ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結します。そこで、イベント前に出展作品をピックアップし、その魅力や制作秘話を紹介する特別インタビューをお届けします!この記事を読めば、イベント当日をより楽しむための予習ができるはずです。
第2回となる今回は、「Math × Cube」「ゲームBGMをイメージしたサウンド作品集」「Tank」を手掛けたチームにインタビューを実施。作品の特徴や開発の裏話について深掘りしました。ぜひご覧ください!
計算×立方体転がし=新感覚⁉『Math × Cube』
【作品紹介】
Math × Cubeは各面に数字の書かれた立方体を転がす、簡単そうに見えて難しい、新感覚数合わせパズルゲームになります。 遊び方は簡単。 各面に数字の書かれた立方体を転がし、ゴールと同じ数字に合わせていきます。 面がマスと接触したとき、マスに書かれた数字と立方体の面に書かれた数字が計算されます。 ゴールの数字と面の数字が一緒になったら、立方体をゴールまで運びその面をゴールに接触させればゲームクリアとなります。 シンプルなのに奥が深いゲームデザインと、細部にまでこだわった演出に注目してみてください!
──自己紹介をお願いします。
宮倉:リーダー、プランナーを務めています、宮倉です。他にも企画立案、仕様策定、レベルデザイン、進行管理なども担当しています。
小熊:プログラマーの小熊です。計算システム、ギミック、カメラ操作、キャラクターのモーションやコントローラー操作を制作しました。
山田:プログラマーの山田です。エフェクト、キューブのアニメーション、ミニカメラ、ゴールの処理のほかバージョン管理をしています。
松井:プログラマーの松井です。ゲームループ、サウンド実装、キューブの挙動を担当しています。
馬場:馬場です。コンセプトアート、キャラクターデザイン、モデリング、アニメーション、2Dイラストなどデザインを担当しています。
石田:デザイナーの石田です。背景デザイン、モデリング、UIデザインを制作しています。
平田:サウンドエディターの平田です。SE、BGM、キャラクターボイス、レベルデザインを担当しています。
──作品について教えてください。
宮倉:このゲームは立方体のどこかの面をゴールのマスの数字に合わせてくっつける、新感覚数合わせパズルゲームです。制作期間は1ヶ月で、ゲームジャムで知り合った初対面の7人で制作をしました。
──制作過程で特にこだわったポイントや工夫した点はなんですか。
宮倉:特にこだわったポイントはレベルデザインです。シンプルな地形とギミックで、簡単そうに見えて難しい絶妙なステージ設計をしました。実際に何度もチーム内で遊び、転がした回数を比較しながら進めたことで、このゲームの面白さを最大限引き出すことができたと思っています。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
宮倉:ゴールした時のキューブのアニメーションの実装が一番苦労しました。
アニメーションの設定やアニメーターの使い方が分からず、ほぼ0の状態からのスタートでネットで調べながら実装を行い、アニメーションの機能を理解しながら進めることが出来ました 。
──このゲーム制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
宮倉:1ヶ月という短期間でプロジェクトを完成させたことで、チームマネジメント力が大きく向上したと実感しました。
小熊:今までのチーム制作ではあまり報連相がうまくできなかった所があったが、仕様の相談や確認などでスムーズに連絡できるようになりました。また、Unityのインスペクターで色々な設定をできるようにしたりオブジェクトの回転角度によって動作が変わるようにしたりなど、自分以外の人からも設定しやすいように工夫できるようになりました。
山田:これまでのゲーム制作で担当してこなかった部分の開発も行ったので技術力の向上と新たに自分ができる範囲が広がりました。また、コミュニケーションを活発に行いチームメンバー間での認識を合わせることを意識して制作を進めることができました。
松井:これまでよりも周りの事を考えたスクリプトを組めるようになった点です。
石田:仕様書を意識して班員と相談しながらデザインできたことです。
馬場:世界観を崩さないデザインを意識しながらスケージュールに合わせて制作できたことです。
