2日置きにやってくる一生のお願い『PanicQ』インタビュー【Seeds by GCG】

ゲームクリエイター甲子園 2023に応募があった全1200作品の中から18作品が、ゲームクリエイターズギルドが運営するクリエイター支援のためのコミュニティレーベル「Seeds by Game Creators Guild」の第三弾として登場することが決定しました。
今回のインタビューでは、第三弾作品の『PanicQ』をピックアップします。

このインタビューシリーズでは、ゲーム作品の制作の裏側に焦点を当て、どのような構想を経て形づくられたのか、学生クリエイターのゲーム制作への思いや今後の展望についても探っていきます。

チーム名:「PicaSoft」/作品名:『PanicQ』

PicaSoftは、ゲームクリエイター甲子園 2023において総合賞 佳作、企業賞 インディーズゼロ賞、2次審査員賞 上原利之賞、ゲスト審査員賞 mono賞を受賞した制作チーム。

PicaSoft チームメンバー紹介
稲垣利音 (リーダー)
・進行管理、ステージ制作、ゲームシステム制作
林木の実 (プランナー)
・草案・企画書制作、難易度調整、仕様制作
奈良優弥 (プログラマー)
・キャラ挙動、AI挙動、ギミック一部制作
向島英寿 (プログラマー)
・カメラ制御、UI制作
濵口幹映瑠 (プログラマー)
・メインギミック制作、アニメーション、エフェクト実装
稲垣若羽 (プログラマー)
・アウトゲーム制作、導入制作
中村叶海 (プログラマー)
・画面効果制作、エフェクト一部制作、アウトゲーム
畑 紗佑里 (デザイナー)
・キャラアニメーション制作、敵アニメーション制作、UI制作
谷畑直温 (デザイナー)
・UI制作、各画面デザイン制作
釜田宏紀 (デザイナー)
・エフェクト制作、背景制作、コンセプトアート制作
山下夢翔 (ミュージック)
・SE全般制作
本田和希 (ミュージック)
・BGM制作
【作品紹介】
「PanicQ」は強くて怖い相手を驚かせてパニックにさせていく体験を楽しめるアクションパズルゲームです。
オオカミに隠れながら近づき驚かせ、仕掛けたトラップに連続で引っ掛けて、パニックにさせましょう!

《「みんなのゲームパレード」からダウンロード!》
実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!
作品紹介ページ ▶ https://gameparade.creators-guild.com/works/1281

信頼できる仲間との出会い

──『PanicQ』を作ろうと思ったきっかけや、開発経緯を教えてください。

稲垣さん:
学校の授業で日本ゲーム大賞に応募する作品制作の機会がありました。2022年の日本ゲーム大賞でも僕がリーダーで制作していたので、本作のチームメンバーは、その時のメンバーが6人か7人、そこから人づてに信頼できる人を集めていきました。

林さん:
新規メンバーの1人です。

濱口さん:
自分も今回から参加しました。

──信頼できる人たちということですね。

稲垣さん:
集まったメンバーで何をやりたいか考えて、林さんの「驚かせるのが楽しいんじゃないか」という意見に決まりました。

林さん:
実は先生から最初ゲーム作る時に「もうこれ『影牢』やん」と言われました。万人受けする感じのゲームではないと思うんですけど、中身は面白いゲームだったので、このゲームを誰でも入りやすく、楽しい方向にシフトチェンジしたらいいんじゃないかと『影牢』をモチーフにしました。

──『影牢』をこのゲームのように可愛らしくアレンジしたら、確かに子どもたちも楽しめるだろうと感じますね。

林さん:
可愛くてちょっと意地悪な感じにシフトできたかなと思います。

──先生に言われる前はそのゲームを意識していなかったんですか。

林さん:
最初はそうでした。私はホラーゲームがすごく苦手なので(笑)。

──苦手だったんですね。

林さん:
そこで、プレイヤーがただ驚かされるだけでなく、逆にオバケを驚かし返すようなアクションを楽しめるアプローチを考えました。そのアイデアから始まり、楽しさを追求していきました。

──『PanicQ』はどれくらいの期間で作られたんですか。

稲垣さん:
日本ゲーム大賞のアマチュア部門のテーマ発表を受けて制作が始まり、締め切りまでに提出しました。そこからゲームクリエイター甲子園に向けて、バグやチュートリアルの分かりづらさの改善をしていきました。

チームのこだわりと挑戦、そして順調な制作経過

──制作でこだわったところはありますか。

濱口さん:
メインギミックを主に担当しました。今回のゲームではオオカミを驚かせることを中心に考えていました。このギミックの仕組みを考える中で、驚いた時のプレイヤーの反応などを考えながら作っていきました。

