Happy Elementsエンジニア向けオンライン説明会レポート
2024年12月4日、エンジニアを対象にした「Happy Elementsオンライン説明会」が開催されました。この説明会では、『あんさんぶるスターズ!!』をはじめとしたゲーム開発に関わるエンジニアたちが登壇し、仕事のスタイルや業務の内容などが説明されました。
本記事では、その説明会の内容をレポートとしてお届けします。
Happy Elementsについて
最初に、採用担当者よりHappy Elementsの会社概要について説明がありました。
同社は2010年4月に設立されたゲーム開発会社で、PC/Google Play/App Store向けに自社IPタイトルの開発と運営を行っています。
京都に拠点があり、従業員は288名(うち学生アルバイト15名)、平均年齢は32歳となっています。(2024年10月時点)
現在配信中のタイトルには、9周年を迎えた『あんさんぶるスターズ!!(Basic/Music)』『エリオスライジングヒーローズ』『六ツ獄恋いろは』などがあります。
タイトルごとにアプリグループが分かれる開発体制となっており、複数タイトルを掛け持ちするのではなく、ひとつのタイトルに専念できるのが特徴とのことです。
「ゲームに競争力を生み出す」エンジニア共通のビジョン
このパートは、執行役員/チーフエンジニア補佐/『あんさんぶるスターズ!!』のグループリーダーを務める草苅氏が登壇。
従業員288名のうちエンジニアは44名で、そのうちゲームエンジニアが37名(学生アルバイト4名含む)、インフラエンジニア(情報システム部門含む)は7名。全社員におけるエンジニアの比率は15.3%とのことです。
組織構成としては、インフラエンジニアは全員がインフラグループに所属し、全アプリグループを横断して業務を行っています。これに対してゲームエンジニアは必ずいずれかのアプリグループに所属しており、各アプリグループには開発リーダーが設定されているとのことです。これによって、それぞれが担当するアプリに愛着をもって注力することができ、「熱狂的に愛されるコンテンツをつくる」という会社のビジョンを実現できるようになっているとのことです。各アプリグループに与えられている裁量が大きかったり、物理的にもアプリグループごとに執務部屋が分かれていたりするなど、独立性が高い体制になっています。
また、各アプリグループの開発リーダーとは別に、チーフやチーフ補佐といった役割がエンジニア職種全体に横串を刺す形で設定されています。この役割の方は開発リーダーと協力し、全社的な取り組みを行っているそうです。
全エンジニアの共通ビジョンとして、「ゲームに競争力を生み出す」が掲げられており、ゲーム制作に必要な様々な職種をエンジニアの力で支援することで、ゲーム全体でより良いものを目指しているといいます。
グループ横断の取り組み
続いて、グループを横断して行われている様々な取り組みについて紹介がありました。
各アプリグループの独立性が高いことを踏まえ、月1回チーフ・チーフ補佐・開発リーダーが集まりエンジニア全体へのお知らせや各アプリグループで取り組んでいることの共有が行われているそうです。
全アプリ共通で使う機能についてメンテナーが選出され、開発とレビューを実施しているとのことです。具体的には、Asset Bundle管理、課金、汎用通信&通信暗号化、スプラッシュ画面、行動ログなどが対象となっているそうです。
四半期に1回の頻度でエンジニアたちが集まる交流会が催されているほか、CEDEC・RubyKaigi・Uniteなど会社指定の重要イベントには業務として(費用は会社負担で)参加が可能だそうです。ちなみに、重要イベント以外もグループのリーダーに相談の上で参加することができるようです。
こうした勉強会は、個々のレベルに合った社外勉強会への参加が推奨されています(社内での実施やその支援も可能)。これはエンジニアは数が多いわけではないため、社内で一斉に実施するよりも個別でそれぞれの目的に合ったものに参加する方が効率が良いと考えているためとのことでした。
グローバルスタンダードなテクノロジーを利用して、発展の恩恵が受けられる環境