平田:自分は楽曲制作は得意なのですが、効果音制作はあまり得意ではなかったのですが、今回はゲーム全体のサウンドを担当したので、その点とても勉強にもなりました。 このゲームの効果音は音楽に合うように作られているので、その点にも注目してもらえると幸いです。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
宮倉:アクションゲームやパズルゲームなど幅広いジャンルのゲームを企画できる力と、チームをまとめて制作を進めていくリーダーシップです。
小熊:仕様に合ったオブジェクトの動作作りやプレイヤーが分かりやすい、遊びやすいようにする工夫やプログラマー以外の人でも設定しやすいオブジェクトの設定作りです。
山田:ゲームの仕様書に沿ったエフェクト制作を試行錯誤を重ねてゲームの雰囲気に沿った演出を作ることができる事と、粘り強く取り組むことができる所です。
松井:遊んでくれる人のことを誰よりも考えて、楽しめるようにする心配りは負けないと思ってます。
石田:ライトを用いた色彩表現です。
馬場:自身の持っている世界観の解釈をデザインに落とし込む表現力です。
平田:音への細かい気遣いは負けません。このゲームの音も聴き心地を最重要視していて、プレイの邪魔にならないように工夫しています。BGMのループポイントが分かった方がいたら本当にすごいと思います。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
宮倉:まだ作ったことのないマルチプレイのゲームを制作し、販売したいです。
小熊:プレイヤーがより良い体験をできるように遊びやすく分かりやすいプログラムを書けるようにしていきたいです。個人で作った作品をSteamなどで販売してみたい。
山田:テクニカルアーティストとして活躍できるようにシェーダーの勉強を積極的に取り組むこと。挑戦してみたいことはホラーゲームの開発を行い、steamで販売まで行うこと。
松井:UIを勉強して、見やすく、かつクオリティの高いものが作れるように試行錯誤していきたいです。
石田:ポストプロセスなどのエンジンの機能まで使ってゲームビジュアルをより高めていきたいです。
馬場:ゲームに実装したときに、遊びに没頭させられるような魅力的なキャラクターデザインをすること。3Dモデルとデザイン画が出来るだけ差異がなく表現できるようにすること。
平田:最近はさまざまなジャンルの音楽の勉強をしています。単純にそのジャンルが作れるようになるだけではなく、ジャンルの複合もできるようになってきたので楽しいです。苦手なEDM系にも挑戦しています。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
宮倉:手触りや音といったゲームプレイのあらゆる側面に配慮し、様々なアプローチで制作しました。実際にコントローラーを握ってプレイしていただければ、その魅力に気づいていただけると思います。ぜひ『Math × Cube』をお楽しみください!
多種多様な世界観を『ゲームBGMをイメージしたサウンド作品集』
【作品紹介】
1. Eternal Slaughter(0:00~) 爽快感のあるアクションゲームの戦闘をイメージしています。強力なプレイヤーが敵を蹂躙するスタイルです。 「ボスと戦う時の曲」ではなく、「プレイヤーがボスと言えるほど強い」といった力強さを表現するために重低音を重視したサウンドに仕上げました。 ギターを通常の1オクターブ下にチューニングし、強烈なドラムを用いることで戦闘の激しさを表現しています。また、ギターにはさらに1オクターブ下の音とシンセを重ね、ヘヴィさを生みつつ、ベースで音の輪郭を際立たせています。
2. Bloody Rearguard(1:57~) 中世ファンタジーゲームの戦闘シーンをイメージして制作しました。具体的には、多くの敵に1人で戦いを挑む英雄的なシーンです。 戦鼓をイメージしたパーカッションや金管楽器を全面的に押し出すことで、力強さを表現しました。
3. Wilderness of Hope(4:08~) ファンタジー世界で冒険に向けて荒野を歩むイメージで制作しました。 パーカッションを多用してリズムを主張し、躍動感に結びつけました。またメロディを担当する楽器を次々に変えることで、冒険へのわくわく感を高めつつ、バラエティに富んだ楽しい楽曲にしました。
4. Midnight City(6:25~) ペルソナ5(株式会社アトラス)のような世界観をイメージしています。現代の都会の夜を舞台にした、スピーディーかつスタイリッシュなアクションゲームでの、BGMを想定して制作しました。 ベースの大きな動き、ギターのカッティング、コードの浮遊感などで、スタイリッシュさとオシャレさを演出しています。