最初に登場するカボチャのギミックは、最初はオオカミを追いかけてその場で驚かせるだけでしたが、その後、さまざまな試行錯誤を経て、追いかけることになりましたね。

──チームのみんなからはどんなリアクションがありましたか。

濱口さん:
デザイナーの方にも協力してもらって、驚かせるというコンセプトに合っていていいんじゃないかと言われました。

──稲垣くんのこだわりについて教えてください。

稲垣さん:
僕は全体的なクオリティに結構気を配っていました。どの部分を見ても、それがうちのゲームであることが分かるようなステージセットや画面遷移など、1つ1つの要素に手を抜かずに作り上げることに本当にこだわりました。

妥協するのが苦手で、その点でちょっと衝突もありましたね。例えば、ゲージ1つを作るのに1週間もかかったり、左のオオカミのゲージは 3、4回も作り直してもらったりしました。それだけで2週間ほど費やしました。自分の中で納得するまでは、かなりこだわりました。

──ものすごく伝わってきます。

稲垣さん:
ゲームシステムとレベルデザイン、企画などを担当していて『影牢』の複雑になっているところを、遊びやすくすることに重点を置きました。元々ゲーム自体が複雑なので、レベルデザインもプレイヤーが1個ずつ学んでいけるシステムにして、分かりやすく、遊びやすいようにできればと思って作っていきましたね。

──次に何をしたらいいか分かりやすい作りでしたね。真ん中に操作方法があるのも親切だなと思いました。あれはどなたのアイデアから出てきたんですか。

稲垣さん:
僕とデザイナーさんとで作っていきましたね。

──普段プレイしないゲームを始めると、最初は操作がわからず戸惑うことがありますが、このゲームは真ん中に説明が表示され、プレイヤーにとって非常に親切だと感じました。林さんのこだわりポイントを教えてください。

林さん:
感触です。画面を見ているだけの時も、実際に操作している時でも、どちらの場面でも心地良さを感じるような演出や、コントローラーの振動の調整に力を入れてもらいました。

──丁寧に何回もやり取りされたんですね。そんなメンバーで制作中にハプニングはありましたか。

稲垣さん:
今回の制作はかなり順調に進んでいました。プロトタイプで『影牢』のゲームシステムを導入する際には苦労しましたが、3月中旬までに僕はこのゲーム性でいけるという確信を持ち、順調に進めることができました。2人は何かハプニングあったかな。

林さん:
困ることはほとんどありませんでしたね。リーダーの稲垣くんが率先して進めてくれたおかげで、みんなが協力して制作に取り組むことができました。

濱口さん:
僕も迷うことはありませんでしたが、メインギミック周りでの調整作業が多かったので、粘り強く取り組む必要がありましたね。

稲垣さん:
遊んでいるときの感触や気持ち良さがこのゲームでは大事なので、少しでもズレがあると違和感が残ってしまいます。そのため濱口くんには、キャラクターが当たった反応と、実際の反応を細かく調整してもらいました。

濱口さん:
そうですね。プレイ中に違和感が出るのは良くないと思って、リーダーともよく話し合っていました。

──すごく順調に制作されたんですね。

稲垣さん:
納得できて制作できたことが大きかったですね。そこがチーム全体でうまくいったポイントだと思ってます。

──制作を始めた当初は違和感があったとのことでしたが、面白いと感じられるようになったのは何かきっかけがありますか。

稲垣さん:
最初の段階では、『だるまさんが転んだ』のようなゲームやオオカミに見つからないように慎重に近づいていくアイデアを試したりしました。よりパズル要素を重視した『刻命館』に近い方向性を模索していました。

──オオカミをトラップにはめるような。

稲垣さん:
そうですね『影牢』に吹っ切れて取り組めた時が一番楽しかったです。何も手がかりがない状態からゲームシステムを作り上げることはかなり難しかったですね。

100枚を超えるアニメーション制作と今後の目標

──『PanicQ』のおすすめポイントを教えてください。

濱口さん:
遊びやすさやチュートリアルのわかりやすさ、可愛らしいキャラクターなど、低年齢層や若い子にも親しみやすく、遊びやすい点が、このゲームのポイントです。

林さん:
濱口くんも言っていたように、キャラクターの可愛らしさや驚かせる要素については、表情や反応がすごく大事な部分だと考えていました。そのため、キャラクターの表情は2Dで1枚1枚アニメーションさせています。工数はかかりますが、LINEのような吹き出しで絵で描かれていない部分の反応を表現しています。プレイヤーさんにはキャラの反応を楽しんでもらいたいです。また、ゲームをスムーズに進められるようにテンポの良さもこだわっています。