まず、Happy Elementsは全社共通の開発環境として、クライアント開発にUnity(C#)、サーバーサイド開発にRuby on Railsを利用しています。一方で、インゲームの内容に応じてグループごとに使用ソフトウェア・サービスを選択して柔軟に対応することも可能だそうで、例えば、リアルタイム処理が必要な場合は、サーバーサイドC# + MagicOnion、Node.js、photonなどでの対応事例があるそうです。
ゲームエンジニアは基本的にクライアント・サーバー両方の対応が必要とのこと。どちらに、どの程度注力するかは個々にあわせて調整も可能ですが、どちらもしっかりこなせるようになることを推奨していて、最終的にゲーム全般を作れるのが理想とされています。
続いてテクノロジーについては、可能な限りグローバルスタンダードなものを採用しているそうです。これにより、世界的な技術進化の恩恵を受けられるだけでなく、スタンダードなツールを活用することでインゲーム開発に専念し、競争力を最大限に発揮できる開発組織を目指しているとのことでした。
さらにクラウド全般はインフラグループが横断的に担当しているため、ゲームエンジニアはゲーム開発に専念できる環境が整っています。(ただし、興味があればアプリグループにいながらクラウド業務に関わることも可能なようです。)
そしてテクノロジースタックについては、コミュニケーション・開発・クラウドの3つに分けて説明されました。
全社的なコミュニケーションではSlack、社内ブログにはKibela、オンラインストレージにはBoxが利用されており、Notionでの情報共有なども増えているそうです。開発については先述のものに加え、Docker、GitHub、Jenkinsといった定番サービスを利用し、Rider、RubyMineなどジェットブレインズ社のツールも利用されています。クラウドはAWSを中心とし、Google Big Query、Looker、Datadogなど他のサービスも利用しているとのことでした。
社内カルチャーはエンジニア志向
Happy Elementsは「エンジニア志向」の社風であると言う草苅氏。社長の新井元基氏も元エンジニアであるため、静かで集中できる業務環境や十分な開発環境があり、エンジニアに目を向けたものになっているというのが理由だそう。
例えば、オープンコミュニケーションが推奨されており、エンジニアはすべてのアプリやプロジェクトのソースコードが閲覧可能となっています。また、担当アプリ以外のソースコードも閲覧して参考にできたり、Slackも基本的にpublicチャンネルでの運用で、給与・人事・評価などセンシティブな内容のチャンネルのみprivateとなっていたりと、お互い共有し合ってより良いものを作っていくというエンジニア志向な社風となっているようです。
ことエンジニアにおいては、前述のようにアプリグループごとの独立性が支持されているため、コーディングスタイルやエディタは全社統一はされておらず、アプリグループ単位で統一されているほか、プロジェクト管理・タスク管理・ナレッジサービスもアプリグループごとに選択できるので、Notion、Confluence、Backlog、esaなどを各アプリグループごと自由に選択可能とのことでした。エンジニアリングによる業務効率化も支持されており、Slack APIやGoogle Apps Script、Eagleなどを使って自由に業務を効率化できるなど、さまざまな特徴が窺えました。
人事評価制度について
人事評価制度は、1~6の「ステージ」という等級が設定されており、ステージ2~5にはさらに「サブステージ」が設定されているそうです。
それぞれ定められた能力評価の基準をクリアすることで、自動で次のサブステージに進みます。
また、ステージが上がる際は昇格審査をクリアする必要があるとのこと。評価は年1回となっていますが、どのサブステージからでも昇格審査を受けられる「飛び級制度」も設けられていました。
評価基準は大きく分けて「能力評価」と「業績評価」の2つ。
ベース項目・技術力・マネジメントの3項目に分かれています。ステージが上がるとベース項目の評価割合が減り、技術力とマネジメントがより重視されます。
また、ステージごとの給与上限はなく、同一ステージに長く在籍していても能力評価次第で昇給し続けることも可能とのこと。
エンジニアの「技術力」とは、基本的に設計と実装能力を指しており、ステージ別に評価基準が設定されているので、所属グループやサブステージに関わらず評価されるようです。
