ゲームクリエイター甲子園 2023に応募があった全1200作品の中から17作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第三弾として登場することが決定しました。
今回のインタビューでは、第三弾作品の『Stellagate』をピックアップします。
このインタビューシリーズでは、ゲーム作品の制作の裏側に焦点を当て、どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。
チーム名:Team Stellagate/作品名:『Stellagate』
Team Stellagateは、ゲームクリエイター甲子園 2023において総合賞 佳作、企業賞 SEモバイル・アンド・オンライン賞、ウニコ賞、グリー賞を受賞した制作チームです。
- Team Stellagate チームメンバー紹介
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yukikurage (リーダー)
・企画、マネジメント、ギミック実装、ステージ作成、UI、キャラとギミックのグラフィック、BGMcobalt (リードプログラマ)
・コード設計、ステージエディタ作成Uzaki (プログラマ)
・プログラミング、バグ修正pikachu (プログラマ)
・ギミック実装、デバッグAlt–er (プログラマ)
・ギミック実装、UI実装Nors5648 (プログラマ)
・グラフィック実装、UI実装u (プログラマ)
・ギミック実装take (プログラマ)
・シェーダー、コード設計、ギミック実装zer0-star (プログラマ)
・ギミック実装soramea (ステージ)
・ステージ作成beferia (ステージ)
・ステージ作成Pina641 (ステージ)
・ステージ作成tkr_d_555 (グラフィック)
・キャラクターアニメーション、ギミックアニメーションshogotin (サウンド)
・BGMCd_48 (サウンド)
・BGM、SE
異なる場所をつなぐ「ゲート」を使った比較的難しめのパズルゲームです。ゲートを使うことで、本来いけない場所へ行けたり、部屋同士をつないだりすることが出来ます。
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実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1548
『Stellagate』プロジェクトに集う者たち
──このチームはどのようにして集まりましたか。
yukikurageさん:
大学のサークルで募集をかけました。サークルはパソコン関係の全般をやってます。ゲーム、ウェブ制作、競技プログラミングとかですね。本作『Stellagate』は15人で制作しています。
──ゲームが生まれたきっかけについて教えてください。
yukikurageさん:
まず、僕が作ろうと思ったきっかけは、元々『ポータル』という3Dパズルゲームがありまして、そのゲームは壁に銃で穴を開けることで、2つの穴がつながるという仕組みなんです。この『ポータル』が、おそらく空間を歪ませる系のパズルゲームとして初めて大ヒットした例だと思います。
この『ポータル』に類した、空間をつなげたりするパズルゲームを自分でも作ってみたいという思いがありました。いろいろとアイデアを練った結果、個人的に2Dが好きだったので、2Dでそのようなゲームを作ろうと決めました。またその時にプレイしていた他のパズルゲームもいろいろ参考にしながら、今回のゲームを作り上げました。
──皆さんはyukikurageさんの企画を聞いた時どう思いましたか。
cobaltさん:
同時期に、ほかにもいろいろな企画が提案されていました。「この企画に入りますか?」「あの企画に入りますか?」と選択を迫られる中で、このプロジェクトのプレゼンを見た瞬間に「ぶっちぎりで面白そう!」と感じ、すぐにここに決めました。そして入学当初の春から約1年間、この開発に取り組むと決めていました。最初から面白いと確信していたので、さらに面白くするために開発に専念しました。
beferiaさん:
いろいろな企画がありましたが、この『Stellagate』という作品は、僕の中で本当にどんぴしゃというか、「これ絶対面白いじゃん!」と思ったんです。それで、「やりたいです!」と名乗りを上げました。
Cd_48さん:
私はサークルの中でサウンド専門で活動していました。『Stellagate』に参加する前から、yukikurageさんとサウンドの面で少し縁があって、その時から彼のカリスマ性を感じていました。ほかにも参加できるプロジェクトはいろいろあったのですが、『Stellagate』は宇宙や星といった神秘的な世界観があり、個人的にとても好きなテーマでした。そんな世界観のサウンドを作りたいと思い、このチームに参加することにしました。
──そのような流れでメンバーが集まって、yukikurageさんはとても幸せですね。
yukikurageさん:
そうですね。みんなモチベがあってステージ、SE、プログラムなど、意欲的に取り組んでくれたので、ありがたいです。
──本作は今後リリース予定がありますか。
yukikurageさん:
ステージ拡充、ギミック追加、 ストーリー追加などをして、今年の半ばぐらいにリリースします。Steamのページはできています。
プレイ体験の緻密な計画
──制作でこだわったところを教えてください。
yukikurageさん:
いろいろとありますが、まず一番目立つのはゲートのグラフィックですね。全体的にはドット絵を使っているのですが、ゲートの部分だけは滑らかにして、ドットの色数も非常に制限しています。ポストプロセッシングもかけず、見た目にはひと昔前のゲームっぽい雰囲気を保ちながら、ゲートの描画だけはシェーダーを使ってシームレスにつなげるようにしました。