5. Voices from the Abyss(7:38~) ホラーゲームのBGMを想定して制作しました。 聴き手に不気味さと恐怖を与えるため、そのため不協和音やノイズを積極的に用いました。 また、ルート音を固定することで楽曲をシームレスに変化させ、ループ再生しやすい楽曲 制作を心がけました。
6. Invitasjon Til Vinteren(9:40~) 中世ファンタジーRPGの村をイメージして制作した楽曲です。 ドリアンスケールを用いて異国情緒や非日常観を演出しました。同じコードを繰り返すことで、ゲームプレイを邪魔しない程よい安定感を与えました。 電子的なサウンドによる神秘的で少し冷たい雰囲気がこの曲に奥深さを与えています。
──自己紹介をお願いします。
Rei Aozaki:Rei Aozakiです。作曲、編曲、演奏、打ち込み、ミックス、マスタリング、動画制作すべて1人で行っています。
──制作期間はどれくらいですか。
Rei Aozaki:様々なゲームでの使用をイメージしたサウンド(楽曲)作品集です。今回の応募に際して新たに作ったのではなく、これまでに私が制作してきたものの中から抜粋しています。そのため古いものは2023年8月制作のものもあります。
──制作過程で特にこだわったポイントや工夫した点はなんですか。
Rei Aozaki:楽曲だけで多くの人が同じような情景を思い浮かべることを意識しました。そのため独創性を押し出しすぎないことを心がけています。
そうした中でも1曲目ではギターの音を通常の1オクターブ下にチューニングするなど、常識に囚われすぎないサウンド作りを心がけました。
そうして、ゲーム世界を彩ることは勿論、楽曲だけでも魅力的な作品にしました。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
Rei Aozaki:DTM歴が2年弱でパソコンを用いた楽曲制作といった部分に苦労しました。特にソフトや機材をあまり持っていないという、限られた環境に苦労しました。そうした中でもイメージに近いサウンドになるように注力しました。例えば3曲目は全て無料音源ですが、細かなオートメーションを描いてチープさを打ち消しています。また、2曲目の戦闘BGMでは中世的な雰囲気を出すためにオーケストラを用いました。しかし早い演奏が可能な音源を持っていないため、極限まで荘厳でずっしりしたサウンド作りに切り替えました。
このように、譜面の段階や実際に打ち込む際など、様々なステップで工夫して楽曲をせいさくしました。
──この音楽制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
Rei Aozaki:相手目線での制作スキルを身につけた点です。今回、私自身のイメージを楽曲という形にして、聴いて下さった方にも同じイメージを持って頂けることを心がけました。それまでは「自分が好きなサウンドを作ることができればそれでいい」という独りよがりな考えを持っていました。しかし、そうして作られた作品はゲーム世界を彩るサウンドとして不十分です。実際に同じイメージを持っていただけるかは分かりませんが、常に「このサウンドは聴き手にどういう印象を与えるだろうか」と考えることができ、ゲームサウンド作りにおいて大切な考えを身につけることができたと思います。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
Rei Aozaki:海外音楽・ゲームに触れてきた時間が多いため、そういったサウンド制作には自信があります。また、制作の早さにも自信があります。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
Rei Aozaki:ゲームのサウンドクリエイターです。そしてゲームで遊ばない人々にも届くような革新的なサウンドを生み出し、ゲームとゲームで遊ばない人々の架け橋となりたいです。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
Rei Aozaki:多様なジャンルに取り組んでいる点です!
懐かしさを現代クオリティで『Tank』
【作品紹介】
2Dの戦車ゲーム!壁で反射する弾を上手に扱いながらクリアを目指そう! 意外と賢い様々な敵達を君は攻略できるかな?全10ステージ!裏面も存在!? 自分の実力に合わせて自機のカスタマイズが可能だ!