よってエンジニアとして、「技術力」を向上させていくことが前提となっており、マネージャーというキャリアパスとしては存在していませんが、各アプリグループの状況によって会社からマネジメントの役割を指名されるという形が取られています。
また、ステージ4以上ではさらに技術力に特化していく特別なステージも用意。能力評価においてより技術力を重視した評価基準が適用されます。
いわゆる賞与の査定となっており、アプリグループやその中の各職種における目標から細分化された個人目標について評価を行います。賞与は昇格に関係なく会社業績と連動して年1回支給されます。
パネルディスカッション
最後にパネルディスカッションでは、4名のエンジニアが登壇し、さまざまなテーマについて、各アプリグループの対応などについてトークを繰り広げました。登壇者は以下の通りです。
長谷川一輝氏(画像最右)
新卒で車載カーナビ関係の会社に入社しスマホアプリや車載器などのソフトウェアを開発した後、2018年にMiniascape(元完全子会社、現在は精算済)にゲームエンジニアとして入社し、2020年Happy Elementsに転籍。現在エンジニアチーフ。
富井択音氏(画像右から2番目)
2016年に学生アルバイトとして入社、2019年に正社員として入社し、現在『あんさんぶるスターズ!!Music』グループでエンジニアリーダーを務めつつ、複数の小規模ゲームプロジェクトにも参画。
倉橋友佑氏(画像左から2番目)
新卒入社した業務系システム開発・運用会社でWebシステムなどを開発した後、2017年Happy Elements入社。『メルクストーリア』のエンジニアリーダーを担当した後、現在は新規プロジェクト開発グループに所属。
葛原秀一氏(画像最左)
新卒入社したゲーム開発社で遊技機の液晶プログラム部署を務めた後、2017年12月にHappy Elements入社。『あんさんぶるスターズ!』グループに所属した後『あんさんぶるスターズ!! Basic』への大幅リニューアルに携わり、現在は『エリオスライジングヒーローズ』グループに移籍。
各グループの開発の雰囲気について。
Happy Elements作品でも規模の大きい『あんさんぶるスターズ!!』グループには100人を超える社員が所属しているとのこと。『Music』では3Dエンジニアが5名、開発エンジニアが7名おり、他職種のメンバーと、企画に対して活発に議論しながら開発を進めているそうです。アプリの規模が大きくなるにつれて人数が増えているものの、お互い見知った顔になっていくそうです。
『エリオスライジングヒーローズ』はアプリグループ全体で50名ほど。ゲームエンジニアは現在6名。開発室ではエンジニアだけでなく、ゲームデザイナーやコンテンツプランナーといったプランナー職、UI系のデザイナー職などがおり、開発時に主にやりとりをする職種と同じ部屋で仕事をしているそうです。
新規プロジェクトの開発グループでは、少人数ながらも徐々にメンバーが増えてきており、現在は20名ほどで、エンジニアは現在2名とのこと。ひとつの執務室に収まる程度の規模であるため、メンバー同士の距離も近いそう。もちろんしっかりとした打ち合わせはあるものの、軽い相談は雑談のような気軽さでスピーディにできるのが良いところだそうです。
それに対し『あんさんぶるスターズ!!』のグループはかなり静かで、直接の相談が起きることはあまりないそう。ただ、チャットでのやり取りも多く、会議室や2名程度で話せる小規模なブースが多くあり、コミュニケーションを取れる機会はしっかりと設けられているようです。
続いて、話題は「前職との開発スタイル・社風の違い」へ。
前職が業務系システム開発・運用だった倉橋氏は、前職では1ヶ月程度かかることもあった内容がHappy Elementsでは早ければ1時間程度で終わるスピード感に驚いたと話します。前職は工程が決まっており、工程を戻す際にも承認などが必要でしたが、現在の環境はエンジニアとしてとても働きやすく、どうしても出てしまうミスに対しても心理的ストレスが軽いといいます。
人間関係や働くスタイルについては、出張や部署内のサーバー管理といったものがなく開発に集中できること、強制的な飲み会がないといった点が違いとして挙げられていました。こうしたストレスが積み重なりにくい点は大きなポイントですね。
参加者からのQ&A
