受賞者インタビュー ~『Relash』~ 【ゲームクリエイター甲子園】

ゲームクリエイター甲子園 受賞者インタビュー
~『Relash』~

ありっさ
今回の作品は製品版を目指して制作を進めているので、その辺りの話も聞いてきました!よって、いつもより少し長い記事となっています。

「受賞者インタビュー」シリーズは、ゲームクリエイター甲子園2021で、私が受賞者達に聞いた話と、受賞作品を紹介していく記事群となります!

尚、選別理由は特にありません。はい。受賞授与順に、お話を聞けそうな人を捕獲していった感じです。我こそ語れるよ!という方は是非、お話聞きたいのでご連絡ください〜。

 

 

突撃インタビュー!

チャット形式での掲載となります。アイコンは各自、そのゲームの要素を含んだイラストを独断と偏見で選ばせていただきました。

『Relash』のチーム、RetroGradeGamesから遠藤さん、渡辺さん

時間逆行パズルゲーム、という新感覚ゲーム体験構築に挑戦しているRetroGradeGames渾身のゲームです!現在も製品版に向けて鋭意制作中とのこと。特殊なゲートをくぐると、過去の自分を呼び出して、自身は時間が逆行した世界に突入することができるので、各ステージに置かれているオブジェクトやギミックを駆使して、クリアを目指しましょう!

作品についてはこちらから!(ダウンロードして遊ぶこともできます)

▼熱血道場でもプレイされていました!内容をプチ紹介しています。

やはり考えることが多いので、頭を悩ませるおじさんたちを見物することができます(需要あるの…か…?)

▼番外編として、プレイはされていないのですが、別の熱血道場でゲーム実況者の梨蘭さんがプチッと言及しています〜!

 

お話聞いていきましょう!

尚、リーダー兼原案者の松本さんがインタビュー当時、精神と時の部屋に篭って制作を進めていたため、託されたチームメンバー2名にお話を聞かせていただきました!

 

ありっさ

お忙しい中インタビューに応じてくれてありがとうございます!個人的にコンセプトがとても好きな作品なので、お話聞けるのが楽しみです。

「時間逆行」、最近出た某映画に少し設定が似ていますが、どのようにして考案したのでしょうか?

渡辺さん

時間逆行パズル」という原案はリーダーである松本が作りました。色々なゲームを作っていく中で、「逆再生」をたまたま試してみたら面白そうだな、と取っ掛かりを感じて採用したそうです。

遠藤さん

そうですね。某映画の存在は知っていたけど、独自路線で辿り着いた感じだと思います。

ありっさ

某映画の監督さんと同じような考え方をしていた、ということですかね。同じ周波数。それでは、時間逆行とパズル、と考えるだけでも頭がこんがらがってきそうな要素を組み合わせた本作ですが、お2人はどのようにステージを制作されているのでしょうか?

渡辺さん

僕は基本的な方針として、各ステージに新しい発見、気づき、学習…といったものを組み込むようにしています

大学に入ってから脱出ゲームのような謎解き制作も別でしていたんですが、ひらめきの喜び…「こうやったらうまくいくんだ」と分かった際の面白さが好きなので、「こういうことできたら面白いね」、「これって意外なギミックの使い方だよね」という要素をまず1つ思い付いたら、それを活用してステージをクリアできるような構成を考えるようにしています。3D化は松本に頼んでいるのですが、考案中はiPadでイラストを描いて、色々書き込んで、何時間もごにょごにょ考える感じで制作しています。

ありっさ

渡辺さんは答えを最初に思いついて、合わせて導線設計、体験構築、という感じでステージを作っているんですね。

遠藤さん

僕は松本と渡辺さんとは少し違う制作方法ですね。2人はパズルを解くという行為と、解けた際の喜びに重点を置いているんですが、僕は視覚的な楽しさを意識して制作しています。

というのも、パズルの導線設計に関しては正直2人に敵わない、と思っています。尊敬に値するステージギミックを作ってくるので…。だから、視覚的演出を楽しめるようなステージを3人中1人位作ってきても良いのでは、と思ってこの方向性に決めました。様々な現象を頭の中逆行させてみて、視覚的に刺激がある、面白そう、と思ったものをステージの中に取り入れて、そこから通ずるパズルを考えています

ありっさ

見せたい絵があって、それを如何にパズルに組み込んでいくか、という思考法ですね。

遠藤さん

本作は元々松本が1人で作っていたんですけど、その原案を1プレーヤーとして初めてプレイさせてもらった時に、僕が一番面白いと感じた部分が、落ちた箱が重力に逆らって戻って行ったりする場面だったんですよ。パズルってどうしても難しくなってくると、解くことに夢中になって、その辺りの感動が薄れてしまうと思うんですけど、僕みたいにパズルよりは視覚的な面白さを求める人もいると信じて、そういうユーザーさんの心情に寄り添うために制作しています。

