについての意見交換などは⇩のコミュニティで! こんにちは。ものづくりUX Lab を主催する株式会社B.C.[…]
「ものづくり UX Lab」コミュニティのコンセプトに倣い、ゲームクリエイターを目指す方などをはじめ、クリエイティブに取り組む方々に少しでも役立つことができればてば幸いです!
そして一人でも多くの方々とものづくりにおけるUXについて語り合えれば最高です!
なお、記事内でのUXという言葉の意味は、以下の「ものづくりUX Lab」での定義を元に使っております。
ユーザーが体験し、認識したこと。その経験そのもの。
「勝ちたい」という気持ちに、スマブラSPは向き合っている
前回は、コア層向けの格闘ゲームと比べてスマブラのUXを分析しましたが、実をいうと、このスマブラは「コア層」と呼ばれるユーザーにも強く支持されています!
「コア層以外」の部分を強く意識したUX設計になっているにも関らず、実際には「コア層」にも支持されている理由、それはキャラクター毎の性能調整の緻密さにあると考えています。
先ほど、スマブラのゲーム性を「パーティゲーム性のある大乱闘ゲーム」と評しましたが、このようなゲーム性を持つ場合、使用できるキャラクターの性能調整はかなり大味になる事が多いです。
なぜか、というと「パーティーゲーム」と呼ばれるものは勝ち負けが重要な要素ではなく、勝ち負けをする人が目まぐるしく入れ替わりながら、盛り上がっていくことこそが重要なゲームであるからです。そうなってくると、ある程度の方向性さえあればあとは大味の調整でも盛り上がれるし大丈夫、となるのです。
(むしろ大味でないと、技術・技量の差が大きく影響されてしまう危険性もあったりします)
実際に「パーティーゲーム」と称するゲームではそういった設計が多いのですが、このスマブラ、特に現在のスマブラSPでは、オンラインを通じて定期的に細かい性能調整がされ、「パーティーゲームでは本来あまり触れない部分」にかなりの労力が割かれています!(このキャラクター毎の性能調整は、実際の統計取得・調査・分析・設計に物凄い労力がかかります)
この細かい性能調整により、勝ち負けが技量・技術に影響されていくようになり、スマブラをやっていて「勝ちたい」と思うユーザーが練習して技量・技術を伸ばし、「勝てるようになる」機会をつくっている、ということになります!
つまり、「パーティーゲーム性」と「格闘ゲーム性」を両面持っているスマブラというゲームでは、コア層以外を強く意識した基本のUXから、そこからステップアップしてコア層になりたいユーザー、さらに勝ち負けを重要視するコア層向けのUXまで、一貫して提供されているというということになります。
ライト層向けのパーティーゲームというUXを持ちながら、コア層の「勝ちたい」という気持ちにも真摯に向き合う、非常に難しい「ライト層」と「コア層」の両立を実現している素晴らしいゲームです!
(※この記事は任天堂さんとは何の関係も御座いません笑)
次回は『「ひとりプレイ」は、違うUXが設計されていた!』
つづく…!