ここからは、説明会に参加した方々から寄せられた質問に登壇者が答えた内容をお届けします。
弊社はパブリッシャー兼デベロッパーですべて自社IPを扱っているため、開発チームのなかで「いいね」となったらそれをブロックする要因はありません。エンジニアをはじめとしたどんな職種でも、自分の意見を提案するのは容易で、採用もよくされます。ゲームデザイナーさんがベースを持ってきて、それに対して職種関係なく意見を出し合うような感じで、例えばエンジニアからは「こうしたほうが操作性がいいよね」「これは既存の機能を組み合わせたら工数削減できそう」といった意見を出します。
あります。新規タイトルの取り組みとして「Super Lite(スーパーライト)」「サブプロジェクト」というものがあり、普段メインラインのアプリを作っている社員が、傍らで短期間で小規模なゲームを開発しています。例えば富井さんはよく関わっていて、Happy Elementsで初めての有料カジュアルゲームとなった『MONPIC -小さなドラゴンと竜化の少女-』をSteamやNintendo Switchで配信しました。

意見交換といえるか微妙ですが、お披露目会というものを開催しています。弊社にはカフェスペースと呼ばれる大きな共有エリアがあるのですが、そこでプロジェクターに開発したゲームを映してお披露目し、みんなでワイワイ遊ぶような形です。そこで一旦社内で見せ終えたら、後ほどWebページ等に公開するというフローで進めています。
会社としては明確な制度は用意していませんが、新規開発の場合はそういった段階を準備することは多いです。ただ、大々的に持ち込んで見てもらうことはあまりなく、基本的にはアプリグループ内でのブラッシュアップになると思います。
例を挙げると、シナリオに演出をつける人が毎回エンジニアにデータを渡して、それをエンジニアが実装し、動作確認して微妙だったら修正……という手間のかかるフローだったのですが、演出の人自身が動作確認をしながらリアルタイムでスプレッドシートを書き換えるような仕組みを作ったところ、すごくうまくいきました。基本的には、不便だなと思うところを直して、使ってもらうという流れです。
私は経験がなく、入社当時はサーバーサイドがメインでした。フォローアップをしていただきましたが、全面的なサポートがあるわけではないので、ある程度自分から質問したり、自主学習が必要にはなりますが、入社後でも十分キャッチアップが可能だと思います。富井氏:
最近だと私のチームはメンター制度を導入して、新しく人が入ったときに気軽に質問できる人を決めています。なので、今は倉橋さんが入社したときよりさらに質問しやすく、訊きながらキャッチアップできると思います。
私目線だと、エンジニアだから、プランナーだから、イラストレーターだからといった職種に縛られないところや、意思決定が早めなところが良いと思います。
富井氏:
デベロッパー兼パブリッシャーであることで、ユーザーとの距離が近いというのは魅力ですね。自分がメインで担当した施策に対してユーザーからの反応やバグ報告も(苦笑い)ダイレクトに得られるので、やりがいを感じます。
倉橋氏:
リリース後にエゴサーチすることもあるのですが、自分から提案して修正した機能に対し「神機能!」というユーザーの声があったことが深く印象に残っています。
Happy Elementsをもっと知りたいあなたに
『あんさんぶるスターズ!!』などの人気タイトルを手掛けるHappy Elements。エンジニアにとって、自由度が高く働きやすい社風が大きな魅力です。職種を超えた意見交換が活発に行われ、互いに協力しながらより良いものを作り上げる環境が整っています。
さらに、開発環境の充実やチームごとの柔軟な運用、すべてのソースコードが閲覧可能といったオープンなコミュニケーション体制など、エンジニアが働きやすい条件がしっかりと整っています。評価制度も明確で公平性が高く、自分らしいキャリアを描ける仕組みも魅力的です。技術力を磨き続けたいエンジニアにとって、注目に値する職場ではないでしょうか。
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※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)
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