──ゲームプレイの面でのこだわりはありますか。
yukikurageさん:
ゲームプレイの観点からは、多くのフィードバックをいただく機会があったので、それを積極的に取り入れました。例えば、ゲートの向こう側に中身が見える部分です。これは口頭で説明するのが少し難しいですが、プレイヤーが直感的に理解できるように工夫しました。
──どのように作られているのか気になっていました。
yukikurageさん:
実はシェーダーで頑張って書いています。まずステージ全体を一度カメラで撮影してから、うまく切り取ることで、ゲートの中身が途切れないようにしました。主人公がゲートを通るときに、中身の部分が画面の端まで見えることで、主人公が見えなくなることがありました。それを防ぐために、途中で波打つようなデザインを追加しました。これにより、見やすくなりました。
またプレイヤーが乗っているキューブを拾えるようにしたり、細かい調整も行いました。さらに、提出直前には難易度調整にこだわりました。ほかのパズルゲームを参考にして、難易度が勾配で上がるように調整し、チュートリアルを多めに拡充することで、難易度曲線をなだらかにしました。
──初めて遊んだときに「こんな感じで遊ぶんだ」と思いました。進んでいくとステージをを選べる世界になって、「ああ、ここから本番が始まるんだな。今までのはチュートリアルだったんだ」と自然に感じることができて、つなぎがとてもスムーズでした。ワクワク感もすごくありましたね。それに、キリンなどのシュールな要素もすごく好きです。
yukikurageさん:
キリンは、実は結構ノリで入れたキャラクターなんです。キリンが話している内容は、主に開発者のバグ報告や「今はバージョン0.2です」といった情報などです。製品版には登場しないかもしれませんが、会話全体としては、僕がプレイしたゲーム『UNDERTALE』のようなメタ系のストーリーが個人的に好きなので、その影響を受けています。
──ゲーム自体は、ストーリーから生まれたというより、yukikurageさんがパズルのアイデアをまず考えて、その後に世界観が決まったという感じですか。
yukikurageさん:
そうですね。最初にパズルの仕組みがありました。ストーリーについてはまだあまり決まっていませんでしたが、世界観についてはどうやって決めたか、はっきりとは覚えていません。
──その辺りは、みんなで肉付けしたんですか。
cobaltさん:
たまに口出しはしていましたが、基本的な骨子は気がついたらできていましたね。
yukikurageさん:
例えば、大まかな世界観は決めましたが、ゲートの見た目などは他の人に作ってもらいました。音響効果なども他のメンバーに任せていました。
──どのような情報をもらって、音楽や効果音を制作していったのでしょうか。
Cd_48さん:
私は音楽・効果音の制作を担当していました。基本的な流れとしては、まず私がイメージする音を作り、それをyukikurageさんに聞かせました。yukikurageさんから「ここはもう少しこうした方がいいかな」とフィードバックを受けて、修正していく感じでした。効果音は私とyukikurageさんの2人だけで作ったので、少人数で作ることで結果的に世界観としてのまとまりが生まれたのだと思います。
yukikurageさん:
SEは意外と量が多かったですね。
──Cd_48さんはお気に入りの音とかありますか。
Cd_48さん:
1番力を入れたのはゲートが起動する音です。『Stellagate』というタイトルにふさわしく、ゲートがゲームの主要な要素になっています。例えば、ボタンとゲートが連動している場合、ボタンを押すとゲートが起動したり、持ち運べるゲートを青い領域に置くと起動するなど、自然にゲートを利用する機会が増えるため、開くたびに魅力的な音が欲しいと考えました。そのため、ゲートを開く際の音には特に力を入れました。
制作中のハプニングとこだわり
──チーム制作中に起きたハプニングなどはありましたか。
yukikurageさん:
今、絶賛で起きているのが、リファクタリングですね。私が行っているのですが、リファクタリングが終わらないと他の作業が進められない状況です。プログラムの方がかなり滞っています。
──その他には大きなトラブルはあんまりなかったですか。
cobaltさん:
あ、マス目のサイズ変更とか。
yukikurageさん:
実際には変更しませんでしたが、パズルゲームの現在のマスが意外と小さいと感じたので、主人公をもう少し大きくしてみようと思いました。しかし、結局大きくすると微妙だったので、元に戻しました。そこはちょっと遠回りした部分でしたね。
元々ステージはやや大きめで、主人公が小さく感じられることもありましたので、ステージ自体を小さくする調整をしました。
──ステージ制作の話を教えてください。
beferiaさん:
少なくとも、ゲームクリエイター甲子園に提出する段階では、私とyukikurageさん、そしてもう1人のメンバーの3人で、主に作業を進めていました。エディターに関しては、ステージを作成する際に、cobalt君がすごく便利な拡張機能を積極的に追加してくれました。私たちはステージのアイデアをすぐに具体化することができました。そのおかげで作業がスムーズに進み、非常に助かりました。
──お気に入りのステージやこだわりのステージはありますか。
beferiaさん:
“Recall”っていうステージは、私が初期の頃に作ったものなんですが、自分でも良くできたと思います。
──いいですね。cobaltさんはシステムエンジニアとしての役割を担当しながら、ゲーム内の操作がよりスムーズになるように工夫もしていたんですね。
cobaltさん:
はい。例えば、キューブを投げる機能やプレイヤーの動きなど、見える部分の機能については、正直あまり手を加えていません。