ありっさ

様々な思考法でステージ制作を進めているので、良い所取りが出来そうですね。お2人とも、当たり前ですけど、色々試行錯誤されているんですね。

渡辺さん

何日もかけてやっと制作したステージでも、数日後とかに大きい別解が発見されて、設計した導線がぐちゃぐちゃになって、考え直し…というのは結構ありますね。

遠藤さん

とんでもない裏技で2秒でクリアできちゃう!という発覚はそれなりにありますね…。

渡辺さん

「過去の自分」も含めた実質2つの人物と、時間逆行と結構複雑な要素が絡み合っているので、考えることが多くて対処しきれない時はあります。

でもまあ、楽しく遊んでほしいので、頑張って作ってます。

遠藤さん

5年後とかにとんでもない抜け道が見つかって『Relash』RTAとかしてくれたら喜んで見ます

ありっさ

想像しきれない所ですごく大変そうだな、と感じますが同時に楽しそうでもありますね。すごく作品に対する愛を感じます。遊び倒してくれるユーザーが出てきてくれるとやはり制作者としては嬉しいですよね。

そういえば、『Relash』は元々松本さんの個人制作だったかと思うのですが、どういった経緯でチーム制作へと変わったのですか?

遠藤さん

実際に製品版として売り出して、お金を払って買ってもらう、ということを想定した際に1人じゃ力不足だ、と感じたみたいでチームが編成されました。2Dアーティストの方、3Dアーティストの方、そして僕は元々の知り合いだったんですが、渡辺さんはある日、「来週から1人増えるよ」みたいな温度感でいきなり現れましたね。

渡辺さん

あ、はい。多分大学が一緒なので元からの友達だと思われていると思うんですが、ツイッターで『Relash』のことを知って、僕からチームに入りたいです、と声をかけました。笑

デジタルゲームをチームで作る、ということを経験したことがなかったので、参加することによって大きな視野で物事を見られるようになったり、自分自身の経験値を積むことに繋がると感じていた所、『Relash』をたまたま発見。調べてみたら正式発表に向けてまだ制作を進めていることと、同じ大学出身だと分かったので、親近感を感じてめちゃめちゃ長文で自分が今までやってきたこと、どうして関わりたいのか、を送りつけてアポを取って無事に入れてもらえました。結果的に今とても楽しいですし、貴重な体験を出来ているので良かったです。

遠藤さん

今初めて聞きました。笑

単に同級生連れてきたのかな、と思っていました。来ていただいて本当に良かったと感じています。

ありっさ

まさかのメンバー間でも初めての共有。双方に利点があったようで、温かい雰囲気が流れています(唐突なる実況)。

色々あってチームになったようですが、フリーゲームで配信しよう、とはならずに一貫して製品として制作を進めているのですね。

遠藤さん

松本が個人で制作を進めている間に製品化することは既に決めていたので、分からない部分もあるんですが、作品の完成度を詰める際に、プレーヤーの方にどれだけお金を払ってもらえるのか、勝負所を見極めたかったのかと思います。

作品を売るという点で「いくらもらえるのか」はかなりチームで話し合っています。僕たちの納得度とプレーヤーが支払うべき対価を擦り合わせるために、悩みながら制作を進めたり、販売価格を決めたりしています。

渡辺さん

実際に制作を進めていく上で、スケジュール調整や含む要素の調整も結構議題に上がってきます。時間は有限なので、やりたいことを全てできるわけではない。何を残していくのか、何を一旦省くのか…話し合いを重ねています。

ありっさ

無尽蔵に拡張すると、回収しきれない場合もありますからね…。見極めは大事だと思います。何かこの辺りで事件とかってありましたか?これが大幅に変わるとは!みたいな…。

遠藤さん

僕的に大事件といえば、ストーリー部分が消えたことですね。笑

ありっさ

あ…!そういえば資料を見た感じだと遠藤さんは最初「シナリオプランナー」という役職が記載されていましたね。

遠藤さん

そうなんですよ。元々僕はプランナーではなくて、シナリオや世界観設定を担当する予定でチームに参加したんです。だけど、限られた資金や技術力、資金で制作を進めていく中、どこに主軸を置くか話し合いをしたんです。結果、ストーリー部分は一旦捨てて、『Relash』が元々持っているパズルとしての面白さの底上げに力を入れよう、となり「じゃあ、遠藤、君は今からプランナーだ」と宣告され、僕も「分かりました!ステージを制作させていただきます」と答えました。

