『ゲームクリエイター甲子園 2021』総合大賞佳作の『灯りの王子と陰りの塔』を取材「明確な実績が欲しかったのでうれしいです」

光と影の異なる性質を用いるパズルアクションゲーム

灯りの王子と陰りの塔』は、光の王子を操作して、魔法のランプで作り出した自らのカゲと協力して、荒廃した塔の頂上を目指す探索型のパズルアクションゲーム。光と影の異なる性質を用いて仕掛けを解き進めます。『ゲームクリエイター甲子園 2021』では、総合大賞佳作、企画部門第3位を受賞しました。

制作チーム『Caffeine zombie』から、てんたみこさん、もこさん、一休さん、シロさんの4人に作品を語っていただきました。

「影の海」から逃れるため建てられた巨大な「塔」は、「太陽」の恵みを受けその内で生まれた様々な文明、国と共に繁栄の歴史にあった。

しかし今やその太陽も力を失い、塔は滅びの道をたどり「陰りの塔」と化し、そこにはただ「影」の蝕みのみがあるという。

「魔法のランプ」を携えた主人公「光の王子」は自らの「カゲ」と共に協力し荒廃した塔の頂上を目指す。

光と影の異なる性質を用いて仕掛けを解き進め、時には立ちはだかる異形の魔物に抗する、探索型のパズルアクションゲーム。

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自分たちの作品を手に取ってもらえる場が欲しい

──まずは甲子園への参加と受賞を振り返ってみていかがでしょうか?

てんたみこ
単純に滅茶苦茶うれしかったです(笑)。イベントへ出展する理由は、実際に自分たちの作品を手に取ってもらえる場が欲しいのが一番ですが、この日までに作品をアップする、というのがあると僕たちはそれに向けて頑張ることができるので。これは『ゲームクリエイターズギルド』に参加した理由の一つでもあるんですけど、イベントとかに出展する時に賞を書く欄があって、そこで「ウチはこんなものを作ってますよ」だけじゃなく、明確な実績が欲しかったので。こういった形で賞をいただけるのはすごくうれしかったです。

──それぞれの自己紹介、ゲーム制作のどの部分を担当していたかを教えてください。

てんたみこ
デザインアートとプログラムを担当しています。世界観の部分で実際にイラストを起こしてデザインアートのアイデアを出すこと、ゲームエンジンで文字を書いてゲームに実装するところですね。

もこ
モデリングとアニメーション、他にもPV制作など細々とした作業を担当しています。モデリングは主に人物とか、動くものやギミックを担当しています。

一休
僕はゲーム内で流れる効果音やサウンドを作っています。

シロ
絵と背景のモデルを担当しています。基本、てんたみこからデザインをもらって、僕が3Dを起こしています。

──役割はどのように割り振っているのですか?

てんたみこ
『灯りの大地と陰りの塔』の前に作った一番最初の作品が大学の課題だったのですが、その時点でそれぞれのスキルが結構はっきり分かれていて、自然とこうなりました。3DCGをたくさん使う作品なので手が回らなくて、どうしようかと考えた時に、3DCGに強いシロを引き込んでメンバーが3人から4人に増えました。

シロ
名前を知ってるぐらいでプレイしたことはなかったのですが、楽しそうなので入ってみました。今はすごく楽しいですね。

もこ
もともと前からチームは違えど仲は良かったので、新たなメンバーとは言っても「じゃあ一緒にお願いね」みたいなノリで、すんなり加わってくれました。

──このチームでゲームを作ってみようと思ったきっかけは大学の課題ですか?

てんたみこ
そうですね。言い出しっぺは自分で、幼い頃からゲームがすごく好きで、中高生から一人でゲーム制作をやっていました。大学でそれをチームでやれたらいいなと思って、大学で課題制作の授業は本腰を入れてやりたいと思っていて、ちょうど一緒に作れる友達がいるじゃないか、と始めた感じです。

チームでのコミュニケーションはやっぱり難しい

──『灯りの大地と陰りの塔』の制作で一番難しかったのは?

もこ
このチームではデザイナーとモデラーが分かれているので、デザイナーはボロボロの弱そうなイメージだと思っていたのが、モデラーが間違って解釈して強そうになっちゃったりとか。そういうすり合わせは大変でした。

シロ
デザイナーの案から3Dモデルを起こすのですが、実際に3Dに起こして分かる、3Dならではの表現も多くて、それをデザイナーとコミュニケーションを取りつつやるところは確かに大変なので、すごく意識するようにしています。

てんたみこ
チームでのコミュニケーションはやっぱり難しいです。同じようにチーム内でのやり取りの話なんですけど、例えばUnityでプログラムを組む時に、そのプログラマー以外でも作業できるように分かりやすくしようとすると難しいです。チームで作るとなったら自分だけしか分からないコードを書くわけにはいかないので、それは現在でも課題ですね。

──皆さん、それぞれのスキルは独学ですか?