私は、他のプログラマーが新しい機能を実装しやすくするために、下地を固めるプログラムを書きました。具体的には、今後追加する機能について話し合いながら、その土台をあらかじめ作っておきます。そして、その後の実装作業はプログラマーに任せる形になります。
──この作品全体を通して気に入っている部分はどこですか。
yukikurageさん:
ゲートのグラフィックは、僕だけでなくメンバーの一人であるtakeくんが結構手伝ってくれて、その部分がかなりきれいに仕上がっていたと思います。また、世界観の統一も気に入っています。色数を制限したり、全体的にドット絵にしたことで、統一感がありますね。
全体的に星座の世界観を意識していたので、青色を主に使用しました。1色に絞ることで、統一感が生まれると思いました。また宇宙は基本的に暗いので、わりと無機質な感じが出ていますね。
──最初は冷たい印象を持っていたんですけど、実際に遊んでみると温かみを感じ、意図して作られたものだと思いましたね。それにキャラクターが個性的で可愛らしいですね。では今後、プレイする方にメッセージをお願いします。
yukikurageさん:
パズルなんですけど、各ステージが非常に異なる解法を持つようにしました。バリエーション豊かなステージをお楽しみいただければと思います。また、ストーリーも今後拡充予定ですので、お楽しみに。
cobaltさん:
猫がかわいいんです。推しだなと思っています。
今後の展望
──次の目標はありますか。
yukikurageさん:
外部のサークルなどのイベントに出展することが目標ですね。そのためには、リファクタリングを早めに終わらせたり、ステージをもう少し増やしたいと考えています。リリースすることが目標です。ただ、実はゲームの販売経験がありません。その部分をうまく進めたいと思っています。
cobaltさん:
下地作りはほぼ終了したので、リードプログラマー的な仕事はあまり残っていません。そのため、築いた人脈を活かしてマーケティングを行いたいと考えています。今は私の仕事量が最も少ない時期なので、夏の前に各所を訪れることで忙しくなる予定です。周りのみんなとのスケジュールがずれてしまっていますが、それでも頑張ります。
beferiaさん:
正直、今からが本番です。リファクタリングが終わると、ステージ制作が私の主な仕事になります。ステージ制作を進めていきたいです。
──楽しみにしています。何か驚きの仕掛けがあるのか、ファンとして楽しみにしていますね。
Cd_48さん:
新しい要素が増えるたびにSEも増えると思います。BGMも1つ追加する予定です。
──ゲームクリエイター甲子園 2024の出場予定はありますか。
yukikurageさん:
また『Stellagate』で進めていこうと考えています。少なくとも、年の半ばまでは作業を続けます。4年生の末には研究などもあり、忙しいですが、学生時代にもう1本作品を制作できれば良いなと思っています。ただ、もしかしたら1年先になるかもしれません。
──楽しみにしています。いろいろと興味深い話を聞けたので、最後に何か伝えたいことがあればどうぞ。
yukikurageさん:
今後も頑張るのでよろしくお願いします。頑張ってクオリティもクエンティティーもどっちも拡充していきたいと思います!
「みんなのゲームパレード」から『Stellagate』をダウンロード!
今回ご紹介した『Stellagate』は、開発中ゲームのβ版が集まるサイト「みんなのゲームパレード」にて掲載中!作品を実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/1548
「Seeds by Game Creators Guild」とは
「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。
クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。
本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。
未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。
Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds
「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催中!
ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。
このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。
制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!
ゲームクリエイター甲子園 2024 エントリー情報
エントリー期間
※先行エントリーについては下記をご確認ください
エントリー締切:2024年10月31日(木)16時59分まで
作品応募期間
作品提出開始:2024年 2月1日(木)12時00分から
作品提出締切:2024年11月7日(木)16時59分まで
※作品がない状態のエントリーも可能です
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です
応募資格
年齢:小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数:無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)
スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/