──自己紹介をお願いします。
sny0:sny0と申します。現在、岐阜大学大学院の修士2年生で、普段はバーチャルリアリティの研究をしています。
研究の傍ら、創作活動も行っており、様々なゲームやアプリを開発してきました。開発した作品は私のWebサイトに掲載しています。
今年は、大学の同期と共に「後輩たちにものづくりの”きっかけ”を与えたい、技術や経験を伝えたい」という想いから『岐阜大学デジタル創作サークル』というサークルを立ち上げました。
サークルでは、今年、IVRCという日本で一番歴史が古く有名な学生VRコンテストで総合優勝を収めました(他にも、Laval Virtual PrizeやUnity賞も頂きました)。作品名は『中継を止めるな!~究極のフォーミュラーレース中継体験~』で、F1のようなフォーミュラーレースのカメラマン体験ができるインタラクティブなVR作品です。私は、ハード(カメラデバイス)とソフト(Unity, Webアプリ)に携わりました。
『Tank』は一人で制作しました。主な担当箇所は企画、ゲームプログラミング、シェーダーです。基本的に音楽やスプライトはフリーのものを使用しましたが、自分でドットを打ったスプライトもあります。
──ゲームの制作期間はどれくらいですか。
sny0:本作は、レトロ風の見下ろし型戦車ゲームです。任天堂の『はじめてのWii』のミニゲームである『タンク!』をリスペクトしています。ゲームエンジンのUnityで制作しました。
特徴的なのは、弾が壁で反射する特性を活かした戦略的な駆け引きです。独自の要素である、弾の速度を変化させるオブジェクトを導入し、ゲーム性に奥行きを持たせています。
また、敵のAIは賢く設計されており、やりごたえのあるゲームに仕上げています。
さらに、徹底的に再現されたレトロゲーム風のグラフィックに加えて、タイトル画面で特定のコマンドを入力するとエクストラモードを遊べる仕掛けや、設定で自機をチート級に強化できる機能を搭載しました。このようなゲーマーである私自身が憧れる要素を盛り込みました。
元々、就活用の作品として制作しており、2023年の11月から2024年の2月まで制作をしていました。その後、友人からゲームクリエイター甲子園を紹介され、より面白くなるようにブラッシュアップを2024年の7月に行いました。そのため、実働日数としては約半年になると思います。
──制作過程で特にこだわったポイントや工夫した点はなんですか。
sny0:『ゲームAI』と『レトロゲーム感』と『操作性・UI』です。
〇ゲームAI
「賢く、プレイして楽しいAI」を目指して実装しました。
実は、学部2年生の時に、Javaで旧版の『Tank』を制作したのですが、ゲームAIの実装方法が分からず、ただランダムに敵機を移動させる実装しかできませんでした。しかし、リメイクするに当たり、しっかりとしたゲームAIを実装することを目標としていました。そこで、ゲームAIの技術書(ゲームAI技術入門 広大な人工知能の世界を体系的に学ぶ, 三宅陽一郎著, 技術評論社)を参考に以下の機能を実現しました。
・弾の回避:敵機が弾の軌道を分析して回避行動を取ります。
・戦略的な攻撃:弾が壁で反射する仕様を利用した攻撃をします。
・ステイトマシンによる制御:敵機はセンサで自機を検知し、攻撃を開始します。これにより、プレイヤーは敵の視界外から攻撃するといった攻略が可能になります。
〇レトロゲーム感
私は1980年代のゲームに強い憧れを抱いています。限られてたリソースのなかで魅力的な作品を生み出したクリエーター達を尊敬しており、古き良きレトロゲームが大好きです。
そのため、この作品では「ブラウン管テレビで遊ぶファミコン用ソフトやアーケードゲーム」を意識し、徹底的に再現することを目指しました。具体的に拘った部分を紹介します。
・グラフィクスの工夫:ブラウン管テレビを再現するため、グラフィックに縞模様や走査線、収差を取り入れました。本当は、ブラウン管テレビを肉眼で見る分には走査線は見えないのですが、映像媒体に記録されているブラウン管テレビでは走査線が見えるため、”私のイメージ”として実装しています。
また、弾の残像表示や敵機が探索状態時に発するエフェクトなど視覚に訴える演出(いわゆる「Juicy」な演出)を取り入れました。
このような演出を実現するために、独学でシェーダーを学び、実装しました。
・隠しコマンド及びエキストラモード:レトロゲームに多く見られる隠しコマンドの要素も取り入れました。
ゲームクリア後に表示されるヒントを参考に、タイトル画面で特定のコマンドを入力するとエキストラモードに画面が遷移します。エキストラモードのタイトル画面はゲームフリークが開発したファミコン用ソフト『クインティ』を意識しています。
エキストラモードは全体を通して、プレイヤーが特定のコマンドを入力した結果、あたかもプログラムが異常をきたしたかのような演出を意識して制作しました。
〇操作性・UI
旧版の『Tank』では操作性に課題があり、キーボード操作のみでした。開発者である私ですら十分に操作ができませんでした。そのため、今回リメイクするに当たり、初めて遊ぶ人でも簡単に自然にプレイできることを重視し制作しました。具体的に行ったことを以下に述べます。