僕が1プレーヤーの時に遊んで、面白いと感じた『Relash』にもストーリーは特になかったんで、本来の面白さを追求することに注力したい、と相談され、ストーリーを削るという結果になった際も納得したし、『Relash』のためにもなると本心で感じました。最新版では、物語性を加えたので楽しみにしていてください。

ただ、今までもプランナーの仕事を担当したことはあったのですが、こんなに長い制作期間で、この規模のチーム制作でプランナーを務めたことはないので、それなりに覚悟が必要でした。今思い出しても心が震えます。

ありっさ

いや、カッコ良いですね!!今までの経験を捨てて、新しいことに挑戦する、それをきちんと全うする、って並大抵の覚悟じゃできないですよ。

渡辺さん

本当に、その通りだと思います。カッコ良い。

遠藤さん

ありがとうございます(照)。それ以外にも細々と製品版に向けて変更・削っている部分はあるんですけどね。例えば、製品版ではステージの壁が変わっている…と思います。

渡辺さん

あ、そうですね。変わっていると思います。

ありっさ

いきなりすごく分かりにくい変更箇所が提示されました。気付くかなぁ…。

渡辺さん

他にも新しいギミックや、全体的に「時間逆行」というテーマについて深く模索したので、拡張された楽しさを味わえるはずです。

ありっさ

宣伝上手いですね。笑 製品版を遊べるのが楽しみです。

それでは、最後にいつか作ってみたいゲームのイメージ像などは何か決まっていますか?

遠藤さん

あ、これに関してはいつか作りたい理想のゲームはあるので、語れます!

僕が思うゲームの面白さって映像、音楽、ギミック…あらゆる要素を使って物語や感動をプレーヤーに体験させることにあるんです。ただ、ストーリー性のあるゲームは基本的にプレーヤーが体験できるストーリーの大筋が既に決められていることが多いので、そうではなく、プレーヤーの選んだ行動や選択肢によってプレイ体験が大きく異なってくるゲームが理想です。

ゲーム側が定めた1つの物語をなぞるのではなく、プレーヤー自身が体験を綴っていくゲームデザイン。イメージとしては、小学生の頃に書く夢などで、勇者!と書いた子は魔王を倒すアドベンチャーゲームが始まって、花屋さん!と書いた子は畑を耕したり、お金を稼いだり、スローライフを楽しめるようなシミュレーションゲームに、ゲーム自体が呼応して変わっていく感じです。

ありっさ

なんとなく、かなり壮大なMMORPGみたいな、世界観とゲームデザインは用意されているから、何を選んでも良いよ!自分だけの体験が綴れるよ!というイメージですかね。それに加え、AIみたいな感じで、プレーヤーさんによって適正な環境やシミュレーションをゲーム側が呼応して展開してくれる…。体験としてすごく面白そうだけど、実装をどうやるのかあまり想像がつかないですね…。未来の技術に期待。

渡辺さんはどうでしょうか?

渡辺さん

僕は、今目の前のことを面白くしていく事に注力していきたいので、あまり理想のゲーム像は決まっていないのですが、ゲームの面白さはプレーヤーが介入できるインタラクティブ性にあると思います。その中でも特に、行動するからこそ生まれる選択肢や、何をするべきか、何をしたらうまく進むか考える…そういった「考える面白さ」を引き出していきたいと思います。

ゲームは、制作者が気付いた事を共有できる媒体だと思う。だから、こういう時楽しいよね、こういうの面白いよね、をどんどん形にして、多くの人と一緒に共感できる形まで落とし込めるように、色々な感情に敏感になりたいと思います。

遠藤さん

カッコ良いな…。僕も、そういう返答にすれば良かったです。笑

ありっさ

このインタビューを通してお互いのカッコ良い所をお互いが発見している事になんかテンションが上がっています(語彙力)。

お2人共、「体験作り」にすごく重きを置いている事が伝わってきました。自分が得てきた体験を他の人とも共有できるような場作り、って素敵な響きですね。その考え方は『Relash』にも反映されているのかな、と感じました。

それでは、長い間、様々なお話を聞かせていただきありがとうございました!

 

Steamにて、Win版が2022年3月30日発売!(Mac版は販売時期未定)

…とのアプデが来ました!パチパチパチ

Relash』リリースについて
Steamで購入はこちら

ありっさ
本作ですが、体験版が配信されていた時にプレイすることができました!空間認知能力はないですが、時間の概念も関わっている量子物理学にはそれなりに精通しているので、ゴリ押しでなんとかクリアできたりもしました。(それはゴリ押しというのか…)
受賞まとめ

『ゲームクリエイター甲子園 2021』は参加人数が約1500人、参加作品数は約700となり、65の企業にスカウト・サポートをいただきました。 表彰結果、クリエイターインタビューをご覧ください。 作品紹介ページから作品をダウンロードして遊[…]

 


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ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

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