てんたみこ
昔にプログラミングスクールに通ったことはあって、学校でもある程度は教えてもらっていますけど、基本は独学です。

もこ
僕もモデルに関してはネットで調べたりの独学ですね。

シロ
僕も動画を見たり、ネットの記事を読んだりして勉強しています。

一休
ゲーム音楽に全然触れたことがなかったのもあるんですけど、インターンでどんなソフトを使うのか学んだり、完全にリアルタイムで学んでいます。

作品にこめられた美学にすごく惹かれます

──『灯りの大地と陰りの塔』は今もブラッシュアップが続いていますよね。

てんたみこ
作品自体の大まかなものができたので、今はストーリーや世界観に力を入れています。今までも一応は画面に出ているんですけど、荒廃した地下世界に存在するいろんな国を回って旅をするんですが、飽きがこないようにグラフィックを変えていろんなモチーフの国を描きたいです。現状出ている水の国は、ベネツィアをモチーフにしています。

一休
ベネツィアのアイデアは最初にてんたみこが言い始めて、そこから画像を調べました。

もこ
「水の国を作ります」というのを最初にみんなで決めて、てんたみこがイメージを考えて、そこから僕らがあらためて話し合う、という形で進めていきました。

──他に注目してもらいたいポイントはありますか?

てんたみこ
ゲームシステムが一番ですね。例えばカゲは光に弱くて、光に当たると死んでしまう。でもカゲは金網とかをすり抜けることができる。それは長々と説明しなくても違和感なく分かってもらえるシステムで、それが一番の面白いゲームの評価点になるように作っています。

──こういうゲームを作れるようになりたい、という目標やあこがれのクリエイターはいますか?

てんたみこ
僕は子供の頃から『大乱闘スマッシュブラザーズ』が好きで、桜井政博さんのコラムを読んで興味を引かれたのがゲーム制作を始めたきっかけでした。まさにそこに、さっき言った「ゲームシステムからまずゲームを考える」みたいなことが書かれていたんです。クリエイターが何を伝えたくて作品を作ったのか、作品にこめられた美学みたいなものが分かった時にすごく惹かれます。

一休
参考にしている人が多すぎて一人を挙げられないんですけど、強いて言うなら必ず音の調和が取れている人として、ジブリ作品で有名な久石譲さんはすごく意識しています。

もこ
僕も参考にしている作品はたくさんあって、ゲームだけじゃなくアニメだと『宝石の国』とか『BESTARS』とかですね。ゲームだとカメラのカットインみたいなものが3Dの特徴だと思っていて、アニメだと2次元の絵だと1枚の絵でしかないのですが、3Dで最後にアウトプットする際にカメラの演出にこだわるとか、そういう作品が好きです。

シロ
僕もいろんな人を見て勉強していますが、よく見ているのは『Hirokazu Yokohara』さんの作品で、特にライティングとかは参考にしています。

ゲームクリエイター甲子園2021サポート番組「熱血道場」でもピックアップ

ゲームクリエイター熱血道場は 毎回豪華ゲストをお呼びして、学生インディーゲーム最大の祭典「ゲームクリエイター甲子園 2021」に応募された作品に対してプロからの講評や月間MVPの発表などお届けするサポート番組です!

受賞まとめ

『ゲームクリエイター甲子園 2021』は参加人数が約1500人、参加作品数は約700となり、65の企業にスカウト・サポートをいただきました。 表彰結果、クリエイターインタビューをご覧ください。 作品紹介ページから作品をダウンロードして遊[…]

 


ゲームクリエイターズギルドとは
ゲームクリエイターをはじめとしたゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間など、あらゆる垣根を越え「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)です。
※現役ゲームクリエイターやゲーム企業を目指す学生が約5500人参加しています。(2022年12月現在)

スキルや知識を学びゲームクリエイターとして成長・活躍し続けたい、同じ業界にいる仲間と市場の動向や技術についてなどの交流したい、日本のゲーム業界・職業自体の価値を上げ今より良い環境を作っていきたい……。そんなゲームを愛する人たちの未来に、必要な情報や機会を提供します。
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