・操作方法の見直し:マウスとキーボードを併用する操作を採用し、直感的に操作でき、楽しめるようにしました。
・UIの改良:テストプレイを通じて、多くの友人からの意見をもとに改良を重ねました。例えば、「自機がどれかわかりづらい」という指摘を受け、ゲーム開始時に自機の上にアイコンを表示する仕様を追加しました。他には、操作方法をイラストで表現することで、より直感的に伝わるように工夫しました。
──制作中に苦労したこと、どう乗り越えたか教えてください。
sny0:拡張性・保守性の高いプログラムのコーディングです。
当初は、しっかりとしたクラス設計を行わずにコードを書いていました。しかし、仕様を追加するうちに、現状の書き方ではいずれ拡張の限界が訪れると感じました。そこで、一からクラス設計を見直し、すべてのコードを書きなおす決断をしました。
この過程では、ゲームプログラミングのコードの技術書(ゲームプログラマのためのコーディング技術, 大圖衛玄著, 技術評論社)を参考にするとともに、現役のエンジニアの先輩にアドバイスを求めました。クラス設計に取り組むのは初めてだったため、非常に多くの時間と労力を費やしたことを覚えています。
その結果、オブジェクト指向を意識した設計が実現し、コードの拡張性や保守性が大幅に向上しました。これにより、以降の開発が格段にスムーズになりました。
──このゲーム制作を通じて自分自身が成長した点はどんなところでしょうか。
sny0:ゲームプログラマーとして、ゲームプランナーとしての2つの側面から成長できたと思います。
ゲームプログラマーとしては、本作の制作を通じて、技術を大きく向上させることができたと思います。
具体的には、ゲームAIの仕組みやシェーダー言語、そして拡張性・保守性の高いクラス設計といった、新たな知識とスキルを習得しました。
ゲームプランナーとしては、特にレベルデザインやUIの設計に関して、知見が得られました。
本作は初めて多くの人に遊んでもらった作品です。私の自己満足で制作を完成させるのではなく、プレイヤーの意見を聞いたり、プレイ中の様子を見たりすることから得られたフィードバックを元に改善を重ねました。その過程で、プレイヤーがどのようにゲームを体験するのか、そして制作者としてどのような配慮が必要なのかという視点を身につけられたと思います。
また、制作者自身がすべてを理解しているからこそ気づけないポイントがあることを実感し、第三者に遊んでもらうことの大切さを学びました。
──他の参加者に「これだけは負けない」と思うご自身の強みを教えてください。
sny0:古き良きレトロゲームへの強い憧れと、その再現度の高さです。
私自身、古き良きレトロゲームに深い愛情を、当時のクリエーター達に大きな尊敬の念を抱いており、本作は、レトロゲームらしさを徹底的に追求し、グラフィックや演出に至るまで再現したつもりです。この、「レトロゲームへの情熱や拘り」は誰にも負けないと思います。
──今後、挑戦してみたいことや目指している目標はなんですか。
sny0:今後の目標は、プログラミング言語C++やレンダリング技術を習得することです。
C++はゲーム業界において非常に重要な言語であり、その習得は不可欠であると感じています。また、最近では、DirectXやOSなどの低レイヤーなプログラミングにも強い興味があり、これらは、C/C++を使って扱うことが多いため、ぜひ習得したいと考えています。
一方、本作でシェーダーを扱った経験から、グラフィックスやレンダリングに深い関心を持つようになりました。最近、「リアルタイムレンダリング 第4版」を購入しました。これ通してさらに知識や技術を身に着けたいと考えています。
──1月19日の作品展示会で特に見てほしいポイントやアピールがあれば教えてください。
sny0:やはり、こだわり抜いたゲームAIとレトロゲーム風のグラフィックが特に見て欲しいポイントです。
また、難易度が高いながらも何度も挑戦したくなるゲーム性にも注目していただきたいです。実際、以前「学生インディーゲーム展@京都」で展示を行った際、多くのプレイヤーが熱中して何度も遊んでくれたことが大変嬉しく、印象に残っています。
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」に行こう!
「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」では、他にも個性豊かな学生作品が多数出展されます。当日はぜひ実際に作品を体験し、学生クリエイターたちの熱意と創造性に触れてみてください!
次回のインタビューでは、また別の注目作品と開発チームのストーリーをご紹介します。引き続きお楽しみに!
こちらの記事もチェック
ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が集結[…]
ゲームクリエイター甲子園2024出展ゲームを深掘り!学生ゲーム開発者インタビュー「ゲームクリエイター甲子園 2024 発表授賞式&作品展示会」が間もなく開幕します。本イベントには、全国の学生クリエイターが制作した独創的なゲーム作品が[…]
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/