──絵を1枚ずつ動かして、ということはたくさん描かれたんですね。

林さん:
そうですね、デザイナーさんは100枚を超えるぐらい描いてるんちゃいますかね。

──デザイナーさんからは最初、どんな反応がありましたか。

林さん:
稲垣くんがデザイナーさんに「一生のお願い!」って、「これで最後やから!!」みたいな感じで何回も言っていたら、すごくデザイナーさんに怒られて(笑)。

稲垣さん:
最後の1〜2週間の時に、「もうこれで最後やから!」というのを3、4回。2日に1回ぐらいのペースでやっていましたね。

──一生のお願いが2日おきにやってくるのは面白いですね。

林さん:
めちゃくちゃ私が怒られました。

──このゲームを2Dで作ろうと決めたのはなぜですか。

稲垣さん:
うちのチームの特長として、デザイナーのイラストの画風や制作のしやすさを考慮して、2Dでの制作が一番自分たちのやりたいことを表現できると感じました。

──確かに、吹き出しで表現されたネコちゃんが喜んでいる表情がとても可愛らしく、分かりやすいですね。本当にデザイナーさんたちはものすごく頑張られましたね。

林さん:
頭が上がらないです。

──皆さんの今後の目標を伺ってもいいですか。

濱口さん:
自分はこれからも、遊んでいただいた全ての人が、「このゲーム、ここが良かったよね」って言ってくれるような、そんなゲームを作っていきたいと思っています。

林さん:
私は今の時代、まだまだ本当に可愛いゲームが少ないと感じています。自分が求める雰囲気のゲームはまだ世に出されていないと思っているので、もっと可愛いゲームを作っていけるようなクリエイターになりたいです。

稲垣さん:
僕の目標は、ゲームを1万本売ることですね。 それを目標に今も制作中です。僕のゲーム制作はずっとPicaSoft(ピカソフト)という名前で行っていますので、PicaSoftの次回作もお楽しみに!

「みんなのゲームパレード」から『作品タイトル』をダウンロード!

今回ご紹介した『作品タイトル』は、開発中ゲームのβ版が集まるサイト「みんなのゲームパレード」にて掲載中!作品を実際に遊んでみたい方は、作品紹介ページ内の「作品をダウンロードする」をクリック!

作品紹介ページ ▶https://gameparade.creators-guild.com/works/1281

 

「Seeds by Game Creators Guild」とは

「Seeds by Game Creators Guild」は、ゲームクリエイターの若きスターがここから羽ばたいていくことを支援するためのコミュニティレーベルです。

クリエイターコミュニティである「ゲームクリエイターズギルド」が運営する「みんなのゲームパレード」に掲載されている作品や「ゲームクリエイター甲子園」に応募された作品の中から、特に輝いていたゲームタイトルを応援します。

本レーベルは、パブリッシャーではなくゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、特にコミッションなどをお支払いいただかず、必要な実費のみでご利用いただけます。

未来のある優れた作品がこのレーベルに集まることによって、ユーザーや業界への認知機会を増やし、本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的とします。

Seeds by Game Creators Guild 公式サイト ▶ https://www.creators-guild.com/seeds

「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催中!

ゲームクリエイター甲子園は「ゲームクリエイターズギルド」が主催の、ゲーム制作に関わる学生クリエイターのためのゲームコンテストです。
このゲームコンテストの最大の特徴は、“成長型ゲームコンテスト”であること。作品がない状態からでもエントリーが可能で、1年を通して作品をブラッシュアップしながらクリエイター自身の成長を目指します。

制作途中の作品でも応募すればプロのクリエイターからアドバイスがもらえるほか、学生クリエイターコミュニティに参加する仲間たちとの切磋琢磨で刺激を得ることができるのも、このコンテストの魅力の一つ。過去の参加者の中には、企業からオファーを受けて新卒採用に至った方もいらっしゃいます。
「オリジナルのゲームを作ってみたい!」「色んな人に自分の制作物を見てもらいたい!」そんな方は、ぜひご応募ください!

ゲームクリエイター甲子園 2024 エントリー情報

エントリー期間

※先行エントリーについては下記をご確認ください
エントリー締切:2024年10月31日(木)16時59分まで

作品応募期間

作品提出開始:2024年 2月1日(木)12時00分から
作品提出締切:2024年11月7日(木)16時59分まで

※作品がない状態のエントリーも可能です
※運営との連携のためLINE公式アカウントの友だち追加が必須です

応募資格

年齢:小学生以上の学生 ※社会人は応募不可
制作人数:個人・チーム、人数不問
作品数:無制限
ゲームクリエイター甲子園は作品の完成・未完成問わず参加・展示が可能です

「ゲームクリエイター甲子園 2024」が2月1日(木)より開幕! エントリー手順を解説


「自作ゲームの宣伝がしたい!」という熱い思いをお持ちの方は、ぜひ下記のフォームよりご連絡ください!


ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約7600人参加(2023年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
ゲームクリエイターズギルド公式サイト ▶ https://game.creators-guild.com/

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